実食開始
油揚げ麺の湯戻し時間は前回と同じく熱湯3分で、おそらく最近のマルちゃん縦型ビッグで主流となっている新・ナチュラルウェーブ製法の麺だと思います。以前の縦型ビッグ製品に使われていた麺といえば、遠慮なくスープを蹴散らす無骨なタイプが主流となっていたのに対し、2017年後期から目覚しく成長しているため、ほとんどネガティブな印象は払拭されました。
メーカー希望小売価格は税別220円、コンビニでの税込価格は232円(2020年1月現在・軽減税率8%)で、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では「ローソン」「セブンイレブン」「ミニストップ」での販売を確認しています。なお、すりごまと粉末スープの量が多いため、ゆっくりと熱湯を注いでください。
さて、おそろしく味付鶏挽肉の量が少なかったのですが、そこそこコーンは多くてキャベツも膨張。バター風キューブを取り出して熱湯を注いだところ、かなり “すりごまの香りが強い” ことにハッとしました。それでは引き続き前回との違いに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(100g)あたり |
カロリー:437kcal たん白質:10.5g 脂 質:18.6g 炭水化物:56.9g 食塩相当量:5.7g (めん・かやく:2.0g) (スープ:3.7g) ビタミンB1:0.33mg ビタミンB2:0.39mg カルシウム:190mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:437kcal(めん・かやく:321kcal)(スープ:116kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
おそらく前回と同じ油揚げ麺で、原材料にコンニャクが練り込まれているわけではないのですが、もし「マルちゃん正麺カップ」の技術(生麺ゆでてうまいまま製法)を応用して油揚げ麺を作ったら “こうなる” のではないか——みたいなイメージ。かなりコシが強くて伸びにくく、しなやかな粘弾性と密度感を備えた加水率の高い弾力が魅力的。
よくカタメの麺が好きな方から早めにフタを開けるという意見を頻繁に聞くのですが、麺の種類によっては逆効果。とんこつラーメンなどに使用されている低加水麺であれば、フライングすることで固めの食感が楽しめる反面、今回のような麺は時間を守らないと “逆に食感が軽くなる” ので、きちんと3分待ったほうが麺の持っている本来の弾力を楽しめます。
むしろ熱湯3分経ったら粉末スープの溶け残りがないよう念入りに混ぜ合わせ、さらに30秒ほど休ませたくらい(お湯を注いでから合計4分強)が食べ頃。味噌ラーメンの麺にしては細い形状ですが、濃厚なスープに埋没することのない存在感を放ちつつ、同時にスープの濃度を妨げない、とてもバランスのいい組み合わせでした。
スープ
まずバター風キューブなしで食べてみたところ、それっぽい風味が粉末スープに添加してあるのか、それともバター風キューブの香りが移っていたのか、ほんのり土台にも乳製品系の柔らかい風味があって、今年も味噌ダレは白みそベースの穏やかなもの。さらに豚骨も乳化感が強く、重心の低いエキスを使用しているのですが、豚骨臭や獣臭などは丁寧に取り除かれています。
反面、調理前の香りから主張の強さを感じた “すりごまは攻撃的” で、かなりガツンと効いている胡麻の芳ばしいパンチがポイント。ニンニクと生姜は強くも弱くもないのですが、食塩のキレではなく香味野菜のキレで味を整えているようなフレームワークが絶妙で、濃厚な白みそ豚骨スープでも最後まで飽きないように工夫されていました。
そのまま1食目はバターなしで完食してしまったので、再び商品を購入して調理した結果、なんかコーンの数が違うんだけど——などと思いつつ、それはさておき東洋水産のバター風キューブはエースコックのバター状ブロックよりも小さいのですが、やはりバターの風味が強いのは東洋水産(※東洋水産=バター風キューブ、エースコック=バター状ブロック)。
油脂加工品を使用しているため100%バターではないものの、きちんとバターの香りも感じられるアイテムで「味噌バター味」が成立。全体的な味の濃度も飛躍的にアップするのですが、それでいて土台の白味噌や豚骨、すりごまを尊重するスタンスにあるため、けっして一辺倒になることはありません。
さらにバター風キューブ抜きの状態と比較して体感的にニンニクのパンチが強く、なるほど2018年発売品よりも味の軸が太くなっているように感じました。
具材
具材はコーン、キャベツ、味付鶏挽肉、ネギの4種類で、ほぼほぼネギは存在感なし。また人参の差し色がないのも寂しいところではあるものの、甘いコーン×濃厚みそバターは鉄板の組み合わせでキャベツは食べ応えに寄与。味付鶏挽肉も小さいながらに濃いめの味付けなので、口に飛び込んできた後のアクションはサイズのわりに明白なのですが——
如何せん小さいw それからスープの項目でも触れたように、コーンの数が1食目と2食目で違ったので、ある程度の個体差が生じるようです(ちなみにコーンが多かった2食目のキャベツは少なめでした)。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
「コーンたっぷり」を冠していた今回、なるほどたしかに2食目はコーンたっぷりでしたが、1食目に感動はなかったように、どうも個体差が激しいかもしれません。他、もっとも大きな違いといえば人参がカットされていたこと、ニュアンスでいえば前回よりも味が濃くなっていると感じたくらい。
というわけで、よほど人参に執着がある場合を除きますが、いい意味で大きな変化なし。今年も太い豚骨に白みそベースのタレ、すりごまのパンチ、濃厚なバター、コーンの甘み、そして忘れちゃいけないハイクオリティなコシの強い麺など、パーツひとつ一つの完成度が高く、それでいて全体を通して見ても完成したバランスの一杯でした。おそらく2020年も秋冬向けに発売されると思うので、今後も楽しみな一杯です。