どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年7月5日(月)リニューアル新発売、セブンプレミアムのカップ麺「銘店紀行 博多だるま(四代目)」の実食レビューです。
セブン&アイ限定「銘店紀行」シリーズの “特盛具材” はそのままに、ノンフライ製法で仕上げた店主こだわりの “バリこし麺” に変更!! しかし‥‥
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
銘店紀行 博多だるま 四代目
博多だるまとは、1963年(昭和38年)初代店主・河原登氏が開業した「箱崎だるまラーメン」を前身とする博多とんこつラーメン専門店で、現在は創業者の実子である河原秀登氏(「秀ちゃんラーメン」の店主)が二代目に就任。2000年(平成12年)に区画整理の対象となって閉店しましたが、同年12月に福岡市中央区渡辺通の現「博多だるま」がオープンし、二代目が伝統の味を追求し続けています。
今回の新商品「銘店紀行 博多だるま」は、セブン&アイグループ及び明星食品の共同開発商品で、博多だるまの二代目・河原秀登店主監修のもと、博多とんこつラーメンを代表する老舗の味をカップラーメンで再現。実は14年以上前からカップ麺を共同開発している付き合いの長い関係なので、すこし歴史を振り返っておきましょう。
「博多だるま」のカップ麺が初めて発売されたのは、現在を遡ること2007年(平成19年)7月24日。記念すべき最初の商品は、明星食品とセブン-イレブン・ジャパンの共同開発ブランド「地域の名店シリーズ」第6弾として開発された大判どんぶり型のカップラーメンで、福岡県・佐賀県・長崎県・ 大分県・宮崎県・熊本県・山口県内のセブンイレブン限定で販売開始。
以降、徐々に販売エリアを西日本全域に広げ、定期的にリニューアルを繰り返していたのですが、2017年(平成29年)に突如として「地域の名店シリーズ」が消滅。その後身として現れたのが「銘店紀行(めいてんきこう)」というブランドで、ノンフライ麺こそ受け継いでいたのですが、容器を従来の大判どんぶり型から縦型ビッグに変更し、本格さを犠牲に簡便性を重視するようになりました。
たとえば直近だと2021年8月9日にリリースされた「博多だるま監修 豚骨まぜそば」など、湯切りタイプの汁なしカップ麺は数量・期間限定のスポット商品に位置しているのに対し、このページでレビューするカップラーメン(2021年7月5日発売品)は通年販売のレギュラー商品で、縦型ビッグの「銘店紀行」に移行してからは “四代目” に該当する展開。
「銘店紀行」としての「博多だるま」は、2017年12月18日発売品を「初代」とし、当初は茶色いパッケージに身を包んでいたのですが、2019年3月11日発売の「二代目」以降、真っ赤なパッケージにリニューアル。そのタイミングで熱湯2分のノンフライ麺を “熱湯3分の「三層麺」に改良” し、とろみ粉末をカットしてポークエキスを増量するなど、スープの内容にも大きな変化が見られました。
その後、スチームノンフライ製法の三層麺(熱湯3分)は据え置いたまま、2020年3月23日発売の「三代目」から “特盛具材” をアピールするようになり、ネギを増量してブラッシュアップ。かくして「四代目」にリニューアルした今回の2021年7月5日発売品では、特盛ネギはそのままに “銘店級のバリこし麺” を搭載ということで、ここが注目すべきリニューアルポイントになります。
たとえば「龍上海(りゅうしゃんはい)」や「もちもちの木」など、地域・数量限定のスポット商品をリリースしてくることもある「銘店紀行」ですが、2021年8月現在の通年商品は西の雄「博多だるま」と東の雄「中華蕎麦とみ田」だけ。以前は家系御三家として知られる「六角家」もラインナップに入っていましたが、その本店が倒産してしまった影響を受け、同店監修の商品も販売を終了しました。
※2021年6月14日 “銘店級の強ごし麺” にリニューアルした「中華蕎麦とみ田」のカップラーメンは実食済みなので、感想や評価などの詳細が気になる方は、関連ページ「銘店紀行 中華蕎麦とみ田(四代目)」のレビューをご覧ください。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「香りの一撃」が1袋。それを取り外した先のフタ上には “背脂の甘みが広がるこってり濃厚スープに、炊きだした豚骨の香りを利かせた特製オイル「香りの一撃」で仕上げる、店主こだわりの味わいです” と商品の魅力を記載。従来の小袋は「特製オイル」という表記だったので、名称の変更も注目したいポイント。
かやくは四角いカットのチャーシューに、フリーズドライのネギと細切りのキクラゲ、それに小さな背脂加工品がチラホラと。これについてはリニューアル前(三代目)の具材と完全に同じ構成で、ネギが “特盛” であることを除けば2017年12月発売の初代から変わっていません。たっぷりのネギが目立つ開封直後、特盛ネギを謳うだけのことはあります。
また販売価格も208円(税込224円)のまま据え置きなので、リニューアルを機に値上げしなかったのも好印象。販売店はコンビニのセブンイレブンを筆頭に、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマートほか、イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)でも取り扱われていたので、最寄りの店舗に売ってない場合は参考にしてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 銘店紀行 博多だるま 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場 内容量:97g(めん65g) 商品コード:4902881484725(JAN) |
発売日:2021年07月05日(月) 実食日:2021年09月02日(木) 発売地域:全国(セブン&アイ限定) 取得店舗:ネット通販サイト(オムニ7) 商品購入価格:224円(税込) 希望小売価格:208円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:390ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(香りの一撃) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん〔小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵粉、香辛料〕、スープ(ポークエキス、デキストリン、香味油、たん白加水分解物、食塩、香味調味料、香辛料、糖類、酵母エキス、牛脂、豚脂、でん粉、植物油脂)、かやく(チャーシュー、ねぎ、背脂加工品、キクラゲ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、炭酸カルシウム、かんすい、リン酸塩(Na)、乳化剤、香料、卵殻カルシウム、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、微粒二酸化ケイ素、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本商品製造工場では、かに・えびを含む商品を製造しています。 |
実食開始
新たに搭載された「銘店級のバリこし麺」は、油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、パッケージに製法までは記載されていませんが、明星食品の独自技術である「スチームノンフライ製法」と見て間違いありません。麺の湯戻し時間はリニューアル前と同じ熱湯3分、別添の小袋は後入れなので、お湯を注いでからフタの上で温めた後、仕上げに加えて混ぜたら出来上がり。
2020年3月発売の三代目と比較して、カロリーや脂質など、栄養成分表示の値は微妙に変化しているのですが、ほとんどの項目は誤差の範囲内。けれどもビタミンB1に関しては0.61mgから0.26mgと極端に減り、それとは逆にカルシウムは307mgから551mgに増えるなど、なかなか興味深い変動が見られました。
さらに後入れの小袋 “香りの一撃” も凄まじく、従来のオイルよりも独特の獣臭が強くなっていたので、それが苦手な方にとっては厳しいファーストインプレッションになりますが、見た目以上に強烈なインパクトが好印象。あとは “銘店級のバリこし麺” の仕上がりにも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(97g)あたり |
カロリー:387kcal たん白質:12.2g 脂 質:10.7g 炭水化物:62.2g (糖 質:58.6g) (食物繊維:3.6g) 食塩相当量:5.5g (めん・かやく:2.0g) (スープ:3.5g) ビタミンB1:0.26mg ビタミンB2:0.37mg カルシウム:551mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:387kcal(めん・かやく:300kcal)(スープ:87kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
改良? それとも改悪‥‥?
リニューアル前の三層麺には “香味調味料” を使用していましたが、新たに搭載された「銘店級のバリこし麺」に香味調味料は使っておらず、それ以外にも “植物性たん白と卵粉の配合バランスを変える” など、原材料名の構成から見直してコシを強化した様子。ただ、従来のストレート麺よりも縮れが目立つので、そこは残念なポイント。
ちぢれを付けたことにより、スープのリフト性能が高くなった反面、啜り上げたときの口当たりや喉越しなど、従来の三層麺とは大幅に雰囲気が異なります。麺の断面を見ると中心に芯があり、それを残すことで表面と内側の食感に差をつけ、なるほどコシの強さはアップしていると感じたのですが、博多とんこつラーメンの極細麺を想起させる独特の歯切れが二の次になってしまったような印象。
雑味のなさと上品な小麦感をメリットとするノンフライ麺でありながら、油揚げ麺にも通じる麺組織を備えるなど、明星食品が誇る「スチームノンフライ製法」の特徴を感じる仕上がりなのですが、再現度の高さでいえばリニューアル前(二代目・三代目)の三層麺が上。けっして基礎クオリティが低いわけではないけれど、博多の銘店「博多だるま」のイメージ的に、ちょっと残念な変更に思えました。
スープ
スープはブラッシュアップ
たとえば使用しているポークエキスの種類など、基本的なフレームワークはリニューアル前の粉末スープを踏襲していると感じたのですが、すこし糖類の主張を抑えることで、とんこつ本来の甘さを伝わりやすく調整したようなイメージ。その豚骨感に強烈なクセはないものの、味覚に染み込んでくる乳化感とか、鼻に抜ける香りとか、豚骨に由来する甘さなんかが以前よりもナチュラルに伝わってきます。
しかし、そこに「香りの一撃」を加えると一変。いわゆる豚骨臭とは異なるベクトルにありますが、こってり感と独特の獣臭がプラスされ、いっきに癖のあるスープにイメージチェンジ。そのクセを強めるために、牛脂をブレンドしているのは従来と同じ手法なのですが、新たに豚脂(ラード)を重ねることでコクと香りを強化しているのもポイント。
「博多だるま」の店舗では、豚の大腿骨(げんこつ)を大釜で煮込むこと20時間、じっくりと骨の髄から旨みを抽出しているため、その臨場感までは再現できていないけれど、以前よりもクリーミーで濃厚なテイストに進化していると感じました。簡便性に優れた縦型ビッグのカップラーメンなので、それを思えば悪くないと思います。
具材
リニューアル前と比較して大きな変更点なし
主役の特盛ネギは文字通り大量で、これだけ入っていたら邪魔になりそうなものですが、フリーズドライ(凍結乾燥)製法が功を奏し、熱風乾燥のネギほど主張は強くありません。チャーシューチップはハムっぽい食感ですが、ケミカルな風味は控えめで、コリコリとしたキクラゲの歯応えも食感のアクセントに効果的。
そして、忘れてはいけないのが背脂加工品の存在。これ単体での威力は控えめですが、クセのある特製オイルに重なることで、ぷにっとした質感もリアルになり、コクの底上げに役立ちます。ただ、そこまで量は多くなかったので、いつか “特盛背脂” バージョンとか出してみると面白いかもしれません。
総評
2021年7月発売品(四代目)の主なリニューアルポイントは、新規に開発した「銘店級のバリこし麺」と豚脂をブレンドした「香りの一撃」で、後者については素直に “改良” だと思えたのですが、ちぢれの強いノンフライ麺は “改悪” といわざるを得ない変更点。もちろん品質が低いわけではなかったものの、イメージ的に麺は変えないほうがよかったのではないかと感じました。
本部からセブンプレミアムゴールド(日清食品)との差別化を強いられているでは‥‥というのは勝手な想像ですけど、一貫して縦型ビッグを崩さない銘店紀行(明星食品)なので、そろそろ大判どんぶり型の本気モードも復活させてほしいところ。これはこれと割り切れば美味しいカップラーメンなのですが、今後の展開にも期待しています【author・taka :a(大石敬之)】