どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年6月10日(月)新発売のカップ麺、日清食品「日清のどん兵衛 汁なし黒カレーうどん」の実食レビューです。
どん兵衛のカレーうどんを汁なしタイプのブラックカレーにアレンジ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
日清のどん兵衛 汁なし黒カレーうどん
「黒カレー(ブラックカレー)」とは、まさに文字通り黒いカレーのことを指し、黒いカレーといえばトッピングの千切りキャベツが特徴的な石川県金沢市の「金沢カレー」、またカレー発祥の地・長崎で生まれた竹炭入りのご当地カレー「大村あま辛黒カレー」、黒豆・黒胡椒を使いイカスミで着色した富山ブラックラーメンならぬ「富山ブラックカレー」も有名。
ただ、今回の新商品は新たなカレージャンルとして定着しつつある「黒カレー」の味わいを “どん兵衛流” にアレンジした湯切りタイプのカップ麺らしく、ご当地の地名やお店の名前が明記されているわけではありません。しかし、炒めて煮込んだ玉ねぎの甘みやコクを意識しているそうなので、イメージのルーツは「東洋軒」の「ブラックカレー」でしょうか。
「東洋軒(とうようけん)」とは、明治22年(1889年)創業の肉料理専門店「牛鍋屋 今福」(東京三田四国町)を前身とし、その隣で「西洋御料理 東洋軒」を明治30年(1897年)に開業。昭和3年(1928年)、三重県津市に「東京東洋軒出張所」を開設し、現在は三重県津市の店舗が「東洋軒 本店」となっているのですが、そこで提供されている名物の黒いカレーが「ブラックカレー」。
「東の魯山人・西の半泥子」「昭和の光悦」と称される日本の陶芸家で、百五銀行の頭取も務めた川喜田半泥子(久太夫政令)さんが、当時まだ「東京東洋軒出張所」だった頃の初代料理長・猪俣重勝シェフに “黒いカレーができないか” と提案したのが切っ掛けとなって生まれました。
ブラックカレーが黒い理由は上質な松坂牛脂や小麦粉、玉ねぎ、スパイスを焦げる直前まで加熱した “ブラック・ルゥ” にあり、なんと炒めるのに3週間、その後さらに1週間も煮込み、完成するまでに約1ヶ月かかるのだとか――
それを踏まえた上で今回のカップ麺「日清のどん兵衛 汁なし黒カレーうどん」の原材料を見ると、「金沢カレー」で特徴的なキャベツは不使用、「大村あま辛黒カレー」の決め手となっている竹炭(炭末色素)や「富山ブラックカレー」を思わせる黒豆やイカスミも入っていませんが、オニオンや牛脂は使用しています。
端的なイメージとしては日本の “黒い欧風カレー” っぽい雰囲気もあるんですけど、欧風カレーの特徴としてあげられるフルーツやスパイスの数(平均20〜30種類)についてはニュースリリースで言及されていなかったので、またそれとは違うのかなと思ったり。
もちろん牛脂といっても松坂牛の牛脂ではないでしょうし、パッケージの側面には “※肉様のかやくは大豆を主原料にしています” と記載されているので、肉らしき具材も本物の肉ではありません。けれども “日清のどん兵衛だからこそできた新感覚の汁なしカレーうどん” とホームページでは紹介されているため、炒めて煮込んだ玉ねぎの甘みやロースト感に注目してみましょう。
これまで日清の黒いカレーといえば、「日清 黒カレーうどん」(2007年3月19日発売)や「欧風ブラックカレーヌードル」(2009年1月21日発売 / セブン&アイ・ホールディングス限定商品)、「日清のどん兵衛 ブラックカレーうどん」(2015年10月5日発売 / ハロウィン限定商品)などを個人的な資料に記録していたんですけど、現行商品の中に「冷凍 日清 汁なしうどん 黒カレー」というオープン価格の冷凍麺もあるようですね。
開封
ただ、「日清のどん兵衛 釜たま風うどん」をはじめとする「汁なしどん兵衛」シリーズから黒カレーが出るのは初めてですし、そもそも同シリーズから汁なしタイプのカレーうどんがテーマになったのは今回が初めてです。別添の小袋は「液体スープ」と「かやく」の合計2袋、ちゃんと小袋の色も商品パッケージのカラーリングに合わせてありました。
麺は油揚げ麺(うどん)で、おそらく「日清のどん兵衛 釜たま風うどん」や定番品「日清のどん兵衛 きつねうどん」などで共通の麺でしょう。カップも「釜たま風うどん」と同じ容器ですが、汁ありタイプと違って湯切りしやすいように縁の幅が太くなっていて、容器の底もフラットになっているのが汁なしタイプ専用カップの特徴です。
その底面に記載されている製造所固有記号は「F」となっていて、容器側面の製品情報欄や左端にも「静岡工場製造」と明記されているのですが、最近この表記があったり無かったりするんですよね。たしか新食品表示法の項目には製造所も表示しなければいけない義務があったはずなんですけど、まだ完全移行前だからでしょうか(2020年3月31日までは猶予期間)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:日清のどん兵衛 汁なし黒カレーうどん 製造者:日清食品株式会社 製造所:静岡工場(F) 内容量:100g(めん74g) 商品コード:4902105255186(JANコード) 商品サイズ:縦148mm×横148mm×高さ75mm 発売日:2019年6月10日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい不使用) スタイル:汁なしどん兵衛専用どんぶり型・標準サイズ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:370ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、植物性たん白、昆布エキス、大豆食物繊維、糖類)、スープ(糖類、植物油脂、食塩、カレーフレーク、しょうゆ、トマトペースト、カレー粉、オニオン調味料、牛脂、香味油、酵母エキス、魚介エキス、ソース、香辛料)、かやく(大豆たん白加工品、人参、ねぎ)/ 加工でん粉、カラメル色素、酒精、増粘剤(アラビアガム、加工でん粉)、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、リン酸塩(Na)、香料、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、乳化剤、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、ベニコウジ色素、(一部に小麦・乳成分・牛肉・大豆・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・乳成分・豚肉・牛肉・大豆・りんご・ゼラチン(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載) |
実食開始
先入れの「かやく」に入っているのは大豆ビーフ(大豆たん白加工品)、人参、ネギとシンプルで、大豆ビーフから強烈に甘辛く、また軽く焦がしたような香りを感じるのですが、「日清のどん兵衛 カレーうどん(西日本)」では定番の具材。けっこうスープを選ぶタイプなんですけど、今回このロースト感がプラスに働いてくれそうですね。
あとは熱湯5分で湯切りして、液体スープを混ぜ合わせたら完成です。なんかこう、そんなに黒くないですね(笑)。ちょっと濃いめのカレー‥‥みたいなw それに定番の「どん兵衛 カレーうどん」に入っている具材のポテトは入っていませんが、鼻にツンとくる酸っぱい香りに意外性があり、それが独特で印象的でした。
それから定番どん兵衛の麺がマイナーチェンジして以来、汁なし版だと戻りムラが目立つように感じているので、麺の戻りムラやカレーの辛さレベルに注目しつつ、「めん」「カレーつゆ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(100g)当たり
熱 量:423kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん(うどん)
“ちゃんと戻っている部分は” もっちりとした粘り気のある食感で、汁ありどん兵衛の汎用うどんと同じような、他社のカップうどん製品とは一線を画す加水率の高い食感が楽しめます。しかし、これは前回リリースされた汁なしどん兵衛の新商品「日清のどん兵衛 汁なしピリ辛肉みそうどん」(2019年5月13日発売)と同じく、麺の繋ぎ目に当たる部分の戻りムラが気になって、それも致命的でした。
たとえば上記の写真なんですけど、私が箸で麺を束ねているのではなく、 “8本の麺が癒着したまま戻っていない部分を持ち上げているだけ” の図。この麺は「10分どん兵衛」にも余裕で耐えてくれる麺なので(原材料のマイナーチェンジ後に耐久性も増していますし)、30秒〜1分くらい長めに待つ、もしくは湯切りの前に箸で麺をほぐしてから湯切りするなど、調理の際は工夫が必要です。
それに麺の量も汁なしカップ麺にしては少なめの74gとなっているのですが、「日清のどん兵衛焼うどん」を除く汁なしどん兵衛は麺量74gが標準の麺量ですし、「日清のどん兵衛 きつねうどん(汁あり)」の麺量も74gなので、これくらいの量なら女性の方や比較的に小食の方でも食べやすいと思います。
※「めん」のレーティングスター(評価スター / 星の数)について:正常に戻っている部分はカレー味とのバランスもよく、余裕で上出来の★5なんですけど、戻りムラのある部分は★1‥‥なので、とりあえずレーティングスターは白抜きのままにしてあります。調理の際は、ちょっと一手間加えてみてください。
黒カレーつゆ
日清食品のニュースリリースでは「つゆ」となっていたので、それに合わせて「カレーつゆ」としましたが、実際は「カレーソース」という表現が適切かもしれません。また、この液体スープ(ややこしいですねw)自体の粘性率は低く、色はカラメル色素で着色されているため、炒め玉ねぎやスパイスだけの純粋な黒ではありません。
けれどもオニオン調味料によるタマネギの旨味や牛脂のコクで、こってり濃厚な重心の低いカレー味に仕上がっています。隠し味に魚介エキスが含まれていますが、文字通り和風は隠し味。やや欧風カレーっぽい雰囲気も備えてはいるものの、乳製品やフォンは意識されておらず、思いのほかトマトペーストとウスターソース系のアクセントが主張してきました。
何味かと聞かれたらカレー味と即答できますが、「日清のどん兵衛 カレーうどん」の東日本仕様及び西日本仕様、並びに北海道限定「北のどん兵衛 カレーうどん」のいずれにも該当しませんし、スパイス感も穏やかで、一言に要約すると “こってり甘濃いカレー” 味。辛さレベルも0.5〜1くらいのイメージなので、辛いカレーが苦手な人でも食べられると思います(※逆に甘いカレーが苦手な人は注意)。
具材
正直、あまり私は日清食品の大豆ビーフに対してポジティブな感情を抱いていませんでした。大豆ビーフが開発される前に採用されていた牛肉も加工肉特有の乾いた臭いが気になっていたので、それも特別に好きではなかったんですけど、大豆ビーフは前述したようにスープ(ソース)を選びますし、使い道が難しい素材だな‥‥って。ただ、今回は好印象。
あいかわらずクニッとした弾力の怪しい食感ですし、甘辛い味付けに加えて軽く焦がしたような独特の風味も主張してくるのですが、その軽く焦がしたような風味がキーマン。じっくりと玉ねぎをローストしたような調理感の表現に一役買っていて、人参のコリコリした食感もアクセントに効果的でした。
東日本と北海道の「どん兵衛 カレーうどん」に入っているのは「大豆ポーク」ですが、ほぼ食感については同じですね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
液体スープを麺に絡めた後は言うほど黒いカレーではなかったんですけど、イメージとしては「金沢カレー」のルーが近いかもしれません。こってり甘濃いカレー味で、まったりとした重心の低いコクが特徴的な一杯です。ただ、人工甘味料こそ使用していないものの、糖類による甘さは強いので、甘いカレーが苦手な方は注意してください。
けっこう個人的には好きな味だったのと、他社を含め定番商品のカレー味とも差別化が図られていたのですが、部分的に生じていた麺の戻りムラが場所によっては致命的だったので、総評では星の数ひとつマイナスしました。調理の際は長めに待ってみたり湯切り前に箸で麺をほぐしてから湯切りするのが美味しく食べるためのポイントです。