どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年8月28日(月)新発売、サンヨー食品のカップ麺「大和イチロウおすすめ! オホーツクの塩ラーメン味どんぶり」の実食レビューです。
大和イチロウおすすめ第3弾も『マツコの知らない世界』でバズった袋めん!? 幻の “ゆうらく軒” 回り回ってカップラーメンに!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
大和イチロウおすすめ!オホーツクの塩ラーメン味どんぶり
大和一朗(やまと いちろう、1968年〈昭和43年〉9月27日 – )とは、大阪府大阪市浪速区に総本店を置くインスタントめん専門店「やかん亭」の経営者で、インスタントラーメン研究家・食文化研究家としても幅広く活動している人物。高校3年生だった18歳のときに交通事故で記憶喪失を経験し、それ以前の記憶を取り戻すため、即席めんマニアとしての人生を歩み始めた稀有な経歴の持ち主です。
今回の新商品「大和イチロウおすすめ! オホーツクの塩ラーメン味どんぶり」は、2020年(令和2年)3月10日にTBSテレビ系列で放送された『マツコの知らない世界 〜インスタント袋麺の世界』にて大和イチロウが推薦し、盛大にバズった袋めん「オホーツクの塩ラーメン」の味わいを再現したカップラーメンで、販売者は “サッポロ一番” のブランドで知られるサンヨー食品株式会社。
モデルになった「オホーツクの塩ラーメン」とは、1946年(昭和21年)創業の劇場「湧楽座(ゆうらくざ)」及び同年創業の南川冷菓製造店にルーツを持ち、1971年(昭和46年)から製麺事業を開始した、みなみかわ製麺株式会社(北海道紋別郡湧別町栄町37-25)が製造する袋麺で、販売は同社の製塩事業である株式会社つらら。ここに至るまでの経緯が面白いので、ちょっと解説しておきます。
娯楽の殿堂として愛された劇場「湧楽座」は、東京オリンピックの開催に伴うカラーテレビの急速な普及に伴い、1964年(昭和39年)に惜しまれながらも閉館しているのですが、湧楽座の創業者である南川保一その人を祖父に持つ、南川保則(みなみかわ やすのり)氏が全財産以上を注ぎ込み、2006年(平成18年)4月20日に劇場を併設する「記念館 湧楽座」として復活。
その際に塩ラーメン専門店「ゆうらく軒」を併設し、味噌・正油と徐々にメニューを増やしながら地元民に愛され、2011年(平成23年)9月末の営業をもって “本業の多忙” を理由に「ゆうらく軒」は閉店します。その “本業” というのが “つららの製塩事業” で、しばらくは本業に集中していたようですが‥‥
これまでに培ってきた製塩と製麺のノウハウを活かし、5年だけ営業していた「ゆうらく軒」の味わいを再現する、というコンセプトから生まれたのが袋麺「オホーツクの塩ラーメン」で、麺とスープにはサロマ湖から汲み上げたオホーツク海水をカラ松焚きで煮詰めて作る “つらら” の自社製塩「オホーツクの塩(釜あげ塩)」を使用。
麺には “みなみかわ製麺” のノウハウを活かし、3日間じっくりと乾燥させる低温熟成乾燥(三夜干し)を取り入れるなど、即席とは思えないほど本格的な味わいを実現しているのですが、それを「大和イチロウおすすめ!」シリーズで再現しているところが大きな不安。いや、別に大和イチロウをディスってるわけじゃないですよ(※余談ですが、彼とは仲がいいので)。
大和イチロウおすすめ! といえば、2022年3月28日発売の「鳥中華どんぶり 和風そばつゆ味」及び「赤龍ラーメンどんぶり 辛子みそ味」並びに同年11月21日発売の「マヨラーメン とんこつマヨネーズ味」と続いているため、通算すると今回で第3弾。しかし、いずれも棒ラーメンや袋麺をカップで再現することの難しさを痛感するような仕上がりだったので、それが不安の根源です。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」の計2種で、かやくの搭載はカップ麺ならではのステータス。ちなみに二代目「大和イチロウおすすめ! 赤龍ラーメンどんぶり 辛子みそ味」も同時発売となっているのですが、シリーズ第1弾の焼き直しなので、ひとまず純然たる新作「オホーツクの塩ラーメン」を優先して評価することにしました。
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は標準の3分。サンヨー食品の公式ウェブサイト内にある製品情報には “表面の張りと歯切れのよい食感の細めんです。” と記載されているのですが、それ以上の訴求は見当たりません。なんというか、ふつうですw
ちなみにメーカー希望小売価格は236円(税別)なので、2023年9月現在の標準どんぶり型におけるディファクトスタンダードを守っているのですが、昨年の「大和イチロウおすすめ!」シリーズ第1弾を例に挙げると、当時の購入価格は105円(税込)だったのに、今年は同じスーパーで149円(税込)と大幅に値上げされていました。営業の圧かな? 諸々の事情を踏まえても、ずいぶんと高くなった感覚。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:大和イチロウおすすめ! オホーツクの塩ラーメン味どんぶり 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:株式会社カナヤ食品 千葉旭工場(千葉県旭市鎌数9163-25) 内容量:83g(めん55g) 商品コード:4901734050797(JAN) |
発売日:2023年08月28日(月) 実食日:2023年09月02日(土) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:236円(税別) 購入価格:149円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:370ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、粉末卵)、スープ(糖類、食塩、たん白加水分解物、チキンエキス、植物油脂、ポークエキス、豚脂、しょうゆ、オニオンエキス、ほたてエキス、にんにく調味料)、かやく(味付豚肉、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、酒精、炭酸カルシウム、増粘剤(加工でん粉)、かんすい、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容はチップ状の味付豚肉と、凍結乾燥よりもランニングコストが低い熱風乾燥の青ネギのみ。オリジナル(袋麺)のパッケージには、チャーシュー、メンマ、ねぎ、海苔のイメージ写真が印刷されているので、まったく的外れな構成ではないけれど、階級的には廉価版と同じクラス。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと3分。時間になったらフタを開け「液体スープ」を投入し、よく混ぜ合わせたら完成です。正直、かやくのショボさが否めないファーストインプレッションではあるものの、芳醇な動物油脂の主張は印象的。
ちなみに製造所となっているカナヤ食品の千葉旭工場は、サンヨー食品の「カップスター」や「旅麺」「サッポロ一番 みそラーメン」「同 塩らーめん」に、エースコックの「飲み干す一杯」や「まる旨」なども製造している、即席めんのOEM工場としては国内トップに位置している優秀な企業で、大和イチロウおすすめ!シリーズ第1弾の「鳥中華どんぶり」も製造していました。
栄養成分表示:1食(83g)あたり |
カロリー:323kcal たん白質:7.2g 脂 質:14.5g 炭水化物:40.8g 食塩相当量:5.5g (めん・かやく:1.6g) (スープ:3.9g) カルシウム:127mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:323kcal(めん・かやく:275kcal)(スープ:48kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は低い
幻の「ゆうらく軒」の味わいをイメージした「オホーツクの塩ラーメン」には、前述のように3日間、じっくりと低温熟成乾燥(三夜干し)させた乾燥麺を使用しているのに対し、こちらは麺帯から切り出した麺を100度の蒸気で1〜5分ほど蒸した後、専用の金属枠に1食ずつ入れ、その金属枠ごと140〜160度の揚げ油に通過させること1〜2分。ええ、完成までに半日も要していません。
最初は白っぽい見た目から “サッポロ一番” を代表する「塩らーめん」と同じ油揚げ麺を使っているのでは‥‥などと予想していましたけど、やまいも粉を練り込んでいないため、それとは別物。よくも悪くも「ふつう」の枠を出ることはなく、モデルになった袋麺の “こだわり” を感じることもない、絵に描いたようにカップラーメンらしいタイプです。
ただ、噛むたびに滲み出てくる甘みが心地好い、やさしいタイプの油揚げ麺で、お世辞にも再現度が高いとはいえないけれど、後述するスープとの相性は悪くありません。そう、ここが評価の難しいところなんですよね‥‥。再現度を重視するなら★0、それを度外視するなら★3(及第点)といったところでしょうか。
スープ
ふつうに美味しいけど、だいぶデフォルメされてる
結論からいうと「めん」の項目と同様に、袋麺の添付調味料を使っているわけではなく、それを忠実に再現しているわけでもありません。ただ、液体スープを投入した途端、強く主張してくる豚脂(ラード)の芳ばしさは印象に残るポイントで、実際の味わいも然り。けっして大量に入っているわけではないけれど、口に含むと豚脂の芳ばしさが鼻に抜け、きちんと味覚にも訴えかけてきます。
オホーツクの塩よりも目立つ糖類の甘さだったり、ほたてエキスは豚脂の陰に隠れていたり、繊細さに欠けるところが無きにしも非ずではあるものの、おいしい・まずいの二択でいうなら前者。とはいえ「オホーツクの塩ラーメン」がモデルなのに、ちょっとゴチャゴチャしているというか、肝心となるオホーツクの塩が甘みや雑味にマスキングされている感じだったので、そこは残念でした。
かやく
オープン価格なら及第点
チップ状の味付豚肉は、安っぽいハムみたいな食感で、大量に入っているなら力業でも評価できますけど、かなり少なめ。片やネギは多めに入っているのですが、ジャキジャキとした熱風乾燥ならではの食感だったり、スープにも浸食してくる乾いた風味だったり、ちょっと主張し過ぎなんじゃないかと。オープン価格なら文句を言えない内容ですが、236円(税別)の商品としては物足りなさが否めません。
総評
つらら(みなみかわ製麺)と大和イチロウにもロイヤリティが発生しているので、それなりに削らなければいけない部分もある、というのは理解できなくもないのですが、どうせならメーカー希望小売価格を大幅に底上げしてでも大判どんぶり型の容器と新開発のノンフライ麺を採用し、関係者もビビるくらいの勢いで「オホーツクの塩ラーメン」を再現してほしかった、というのが正直な意見。
お湯を注ぐだけで手軽に食べられる簡便性の高さについては評価できますけど、肝心の “らしさ” は伝わってきませんでした。本気を出したときのサンヨー食品は凄まじいのに、ちょっと手を抜き過ぎなんじゃないですかね。この感じだと第4弾も出ると思いますが、大和イチロウの名前とコラボ先の名誉を傷付けないように、そろそろ本気を出してください【author・taka :a(大石敬之)】