どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年4月24日(月)新発売、エースコックのカップ麺「鬼煮干中華ソバ 中華ソバ伊吹監修」の実食レビューです。
店主からの挑戦状!? 行列が絶えない板橋区のラーメン専門店「中華ソバ 伊吹」が “おいしさの特長を最大限に研ぎ澄ました” カップラーメンを共同開発!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
鬼煮干中華ソバ 中華ソバ伊吹監修
中華ソバ 伊吹(ちゅうかそば いぶき)とは、2011年(平成23年)8月8日に東京都練馬区の大泉学園で創業以来、2度に亘る移転の後、現在は板橋区の志村坂上で営業している煮干しラーメン界のレジェンド店で、後にも先にも煮干を全面に押し出したスープが最大の持ち味。煮干に対する偏愛的な知識と技術を会得した店主の三村悠介さんは、常人離れした目線で煮干と向き合い続けています。
今回の新商品「鬼煮干中華ソバ 中華ソバ伊吹監修」は、大阪府吹田市に本社を置くエースコックと「中華ソバ 伊吹」の共同開発によるカップラーメンで、通算するとコラボ第6弾に該当するのですが、従来品と大きく異なるのはパッケージに “煮干の旨みをトコトン追求し過ぎた一杯” という強烈な訴求があること——。
エースコックから初めて「中華ソバ伊吹」監修のカップ麺がリリースされたのは、現在を遡ること6年以上、2017年(平成29年)4月17日の話。記念すべき第1弾は「一度は食べたい名店の味 伊吹監修の一杯 行列必至の中華ソバ」というタイトルのTL(タテロング=縦型ビッグ)製品で、このブログでは “★6” の超高評価を叩き出しました。
コラボ第1弾では強烈な煮干のインパクトを中心に、当時としては珍しいほど攻めのスタンスを特徴としていたのですが、コラボ第2弾「一度は食べたい名店の味 伊吹監修の一杯 ニボニボ中華ソバ」(2018年5月7日発売品)では煮干の苦味やエグみなどを抑え、どちらかといえば洗練された旨みを特徴とするスープにシフト。
コラボ第3弾は伊吹監修シリーズ初となる湯切りタイプの「一度は食べたい名店の味 伊吹監修の一杯 煮干しまぜソバ」(2019年6月10日発売品)を、コラボ第4弾は夜営業限定メニューを再現した「一度は食べたい名店の味 伊吹監修の一杯 濃厚煮干し中華ソバ」(2020年5月25日発売品)を展開していたのですが、一度として同じ表情を見せなかったエースコックと三村店主。
そして、コラボ第5弾にして満を持すノンフライ麺を搭載した、大判どんぶり型の「一度は食べたい名店の味PREMIUM 伊吹監修の一杯 芳醇煮干し中華ソバ」(2021年3月22日発売品)をリリースし、三村店主が “再現するのは一番難しい” と断言した「淡麗」の味わいをカタチにしていたのですが、これを最後に「中華ソバ伊吹」を担当していたエースコックの社員が異動することに‥‥。
その後、けっきょく2022年に “伊吹監修の一杯” が出ることはなく、そもそも「一度は食べたい名店の味」シリーズそのものが打ち切りになったような空気を漂わせ始めたので、これからどうなるのかと思っていたのですが、2023年は「一度は食べたい名店の味」から独立し、なおかつ「店主からの挑戦状」まで叩きつけるなど、かなり攻撃的な姿勢で復帰を果たしました。
ちなみに今回は “お店の味の再現ではなく、おいしさの特長を最大限に研ぎ澄ましたオリジナルの味わいを共同開発” とのこと。またニュースリリースには “煮干の旨みや苦味など、リアルな煮干のおいしさを研ぎ澄ましたオリジナルの味わい” との訴求もあったので、コンセプト的に「MEGAニボ」と被るところもありますが、そのノウハウがあるからこそ仕上がりが楽しみです。
開封
天面には後入れの「液体スープ」しているため、これが “他社であれば定番の構成” なのですが、製造者はエースコック。たまに例外もありますけど、エースコックのTL製品に小袋が別添されていた場合、おおむね最初から容器の中に入っている状態なので、わざわざフタの上に小袋を貼り付けている、ということは——
ええ、お察しの通り。もうひとつ、容器の中で「ふりかけ」が粉末スープまみれになっているので、こいつも忘れずに取り出します。これが地味にストレスなんですけどw エースコック曰く “別添ふりかけで煮干をやり過ぎなくらい利かせ、煮干本来の苦みを感じる複雑な旨みまで表現したビターな味わいが楽しめる濃厚な一杯に仕上げました。” とのことなので、ここに「鬼」が潜んでいる様子。
ただ、2023年4月現在、即席カップめん業界における縦型ビッグ製品のメーカー希望小売価格は245円(税別)が基準となっているのですが、今回の「鬼煮干中華ソバ」は254円(税別)と高めの値段。たった9円の差に思えますけど、この業界は1銭(100分の1)単位でコストを調整しなければいけないため、たかが9円と軽く見てはいけません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:鬼煮干中華ソバ 中華ソバ伊吹監修 製造者:エースコック株式会社 製造所:東京工場(埼玉県川越市大字今福461-1) 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901071400880(JAN) |
発売日:2023年04月24日(月) 実食日:2023年04月24日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:254円(税別) 購入価格:235円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:460ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(液体スープ・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、植物性たん白、食塩、しょうゆ、卵白粉)、スープ(ニボシパウダー、ニボシエキス、食塩、糖類、おからパウダー、でん粉分解物、乳化油脂、ポーク調味料、しょうゆ、豚脂、植物油脂、ポークエキス、イワシエキス、カラメルソース、オニオンパウダー、胡椒、酵母エキス、全卵粉)、かやく(玉ねぎ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、香料、カラメル色素、増粘多糖類、重曹、かんすい、酒精、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
かやくは、玉ねぎ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎの組み合わせで、濃厚な煮干しラーメンに初めて玉ねぎをトッピングしたのは「中華ソバ伊吹」がパイオニアとされているのですが、その理由は “ネギを切るのが煩わしかったから” というのはファンの間でも有名な話。そのため青ネギは蛇足的だと思うんですけど、それ以上に心配なのは鶏・豚味付肉そぼろのタイプです(詳しくは後述)。
別添の小袋は2パックとも後入れなので、内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと3分。時間になったら「液体スープ」と「ふりかけ」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。煮干の存在感は、熱湯を注いだ瞬間から “ちょっと生臭い” 香りが漂ってくるレベルなので、それについては申し分なく、スープに対しての期待が膨れ上がっている実食前。
ただ、コンビニで購入した場合の税込価格は274.32円と地味に高いので、費用対効果についても言及しなければいけません。はたして一口目から値段相応の‥‥いや、値段以上のインパクトが感じられるのかどうか、引き続き “鬼煮干” の攻撃性に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)あたり |
カロリー:391kcal たん白質:14.3g 脂 質:12.9g 炭水化物:54.3g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:1.7g) (スープ:4.9g) ビタミンB1:0.33mg ビタミンB2:0.40mg カルシウム:466mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:391kcal(めん・かやく:314kcal)(スープ:77kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
加水率低めのストレート麺
「中華ソバ伊吹」の店舗で使っている麺は、東京都東久留米市の製麺所「三河屋製麺」から送られてくる低加水麺で、形状は角断面の中細ストレート。対して今回の「鬼煮干中華ソバ」に使われているのは、丸刃で切り出された油揚げ麺なので、形状こそ異なるものの、加水率が低めの質感だったり、縮れが弱かったり、まったく共通点がないわけではありません。
そもそもコンセプトが “お店の味の再現ではなく、おいしさの特長を最大限に研ぎ澄ましたオリジナルの味わい” なので、お店の質感から離れちゃっても問題ないんですけど、それだけに大切なのは後述するスープとの兼ね合いです。でもって結論からいうと、スープとの相性は “良好” で、ややソフトな表面は口当たりがよく、しかしながら噛むと中心部にかけて弾力のある噛み応えがクセになる感じ。
エースコックの油揚げ麺ならではのニオイも並行するため、本格さを追求するのであれば、やはりノンフライ麺に劣るところはありますけど、それも踏まえた上でスープとの相性に取り立てた問題を感じることはありません。おそらく新開発ではないと思いますが、煮干が強めのスープに対し、加水率の加減も適切で、目立ち過ぎて独歩することも埋没してしまうこともない、適切な選択だったと思います。
スープ
知りたくないけどプリン体の量が不安になるレベル‥‥w
まずは粉末スープだけの状態で味を確認してみたところ、前述の “ちょっと生臭い” と感じた起因は粉末スープに備わっており、苦味については目立ちませんが、この時点で煮干の存在感については明白です。とろみ成分は人工的なので、そこは不自然に思えますけど、ここからが本番。
別添の「液体スープ」を投入した途端、セメント色のペーストが出てきたので、すこしギョッとしたんですけどw これは虚仮威(こけおど)しではありません。豚を中心とする深みもプラスされますが、あくまでも動物系は脇役で、主役は煮干。粉末スープの若い煮干とは違う、もっと濃密で複雑な煮干の旨みが縦横無尽に駆け抜けて、あとに残るのは煮干を丸齧りしたような苦味の余韻。
このビターな余韻の演出に一役買っているのが “カラメルソース” の隠し味で、言われなければ分からない、むしろ言われても分からない程度に効かせてあるのですが、そのアクセントが煮干のビターな部分と煮詰めたようなコクをグワッと引き出してくれているような‥‥正直、この時点で充分に完成しているといっても過言ではありません。
「ふりかけ」の量は想像していたよりも多く、色合い的にカツオやサバも入っているのかと思いきや、ここに含まれる魚粉も煮干だけと徹底的。液体スープの煮干は煮詰めた感じのビターなコクを表現してくれていましたが、ふりかけは魚粉ならではのパンチを与えてくれるアイテムで、ここまでの域に達すると粘度の高さも不自然ではありません。インパクトでいえば、あの「MEGAニボ」を超えています。
さらに煮干の層は複雑になり、焼干のような芳ばしさもプラスされ、しかしながら調和が取れている、さすが “煮干しマイスター” の異名を持つ三村店主監修の一杯だなと溜め息が漏れてしまったくらい。煮干のクセや苦味までも旨みとして打ち出しつつ、それでいて最終的に生臭さやエグみが気になることはなかったので、これをTL製品で表現してしまったエースコックの技術と思い切りにも感激しました。
かやく
スープのコストと玉ねぎの効果に免じて
お湯を注ぐ前は気が付かなかったのですが、玉ねぎは四角いカットと細切りの2種類で、四角いカットの玉ねぎはフライドオニオン的な甘みを、片や細切りの玉ねぎはシャキシャキした食感とフレッシュな香味が効果的。よくも悪くも青ネギは目立っていませんが、ビターなスープに玉ねぎの対比が楽しくて、濃いめの味でも(濃いめの煮干さえ大丈夫なら)最後まで飽きることなく完食できると思います。
ただし鶏・豚味付肉そぼろテメーはダメだw もうね、こいつを入れるくらいなら玉ねぎを、あるいは煮干を1mgでもいいから増やしてほしいと切実に。エースコックは “まともな肉そぼろ” も保有しているのですが、今回はスポンジみたいな食感のハズレ肉そぼろだったので、たまに飛び込んでくると邪魔でしかありませんでした。ほんと、そろそろ使い回すのヤメようで‥‥w
総評
「鬼煮干中華ソバ」という強烈なタイトルですが、なんのこれしきスープの味わいも強烈で、私が過去10年内に食べた縦型ビッグの中では文句なしで一二を争う煮干の強さ。大判どんぶり型のカップラーメンよりも制約が多い製品スタイルなのに、あえて人を選ぶほど煮干の個性を集約している、これぞ「中華ソバ伊吹」監修の妙といっても過言ではない一杯でした。
容器側面に “お店の扉に「煮干が嫌いな方はご遠慮ください」という張り紙を貼るくらい煮干を追求する店主が贈るカップ麺限定メニュー” との記載があるように、しばらく食後も煮干の苦味が口の中に滞留し続けるので、くれぐれも苦手な方は注意してください。逆に煮干の苦味にも魅力を感じる変態勢は、またとない機会かもしれないので、すぐにでも確保しておきましょう【author・taka :a(大石敬之)】