どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年7月29日(月)新発売のカップ麺、明星食品「明星 大砲ラーメン とんこつまぜそば」の実食レビューです。
本店社員の限られた人間しか食べられなかった “まかないメニュー”「とんこつまぜそば」をカップ麺で再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
大砲ラーメン とんこつまぜそば 2019
「大砲ラーメン(たいほうラーメン)」とは、豚骨発祥の地・久留米(くるめ)に本店を構える1953年(昭和28年)創業の老舗ラーメン店で、名前の由来は喧嘩っ早くて負けん気の強い創業者・香月昇氏の “一度こうと決めたら大砲の弾のように一直線に突き進む” という一本気な性格に因んだもの。
久留米市明治通りに開業した一軒の屋台に始まり、その当時から一度も釜を空にすることなく継ぎ足されている「呼び戻しスープ」が大砲ラーメン最大の特徴で、それを発案したのが初代店主・香月昇氏。それを初代の実子であり、二代目店主を務めている香月均史氏が「呼び戻しスープ」と名付けました。
今回の商品パッケージにも「YOBIMODOSHI(よびもどし)」と記載されているのですが、カップラーメンではなくカップ「まぜそば」。明星食品と大砲ラーメン店主・香月均史氏の共同開発商品で、2018年9月24日にも発売されていた「明星 大砲ラーメン とんこつまぜそば」の再販になります。
けれどもテコ入れのなしの再販ではなく、前回発売品と比較して “さらにコク感を増し、豚骨の味わいをパワーアップして再登場” とのこと。しかしながら大砲ラーメンのFacebookページには “香りは抑え” と記載してあったので、どうやら豚骨臭や獣臭を強化したスタイルではないようです。ちょっと心配な一言ですね‥‥
もともと「とんこつまぜそば」とは、お店で従業員の “まかないメニュー” として考案されたバックヤードの食べ物です。なので正式なグランドメニューにはないのですが、昨年はカップ麺の発売を記念して、大砲ラーメン史上初となる汁なしラーメン「とんこつまぜそば(ピリ辛マー油入り濃厚とんこつ味)」を実店舗でも期間限定発売。
2019年8月1日現在、実店舗での連動企画は発表されていませんが、当時は本店・合川店で700円、福岡小田部店・KITTE博多店では750円でリアル大砲とんこつまぜそばを提供していました。とりあえずカップ麺のコンセプトもパッケージデザインも前回と同じような雰囲気で、新たに「辛さレベル」が表示されています。
その辛さレベルは5段階中たったの「2(ピリ辛)」なので、辛さを楽しむ製品ではないのですが、「とんこつまぜそば」とは “とんこつの味を知り尽くした本店社員の限られた人間しか食べられなかった” まかないメニューを再現したもの。前回発売品は動物油脂が強烈で、かなり人を選ぶカップまぜそばに仕上がっていましたが、豚骨のコク感アップに注目です。
開封
ちょっと開封前に気になったのが商品の「製造所」で、明星食品の汁なし大盛カップ麺は基本的に東日本明星株式会社の埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360 / R*)で製造されているのに対し、今回は西日本明星株式会社の神戸工場(兵庫県神戸市東灘区深江浜町34-2 / 73*)となっています。
昨年、このブログでレビューした個体も神戸工場(関西工場)となっていたのですが、同じ時期に同じ商品を埼玉工場(嵐山工場)でも製造していたので、もしかすると今年も “賞味期限欄下段右端” に表示されている「製造所固有記号*」が「R」となっている製品も存在するかもしれません。稀な例ではあるものの、過去に同じ商品でも製造所の違いで麺に大幅な差が生じていたことがありました。
さて、中に入っている小袋は「液体ソース」と「あとのせかやく」の合計2袋、先入れの小袋はありません。あとのせかやくの小袋は前回と同じ紫色ですが、液体ソースの小袋は青色からオレンジ色に変わっています。ただ、小袋の構成自体は前回と同じですね。
製品詳細情報・購入価格等
販売店は特に限定されていませんが、おもにコンビニでの販売を意識して開発されたもので、私の購入店舗は「ローソン」。他、コンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ファミリーマート」と「ミニストップ」での取り扱いが意欲的でした。
メーカー希望小売価格は税別230円、コンビニでの実売価格は税込243円が相場。ちなみに昨年の希望小売価格は税別218円、2019年6月1日の価格改定から値上がりしているのですが、昨年のコンビニ実売価格は税込235円と実質8円の値上げ(タテ型ビッグのカップラーメンは平均16円の値上げ)なので、ぜんぜんマシなほうですね。
製品名:明星 大砲ラーメン とんこつまぜそば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 神戸工場(73) 内容量:163g(めん130g) 商品コード:4902881438186(JANコード) 商品サイズ:縦176mm×横176mm×高さ65mm 発売日:2019年07月29日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:角型ビッグ・大盛サイズ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:770ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体ソース・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、粉末油脂、ソース)、ソース(豚脂、しょうゆ、香味油、糖類、ポークエキス、食塩、たん白加水分解物、香味調味料、香辛料)、かやく(キャベツ、豚・鶏味付肉、ごま、香辛料、ニラ、ねぎ、のり、紅しょうが)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、トレハロース、炭酸カルシウム、カラメル色素、酒精、かんすい、香料、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、炭酸マグネシウム、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部に卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・卵・乳成分・豚肉・鶏肉・大豆・ごま・りんご(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載)※本品製造設備では、えび・かにを含む製品を生産しています。※原材料ののりは、えび・かにが混ざる漁法で採取しています。 |
実食開始
麺は熱湯5分の油揚げ麺で、麺の量は130gの大盛、具材のキャベツは最初から中に入っています。調理前の麺は白っぽ見た目ですが、原材料にはソースが練り込まれていて、今のところ前回から大幅な違いは見られません。ちょっと独特の層を感じる個性的な食感の麺だったので、麺の質感にも注目しながら食べてみます。
液体ソース(タレ)は量が多く、さらに動物油脂が主体なので、お湯を入れてから待っている間にフタの上で小袋を温めておきましょう(2、3分したら途中で1回ひっくり返すのも地味にポイント)。あとは湯切り後に液体ソースを馴染ませて、あとのせかやくをトッピングしたら出来上がり。
調理後の見た目は前回と変わりませんが、液体ソースを馴染ませている時の香りが違っていて、豚骨よりも特製マー油から感じる独特の香りを手前に感じました。それでは、前回との違いに注目しつつ、「めん」「たれ」「具材・あとのせかやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(163g)当たり
カロリー:749kcal(熱量 / エネルギー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっと前回よりもメリハリがついたような口当たりで、麺の見た目も前回より角ばった切刃で切り出されているような雰囲気ですが、前述したように原材料名は同じですし、明星食品のニュースリリースに記載されている “ソースに良くなじむソフトな表面で、かつ中心は弾力のある太麺です。” という解説も変わってません(※1文字も)。
また、製品説明どおり表面はソースの馴染みがよく、最初に歯を受け止める表面の層はソフトに迎え入れてくれるのですが、明星食品が得意とする極太の超むっちり多加水タイプではありません。どちらかというと粉っぽい質感で、ごりごりの低加水麺ではないけれど、中心部に若干の芯が残る歯切れの良さと硬めの歯応えを意識しています。
その表面はソフト、中心部は硬めといった麺の層も前回と同じで、油揚げ麺でも特有の風味は穏やか。まぜそばの麺としては細めですし、お店のラーメンを想起させるようなストレート麺でもないけれど、 もし粘り気のある麺だとタレの油脂で後半しんどかったかもしれません。というわけでタレとの相性を加味すると、今回の麺で適任だったと思います。
たれ
たれ(ソース)の原料自体は変わっていませんが、前回は手前にあった「糖類」が後ろにあった「香味油」と入れ替わっていて、これは含有量の違い、つまり昨年よりも全体における香味油の比率が増えていることを意味しています。あいかわらず動物油脂が強烈なのは同じでしたが、豚骨のコク感よりも香味油の個性が目立っていますね。
全体の食塩相当量は6.6gと多めですが、まったりとしたオイル感が塩気を包むため、よくある塩っぱいタレではありません。それに大量の油脂でも味がピンボケしないように、大砲ラーメン特製のマー油(焦がしニンニク油にラー油を合わせたもの)が引き締めてくれます。ただ、昨年よりも豚骨のコク感が増したのかと聞かれたら増しておらず、手前に感じるのは癖のある香味油。
タレの油脂成分は胡麻油などの植物性ではなく動物性の豚脂なので、正直かなり重たくて人を選びますし、昨年は途中棄権者を何人も出しているので、今年も生半可な気持ちで手を出してはいけません。それだけにハードコアなタレは面白く、その癖も一興と思えた反面、増しているはずの豚骨が減退していたのは残念でした。
具材・あとのせかやく
かやく(固形具材)はキャベツのみで、量としても頼りなく、個々のサイズも小さめです。しかし、みずみずしいキャベツは強烈なタレの中でインターバルに効果的な存在で、もしキャベツが入っていなかったら後半ちょっと厳しかったかもしれません。また、あえてキャベツが多くなかったからこそタレの強烈さが際立っていたと言えなくもないけれど、今回の本命は「あとのせかやく」。
あとのせかやくの内容はニラ、肉ミンチ、ゴマ、紅ショウガ、ネギ、海苔、ブラックペッパーで前回と変わっていませんが、これらのアクセントが実に嬉しいですね。後入れのニラは風味がよく、ネギでは出せないパンチのある風味が黒マー油とんこつ味のタレと相性抜群。ただし普段は好印象な軸の部分は湿気ると歯ざわりが悪くなるので、今回に限っては葉先のほうが好印象です。
そしてネギはネギでニラには出せない風味の引き立て効果があり、その両者以上に効果的だったのがゴマ、紅ショウガ、海苔、ブラックペッパーの “ふりかけ陣” 。土台の豚骨風味と白ゴマの芳ばしさは約束された相性のよさで、こってり感の強いタレを引き締める小さな紅生姜の酸味もサイズ以上の功労者。
さらにピリ辛マー油の辛さ(カプサイシン)とは違う、ブラックペッパー(ピペリン)の爽やかな引き締め効果も見逃せないアクセント。こってり感の強いタレに大盛り油揚げ麺という組み合わせから、もし「あとのせかやく」がなかったらリタイア率が跳ね上がったかもしれません。小さな肉ミンチはフライドガーリックのほうが‥‥などと思いつつ、何気にジャンクで濃いめの味付けも悪くないですね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
液体ソースを投入した瞬間から “むわっ” と品のない香りが漂ってくるのでw ある意味それも面白く、これだけ人を選ぶカップまぜそばも珍しいですし、価値のある一杯だと思います。ただ、同じ「とんこつまぜそば」でも1週間前に発売されたセブン限定「一風堂 とんこつまぜそば(2019)」が秀逸だったので、かなりタイミングの悪いリリースだったかもしれません。
それに豚骨のコク感アップというよりも香味油の影響力が強く、それが残念だったので、「とんこつまぜそば」が食べたいのであればセブンイレブンに行くことをオススメします。もちろん思い切りがあって悪い商品ではないのですが、今度は油揚げ麺ではなくノンフライ麺を使用した 「昔ラーメン」の汁なしアレンジ版を食べてみたいですね。製品化したら、かなりの脅威になるはずです。