どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、丸千代山岡家×札幌麺匠の即席袋めん「山岡家 醤油」の実食レビュー‥‥というか、今回は評論・批評ではなく感想がメインになりますけど、日清食品の即席カップめん「ラーメン山岡家 醤油ラーメン」(328円+税)が値段のわりにイマイチだった、というのが事の発端で。
それをレビューした際に「山岡家」のロイヤルティが異様に高かった場合、お店にも責任はあると思う‥‥などと触れたのですが、そもそも日清食品のハイエンド系で懸念される悪い癖が全面に出ていたので、これはアカンやろと。しかし、それ以前から丸千代山岡家が直々に販売している袋タイプの即席中華めんがあることをご存知でしょうか——。
山岡家の袋麺(醤油)
あらためまして「山岡家(やまおかや)」とは、1980年(昭和55年)2月設立の有限会社・丸千代商事(東京都江戸川区中央1丁目15番24号)にルーツを持ち、現在は “ガツンと来て、くせになる„ 濃厚な味わいのラーメンを提供している大人気チェーンで、1988年(昭和63年)9月にオープンした1号店(現「牛久店」)を皮切りに、177店舗を展開している大所帯。
以前にヤマダイ(ニュータッチ)や、サンヨー食品(サッポロ一番)のカップラーメンも監修していた「山岡家」ですが、即席めん業界最大手の日清食品と初のタイアップを実現ということで、話題になったのも記憶に新しいところ。しかし、いざレビューしてみて愕然。ノンフライ麺の戻り具合が致命的に悪かったり、値段のわりに具材はショボかったり、印象に残ったのはスープの豚骨感だけ。
だったら丸千代山岡家(※山岡家の本部)が直々に販売している袋麺の仕上がりは? ってことで本題。山岡家の袋麺を製造しているのは、北海道空知郡南幌町に本社を構える「札幌麺匠」で、大手メーカーが販売している袋タイプの麺といえば油で揚げたフライ麺(油揚げ麺)、あるいはノンフライ麺が主流なのに対し、札幌麺匠を語る上で欠かせないのが乾麺。
生地に使用している小麦粉は主に北海道産で、丁寧に練り上げ帯状に伸ばした後、最適な温度と湿度を徹底しながら熟成させる‥‥と、ここまでは一般的な中華麺を作る上でも珍しい工程ではないのですが、熟成後の麺帯を圧縮してコシを引き出し、適切なサイズにカットしてから “手作業で枠に入れる„ 手間の掛け様が大手との決定的な違い。そして、もうひとつ注目すべきは水分の飛ばし方。
保存性を高めるために水分を飛ばす、これは即席めん全般に必要な工程なのですが、切り出した麺を蒸熱した後、金属枠に放り込み、それごと140~160度の揚げ油に1〜2分ほど通過させ、水分を3〜6%まで飛ばしたものが油揚げ麺。片やノンフライ麺は、80度前後の熱風で30分以上かけて乾燥させるため、油揚げ麺よりも本格的な質感に仕上がります。
それらに対し「乾麺」は、高温の揚げ油や熱風の洗礼を浴びせることなく、専用の乾燥室で干したモノを指すため、まったくの別物。もちろん乾麺を手掛けているメーカーは札幌麺匠だけではないのですが、山岡家の袋麺は非常識にも程がある “8分の茹で時間を推奨„ しているため、以前に7分の茹で時間をもって業界を震撼させた明星食品の麺神(めがみ)を超えるスペック。
しかも、1食あたりの内容量は185g(めん90g、スープ95g)ということで、手に持ったときの物理的な重さたるや。ちなみに他社の袋麺を例に挙げると、サンヨー食品の「サッポロ一番 みそラーメン」は1食あたり100g(油揚げめん90g)、日清食品の「日清ラ王 醤油」は1食あたり101g(ノンフライめん80g)なので、約1.8倍の重量感なんですけど、そもそもスープだけで95gとか‥‥正気かい?
さらに、1食あたりのエネルギーは709kcalということで、油揚げ麺を使用した「日清焼そばU.F.O.大盛」(714kcal)あたりに匹敵する熱量なんですけど、山岡家の袋麺は乾麺ですからね? さらにさらに、食塩相当量も8.3gと殺人的な数値を叩き出しているのですが、ヤマダイの「凄麺 仙台辛味噌ラーメン」は1食あたり8.6gなので、なんか乗り越えられそうな気がしてきました。←
開封
日清食品の「ラーメン山岡家 醤油ラーメン」はレビュー済みなので、そちらの画像と感想は過去のページから引っ張りますけど、山岡家の袋麺とは初対面の筆者。ちなみに「醤油」以外のラインナップに「味噌」「塩」「特製味噌」「辛味噌」も存在するようですが、2024年4月21日(日)以降 “山岡家での店頭販売は「醤油」だけ„ に切り替わったようです(※公式通販サイトでは「乾麺コンプリートBOX」など、全種の取り扱いを確認済み)。
内容物は「めん」と「スープ」のみで、大手の袋麺と同じような構成ですが、ちゃんと乾麺が個包装になっているところも大手との違い。またスープの重量感が他社の袋麺ひとつ分に該当するため、インパクトすごい(すごい)。原材料名の並びを見る限り、動物油脂の比率が圧倒的に多かったので、どんぶりを温めるついでに小袋をチャポンと浸けておくのがベストなパターン。
ちなみに1食あたりの小売価格は463円(税込500円)なので、袋麺なのに!? などと、目が飛び出るような感覚に陥った方も多いかと存じますが、中小企業の袋麺は前述のように手が込んでいる分ちょっと高いんですよ。ただ、その中でも税込500円は高額な部類に入るため、自信の現れを感じると同時に身構えちゃうポイント。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:山岡家 醤油 販売者:株式会社丸千代山岡家(北海道札幌市東区東雁来7条1丁目4-32) 製造者:株式会社札幌麺匠(北海道空知郡南幌町南11線西14) 内容量:185g(めん90g) 商品コード:4944590100008(JAN) |
実食日:2024年10月06日(日) 小売価格:463円(税別) |
麺の種類:乾麺 スタイル:即席中華めん 容器材質:プラ(PP) 水量目安:750ml 調理時間:ゆで8分 小袋構成:1袋(スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん:小麦粉(国内製造)、卵白粉末、小麦たん白、食塩、植物油脂 / 酒精、かんすい、ビタミンB2、乳化剤、(一部に小麦・卵を含む) 醤油スープ:動物油脂(国内製造)、肉エキス、しょうゆ、食塩、デキストリン、発酵調味料、オイスターエキス、コラーゲンペプチド、酵母エキス/ 調味料(アミノ酸等)、酒精、カラメル色素、増粘剤(キサンタン)、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
詳しい作り方は裏面に印刷されているので、要点だけ引き抜くと「水750mlを沸騰させる」「めんを強火のまま約8分ゆでる(3分半の時点で軽く箸を入れる)」「時間になったら火を止めてスープを入れる」「かき混ぜてから一煮立ち」などと、すこし複雑な調理手順。その後、トッピングには海苔やチャーシュー、刻みネギ、季節の野菜などを推奨しているのですが、オリジナルの味を確認するため今回は「素」の状態で。
ゲームやってたり飲み会だったり、そういうときの8分は一瞬なのに、じっと鍋を見つめながら待つ8分の長いこと長いこと‥‥。油揚げ麺を使用した袋麺よりも吹きこぼれやすいので、火加減に注意したいところですが、おいしい召し上がり方には “強火のまま約8分„ の文字。できるだけ底が深い鍋を用意し、強火を維持するのも大切なポインt‥‥クセェなオイwww(※全力で褒めております)
添加物の欄に「香料」の記載があるため、100%豚脂のニオイではないようですが、いわゆるカップラーメンの取って付けたようなクサさとは一線を画す臨場感。トッピングが必要な場合、各自で用意しなければいけないけれど、日清食品のアレとは迫力が違いすぎてビックリしました。というわけで、ここから先はカップ麺vs.袋麺の違いに注目しながら解説していきますよ。
栄養成分表示:1食(185g)あたり |
カロリー:709kcal たん白質:19.2g 脂 質:36.5g 炭水化物:67.3g 食塩相当量:8.3g |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
まったくの別物
日清食品のカップラーメンに搭載されていたノンフライ麺は、いかにも日清食品らしいプリプリとした食感で、揚げ油に由来する雑味こそ皆無に等しかったけれど、如何せん戻りの悪さに伴うストレスが致命的。山岡家のために専用で設計したような素振りも見られず、それを度外視してもイマイチといわざるを得ないクオリティに落胆。いやほんと、この件に関しては早急に改善してくれって何年も前から発信してるんですけどね。
対して札幌麺匠の熟成乾麺は、約8分という長い茹で時間を要しているのに、不思議と箸で持ち上げた際の重量感は軽く、表面はプルンと瑞々しい口当たり。ほとんど縮れは施されておらず、それでいて表面は滑(ぬめ)りを伴わないため、ややスープを弾く嫌いを感じたのですが、それについてはスープ投入のタイミングを1分ほど早め “一煮立ち„ の時間を伸ばすと調整できそうな雰囲気。
店舗の「醤油ラーメン」に使われているのは “非熟成麺„ らしいので、そこは大きなズレになりますが、8分も茹で続けたとは思えないほど加水率が低く、それでいて中心部に適度な芯が残っている状態。後述するスープの保温性が高いので、加水率の低さが仇になるかと思いきや、最後まで中心部の芯は残しつつ、表面のプルンとした口当たりだけが増していくような変化も印象に残りました。これ、カップじゃ無理。
スープ
まったく的外れではないけれど、臨場感は桁違い
日清食品のカップラーメンには「粉末スープ」と「液体スープ」が別添されていて、丁寧な豚骨感と余韻の骨っぽさは印象に残ったけれど、醤油感は実店舗の評判から想像するに弱く、香料の演出も強め。嗅覚に訴えてかけてくる香りのわりに、味覚として感じられるクセは控えめで、実際の醤油感に反して食塩の当たりは強く、デフォルメの折り合いは悪くないと思ったのですが、値段を踏まえると評価は及第点+αが妥当かなと。
片や袋麺は「液体スープ」だけの骨組みで、土台の骨っぽさや炊き出し感など、あながち豚骨のベクトルは遠くないと感じたのですが、まずラードの量がエゲつなくてw 調理後は湯気も立たないほど。っていうか調理中にも消えましたからね、湯気。しかも香料に頼っていないというか、袋麺のほうが圧倒的かつダイレクトにクサかったのと、あきらかに醤油感もパワフル。
さらに肉エキスの存在感も特筆すべきポイントで、しっかり無骨なのに雑味が気になることはなく、オイスターエキスの隠し味も効果的。また麺に集中している間、ちょっと小麦の風味が弱いかなと感じたんですけど、そういえばスープに集中している間も麺の茹で汁っぽさは気にならなくて。ほとんど麺が溶けていないというか、これならスープ用の熱湯を別に準備する必要ないですね。
まとめ
私は袋麺のプロフェッショナルではないので、いつものように星の数で評価することは控えますが、香りの説得力とスープの力強さは袋麺の圧勝。豚骨の打ち出し方には近しい表情を感じたけれど、やはり袋麺のほうがストレートで、加水率が低い熟成乾麺と戻りムラが激しいノンフライ麺の仕上がりも然り、同じ「山岡家」の名を冠した商品でも別物でした。
709kcalの内訳も大部分がスープの動物油脂と肉エキスなんだろうなと、それが体感できるレベルに達していたので、なんというか‥‥日清もっと頑張れたんちゃうんかとw 袋麺に具材は別添されていませんが、そもそもカップラーメンの具材がショボすぎたんで、販売価格を踏まえても袋麺に軍配。日清食品のカップラーメンはオススメできませんけど、袋麺は体験の価値ありますよ。【author・taka :a(大石敬之)】