どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年6月19日(月)新発売、寿がきや食品のカップ麺「全国麺めぐり すがわら監修 旭川塩らーめん」の実食レビューです。
透明すぎるスープに秘められた、力強く濃密な旨み——。1974年の創業から約半世紀 “あさひかわ塩らーめん” の代名詞となった老舗「すがわら」本店の味をカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
すがわら監修 旭川塩らーめん
すがわらとは、1974年(昭和49年)の創業以来、しょうゆラーメンの文化が根付いている北海道は旭川の地で “ひたすら「塩らーめん」を追求し続けている” 老舗の名店で、透明すぎるスープが最大の特徴。それは驚くほどに美しく、透き通った見た目でありながら、口に含むと力強い旨みが押し寄せてくる逸品で、地元のラーメン好きからはもちろん、業界で権威のある人物からも高く評価されています。
今回の新商品「すがわら監修 旭川塩らーめん」は、北海道旭川市7条通7丁目に本店を置き、2023年8月30日に満を持しての東京進出(「旭川塩らーめん すがわら 人形町店」オープン)を果たした「ラーメン すがわら 本店」監修によるカップラーメンで、愛知県豊明市沓掛町に本社を置く寿がきや食品のブランド「全国麺めぐり」より、旭川のラーメン文化とは一線を画す「塩」の味わいが再現されました。
旭川発祥の “塩” といえば、現在も札幌の地で不動の人気を博している「五丈原」「てつや」「白樺山荘」「けやき」「山岡家」らと並び、1990年代の札幌ラーメン界に革命を起こした “第2世代” の中でも異彩を放つ「山頭火(さんとうか)」が有名で、日清食品が製造するセブン&アイのカップ麺「セブンプレミアムゴールド 山頭火 旭川とんこつ塩」を監修していることから、ご存じの方も多いでしょう。
しかし、旭川を創業の地とする「山頭火」が確立した “しおらーめん” は、乳化感の強い白湯(ぱいたん)と呼ばれるスープが特徴。対して創業から半世紀を目前に控える「すがわら」の “塩らーめん” は、清湯(ちんたん)あるいは製法の違いで掃湯(さおたん)と呼ばれる透き通ったスープを特徴としているため、どちらも旭川発の塩でありながら系統は別物。
店舗の暖簾(のれん)や丼にも描かれているイラストのモデルになった「すがわら」の創業者は、すでに高齢のため現役を引退し、現在は「旭川 三平 本店」や「すがわら三平」「ちゃんこ屋 天空」「四季のおばんざい CoCoキッチン」を展開している株式会社エンフードが経営しているため、昔ながらのファンから “味が変わった” などと言われることもあるようですが、スープの透明度は健在。
また現在の「すがわら」運営母体である株式会社エンフードは、自社で開発したレシピに基づき、オリジナルの袋麺(「すがわら塩ラーメン」や「三平くんラーメン」など)も製造・販売しているため、それに使用する乾燥麺だけは製麺会社(藤原製麺かな?)に発注しているようですが、濃縮スープは自社生産。さらに充填処理はもちろん、資材包装も手作業で行うなど、けっこうガチで取り組んでいます。
というわけで、以前から即席めん業界とも関わり合いのある企業なのですが、おそらく “即席カップめん” の監修は初めての試み。濃縮スープを自社生産・充填する技術を持ちながら、その工程を寿がきや食品に任せているため、いろいろな葛藤があったり、ちょっと特殊な意見交換が為されたりしたのでは‥‥などと妄想を膨らませていたんですけどw ひとつ確信しているのが相性の良さ。
というのも元来、寿がきや食品のカップラーメンに使われるノンフライ麺は、ちょっと塩気の強い淡麗系のスープに合わせると、お互いの魅力を引き立て合うような相乗効果を生み出してくれることが多く、なかでも “塩らーめん” は鉄板といっても過言ではありません。はたしてスープの透明度は高いのか、きちんと旨みは力強いのか、そういった部分にも注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「あとのせかやく」計3種。すでに日中の外気温が余裕で30度を超えている現在(兵庫県)ではあるものの、液体スープに含まれる油脂分が凝固しているため、かなり動物油脂が多い様子。ちなみに「すがわら」の店舗に “塩ダレは存在しない” そうなので、なおさらカップ麺での組み方が気になるところ。
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。以前は加ト吉水産のフーズ部(群馬工場)に製造を委託しており、現在は寿がきや食品の関東工場で製造しているのですが、どちらも住所は同じ。というのも寿がきや食品の関東工場は、旧・群馬工場の土地建物及び機械設備一式並びに従業員ごとテーブルマークから譲渡されたものなので、実質的な体制は変わっていません。
メーカー希望小売価格は274円(税別)に設定されているため、ちょっと高く感じますが、2023年6月1日出荷分に実施された価格改定による影響です。これを以前のメーカー希望小売価格に戻すと242円(税別)なので、つまりは既存の「全国麺めぐり」で基準となる値段。販売店は沖縄を除くスーパーやドラッグストア、通販サイト、一部のコンビニ店舗などが対象で、私はウエルシア薬局で入手しました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:全国麺めぐり すがわら監修 旭川塩らーめん 製造者:寿がきや食品株式会社 製造所:関東工場(群馬県高崎市新町2330-26) 内容量:108g(めん65g) 商品コード:4901677190888(JAN) |
発売日:2023年06月19日(月) 実食日:2023年06月20日(火) 発売地域:全国(沖縄除く) 取得店舗:ウエルシア薬局 小売価格:274円(税別) 購入価格:267.84円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、小麦たん白、植物油脂、大豆食物繊維、たん白加水分解物)、スープ(動物油脂、チキンエキス、ポークエキス、食塩、ゼラチン、煮干しエキス)、かやく(味付肉そぼろ、とろろ昆布、ねぎ)/ 加工デンプン、増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、乳化剤、着色料(カラメル、クチナシ)、粉末セルロース、酸化防止剤(V.E)、酸味料、香料、(一部に卵・小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、見るからにジャンクな肉そぼろとネギだけのラインナップ。ええ、さすがにショボいといわざるを得ない内容ではあるものの、パッケージに掲載されている調理後のイメージ画像に「とろろ昆布」が写っているように、店舗の無料トッピングである “道産とろろ昆布” を意識した「あとのせかやく」も見どころの一つ。
別添の「液体スープ」は後入れなので、かやくを入れてから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと4分。時間になったら麺をほぐし、温めておいた「液体スープ」を加えるのですが、想像以上に動物油脂の量が多く、ぜんぜん湯気が立ちません。画像で見る分には淡麗系ですけど、実際に目の当たりにすると “こってり” した雰囲気。
また「とろろ昆布」はシート状かと思いきや “バラバラに粉砕されていた” ので、ちょっとビックリしましたw というわけで、とろろ昆布なし・ありの変化にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(108g)あたり |
カロリー:363kcal たん白質:8.7g 脂 質:13.7g 炭水化物:51.0g 食塩相当量:7.1g (めん・かやく:2.3g) (スープ:4.8g) カルシウム:184mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:363kcal(めん・かやく:289kcal)(スープ:74kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
いかにも寿がきや食品らしい質感
店舗の「塩らーめん」に合わせられるのは、低加水の中細ちぢれ麺で、卵は不使用など、同じ北海道でも札幌みそラーメンの熟成麺とは異なるタイプ。対して寿がきや食品のノンフライ麺にも卵は使われていませんが、やや加水率は高めの設定で、しっとりとした口当たりが特徴的。たぶん、厳密にいうと再現度は高くないと思います。たさ、しっとりとした口当たりは寿がきや食品ならではの魅力。
けっこう細めのサイズに切り出されているのですが、それに反して粘りは強く、もちもちとした食感。なおかつ卵不使用の低加水麺にも負けないくらい、小麦の風味も豊かに香るため、そこも見どころではあるものの、香りについてはスープの豚脂(ラード)に多少なりともマスキングされています。けれども完全には埋没しない、繊細かつ芯のある小麦感は見事。
寿がきや食品のノンフライ麺と塩気の強いスープは “お互いの魅力を引き立て合うような相乗効果を生み出してくれる” と前述したように、それは今回の「すがわら監修 旭川塩らーめん」でも例に漏れず、なかでも小麦の甘さについては堂々たるもの。やや香りを圧していた豚脂のマスキングに物怖じすることもなく、自然な甘さが口いっぱいに広がって、おもわず飲み込むことを躊躇ってしまいました。
スープ
本物ほど透明度は高くないけれど‥‥
きわめてシンプルな「動物油脂、チキンエキス、ポークエキス、食塩、ゼラチン、煮干しエキス」という原材料名の構成が物語っているように、実際の味わいもシンプルで、ちょっと間延びした感じというか、ひとくち含んだ瞬間 “なんだ、こんなもんか” などと、正直いって拍子抜け。そう感じたのは、おそらく香味野菜や香辛料さえも使っていないからでしょう。しかし、単調に思えたのも3口目まで。
札幌みそラーメンよろしくアブラの層がスープの表面を覆うので、植物油脂もブレンドしているのかと思いきや、まさかの100%動物油脂。その強烈な厚みと芳ばしさも然る事乍ら、土台を支える鶏ガラと豚ガラのコクも丁寧で、煮干の隠し味が奥行きの限界を拡大。その指揮を執るのは “食塩のみ” と極限の引き算を思わせる世界観に、スープの味を確認しようとすればするほど引き込まれてしまう、そんな味。
こってりとしたアブラを引き締めるために、胡椒(コショウ)をはじめとする香辛料やニンニク・ショウガのアクセントを効かせるとか、オニオンの甘みで膨らみを持たせるとか、ほかにも方法はあったと思います。しかし、複雑な味に慣れてしまった現代人の味覚に合わせるのではなく、あえてシンプルさを突き詰めているような、その “ちょっと物足りない” ところに、ある種の美学を感じました。
かやく
スープの “ちょっと物足りない” 部分を「とろろ昆布」がサポート
味付肉そぼろは、食感・風味ともにジャンクでスナック的なので、お世辞にも本格的とはいえないけれど、全体の世界観を壊すほど野暮な主張ではありません。片やFD(フリーズドライ)加工のネギは、AD(エアドライ)加工のネギよりも自然な歯触りで、ジャンクな印象は皆無に等しく、こってりしたスープに対してアクセントに効果的。そして、なんといっても「とろろ昆布」が絶大な存在感。
スープに馴染ませた途端、凝縮された昆布の旨みが全体に解き放たれるだけでなく、とろみが増す効果も相俟って、まったく違った表情に。わかりやすく昆布が強いのは、ちょっと‥‥だとオススメできないトッピングになりますけど、たっぷりのラードが浮かぶスープに「とろろ昆布」が溶け込む様は面白く、こんな組み合わせも “あり” なんだと勉強になりました。
総評
店舗で提供されている「塩らーめん」の画像を見る限り、ここまで “こってり” とした印象は伝わってこないので、たっぷりの豚脂に関しては、おそらくカップ麺のオリジナル。そのため店舗の評判・口コミを調べてヒットする “淡麗” というワードとは裏腹に、大きなギャップを受ける部分もありますけど、複雑な味のカップ麺に慣れてしまった現代人の味覚に一石を投じるような、けっこう衝撃的な一杯。
豚脂の多さだったり、そのわりに香辛料や香味野菜が主張していなかったり、よくも悪くも人を選ぶ商品だと思います。ただ、このようなブログを続けること9年以上、それでも初めての経験だったので、多くの方に触れてもらいたいと感じました。まだ全国的な知名度は低い、旭川発の “知る人ぞ知る” 人気店「すがわら」ですが、今後ともカップ麺を監修していただきたいです【author・taka :a(大石敬之)】