どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年6月19日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん やみつき屋 にぼ玉」の実食レビューです。
にぼし×和え玉×たまねぎ=にぼ玉!? 濃厚な煮干しの旨みにシャキシャキとした玉ねぎを合わせた “汁なしカップめん” 新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
やみつき屋 にぼ玉
やみつき屋とは、2006年(平成18年)5月1日発売の「辛味噌ラーメン」に端を発するブランドで、当初は商品ごとに魅力的な訴求ポイントを持つ、商品設計の高いカップ麺として発足しましたが、時代の流れに合わせてコンセプトを刷新。現在は「味濃いめ」をキーワードに、やみつきになるフレーバーを展開しています。
今回の新商品「やみつき屋 にぼ玉」は、濃厚な煮干しの旨みをベースに、シャキシャキとした食感の玉ねぎを合わせた湯切りタイプの新作で、汁なしカップ麺の需要が急激に高まる夏に向けた一杯。商品名の「にぼ玉(にぼだま)」は煮干し(にぼ)と玉ねぎ(たま)が由来となっているのですが、手元にある資料には “ラーメン屋で提供される「和え玉」をヒントにしました!” との訴求あり——。
和え玉(あえだま)とは、1952年(昭和27年)の創業以来、現在は福岡市中央区長浜に店舗を構える老舗「元祖長浜屋」発祥の “替玉” とは一線を画すサイドメニューで、かえし(タレ)や香味油を混ぜ合わせた麺に、少量のトッピングが添えられた替え玉の一種。発祥の店は、茨城県つくば市の「煮干中華ソバ イチカワ」(店主:市川幸一氏)で、煮干しラーメンを極めんとする店主らが一目置く存在。
現在は板橋区に落ち着いた自他共に認める煮干狂「中華ソバ 伊吹(いぶき)」をはじめ、本郷三丁目で唯一無二の烏賊(いか)煮干し白湯を提供している「麺屋 ねむ瑠(ねむる)」に、セメント系のカリスマ「麺処 晴」ほか、浜松町界隈イチ濃密な煮干しスープで有名な「中華そば いづる」など、都内で人気を博す煮干しラーメン専門店が積極的に取り入れ、ひとつの文化を形成するまでに至りました。
ちなみに濃厚な煮干しラーメンのトッピングに刻み玉ねぎを定着させたパイオニアは「中華ソバ 伊吹」といわれているのですが、同店と契約しているのは大阪府吹田市のエースコック。そのためエースコックはクセのある煮干し感を得意としているのですが、東洋水産は現在の社名にも “水産” を冠しているように、創業当初は築地市場内で冷凍鮪の輸出及び国内水産物の取り扱いを生業としていた企業。
マルちゃんといえば、即席めんやチルド商品の印象が広く浸透している今日この頃ではあるものの、並行して良質な海の幸を取り扱う水産食品事業も手掛けており、グループ会社には「ユタカフーズ」や「シマヤ」など、出汁(だし)製品の加工に長けたメーカーを保有していることから、魚介に関してはプロフェッショナル中のプロフェッショナル。
東洋水産は変わり種でも万人ウケを狙う傾向があるので、たとえば “辛口” を謳うスポット商品を筆頭に、きちんと訴求すべき個性にヤスリを掛けてくることも珍しくありません。しかし、煮干しに関しては水産会社としてのプライドが働くのか、直近だと「マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ ちょい辛」や「沼るニボシ」など、苦味やエグみを抑えながらも煮干しの個性は尊重するスタイルが持ち味。
近年の「やみつき屋」といえば、縦型ビッグのカップラーメンばかり展開していたので、ふと疑問に思いながら過去の資料を漁ってみたところ、今回の「にぼ玉」は現在を遡ること4年5ヶ月、2019年1月21日にリリースされた「四川式 汁なし担々麺」以来の汁なしカップ麺であることが分かりました。ちなみに「四川式 汁なし担々麺」は当時、このブログで “★6” の高評価を叩き出してます。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「粉末スープ」の計3種。かやくの中には「MARUCHAN QTTA サワークリームオニオン味」などに使われるタイプの玉ねぎが多めに入っているため、さっそく期待できそうな展開。
麺は油で揚げたフライ麺で、けっこうゴツめのビジュアルですが、湯戻し時間は3分と標準的。やや黒ずんだ感じの色だったり、この時点で精製ラードに由来する芳しさが目立っていたり、いかにも東洋水産らしい仕様です。このタイプは自己主張が強いので、それに負けないインパクトが添付調味料に求められるところ。そして、ひとつ触れておかなければいけないのがメーカー希望小売価格の基準。
2023年6月1日出荷分からの価格改定により、東洋水産は自社製品(マルちゃん即席麺)のメーカー希望小売価格を従来比10%~13%アップさせています。それに伴い現在の業界水準は、レギュラーサイズ=236円(税別)、大盛りタイプ=271円(税別)となっているのですが、今回の「やみつき屋 にぼ玉」は285円(税別)なので、ちょっと高めに設定されていました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん やみつき屋 にぼ玉 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:159g(めん120g) 商品コード:4901990374934(JAN) |
発売日:2023年06月19日(月) 実食日:2023年06月22日(木) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:ウエルシア薬局 小売価格:285円(税別) 購入価格:278.64円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型ビッグ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:720ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、植物性たん白、しょうゆ、香辛料、粉末野菜、卵白)、添付調味料(煮干しエキス、植物油、香味油脂、しょうゆ、デキストリン、さばエキス、こんぶエキス、食塩、かつおエキス、ポークエキス、粉末野菜、香辛料、砂糖、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、たまねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、レシチン、酒精、かんすい、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・さば・大豆・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、多めに入っている細切りの玉ねぎが嬉しいポイント。さらに、自然な形状の味付豚肉も定評のあるトッピング。あわせて具材は2種とシンプルな内容になりますが、どちらも個性が強い資材につき、この厳選された構成が結果的に功を奏しそうな予感。
添付調味料は2袋とも後入れなので、かやくを入れてから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと3分。時間になったら湯切り口から湯を捨てて、温めておいた「液体スープ」を軽く混ぜてから「粉末スープ」を投入し、よく混ぜ合わせたら完成です。かやくの内容から見た目も簡素に仕上がりますが、例の “和え玉” をイメージしていると思えば悪くありません。
ちなみにコンビニで購入した場合の税込価格は307.8円、スーパーやドラッグストアなどでも税込250円〜それ以上が相場になると思うので、煮干しと玉ねぎのインパクトについてはもちろん、コストパフォーマンス的な部分にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(159g)あたり |
カロリー:718kcal たん白質:15.9g 脂 質:36.3g 炭水化物:82.0g 食塩相当量:4.7g ビタミンB1:0.56mg ビタミンB2:0.46mg カルシウム:254mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
煮干しとの相性ばっちり
濃いめの煮干しスープに合わせるなら低加水麺、みたいなイメージを意識しているような、けっこう加水率は低めの食感で、バツバツと切れるタイプではないけれど、粘りの強さよりも歯切れのよさが特徴的。また内部組織が粗いというか、ちょっと粉っぽい質感で、それが後述する煮干しスープにシンデレラフィット。
調理前〜調理中はもちろん、調理後も精製ラードの風味は常に付きまとうため、そこは油揚げ麺の限界を感じるポイントになりますが、煮干しの風味と喧嘩することはなく、むしろ特有の芳ばしさと煮干しオイルの間に一種の相乗効果を感じたくらい。また縮れの強い低加水麺という条件から、啜り上げたときに感じる踊るような口当たりも面白く、ついつい箸が止まりません。
ちなみに湯切りタイプの即席カップめん(やきそば、油そば、まぜそば等)における麺重量の基準は、90〜100gだとレギュラーサイズ、130gだと大盛りサイズに該当するのに対し、今回は120gと大盛りのスタンダードよりも若干ながら少なめ。それでいてメーカー希望小売価格は前述の通りではあるものの、食べながら少ないとは感じなかったので、あまり気になりませんでした。
スープ
高密度に旨みを抽出
まずは「液体スープ」単体の味を確認してみたところ、ちょっと上記の画像では分かりにくいかと思いますが、キラキラとした煮干しの粉がチラホラと。しかし、体感的には魚粉のインパクトよりもオイル系の煮干し感が優勢で、東洋水産らしく苦味は抑えてありますが、ほんのちょっと “えぐみ” を残している、あえて狙った感のあるクセが印象的。
これ単体で “やみつき” になるほど濃いめの味ではないけれど、液体しょうゆ特有のコクは明確で、このまま濃いめの煮干しスープに突っ込んでもイケそうな「和え玉」っぽい雰囲気を醸しています。しかし、これ単体で完成しなければいけないのが即席カップめん。
次に「粉末スープ」を投入し、それを箸先で掬い上げて舐めてみたところ、ファーストインプレッションは砂糖の甘さが強く、しかしながら余韻として残るのは液体スープにはない苦味。それは人を選ぶほど強烈ではないけれど、煮干しの個性を強める要素としては充分に機能しており、全体に馴染ませた後は砂糖の甘さも中毒性を底上げすることに寄与。
サポートにサバやカツオ、さらに昆布の旨みも入っているのですが、あくまでも旨みの主役は煮干し。また専門店で食べる煮干し系のラーメンは、しょっぱいという評判・口コミも多いのに対し、この「にぼ玉」は濃いめの味でも舌を麻痺させるような塩気は控えめで、それは栄養成分表示にある食塩相当量の数値(内容量のわりに低い)が表わしている通り。さすが東洋水産、レベルが高いです。
かやく
しんぷるいずべすと
砂糖と醤油で甘辛く炊き上げた味付豚肉は、東洋水産の他製品にも積極的に使われている具材なので、新鮮味は皆無。しかし、前述のスープと甘辛い豚肉の相性は申し分なく、赤身と脂身の比率については個体差で変動しますけど、赤身のところは特有の繊維質と少しワイルドな獣臭が楽しめる部位で、脂身のところは甘くてプルップル。
玉ねぎは「QTTA」の “サワクリ” にも入っている具材なので、こちらも新鮮味は感じられませんが、多めの量と細めの形状が功を奏し、意識せずとも常にシャキシャキとした食感とフレッシュな香味が楽しめます。というわけで、実にシンプルな内容ではあるものの、題材になった「和え玉」もトッピングは最小限ですし、実際に食べていて不満を感じることはありませんでした。
総評
メーカー希望小売価格が大盛りの基準を超えること、さらに麺重量も若干ながら少なめですが、なんのこれしき総合力の高い一杯で、実食中に箱買いも視野に入れてしまったレベル。もしもメーカー希望小売価格が271円(税別)ならと、そこだけが引っ掛かったので、ほんのちょっと総評から差し引いていますけど、これは名作です(しれっと「★6」に修正するかもしれないw)。
なによりコストパフォーマンスを重視されている方にとってはネガティブな部分もあるかとは思いますが、煮干しの丁寧な旨みを中心に味の満足度は高く、シャキシャキとした玉ねぎの食感も功を奏し、食べ応えも実際の麺量以上だったので、煮干しが好きなら積極的に狙ってみてください【author・taka :a(大石敬之)】