カップ麺の新商品は年間およそ1,000種類以上といわれているのですが、その中でも湯切りタイプの汁なしカップ麺は人気が高く、たとえば「日清焼そばU.F.O.」に「一平ちゃん夜店の焼そば」「ペヤングやきそば」など、全国的な知名度を誇る有名ブランドからも数量・期間限定の変わり種が意欲的に発売されている現在。
さらに定番のソース焼きそばや塩焼きそばをはじめ、まぜそば・油そば・汁なし担担麺なども市民権を得るようになり、有名店監修のカップラーメンを汁なしアレンジした新作も目立っている昨今。それらの総意に富んだスポット商品の存在によって、これまでの常識を覆すような展開も多々見られるようになりました。
カップ麺ランキング 2020 汁なし篇
このページでは、2020年(令和2年)に発売されたレビュー済みの「汁なしカップ麺」を厳選し、ランキング形式でTOP10を選定します。そのうちの一つは順位を定められなかった番外編として紹介しますが、今年もっとも注目されたカップ麺といっても過言ではない商品なので、よろしければ最後までお付き合いください。
第9位「マルちゃん正麺 カップ ゆず香る塩まぜそば」
汁なしカップ麺ランキング第9位の商品は、東洋水産の「マルちゃん正麺(せいめん)カップ ゆず香る塩まぜそば」で、発売日は2020年3月16日。マルちゃん正麺カップが2019年4月1日から展開している湯切りタイプ第6弾の新作として開発されたスポット商品で、ゆず風味&ガーリック仕立ての “芳醇コク塩だれ” が力強く、爽やかな反面けっこうガッツリ系に仕上がっていた一杯。
定評のある “生麺ゆでてうまいまま製法”(特許第5719064号:こんにゃく含有麺およびその製造方法)を駆使した加水率の高いノンフライ麺に、同社の「麺づくり 鶏だし塩」を彷彿とさせる “芳醇コク塩だれ” も味わい深く、柚子は香料を使用していましたが、粉末スープに柚子の酸味とガーリックパウダーのパンチを効かせ、小さなローストガーリックチップも併用することで後を引く味わいを表現。
そのハイクオリティなノンフライ麺と芳醇コク塩だれで元が取れるような内容だったのに、リアルな食感と風味の味付鶏肉だんごを使っている、まさに隙のない完成度の高さ。やや添付調味料に含まれていた粉末ポテトが蛇足的だったのと、ニンニクの強さから食べるタイミングに気をつけなければいけないカップ麺でしたが、ゆず塩と多加水ノンフライ麺に強い東洋水産の技術力が光る、総合力の高い一杯に仕上がっていました。
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第8位「ペヤング 超超超大盛GIGAMAXガーリックパワー」
汁なしカップ麺ランキング第8位の商品は、まるか食品の「ペヤング 超超超大盛GIGAMAXガーリックパワー」で、発売日はコンビニのファミリーマート先行で2020年7月14日。通常の「ペヤング ソースやきそば」と比較して約4倍のサイズを誇るGIGAMAX(ギガマックス)の新作で、カップやきそばとしては規格外の麺量もさることながら、強烈なガーリック推しのテイストで爪痕を残した問題児。
麺は通常サイズの「ペヤング ソースやきそば」と共通の油揚げ麺を使用していましたが、麺量は通常サイズ(90g)よりも圧倒的に多い “300g” を搭載し、液体ソースから放たれる生おろしニンニクの衝撃的なパンチもさることながら、具材として大量のフライドガーリックを使用していたのもポイント。さらにカロリーは1872kcalかつ食塩相当量は13.2gという、栄養成分表示の観点からしても容赦ない仕上がり。
しかしながら「ガーリックパワー」による食欲増進効果も凄まじく、意外に300gの油揚げ麺をペロッと完食できてしまったので、超超超大盛り麺とガーリックに感けたインパクト任せの商品ではありません。ちなみに2020年8月24日から東日本エリアで、同年8月31日から西日本エリアでも一般販売解禁となっており、2020年12月29日現在まだ公式ウェブサイトに製品情報が残っているため、あと数ヶ月は入手可能だと思います。
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第7位「東京油組総本店 油そば」
汁なしカップ麺ランキング第7位の商品は、日清食品の「東京油組総本店 油そば」で、発売日は2020年5月26日。東京No.1の店舗数を誇る油そば専門店「東京油組総本店」が監修したファミリーマート限定・数量限定商品で、2020年5月発売品は三代目に該当するリニューアル版。そのため新鮮味こそないものの、しょっぱいイメージの強いカップ油そばカテゴリーに変革をもたらした一杯で、完成度の高さは折り紙つき。
2018年7月24日に発売された初代「東京油組総本店 油そば」からノンフライ麺を使用しているのが特徴で、2年前はタレの醤油感が弱く、味の輪郭がボヤけていたのですが、2019年5月28日発売の二代目からタレのバランスをリニューアル。クオリティの高いノンフライ麺を筆頭に、特製液体だれの原材料は “豚脂、しょうゆ、醸造酢、糖類、香味調味料、香味油” とシンプルな構成で、三代目は従来品よりも酢のアクセントを強化。
甘口しょうゆベースのタレに、アブラは動物油脂を主原料としているため、こってり感は申し分ないのですが、酢の酸味とラー油の芳ばしい風味でメリハリがあり、ヘルシーなノンフライ麺でバランスを取った本格志向のフレームワーク。具材の味付豚肉はチップ状のハムみたいな食感なので、あまり印象に残る具材ではないけれど、刻み海苔の風味は効果的。おそらく来年も発売されるため、油そばが好きな方は要チェックです。
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第6位「みかさ監修 塩焼そば」
汁なしカップ麺ランキング第6位の商品は、明星食品の「みかさ監修 塩焼そば」で、発売日は2020年4月13日。東京・神保町に店を構える行列の絶えない焼きそば専門店「みかさ」と明星食品のタイアップは、2017年10月16日発売の「みかさ監修 ソース焼そば」を皮切りに、2018年10月8日、2019年10月7日、2020年9月28日に「ソース焼そば」を発売しているのですが、2020年4月はシリーズ初となる「塩焼そば」を商品化。
2種類のソース(スパイスの効いた香りとコクのあるソースと甘くてとろみのあるソース)を特徴とする「ソース焼そば」に倣い、初の「塩焼そば」にも液体ソース(ゴマ油を効かせた濃厚感のある塩だれ)と特製ソース(ネギと黒胡椒の風味が効いた香りと甘みが特長の液体ソース)を使っているのが他の商品にはない特徴で、油揚げ麺には歴代みかさ監修シリーズと同じ食べ応えのある130gの極太ちぢれ麺を採用。
さらにネギ・アオサ・黒胡椒・レモンペッパー・魚粉(かつお・いわし・鯖)をブレンドした「ふりかけ」を別添し、爽やかなレモンの清涼感を効かせることで濃いめの味付けでも最後まで食べ飽きません。その方向性も従来のカップ塩焼そばにはない仕上がりで、なおかつ初版から完成形といっても過言ではなない総合力の高さから、来年4月頃の再販にも期待できる逸品です。
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第5位「ペヤング モノホントンコツMAXやきそば」
汁なしカップ麺ランキング第5位の商品は、まるか食品の「ペヤング モノホントンコツMAXやきそば」で、発売日は2020年11月2日。今年も奇抜でインパクトの強い “脱やきそば系” の変わり種を意欲的にリリースしてきたペヤングですが、その中でも特に強烈なテイストに定評のあるMAXシリーズの新作で、こちら「モノホントンコツMAXやきそば」は九州とんこつラーメンにインスパイアされた本物(モノホン)志向のヤバイやつ。
あいかわらず使い回しの油揚げ麺から新鮮味が得られることはないのですが、これも「ペヤングやきそば」を象徴する欠かせない存在で、しかしながら一般的にネガティブと避けられがちな “豚骨臭がしっかりと感じられる” 本物志向の液体ソースは完全に人を選ぶレベル。公式ウェブサイトには “風通しの良い所での調理をおススメします” との注意書きがあり、実際に調理してみたところ、それが誇張ではないことを実感。
ぜったい豚骨の下処理とかしないまま寸胴に放り込んで煮込んだよね‥‥? などと問い質したくなるくらい、もはや鼻にツンとくる酸っぱい感じの豚骨臭が漂う調理後のインパクトたるや。良くも悪くも優等生で牙のないカップとんこつラーメン市場に一石を投じるようなアプローチを見せ、大量のアブラを使いながらも醤油ダレのキレでボヤけた印象は与えない、まるか食品が誇る脱やきそば系の中でも記憶に残る一杯でした。
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第4位「千里眼監修 まぜそば 大盛 超絶ニンニクザンマイ」
汁なしカップ麺ランキング第4位の商品は、明星食品の「千里眼監修 まぜそば 大盛 超絶ニンニクザンマイ」で、発売日は2020年1月20日。東京・駒場東大前に本店を構える二郎インスパイア系の人気ラーメン店「千里眼(せんりがん)」と明星食品の共同開発商品で、先に公開した2020年版カップ麺ランキング【二郎インスパイア篇】で第2位に選出した実力派。
2018年2月19日に発売された「明星 千里眼 ガーリックまぜそば 大盛(ニンニクザンマイコレデモカ!)」を皮切りに、2020年1月発売の「超絶ニンニクザンマイ」は千里眼コラボ第6弾に該当するのですが、明星食品×千里眼シリーズ初となる “超絶ニンニクダレ” を別添し、TwitterなどのSNSで “千里眼のキャラメルマキアート” と話題になっていたニンニクダレの雰囲気も再現していたのが従来品との決定的な差。
ガーリックパウダーを効かせた粉末スープと生おろしニンニクを効かせたインパクトの強い超絶ニンニクダレ(液体ソース)をはじめ、にんにくを練り込んだ極太サイズの油揚げ麺に、ふりかけのローストガーリックも強烈な自己主張を放っている、千里眼コラボ最強クラスのガーリック感を実現していました。おそらく今後もタイアップを続けてくれるはずなので、来年も引き続き目が離せません。
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第3位「無鉄砲 汁なし濃厚豚骨馬鹿まぜそば」
汁なしカップ麺ランキング第3位の商品は、日清食品の「無鉄砲 汁なし濃厚豚骨馬鹿まぜそば」で、発売日は2020年11月17日。国産豚骨と水だけで作り上げた純度100%の濃厚とんこつスープを特徴とする、行列の絶えない人気ラーメン店「無鉄砲(むてっぽう)」監修シリーズ初となる汁なしカップ麺で、ローソン限定発売のPBカップ麺として企画されたもの。
麺は日清食品が製造するクオリティの高いノンフライ麺を採用し、無鉄砲のカップ麺を象徴する “むわっ” と豚臭い液体スープを合わせ、さらに味変効果抜群の特製ピリ辛にんにく醤油マヨを別添している、ヘルシーなノンフライ麺を採用しながらも全体的にジャンクな魅力の持ち主。のっけから強烈な獣臭で牽制してくるのですが、それを乗り越えた先で得られる中毒性の高さが魅力。
具材は前述の「東京油組総本店 油そば」にも使われているチップ状の味付豚肉と斜め切りのネギなので、残念ながら値段に伴った内容とはいえないものの、なかなかどうして特製ピリ辛にんにく醤油マヨはピリッと辛く、パンチの効いたガーリックのインパクトで結果的に汎用の具材でも気になりません。さらに溶き卵で “すきやき風” にアレンジするとマイルドな味が楽しめる、かなり見どころの多い一杯でした。
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第2位「鳴龍 汁なし担担麺」
汁なしカップ麺ランキング第2位の商品は、日清食品の「セブンプレミアム 鳴龍 汁なし担担麺」で、発売日は2020年3月17日。ミシュランガイド東京2020で一つ星を獲得している「創作麺工房 鳴龍(なきりゅう)」監修シリーズ初の汁なしカップ麺として開発された、セブン&アイグループ限定発売のPBカップ麺で、従来の汁なし担担麺とは一線を画す革命的な一杯。
麺は熱湯5分のノンフライ麺で、同店監修のカップラーメンに使われている低加水麺とは違う、表面から中心部までギュッと詰まっているような歯応えが特徴的。タレは「鳴龍」を象徴する芝麻醤(チーマージャン)に振り切った仕上がりかと思いきや、ラー油を中心とした大量の植物油と芝麻醤のコクを適度に効かせつつ、ほんのりと感じる醸造酢の絶妙なアクセントに、なんといっても “トマトペーストの隠し味” が革新的な要素。
全面にトマトが主張してくるわけではないのですが、それは明確に体感できるレベルにあり、加えてパセリとフライドオニオンによる洋風のアクセントを効かせるなど、中国を発祥の地とする担担麺でありながら “創作麺工房” の「鳴龍」らしい個性的な味わいで、唯一無二の商品に仕上がっていました。数量限定商品なので、2020年12月現在は手に入らないのですが、もし再販された場合、一度は試すべき価値のある逸品です。
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第1位「えびそば一幻(汁なし一幻)濃厚えびみそまぜそば」
汁なしカップ麺ランキング第1位の商品は、日清食品の「えびそば一幻(汁なし一幻)濃厚えびみそまぜそば」で、発売日は2020年7月21日。以前から日清食品とタイアップしている行列の絶えない札幌の有名店「えびそば一幻」監修のもと、同店の「えびみそ」をモデルに開発された満を持す湯切りタイプの汁なしカップ麺で、コンビニの中でもローソンでしか買えない「ローソン名店シリーズ」より新発売。
麺は日清食品が得意とするチキンエキスを練り込んだノンフライ麺で、そこまでの太さではないものの、表面から中心部までギュッと詰まっているような硬めの歯応えとモチモチした粘り気の両立を実現。液体スープに含まれるアブラは豚脂(ラード)を軸に、海老から抽出した調味油をブレンドしたもので、タレには濃厚な合わせ味噌と “えび醤” を使用しているのもポイント。
旨みは濃厚でも塩っぱい印象を植え付ける味ではなく、海老ミソ(中腸腺)を彷彿とさせる独特のコクもさることながら、別添の “えび粉ふりかけ” が強烈で、干し海老を丸ごと粉砕したような芳ばしさがインパクトを打ち出し、生姜を練り込んだカリッカリの “えび揚げ玉” も個性的な存在。ローソン標準価格は税込278円だったので、カップ麺としては高価な商品ではあるものの、それを踏まえても値段以上の逸品でした。
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番外編「ペヤング 超超超超超超大盛やきそばペタマックス」
さて——最後に汁なしカップ麺ランキングの “番外編” として紹介する商品は、まるか食品の「ペヤング 超超超超超超大盛やきそばペタマックス」で、発売日は2020年11月2日。ペヤング史上最大量のボリュームを打ち出した通常サイズ対比 “約7.3倍” の怪物で、2018年6月の発売前から世間を賑わせた “超超超大盛GIGAMAXの2倍量” という桁違いのカップ麺。
成人男性が1日に必要とするカロリーの目安量は2200±200kcalとされているのですが、その2日分となる “4184kcal” を打ち出し、なおかつ1食あたりの食塩相当量は24.6gとなっているため、パッケージには「絶対に1人で食べないでください」と記載。TwitterなどのSNSや動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)の動画配信者・YouTuber(ユーチューバー)にも取り上げられ、大きな話題になりました。
レビューの際は評価を「測定不能」としましたが、2020年の汁なしカップ麺における注目度No.1といっても過言ではありません。引き続きエンタメサイズの限界を目指すのか、それとも「超超超超超超大盛ペタマックス 獄激辛やきそば」といった非常識きわまりない新作を展開してくるか、汁なしカップ麺を語る上で欠かせない存在の「ペヤング」なので、おそらく来年も奇抜な発想で我々消費者を楽しませてくれることでしょう。
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まとめ
というわけで、2020年にレビューした汁なしカップ麺を振り返り、ランキング形式で紹介しましたが「おい○○が入ってないぞ!」という意見もあるでしょう。実際に僅差でTOP10入りを逃した商品は多かったので、順位の選定には頭を悩ませました。あくまで上記の商品は一例に過ぎないため、価値観の違いや共通の意見など、話のネタにでもしていただけますと幸いです。
なお今回のランキングには “あえて激辛系のカップ麺を入れていない” ため、激辛カップ麺に特化したランキングについては次回、2020年12月30日AM8:00公開の記事にてお楽しみください(author・taka :a)