どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2018年11月12日(月)新発売のカップ麺、寿がきや食品「冬のコク塩ラーメン」の実食レビューです。
2018年・冬のコク塩ラーメンは「こだわりの塩」がポイント!今年で発売11年目を迎え、今では “冬の風物詩” となっている寿がきや食品の冬季限定カップラーメンが今年もリリースされました。
こだわりの塩って何?2017年との違いは?実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
冬のコク塩ラーメン 2018
「冬のコク塩ラーメン」は、平成20年(2008年)の発売以来、寿がきや食品が「冬に食べたい “熱々” で “コクのある” ラーメン」をコンセプトに毎年発売している季節の定番品で、以前は「冬季限定コク塩ラーメン」というタイトルでした。私も毎年「冬のコク塩ラーメン」を楽しみにしているファンの一人なんですけど、これが店頭に並び始めると “もうすぐ雪かぁ‥” なんて思います。
清湯系の鶏ガラと豚骨、そこに白菜の旨味を重ね、たっぷりの背脂を使いスープの表面を覆うことで冬の寒い日でも最後までアツアツ。ちょっと塩気は強いけど、香辛料が効いたスパイシーでパンチのある味わいが特徴的な塩ラーメン、というのがデフォルトのスタイル。
発売11年目となる2018年のテーマは「こだわりの塩」ということで、「カンホアの塩」(ベトナム産天日塩)と「天外天塩」(てんがいてんえん・モンゴル産岩塩)を使用しているのが大きな特徴となっています。いったいどんな塩なのか、軽く個性を解説しますね。
「カンホアの塩」とは、ベトナム・カンホア産の天日海塩のことで、海水だけを原料に天日製法を用いて作られているのですが、海水は多種多様な成分(無機質)を含んでおり、それを全体的に取り込むことでマグネシウム、カルシウム、カリウムなど、ナトリウム以外のミネラル(鉱物)が混ざり合って独特の旨味と複雑味が生まれます。
たとえばカンホアの塩に限らず、塩自体に糖分が含まれているわけでもないのに、なぜか “いい塩” を舐めると “甘いなぁ‥” と感じるのは、このためですね。ちなみに塩の旨味は「カルシウム(甘さ)」と「マグネシウム(苦味)」の含有量(基本の理想比率は2:1)によって左右されるのですが、 “身体が脱水状態にあると全般的に塩を甘い(うまい)と感じてしまう” ので、特に夏場などは注意してください。
「天外天塩」とは、北京より北西2,000km、内モンゴル自治区アルシャン地方の塩湖から生まれた岩塩より作られている塩のことなんですけど、一般的な天日海塩と比較してマグネシウム(いわゆる「ニガリ」)の含有量が少なく、逆にカルシウムは多め。和風だしに多く用いられる鰹の旨み成分「イノシン酸」はニガリ成分であるマグネシウムと結合しやすいので、天外天塩は特に出汁を取る和食と相性のよい塩になります。
さて、カップ麺の話題に戻しましょう。上記の画像は2017年発売品のパッケージなんですけど、デザインは比較して大差ありません。というか、フタの右上にある「— 発売11年目 ―」「こだわりの塩」という塩の紹介以外まったく同じですね。それでは、開封して中身をチェックしてみましょう。
開封
別添の小袋は、「液体スープ」「後入れかやく入スープ」「かやく」の3袋で、液体スープの小袋が薄いピンクからメタリックなオレンジに変わっていますが、昨年と同じ構成。製造所は「加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場」となっているのですが、加ト吉水産はテーブルマークのグループ企業で、寿がきや食品のノンフライ麺製品やイオングループのPBカップ麺なども製造しています。
2017年5月22日に発売された「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」以降、寿がきや食品のカップ麺で加ト吉水産の文字が度々見られるようになったのですが、それを機に以前の汎用麺から仕様が変わりました。ちなみに2017年に発売された「冬のコク塩ラーメン」では、2年ほど前の寿がきや汎用ノンフライ麺だったんですけど‥
こ、このフォルムは‥!で、通じる方が何人いらっしゃるのかが問題なんですけど、見たところ現段階では “以前の寿がきや食品が製造していた汎用のノンフライ麺”(これも通じる方が限られてくるかもしれませんがw)を思わせる姿です。
製品情報・購入価格
製品名:冬のコク塩ラーメン 販売者:寿がきや食品 製造所:加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場 内容量:109g(めん65g) 発売日:2018年11月12日(月) JANコード:4901677082428 希望小売価格:227円(税抜) 発売地域:全国(沖縄除く) |
麺の種類:ノンフライ麺 容量種別:どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 必要湯量:450ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋(液体スープ・後入れかやく入スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】 めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物油脂、小麦たん白、大豆食物繊維、たん白加水分解物)、スープ(しょうゆ、動植物油脂、食塩(天外天塩29%、カンホアの塩27%使用)、チキンエキス、ポークエキス、乳糖、香辛料、野菜エキス、オニオンパウダー、香味油、ゼラチン、ポークプロテイン、砂糖、たん白加水分解物、魚醤、イカエキス、酵母エキス)、かやく(肉そぼろ、白菜、ねぎ、背脂加工品、フライドガーリック、唐辛子)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸カルシウム、乳化剤、着色料(カラメル、クチナシ)、粉末セルロース、増粘多糖類、香料、酸化防止剤(V.E、V.C)、酸味料、(一部に卵・乳成分・小麦・いか・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルギー表示】 卵・乳成分・小麦・いか・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン |
実食開始
お湯を注ぐ前に入れる小袋は「かやく」のみで、お湯を注いでから待っている間に「液体スープ」をフタの上で温めます。待ち時間は熱湯4分なので、これについても昨年と同じですね。4分経ったらフタ開け、スープ類を投入する前に軽く麺をほぐし、それから各スープを投入しましょう。
特に指定はありませんが、粉末スープ > 液体スープの順に入れると馴染ませやすいです。それにしても、この「後入れかやく入スープ」めちゃくちゃスパイシーな香りなんですよね‥投入した瞬間からフワッと主張してきて、思わず食欲をそそられます。調理中の香りって、けっこう大切。
それでは、実際に食べてみましょう。2017年のレビュー記事は移転前のブログになるのですが、それと比較しながら昨年発売品との違いや背脂のコク、白菜の量、「こだわりの塩」のニュアンスにも注意しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の3項目に分けて詳しく解説し、カップ麺としての総合力を評価します。
1食(109g)当たり
カロリー:363kcal |
めん
しっかりとしたコシと粘りのある、口当たり滑らかなノンフライ中細めん。
(寿がきや食品「商品情報」より引用)
ええ、やはりノンフライ麺は2017年の冬のコク塩ラーメンと同じで、2年ほど前の寿がきや食品が汎用していた口当たりのいい中細ちぢれ麺です。一部では賛否両論あったんですけど、私は “しっとり” した優しい口当たりと “もっちり” した粘り気のある弾力、加えて強い小麦の香りと小麦由来の甘味が感じられる、このノンフライ麺を高く評価していました。
硬派な博多とんこつラーメンやゴリゴリの札幌みそラーメンなど、すでに麺の個性が確立している題材には不向きでしたが、基本的にスープの味を激しく選ぶタイプではなく、さすが以前は多方面の製品に乱用していただけのことはあってw なんともフレキシブルな適応性に富んだ対応を見せてくれます。
しかし、その中でも特に相性の良さを誇っていたのは、 “ちょっと塩気の強いコクのある塩味” のスープ‥そう、まさに冬コクのスープに対して適材適所のノンフライ麺なんですよね。スープの塩が小麦の甘味を引き立てて、細身でありながら確かな弾力と粘り気によって埋没しない、今年も完璧に近いバランスでした。
スープ
豚骨、鶏ガラをじっくり炊き出したスープに、天日塩と岩塩をブレンドし、背脂をたっぷり加えた塩ラーメンスープ。
(寿がきや食品「商品情報」より引用)
「こだわりの塩」(カンホアの塩・天外天塩)の特徴については事前に解説しましたが、スープの原料に使用している「食塩」のうち、それぞれの含有量はカンホアの塩が27%、天外天塩が29%。実際、たしかに塩気の強いスープになるのですが、無条件で舌を突き刺してくるような質の悪い食塩の主張とはワケが違います。
原材料に砂糖も使用されているのですが、それよりも甘味度が約1/5と言われている乳糖(ラクトース)で甘みを補強しているように、糖類の甘さではなく “これは塩の甘み” と思わせてくれるニュアンスを打ち出しているんですよね。そして、もう一つのポイントである「背脂のコク」は、液体スープを投入した瞬間から動物系特有のコクを感じる香りが漂って実際の味わいもしかり、これについても一見して明白。ただ、動物油脂100%ではないんですけどね。
ちょっと写真では薬味と一緒くたになって分かりにくかったので、ひとつピックアップしてみたのですが、このようにプニッとした背脂顆粒(背脂加工品)も入っています。なんかあやしい名前ですけどw 実際そんなことなくて、意識して食べると背脂特有の口当たりに加えてコクのある甘味が心地よく、意識して拾わなくても量が多いため、ただのギミック的な存在ではありません。
また、こってり好きも満足できる味の濃さとオイルの量を打ち出しつつ、でもギトギトしたラーメンはヤダなぁ‥という方にもクドさを感じさせないようにオイルの厚みを少し多めのスパイス(ブラックペッパー)が適度に引き締め、メリハリを生んで味のピンボケを防止。さらに魚醤やイカエキスの隠し味で、海産物による旨味の相乗効果を図ります。
「こだわりの塩」を表現しつつ、「背脂のコク」や絶妙な香辛料のバランス、さらにベースの鶏ガラと清湯系の豚骨に野菜の旨味とオニオンの香味など、あいかわらず素晴らしい構成でした。そして複雑味に関しては “薬味” も大きく貢献しているのですが、それについては次の項目で。
かやく
肉そぼろ、白菜、3種のネギ(白ネギ、青ネギ、焦がしネギ)、フライドガーリック、赤唐辛子、背脂顆粒。
(寿がきや食品「商品情報」より引用)
いつもは具材に弱いイメージが否めない寿がきや食品ですが(でも最近けっこう頑張ってます)、冬のコク塩では貧弱さを見せません。肉そぼろは生姜と香辛料が効いた味付けで、以前は薄いペラチャー(とりあえずチャーシュー)が放り込まれていたんですけど、昨年の製品から排除。
みずみずしい食感の白菜は厚みがあって、それなりに量も多く、塩気の強いスープの中で優しさが光っていました。そして3種のネギ(白ネギ、青ネギ、焦がしネギ)、フライドガーリック、赤唐辛子などの薬味類が実に効果的で、中でも焦がしネギとフライドガーリックの芳ばしさ、ほろ苦さがスープに複雑味を与えて濃い味なのに大味とは思わせません。
このように後入れかやくのアクセントで具材の弱さを補ってくることも多い寿がきや食品なのですが、ケミカルなチャーシューを使わずに肉そぼろの採用を続け、厚みのある白菜も加えるなど、2017年発売品と比較して目立ったマイナスは見られず、むしろ焦がしネギとフライドガーリックについては増量されたように感じました。あんまり写真では目立ってないんですけどね(苦笑)
総評
★★★★★★☆☆☆☆(6)
(標準は★3です)
昨年はシリーズの10周年記念だったので、今年は少し勢いが失速するかと思いきや、なんのなんの‥正直、実は私の得意なタイプのラーメンではないんです(塩気が強くてw)。でも、これだけは特別おいしいというか‥だから贔屓目に見てんだろ、などと言われたら完全に否定できないんですけど、ただ塩気の強いスープではない、よく練り上げられた名作だと思います。
コンビニで買ったら税込245円のカップ麺になるので、お安いカップ麺ではありません。しかし、ほぼ完璧な麺とスープのバランス、さらに今年は良質な塩から得られるような “塩の甘み” を表現して、スパイシーな複雑味と背脂のコクは据え置きという、2018年の「冬のコク塩ラーメン」も大満足の仕上がりでした。
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背脂いっさいダメ、塩気が強いと無条件でムリ、そもそも塩らーめん嫌いw という方にはオススメできませんが、昨年けっこうウマかったなー、と感じていた方は今年も安心して手に取っていただいて結構ですし、まだ食べたことがない方もレビューを読んで好みにハマりそうだったら、これを機に試してみてください。