どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年5月27日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺」の実食レビューです。
プロも愛用する本格がらスープ「創味シャンタン」を実際に使用した中華系カップラーメンが新登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺
「創味シャンタン」とは、京都府京都市伏見区に本社を置く「株式会社創味食品」が「創味化学食品株式会社」という社名だった頃(まだ京都市東山区に本社を構えていた時代)、1961年(昭和36年)4月に開発・販売を始めた業務用の中華万能調味料で、廣記商行が販売する「味覇(ウェイパァー)」の前身というのも有名な話。
その家庭用パッケージとして、業務用シャンタンの旨みをマイルドにしたデラックスタイプ「創味シャンタンDX」を2015年(平成27年)3月から一般向けに販売し、関西の重鎮・明石家さんまさんをイメージキャラクターに起用したCMで訴求しているのですが、その「創味シャンタン」を実際に使用しているのが今回のカップラーメン「サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺」です。
もともと「創味シャンタン」の家庭用パッケージとして販売されていたのが廣記商行の赤い缶「味覇(ウェイパァー)」なんですけど、2014年3月に廣記商行が無断でチューブタイプの味覇を発売したことに創味食品が激怒。同年7月に製造契約が破断となり、その内輪揉めが原因で2015年3月末以降、味覇の中身が変わりました(現在は「アリアケジャパン」という会社が味覇の製造を担当しています)。
と、それはさておきサンヨー食品と創味食品は何度かタイアップの経緯があり、「創味シャンタン」を使った丼型のカップラーメン(2018年7月17日発売)や「創味のつゆ」を使った和風カップ麺(2018年12月3日発売)がリリースされているのですが、コンビニ向けのタテ型ビッグで「刀削麺」をイメージした組み合わせは今回が初めてですね。
「刀削麺(ダオシャオメン – Dāoxiāomiàn)」とは、日本語で「とうしょうめん」あるいは「とうさくめん」と発音し、多種多様な麺料理発祥の地として名高い “麺食のふるさと” の異名を持つ中国山西省で生まれた麺類の一つ。それは「パスタの起源」という説もある歴史の古い麺類なんですけど、かなり特殊な作り方なので、熟練の技術を身に付けた職人にしか本物の刀削麺は作れません。
まず小麦粉を水で練って生地を作るのですが、基本的に「かんすい」は “不使用” 。その生地を板の上にのせて片手に構え、反対の手で “くの字” に曲がった特殊な刃物を持ち、一定の長さと厚みを保ちながら熱湯が煮えたぎる鍋の中に向かって素早く生地を削ぎ落とすように飛ばします。削ぎ落とされた生地は柳の葉に似た形となり、片手てで削るため断面は三角で、独特の食感が生み出されるのが特徴。
ちなみにチャイナフェスティバル「炎の激辛中華G1グランプリ」にも輝いた名店「陳家私菜」のオーナーシェフ・陳龐湧さんが日本で初めて刀削麺を提供したと言われているのですが、そんな刀削麺をイメージしたサンヨー食品の特許製法「刀削風麺」を採用。今回が初登場ではないけれど、「創味シャンタン」使用に匹敵する見所の個性的なポイントです。
2015年5月11日に発売された「サッポロ一番 麺の至宝 汁なし担々 刀削風麺」以来、サンヨー食品は汁あり・汁なし、油揚げ麺・ノンフライ麺などを問わず、積極的に「刀削風麺」を使ったカップ麺をリリースし、その度すこしずつ改良を重ねているので、スープの「創味シャンタン」らしさと海鮮の旨味はもちろん、「刀削麺」の再現度にも注目ですよ。
開封
別添の小袋はフタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋(後入れ)」が1袋で、中身は粉末ではなく液体。フタの上は容器側面に描かれているデザインと同じ赤と白を基調にしたもので、おそらく背景の文字は中国の古い漢字だと思うんですけど、オリジナル(創味シャンタン)のパッケージを踏襲しています。
開封すると意外に具材が多く、キャベツ、キクラゲ、ねぎ、人参、細いカニ風味かまぼこと具沢山。また、この段階から海老(干しエビ)と胡麻油を合わせたような中華風の芳ばしい香りが強めに漂ってきて、なんだろう——実は麺に感けて他は頼りないんじゃないかと想像していたので(すいませんw)思いのほか好印象なファーストインプレッションでした。
ちなみに容器底面の賞味期限欄下段左端に「W」と表示されているのですが、これは製造所固有記号といい、サンヨー食品のWは奈良県にある「太平食品工業株式会社」の「関西工場」(奈良県大和郡山市額田部北町944)を意味してます。最近ちょいちょい表に出るようになりましたが、太平食品工業は長年にわたり「サッポロ一番」の製品を作り続けているサンヨー食品の生産部署にあたるので、ご安心ください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場・W 内容量:94g(めん70g) 商品コード:4901734037385(JANコード) 商品サイズ:φ112×118(mm) 発売日:2019年05月27日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PS)+胴巻き紙 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、大豆食物繊維)、スープ(糖類、食塩、中華調味料、ポークエキス、でん粉、チキンエキス、香辛料、エビ調味粉末、魚介エキス、野菜エキス、カキエキス調味料、しょうゆ、たん白加水分解物、酵母エキス、椎茸エキス)、かやく(キャベツ、キクラゲ、かに風味かまぼこ、人参、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)、酒精、香料、かんすい、クチナシ色素、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、ベニコウジ色素、ビタミンB2、酸味料、ビタミンB1、カラメル色素、(一部にえび・かに・小麦・卵・乳成分・いか・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・魚醤(魚介類)を含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】えび・かに・小麦・卵・乳成分・いか・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるものを表示 27品目中)※本製品で使用しているエビ調味粉末の原料(えび)は、かにが混ざる漁法で採取しています。カキエキス調味料に魚醤を使用していますので、魚介類が含まれています。 |
実食開始
麺はサンヨー食品の特許製法を用いた刀削麺風の油揚げ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。中華料理店などで提供される本物の刀削麺と比較して幅が狭く、さらに梘水(かんすい)も使用しているので麺のジャンルは「中華麺」になるのですが、あくまで「刀削 “風” 麺」ですからね。それ言っちゃうとなんでもありになってしまうのですがw この時点で同じ1本の麺でも両端の厚薄に違いが見られます。
さて、完成です。調理後は麺が見えないほど膨張していた具材の量に驚いたのですが、もちろん1食分で不正などは行っていません。ちなみに粉末スープにはトロミ成分が含まれていて、あんかけスープほど強烈なトロミではなかったけれど、念のため40秒〜1分ほど混ぜたほうがいいように感じました。
それでは、創味シャンタン使用のスープと刀削風麺の仕上がりに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(94g)当たり
熱 量:410kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:410kcal(めん・かやく:327kcal)(スープ:83kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん(刀削風麺)
特殊切刃を使用することで手もみ風ちぢれめんを再現しました。めんの厚みの違いによりつるつるとした食感と、しっかりとした食べ応えが楽しめます。
(出典:サンヨー食品オフィシャルサイト「ホーム > 製品情報 > サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺)
刀削麺と “手もみ風ちぢれめん” は別物なんですけど‥w 実際の刀削麺はラーメンよりも短くて幅が広く、前述したように梘水(かんすい)も使用しないため、あくまでも刀削麺のランダムな口当たりと食感を意識したカップラーメンの油揚げ麺に過ぎません。しかし、そのランダムな口当たりと弾力が面白い個性となっていて、さらに以前の刀削風麺よりも麺単体としてのクオリティがアップしています。
というのも最近あまり新作が出ない「麺の至宝」シリーズを筆頭に、「刀削風麺」や「手打ち風めん」といった特殊製法の麺は、ちゃんと3分待っても基本的に柔めの食感に仕上がることが多く、しかも早い段階からコシもヘッタクレもなくなっていたんですけど、今回わりと食べ終わる頃まで一定の弾力をキープしていたことに大きな成長を感じました。
さらにスープの温度が持続しやすいプラ製の容器に同巻き紙という製品スタイルで、なおかつトロミも相俟ってスープは最後まで熱々だったんですけど、しっかり踏ん張ってダレません。あくまでも刀削麺風ではあるものの、片面は薄くて反対側の面は厚い、そんな三角形の断面図も再現されていて、ランダムな縮れと捩れでスープを持ち上げる巻き込み性能も高かったです。
スープ(創味シャンタン使用)
「創味シャンタン」をベースに、ポーク、チキン、野菜、魚介のうまみを合わせ、胡椒で程よくスパイシーに仕上げた、とろみのある中華系海鮮塩味スープです。
(出典:サンヨー食品オフィシャルサイト「ホーム > 製品情報 > サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺)
パッケージの「海鮮塩味」を見て真っ先に思い浮かんだのがイカの風味だったんですけど、実際は「エビ調味粉」を筆頭に乾物系の旨味と香りが強く、粉砕した干しエビを彷彿とさせる芳ばしい風味がフロントにあって、思っていた以上に個性的。ある意味それは創味シャンタン以上に主張していたのですが、ちゃんと土台は創味シャンタンです。というのも——
「仕上げの小袋」に含まれていたのは調味油や液体スープではなくペースト状の液体で、これがモロ「創味シャンタン」なんですよね。もちろん小袋の中身はフルで創味シャンタン100%ではないと思いますけど、おそらく原材料名に表示されている「中華調味料」が創味シャンタンで、このペーストを箸先にちょっとだけつけて舐めてみたところ、それはそれは創味シャンタンでした(笑)。
ちゃんと創味シャンタンを土台にし、乾物系の旨みを立てることで中華系らしい海鮮味に仕上がっていたのですが、ちょっと奥行が浅いですね。基本は創味シャンタン、その他いろいろ中華調味料をサポート的に足してみた結果、けっこう複雑な味にはなったけど、その指揮を取る役割(ラーメンでいうところのタレ)が不在というか、あと一つ何か足りなぁ‥いや、いろいろ入れすぎたかなぁ‥みたいな。
それはそれで、なんか家で作ってみた感というか親近感ありましたけどw ちなみに「サッポロ一番」印の「塩味」ですが、サンヨー食品の手がけるNB商品(ナショナルブランド商品)には基本的に無条件で「サッポロ一番」のロゴが付くので(東洋水産の “マルちゃん” と同じ原理)、「サッポロ一番 塩らーめん」とは “関係ありません” し、ぜんぜん味も違います。
具材
キャベツ、かに風味かまぼこ、キクラゲ、人参、ねぎの組み合わせです。
(出典:サンヨー食品オフィシャルサイト「ホーム > 製品情報 > サッポロ一番 創味シャンタン 海鮮塩味 刀削風麺)
まったく肉っ気はありませんが、けっこうキャベツの量が多く、ぜんぜん物足りなさはありません。創味シャンタンで味付けしたトロミのあるスープとキャベツの相性は約束されているようなものですし、イメージは家でキャベツが中心のタンメンを創味シャンタンで作ってみた的な。商品のタイトルに「タンメン」の名前を出していいくらい、しっかりとキャベツが入っています。
上記の画像は熱湯3分後にフタを開けて直後、いっさい箸をつけることなく撮影した写真になるのですが、具材で麺が見えません。で、ご覧の通りキャベツがメインではあるものの、かに風味かまぼこの量も多く、そのカニ風味がスープの海鮮感をサポートしてくれるため、単なる彩りだけの要員ではないですよ。
人参とキクラゲは量こそ特筆すべき点はありませんでしたが、どちらもコリコリとした食感で、野菜のコリコリとキノコのコリコリ、それぞれベクトルの違う食感で自己アピール。ネギは風味・食感ともに主張が強いタイプが採用されていたので、多過ぎず少な過ぎず適量だと感じました。タンメンのイメージ的に玉ねぎも欲しかったんですけど、さすがに要求できないくらい、具材の量はバッチリです。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4+)
実は正直ぜんぜん期待していなかったので、まぁフツーに美味しい中華万能調味料味のスープにコシもヘッタクレもない麺、でも特殊な形状の麺に加えて創味シャンタン使用の利権も伴うだから、それにコストを取られて具材はショボいんだろうな‥‥などと失礼極まりないイメージだったんですけどw いい意味で予想を裏切ってくれた個性的な新商品でした。
ちょっとスープの味に核がないというか、旨み成分が複雑すぎて統率が取れていない感じではあったものの、一見して明白に分かる創味シャンタン使用の個性、そして以前よりも耐久性が増していた刀削風麺にキャベツたっぷりのタンメンらしさも好印象。あと “海鮮” の指標が干し海老っぽい乾物系の旨味だったので、それも今回のカップ麺で特徴的なポイントですね。