どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年8月21日(月)リニューアル新発売、サンポー食品のカップ麺「三宝だし本家 博多ごぼう天うどん」の実食レビューです。
あのロングセラーがブランドリニューアル!? 九州の “ご当地うどん” を再現した知る人ぞ知る和風カップめん、さらに美味しい定番の一杯に進化!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
三宝だし本家 博多ごぼう天うどん
サンポー食品(SANPO FOODS Co.,Ltd.)とは、佐賀県三養基郡基山町を拠点とし、即席めん(カップめん、棒状ラーメン)及び乾めんの製造を生業としているメーカーで、1921年(大正10年)1月創業の “米穀卸大石商店” にルーツを持つ100年企業。1949年(昭和24年)6月9日に麺事業専門の “旭製粉製麺所” を設立し、現在は即席めんのプロとして、九州の「うまい」をカタチにしています。
今回の新商品「三宝だし本家 博多ごぼう天うどん」は、1984年(昭和59年)11月の発売以来、九州では定番の一杯として認知されている「ごぼう天うどん」の後身で、新ブランド「三宝だし本家」にリニューアル。老舗感や伝統を表現した新しいパッケージに身を包み、KBC・KAB・KKBの3局でCMを放映するなど、しっかりPRにも力を入れているのですが、このカップ麺をレビューする前に‥‥
「三宝だし本家 博多ごぼう天うどん」の題材にもなっている “博多うどん” とは、コシの強さに命を懸けている香川の “讃岐うどん” とは対極のような存在で、ふんわりとした食感が魅力として挙げられる福岡のご当地うどん。とんこつラーメンにはカタ麺の文化が根付いているのに‥‥などという余談はさておいて、日本における饂飩(うどん)発祥の地は福岡である、というのはマニアの間で有名な話。
異論や諸説はあるものの、1242年(仁治3年)に創建された、現在の博多駅前にある臨済宗東福寺派の寺院「萬松山 承天寺(ばんしょうざん じょうてんじ)」に “饂飩蕎麦発祥之地碑” という石碑が建てられています。これは承天寺の開山者である円爾(えんに、後の聖一国師)という人が、宋(※現在の中国)から帰国する際に製粉技術を伝える画『水磨の図』を持ち帰り、それを日本に広めたことが所以。
円爾は京都市東山区本町十五丁目にある「慧日山 東福寺(えにちさん とうふくじ)」を開山した人物でもあり、晩年は故郷の駿河に茶の栽培を広めた “静岡茶の始祖” でもあるのですが、話を戻しまして‥‥なぜ “福岡の博多うどんは柔らかい” のか。これについても諸説ありますけど、有力なのは “もともと円爾により伝えられた饂飩が柔らかかったから” という説。
または “出汁(だし)が主役、饂飩は添え物という概念がある” あるいは “忙しい商人にも素早く提供できるように、あらかじめ饂飩を茹で置いていたから” という3つの説が有力。もちろん地元で博多とんこつラーメンのバリカタ文化に異論を唱えるマンも多数いらっしゃいますし、うどんにコシの強さを求める方もいらっしゃいますが、博多うどんの柔らかさを絶賛している方が多いのも事実です。
ちなみに博多うどんのトッピングとして有名な牛蒡(ごぼう)の天ぷらは、1897年(明治30年)創業の「乙(おと)ちゃんうどん」が元祖とされ、即席カップめん業界ではマルちゃんの東洋水産も「バリうま ごぼ天うどん」という商品を九州限定で展開していますが、東洋水産の「バリうま ごぼ天うどん」は2000年(平成12年)発売と比較的に最近の話。
というわけで、ごぼう天うどん(ごぼ天うどん)に関してはサンポー食品のほうが先輩。リニューアル前から背伸びしない感じのノスタルジックさが魅力的な商品だったので、さらなる進化を遂げているのか、あるいは某どん兵衛よろしく進化し過ぎて特有の魅力を失っていないかなど、従来品との違いに注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」と個包装になった「ごぼう天」の計2種で、リニューアル前と同じ構成なのですが、大きく変わったのは “ごぼう天の後入れを推奨している” こと。さらに、ごぼう天の “ごぼうを増量している” というのも見どころで、ごぼうの切り方も変更し、従来よりも幅が広くなっています。
ちなみに東洋水産の「バリうま ごぼ天うどん」は “天ぷらスタイル” で、サンポー食品の「三宝だし本家 博多ごぼう天うどん」は “かき揚げスタイル” なんですけど、それはさておき麺は油で揚げたフライうどんで、湯戻し時間は従来品と同じ5分。ただ、より「つるっ」と「ふんわりもっちりめん」に改良ということで、まったく同じ仕様ではありません。
メーカー希望小売価格は236円(税別)なので、同社が誇る「焼豚ラーメン」シリーズと同じ値段。販売店は全国区ですが、九州エリアを出ると売ってない店舗が多いため、地域によっては入手困難かもしれません。それだけに、九州フェアなどの催事で巡り合う確率も高いので、その日に購入すべきカップ麺なのかどうか、今回のレビューが判断材料になると幸いです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:三宝だし本家 博多ごぼう天うどん 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230) 内容量:88g(めん60g) 商品コード:4901773101641(JAN) |
発売日:2023年08月21日(月) 実食日:2023年09月01日(金) 発売地域:全国 小売価格:236円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:340ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(粉末スープ・ごぼう天) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩)、かやく(ごぼう天ぷら)、スープ(食塩、魚介エキス、しょうゆ、かまぼこ、糖類、デキストリン、たん白加水分解物、ねぎ、かつお節粉末、酵母エキス、昆布粉末、煮干しイワシ粉末、香辛料、チキンエキス、焼きあご粉末、植物油脂、あじ煮干粉末)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、炭酸カルシウム、膨張剤、増粘多糖類、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、カラメル色素、クチナシ色素、紅麹色素、(一部に小麦・乳成分・さば・大豆・鶏肉・ごまを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は「粉末スープ」のみ先入れで、かまぼことネギも同梱されている、というのは従来品と変わりませんが、だしの配合を変更し、いりこ・昆布・鰹節・焼あご(とびうお)を贅沢に使用とのこと。いい意味でチープだった従来品の香りと比較して、心做しか上品になっているように感じます。
「粉末スープ」を麺の上に空けたら “その上から” 熱湯を注ぎ、フタをして待つこと5分。時間になったらフタを剥がし、よく混ぜ合わせ、仕上げに「ごぼう天」をトッピングしたら完成です。この仕様変更により、ごぼう天のサクサクとした食感が楽しめるようになった、というは大きな利点。ただ、リニューアル後は “小えび入りじゃない” というのはコストカットを感じるポイント。
魚介類の高騰が相次いでいるため、致し方ない変更かとは思いますが、あの小えび天から滲み出る風味も見どころだと感じていた手前、やや寂しさが否めません。それでも従来品と同じ‥‥いや、それ以上の魅力が感じられるのか、引き続きリニューアル前後の違いに注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(88g)あたり |
カロリー:411kcal たん白質:7.8g 脂 質:18.8g 炭水化物:52.6g 食塩相当量:4.8g (めん・かやく:1.8g) (スープ:3.0g) カルシウム:187mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
正当に進化
リニューアル前の麺重量は65gだったのに対し、リニューアル後は60gに減っているため、それについてはコストカットに伴う変更と思わざるを得ない項目になりますが、従来の “ふんわり” とした優しさは踏襲しつつ、ファーストインプレッションは “ふっくら” と、それでいて噛み込んだときの “もっちり” とした弾力は明らかに強くなっています。
切刃番手はリニューアル前と同じ10番(溝巾3.0mm)なので、目立ってサイズは変わりませんが、従来の原材料名と比較して “植物たん白を省いている” というのが大きな違い。その結果、時間の経過に伴う劣化に関しての耐久性は向上していたので、印象的な “ふっくら” とした口当たりは残しながら、中心部の “もっちり” とした弾力も最後まで楽しめる、いやはや正当に進化しているじゃないですか。
揚げ油にラードを使用しているため、それに由来する芳ばしさについては古きよき即席カップめん特有の項目になりますが、それもサンポー食品を語る上で欠かせない魅力の一つ。大手のブランドを例に挙げると「日清のどん兵衛」や「赤いきつね」とも異なる個性的な食感で、リニューアル後も博多うどんらしい雰囲気が楽しめました。
スープ
ガラッと返し(かえし)から変更していた
リニューアル前の粉末スープにも「かつお節粉末」を筆頭に「昆布粉末」「煮干しイワシ粉末」「焼きあご(とびうお)粉末」「あじ煮干し粉末」などを使用していたので、出汁(だし)に対する “こだわり” は共通するポイントになりますが、まず感じた大きな違いは “返しの醤油を九州といえばの甘口から淡口(うすくち)に変更している” こと。
おかげで従来品よりも出汁がストレートに、なおかつ粉末スープ特有のトゲトゲしさが丸みを帯びていたところも進化を感じたポイントで、なるほど「三宝だし本家」の名称は伊達じゃありません。ほんの少し入っている七味唐辛子も華やかさの演出に寄与しており、ごぼう天から滲み出る味の変化も楽しめる、より繊細な味わいにブラッシュアップされていました。
かやく
ごぼう天を入れるタイミングは、お好みで
ごぼう天に入っていた海老はカットされてしまったので、それについては残念といわざるを得ないけれど、天ぷら特有のコクが繊細なスープに滲み出る様は一見の価値あり。その衣部分も食べ始めはサクサク、途中からモチモチ、後半はフワフワと変化が面白く、ごぼうのサイズも大きめになったことで、素材ならではの風味と歯触りの立体感が増しています。
ごぼう天は最初からフワフワのほうがいい! だったら勝手に先入れで解決ですし、粉末スープの出汁を尊重するスタンスでいうと、海老を撤退させたのも思い切った決断と受け取れなくもありません。かまぼこのサイズは従来品よりも小さくなっていたのですが、その分だけ厚みが増し、弾力のある噛み応えが楽しめたので、ネガティブではありませんでした。
総評
九州の甘い醤油を彷彿とさせる返しから、クセの弱い淡口醤油に切り替えることで出汁の個性を強調し、うどんの弾力も強化。ごぼう天はエビを省き、ごぼうの切り方も変更するなど、なかなかに大きな違いが生じていたのですが、けっして悪いリニューアルではありません。
むしろ「三宝だし本家」という新ブランドの名称を踏まえると、安っぽい刺激や雑味を抑えたテイストについては素直に納得できる仕上がりで、レトロなのに洗練された印象のパッケージも然り、今回のリブランディングは成功だと感じました。うどんは関東風 or ごりごりの讃岐が至高という方には物足りないかもしれないけれど、それでも1度は食べていただきたい一杯です【author・taka :a(大石敬之)】