即席めん市場における新商品のリリースは、年間およそ1,000アイテム以上とされ、なかでも即席カップめん類のスポット商品は怒涛の回転率を誇っており、発売日から2週間後には売り切れていて手に入らなかった‥‥というパターンも珍しくありません。
当ブログ「本日の一杯 -Cupmen review blog-」は、個人ひとりで更新しているため、なかには取り零し分もありますが、このページでは “2023年(令和5年)1月〜12月” の間に発売された商品の中でも「汁なし」に限定し、実際にブログで評価したカップ麺のTOP5をランキング形式で紹介します。
筆者である私・taka :a(@honjitsunoippai)の独断と偏見に基づいたランキングなので、個人的な嗜好及び主観的な考えも含みますが、よろしければ最後までお付き合いください。
カップ麺ランキング 汁なし篇 2023ver.
ランキングを発表する前に、いくつかのルールを記載しておきます。まずは、そもそも “汁なしカップ麺” の定義について。有名どころを例に挙げると「日清焼そばU.F.O.」「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」「ペヤング ソースやきそば」など、湯切り口が搭載されている商品は基本的に含みます。
しかし、たとえば「日清 最高に面倒で、最高にうまいラーメン。京都 極濁 鶏白湯」や「ニュータッチ 凄麺 冬の塩らーめん」など、お湯を注いでから湯切りし、再度お湯を注がなければいけない商品は、今回のカップ麺ランキング【汁なし篇】にカウントしません。
稀に “熱湯を注いでから湯切りし、再び熱湯を注いで餡掛け風に仕上げる商品” もリリースされるのですが、2023年はコレだ! という新作をピックアップできなかったので、いわゆる「焼きそば」「まぜそば」「油そば」などをランキングの対象とします。それでは、本題に入りましょう。※フレーバーの種類は限定しません。※表示価格は発売時点のメーカー希望小売価格に基づきます。
第5位「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い汁なし担々麺」
2023年を振り返った汁なしランキング第5位のカップ麺は、2023年4月3日(月)に日清食品が発売した「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い汁なし担々麺」(398円+税)で、独自の最新フードテクノロジーを駆使し、33種類の栄養素と美味しさの完全なバランスを追求した、同社の「完全メシ」シリーズからは初となる「日清焼そばU.F.O.」のエントリー。
通常の「日清焼そばU.F.O.」には、基本的にフライ麺(油揚げ麺)が搭載されているのに対し、完全メシ版には「日清ラ王」の “まるで、生めん。” を超えるレベルでナチュラルなノンフライ麺を合わせ、練り胡麻たっぷりのタレも味わい深く、濃厚な豚骨ラーメン用のスープに使われるタイプの骨っぽい旨味も印象に残ったポイント。
かやくのチンゲン菜と肉そぼろは、他の商品にも使われているカップ麺らしいアイテムで、そのジャンクさが “完全メシなのに” というプラスのギャップを生み出しており、後がけの「花椒入り唐辛子」が全体の印象を硬派に引き締めてくれている、健康に配慮した商品とは思えない満足度が得られた一杯でした。2023年12月30日現在、まだ販売中の商品なので、未体験の方は試してみてください。
第4位「麺処井の庄監修 辛辛魚まぜそば」
続きましてランキング第4位のカップ麺は、2023年9月25日(月)に寿がきや食品が発売した「麺処井の庄監修 辛辛魚まぜそば」(316円+税)で、2019年(令和元年)7月23日発売の「辛辛魚まぜそば」に続く二代目なのですが、初代はローソン限定商品だったのに対し、こちらは販売店を限定しないNB(ナショナルブランド)商品として市場に投下。
2019年の初代と比較して、全粒粉入りノンフライ麺の形状が変わっていたり、辛魚粉の粉末かつお節が強くなっていたり、あとのせかやくの肉そぼろと唐辛子が省かれていたり、それなりの変化は生じていましたが、再販を待ち望んでいたファンの期待を裏切るようなマイナスは皆無に等しく、それでいて冬の風物詩となっている同店監修の「辛辛魚らーめん」(レビューは2023年1月30日発売品)とは異なる魅力の持ち主。
辛さレベルは「辛辛魚らーめん」に匹敵するため、万人にオススメできる一杯とはいえないけれど、その人を選ぶ刺激もマニアを量産している理由の一つ。またNB商品としてリリースされたので、もしかすると来年以降、冬は辛辛魚らーめん、夏は辛辛魚まぜそば、というパターンが定着するのでは‥‥などと予想していたんですけど、今年「辛辛魚らーめん」ずーっと販売中ですよねw
第3位「東京油組総本店 油そば」
折り返し地点となるランキング第3位のカップ麺は、2023年6月27日(火)にファミリーマートが発売した「東京油組総本店 油そば」(276円+税)で、製造者は日清食品。2018年(平成30年)7月24日の発売以来、かれこれ “6代目” となる本商品。実は2022年5月24日発売品(5代目)と比較して、中身は変わっていなかったのですが‥‥
2022年6月1日、2023年6月1日と2年連続で価格改定(即席めん業界全体規模の値上げ)が実施され、企画としては前年と同じなのに、メーカー希望小売価格は税別で30円も跳ね上がっていた——みたいな商品が少なくありませんでした。しかし、今年の「東京油組総本店 油そば」は、前回発売品と比較して内容を据え置きつつ “税込9円の値上げに抑えていた” ので、コストパフォーマンスは爆上がり。
たかが9円、されど9円。即席カップめん業界は1銭(100分の1円)単位でコストを調整しているため、9円という数字は小さくありません。クオリティの高いノンフライ麺に、こってりとマイルドなタレ、さらに卵黄ソースのコクや刻み海苔&ごまのアクセントなど、味についてのクオリティも然る事乍ら、販売価格にも企業努力が表れている、とても素晴らしい商品でした。おそらく来年も出ると思うので、引き続き期待。
第2位「ビャンビャン麺風 汁なし担担麺」
そろそろ大詰め‥‥ランキング第2位のカップ麺は、2023年7月3日(月)にサンヨー食品が発売した「ビャンビャン麺風 汁なし担担麺」(276円+税)で、2022年4月11日発売の「西安式旨辛麺」及び2023年1月9日発売の「辛口麻辣湯麺」に続くビャンビャン麺風シリーズ第3弾。
ひとつ前の「西安式旨辛麺」は汁ありでしたけど、やはり史上最大級幅広麺の凄まじいインパクトを最大限に活かせるスタイルは “汁なし” で、あいかわらず麺については文句の付け所が見当たらない仕上がり。具材こそショボいといわざるを得ない内容ですが、独創的なノンフライ麺を引き立てるタレの作り込みも素晴らしく、ぜったい他社は真似できない(と、思える)唯一無二の本格派でした。
サンヨー食品の即席カップめんといえば、特に縦型カップだと油揚げ麺のスナック感が仇になるパターンが多く、有名店監修の商品では大きく足を引っ張ることもあるのですが、ノンフライ麺を使わせると高確率で高水準。それだけに価格が高くなったり、具材は二の次になったり、そういった側面も出てきますけど、麺に対する探究心が強いメーカーなので、これからも楽しみにしています。
第1位「明星 みかさ 塩焼そば」
そして‥‥2023年のカップ麺ランキング【汁あり篇】第1位に輝いたのは、2023年11月6日(月)に明星食品が発売した「明星 みかさ 塩焼そば」(306円+税)で、みかさ監修シリーズ第10弾に該当する一杯。こちらは4代目「塩焼そば」なので、過去に類を見ない新作とはいえないけれど、店舗の焼きそばにトッピングされている “半熟卵” を表現した「たまごタレ」を別添、というのが大きなリニューアルポイント。
麺はノンフライではなく油揚げ麺なので、第2位の「ビャンビャン麺風」よろしくリアルを追求したタイプではないけれど、むっちりとした粘りの強さで食べ応えバッチリ。ソースは全体に馴染ませる「香味ソース」と “あえて混ぜないことを推奨” している「旨とろソース」のWパックで、それぞれ異なる役割を担っていることから、気分で濃淡を演出することも可能なんですけど、かなり味は濃いめの部類に入ります。
しかし、その濃さを最後まで単調に想わせないのが「たまごタレ」のサポートで、けっして多くはないけれど、まったりとした卵黄のコクが異なるアプローチで濃厚さを底上げ。さらに、レモン粉末、混合削りぶし(かつおのふし、いわしの煮干し、さばのふし)、アオサ、ペッパー、ネギをブレンドした「ふりかけ」を別添と、あいかわらず芸達者な仕上がりでした。それだけに次のハードルも上がってきますけど、難なく超えてくれるでしょう。
まとめ
ほかにもランキングに入れたい商品は多かったので、優柔不断な私は選定するのに何時間も要してしまったのですが、2023年の【汁なし篇】TOP5は上記で決定。ちなみに昨年の【汁なし篇】第1位は「みかさ監修 ソース焼そば」だったので、2年連続「みかさ」が首位を飾る結果となりました。
おい、あんなに美味しかった○○が入ってないぞ! という意見もあるかと思いますが、続けて独断と偏見に基づいた「汁あり篇」を大晦日に公開しますので、各位のマイランキングと照らし合わせながら、ギャップも含めて楽しんでいただけたら幸いです【author・taka :a(大石敬之)】