どうも、taka :aです。
本日の一杯は、日清食品の防災備蓄用カップ麺、「カップヌードル保存缶」と「チキンラーメン保存缶」の実食レビューで、熱湯が用意できない状況でも食べられるのか検証してみました。
東日本大地震から8年‥‥お湯が使えない災害時などの非常事態を想定し、「保存缶」を水で作って食べることは可能かどうか実際に試してみます。
実際に食べてみた感想を紹介し、水で戻す方法(冷製調理の作り方)や適切な待ち時間を解説します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
防災備蓄用カップ麺「保存缶」を水で食べる
「東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)」とは、2011年(平成23年)3月11日の日本時間14時46分18秒に発生し、3.11(さんてんいちいち)・311(さんいちいち)と称されることもある東北地方太平洋沖地震による災害、及びそれに伴う福島第一原子力発電所事故による大規模災害で、8年経った今でも被災地には爪痕が残っています。
地震や津波などの大きな自然災害とカップ麺(カップラーメン)は切っても切れない関係で、日清食品をはじめとする日本のインスタント食品メーカーは東日本大震災に限らず、大きな災害が起きる度に自社のカップめん等を救援物資として被災地に無償提供し、現地で瓦礫の撤去や道路の側溝を清掃するなど、ボランティアの復興支援活動を行ってきました。
東日本大震災が発生してから2日後、日清食品は牡鹿半島の漁港近くで瓦礫の撤去や道路の側溝清掃を行い、「カップヌードル」をはじめとする即席カップめん100万食の緊急無償提供と合わせて「給湯機能付のキッチンカー」7台を現地に派遣。また生産部門やオフィスでの節電にも取り組んでいたのですが、同時に問題も生じます。
2014年4月1日以降、即席カップめん類の賞味期限は製造から5ヶ月とされていたところ6ヶ月に見直され、また即席袋めん類は6ヶ月から8ヶ月に延長されたのは有名な話ですが、そのきっかけになったのが東日本大震災での “大量廃棄問題” でした。一般的なカップ麺に明記されているのは品質の劣化による製品の安全が保証できない「消費」期限ではなく、味の面で劣化が起きることを想定した「賞味」期限です。
期限を過ぎたら味の劣化は保証できないけど期限切れ直後に食べられなくなるわけではない、というのが賞味期限なんですけど、被災地では賞味期限切れのインスタント食品が大量に廃棄された背景がありました。そこで日清食品及び子会社の明星食品をはじめとする各メーカーは、食品ロスを削減するために賞味期限の見直しを図り、賞味期限を1ヶ月延長。カップ麺の「消費期限」は公表されていませんが、およそ “賞味期限から3ヶ月(製造から9ヶ月)がデッドライン” と言われています(※あくまでも目安)。
場合によってはチキンラーメンのみ例外かもしれませんが、カップ麺を食べる際には基本的に熱湯や水を必ず使用しなければいけないので、東日本大震災が起きた際もメーカーから現地に支援物資が大量に支給されたものの、給湯機能付のキッチンカー7台では全地域すべて賄うことができず、水が不足して食べるのが禁止になった期間もあり、甚大な被害を受けた地域では “カップ麺は贅沢品” とされました。
今回の検証は、備蓄のミネラルウォーターはあるけれど電気やガスは止まっていて熱湯は沸かせない、という状況を想定して行います。しかし、被災を受けた家屋や避難所では衛生上の懸念をはじめとする問題もありますので、水で調理することを率先してオススメするわけではありません。あくまで被災地では贅沢品とされる最後の砦、しかも長期保存可能な「保存缶」を水しかない状態で食べられるのかどうか‥‥というのを個人的に検証した記録です。
防災備蓄用カップ麺「保存缶」とは
「保存缶(ほぞんかん)」が製造された経緯については、「カップヌードル保存缶」及び「チキンラーメン保存缶」の記事で詳しく解説しているため、この記事ではザックリと説明しますが、2019年3月現在の日清食品が年に1度のペースで製造・販売している “製造から約3年間(36ヶ月間)の長期保存が可能となった” 保存食特化型の防災備蓄用カップ麺です。
「カップヌードル保存缶」の内容物は、「紙カップ×2個」「フォーク×2本」「めん×2食」「粉末スープ入りかやく×2袋」「脱酸素剤(※食べられません)」。「チキンラーメン保存缶」の内容物は「めん×2食」「かやく×2袋」「紙カップ×2個」「フォーク×2本」「脱酸素剤(※食べられません)」となっていて、熱湯(水)以外はフルセットのオールインワン仕様。缶内を無酸素状態にすることと、吸湿を完全に抑えることで長期保存が可能となりました。
どちらも値段は日清食品グループの公式オンラインストアから購入すると送料・支払手数料別で税込価格810円なので(※2019年6月1日の値上げ前)、カップ麺としては手軽に購入できる価格帯ではないのですが、1缶2食入りで賞味期限は製造から36ヶ月(3年)、通常の「カップヌードル」及び「チキンラーメン」の賞味期限は製造から6ヶ月。
カップヌードルやチキンラーメンがセール中で税込100円と想定し、3年間の間に2食ずつ買い替えると単純計算36ヶ月には1,200円必要なので、完全に保存食と割り切った場合、買い替える必要がないことを思えば経済的な選択と言えるのではないでしょうか。ちなみに今回の記事には手動で「保存缶」の物販リンクなどは掲載しておらず、私が私腹を肥やすために製品の購入を強要することはありませんので、ご安心ください。
概要(製品情報・購入価格等)
製品名:カップヌードル保存缶 / チキンラーメン保存缶 製造者:日清食品 製造所:下関工場(製造所固有記号 B) 内容量:1缶2食入 規格サイズ:縦104×横104×高さ174mm 発売日:2019年02月15日(金) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:スチール缶入り防災備蓄用カップめん 容器材質:缶(スチール)/ 中蓋(アルミ) 水量目安:約310ml |
実食開始
写真の向かって左が「カップヌードル」、右が「チキンラーメン」です。それぞれ作り方の手順は同じで、まずは個包装になっている麺のフィルムを破き、缶の中に入っている紙製の容器に麺をセットします。ただ、この内装フィルムが思いのほか頑丈にフィットしているので、無理に素手(指や爪)などで開けると場合によっては爪が割れたり麺が粉々になるかもしれません。
備蓄用の防災バッグなどを用意されている方は、「保存缶」と一緒にハサミや爪切り、カッターナイフなど、いずれもあって困るものではないので、一緒に保管しておくとよいでしょう。次に「かやく」の袋を麺の上にあけるのですが、カップヌードルは粉末スープ入り、チキンラーメンはスープの味付けが必要ないので具材のみ入っています。
チキンラーメンに関してはスナック感覚で直接そのまま食べられないこともありませんが、麺の味付けが控えてある「焼チキン(焼チキンラーメン)」を除く商品は麺の下味が濃いめに施されているため、食料と水の確保が難し時にバリボリいってしまうと後から喉が渇く恐れがあります。また、水で調理しても食塩相当量が減るわけではないので、やはり有事の際にカップ麺は最後の砦かもしれません。
あとは水を注いで待つだけなんですけど、水で調理する場合は確実に3分では戻らないため、とりあえず「15分」放置してみます。それから缶に記載されている必要なお湯の目安量は330mlとなっているのですが、デジタルスケールにのせて内側の線ジャストまで水を入れたら310ml(310g)だったので、ミネラルウォーター1本で2食同時に調理するのは難しいですね。
また、今回の「保存缶」には紙容器に被せるフタが付属していないので、熱湯3分でも水15分でも埃(ほこり)などの混入が気になります。たとえばスチール缶に取り付けてあったプラ製のフタをのせるなど(ジャストフィット)、気になる方は工夫してみてください。折りたたみフォークはパチッとワンタッチで組み立てられるので、小さなお子様やお年寄りの方でも大丈夫だと思います。
水で作ったカップヌードル保存缶
まず15分経過直後の具材ですが、ややダイスミンチ(謎肉)とミンチポーク(謎肉より小さな挽肉)の中心部がサクッとしているものの、それ以外の具材は滞りなくケア完了。スクランブルエッグ(味付卵)ばっちり、ネギも問題なく、意外なことに海老もプリッとしていました(※ちなみにコロチャーは入っていません)。どうしても湯気が立たないため熱湯で調理した時ほど香り高くありませんが、いずれの具材も問題なく食べられます。ただ‥‥
意外と頑固だったのが普段は頼りない麺。特に麺の上部は具材に水分を取られるため、ほぼパッキパキでした。というわけで、15分経ったらグルッと麺の上下を引っくり返し、追加で “プラス15分くらい” 待ってみてください。ええ、合計30分です。最初に熱湯を注いで15分後に引っくり返して5分ではパキパキごわごわ、10〜12分でも食べられますが、けっこうサクッとした部分が残っていました。
そのスナック感も一興ではあるものの今回の場合はイタズラにスナック感を残さないほうが美味しいと感じました。ちなみに食感ですが、たとえば熱湯を注いで放置しちゃったカップヌードルとは別物で、けっこう歯応えがあるんです。しかも熱湯調理と比較して麺の吸水率が圧倒的に落ちるので、焦って食べなくてもスープがみるみるうちに減ることもありません。正直、けっこう水で戻す麺ありで美味しいです。
冷たくなったカップ麺の残りスープを口にして意外な塩っぱさに驚いた経験がある方も多いかと思いますが、食べ物が冷めると人の味覚は温かい時より塩味を強く感じる構造になっています。つまり麺の吸水率が悪い=熱湯調理の時ほどスープが減らないので、しっかり味ではあるものの舌を刺してくるような刺々しさは感じませんでした。しかし‥‥
容器の内側に凝固した油分が付着しているように、ネガティブなポイントを挙げると口当たりが完全に滑らかとは言えず、特に食べ始めはザラつきが気になるかもしれません。別添の調味油(オイル)や液体スープほど油脂は多くないので、有事の際であれば許容範囲内かとは思いますが、これについては水出しアレンジ特有のネックですね。それに、あつあつスープよりも味のフレームワークをシンプルに感じましたが、基本は「カップヌードル」オリジナルの洋風しょうゆ味です。
水で作ったチキンラーメン保存缶
具材は蒸し鶏、スクランブルエッグ、レッドベル(赤ピーマン)、ネギとなっていて、もっとも大きな蒸し鶏を15分経過直後に食べてみましたが、ちょっと硬いけど問題なく食べられるくらいに戻っています。また、カップヌードルよりも具材が少ないので、ほとんどスープの表面が内側の線から動いていなかったのですが‥‥
普段は目を離した隙に “カップ麺界のダイソン” よろしく業界きっての吸水スピードでスープをみるみるうちに吸収してしまうチキンラーメンの麺なのに、水で戻すとカップヌードル以上に頑固。おそらく縦型(タテ型)カップという容器の形状も大きく関係していると思うのですが、麺の上部表面から中間までパッキパキでした。
というわけで麺をグルッと引っくり返して15分放置してみたものの、まだカップヌードルでいうところの20分経過か、それ以上にサクサク率が高く、さらに5分、さらに5分‥と、5分おきに食感を確かめながらたべ進めてみたのですが、けっきょく最後まで麺の一部にサクサクとした食感が残っていました。チキンラーメンのほうが頼りないかと思いきや、むしろ逆の結果に驚きです。
チキンラーメンのスープもカップヌードル同様に油分が固まっていたので、ややザラついた舌触りが気になるかもしれませんが、味は基本的にチキンラーメンの体を崩しません。しかし、麺の吸水率が悪い分、熱湯調理で食べる時よりもスープがアッサリやわらかく、そういった意味では食べやすくてスープに関しては水で戻すのもアリだと感じました。
まとめ
温かい熱湯調理と水で戻す冷水調理、どちらが美味しいかと言われたら熱湯調理です。しかし、チキンラーメンは緊急感が否めなかったものの意外と冷たいカップヌードルの麺は美味しくて、有事の際に「保存缶」と「ミネラルウォーター」さえあれば空腹を満たすことができる、というのは実際に試してみて分かりました。
熱湯調理したレビュー済みの「保存缶」は保存期間1年以内のフレッシュなものだったので、これから1年後、2年後、3年後‥と、変化を追っていくロングスパンの予定を立てているのですが、ちょうど2食入りですし1年後、2年後、3年後の水調理版も見たいというリクエストがあれば遠慮なく仰ってください。
「3月11日」という忘れられない日に、災害とは縁の切れないカップ麺のレビューを生業としてるブロガーとして、このような情報しか提供できなかったのが心苦しいところではあるものの、東日本大地震からの一日も早いご復興を衷心より祈念申し上げております。関連記事「【災害に備える】非常食のカップご飯を水で調理して食べてみた」(カップ麺ブログ「本日の一杯 -Cupmen review blog-」代表 taka :a – たか)