どうも、taka :aです。
本日の一杯は、素材の産地や旨味にこだわったオープン価格の和風カップ麺、日清食品「日清の京うどん」の実食レビューです。
2000年に誕生して以来、日清食品の廉価版シリーズとしてリニューアルを繰り返しながら2018年11月現在まで販売が続けられているロングセラー商品で「こだわり具材」シリーズの和風部門、「日清の京うどん」を食べてみました。
オープン価格の廉価版だけど大丈夫?おいしい?まずい?コスパ的にどう? “京風きざみ揚げ” の理由に関東・大阪・京都で化ける “たぬき” とは‥実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、その疑問を解消します。シリーズの歴史を振り返りつつ、ちょっとした小ネタも挟んでおりますので、お時間よろしければ最後までお付き合いください。
日清の京うどん
日清の「こだわり素材」シリーズは、スーパーなどの安売り用カップ麺として現在は販売されているオープン価格のブランドで、メーカー希望小売価格を設定していない廉価版でありながら “素材の産地” や “うまみ” にこだわっているレギュラーサイズのタテ型カップ麺です。
初めて発売されたのは、2000年11月6日。当時は麺に「こだわり素材の “もち性” 小麦」(もち米のように粘りが出る “でんぷん” を含んだ小麦「国産チクゴイズミ小麦」)を50%練り込み、うどんつゆには「利尻産昆布」と「焼津産鰹」をベースに「有機丸大豆の醤油」を合わせ、具材の刻み揚げにも有機大豆を使用していました。
シリーズの発売当初は「日清の、ええ度胸(江戸・京)」をキャッチフレーズに、デーモン小暮さんを起床したインパクトのある歌舞伎風のCF(Commercial film)を放映して新製品の訴求が行われていたので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。その当時から大幅にパッケージのデザインを変更することなく、現在まで販売が続けられているロングセラーブランドです。
それでは、ちょっとシリーズの歴史(リニューアルと期間限定の変わり種)を振り返ってみましょう。
2002.11.05 麺の配合を変更
2003.11.04 刻み揚げの製法を改良
2004.05.10 シリーズ初の「カレーうどん」発売
2004.11.08 再び刻み揚げの製法を改良
2005.04.18 シリーズ初の「天茶うどん」発売
2005.10.31 つゆリニューアル
2006.05.08 シリーズ初の「カレー南蛮」を発売
2006.10.30 麺を太くして刻み揚げを改良
2007.05.01 シリーズ初の「若竹うどん」発売
2007.10.22 変わらぬ安心感を重視
2008.05.12 シリーズ初の「梅の香仕立て」発売
2007.10.22 変わらぬ安心感を重視
2008.11.04 希望小売価格を170円にアップ
2009.02.23 100円の「小盛」が登場
2009.09.07 麺が縮れのない「しゃんうどん」採用
2010.09.06 つゆの昆布だしを増強
2011.03.14 “甘利香辛食品”「カレー南蛮」発売
2011.08.29 つゆに椎茸を追加 麺量60g→58g
2012.10.29「七味家本舗」“七味唐がらし” を別添
2013.04.08「七味家本舗」“ゆず一味” を別添
2013.10.28 秋冬は “七味唐がらし” をテーマに
2014.04.21 春夏は “ゆず一味唐がらし” をテーマに
2014.10.06 秋冬用の “七味唐がらし” に変更
2015.08.24 別添を廃止 “オープン価格化” 麺量50g
2016.08.22 パッケージデザインを変更
2017.08.07 パッケージデザインを変更
2000年〜2007年まではメーカー希望小売価格が税別155円に設定されていたのですが、2008年11月のリニューアルから希望小売価格を税別170円に引き上げ、2015年8月から現在のオープン価格製品となり、明暦年間の頃(1655年~1659年)に創業した京都清水「七味家本舗」の “七味唐がらし・ゆず一味唐がらし” 別添を廃止して麺量が50gに減りました。
発売当初より一貫してアピールされていた麺の「国産チクゴイズミ小麦」ですが、 “しゃんうどん” にリニューアルされた2009年頃からニュースリリースの表記が曖昧になっています。2011年までは定期的に期間限定の変わり種がリリースされていましたが、それ以降は定番「江戸そば」と「京うどん」2品の安定感とブラッシュアップを意識したリニューアルが繰り返されていますね。
さて、発売当初から一貫して「京都」をテーマにしているのですが、京うどんといえば “たぬき” が有名。関東の “たぬき” は天かす(揚げ玉)をトッピングしたうどん(大阪でいうところの「ハイカラうどん」)、大阪の “たぬき” は油揚げをのせた蕎麦(関東でいうところの「きつねそば」)、京都の “たぬき” は刻み揚げをトッピングした「あんかけきつねうどん」のことを指します。
今回のカップ麺は “とろみ(あんかけ)” について言及されていないので、 “たぬき” 自体は関係ないのですが、京都の「きつねうどん」には餡掛け以外に甘い味付けの油揚げが1枚〜2枚のっている「きつね(甘ぎつね)」と、甘い味付けが施されていない刻み揚げをトッピングした「きざみ(刻みきつね)」の2種類あるんです。あ、余談ですけどパッケージにも写っている五重塔は五階建てではありません。(※大きな一階建ての建造物です)
なぜ刻んだ油揚げをトッピングした別バージョンがあるのかというと、おちょぼ口で食べなければいけない “舞妓さんが食べやすいように” という配慮から生まれたメニューなんですよね。「日清の京うどん」は、その京都ならではの風土(きざみ)を意識して開発された和風カップ麺になります。さて、ずいぶんと前置きが長くなってしまいましたがw 開封して中身をチェックしてみましょう。
開封
2018年11月現在の製品には別添の小袋など付属されていませんが、たっぷりの刻み揚げが目立っていますね。メーカー希望小売価格が設定されていないオープン価格の製品になるので(カップ麺のオープン価格製品は電化製品などと違って廉価製品に位置しています)、およそスーパーなら平均で税込105円前後、ドラッグストアやドン・キホーテなどのディスカントショップ、また広告の品などのセール対象になっていたら税込70〜90円前後で激安ゲットできることもあります。
私が最後に食べたのは「七味屋本舗」の「ゆず一味唐がらし」が別添された製品(2014年4月21日発売品)で、当時そのレビュー記事をアップしたのは2014年7月11日。それ以来、新商品の評価を優先していて手が回っていなかったので、最後の実食から約4年以上も間隔が空いています。な、なんか緊張してきた‥w
製品情報・購入価格
製品名:日清の京うどん 製造者:日清食品 製造所:B(下関工場) 内容量:62g(めん50g) 発売日:2017年8月7日(月)リニューアル JANコード:4902105238349 希望小売価格:オープン価格 発売地域:全国(全チャネル販売) |
麺の種類:油揚げ麺 容器材質:紙 必要湯量:300ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:- |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】 油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、大豆食物繊維、植物性たん白)、スープ(粉末しょうゆ、魚介調味料、食塩、糖類、豚脂、昆布調味料、たん白加水分解物、かつお節粉末、酵母エキス、香辛料)、かやく(味付油揚げ、かまぼこ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、炭酸Ca、乳化剤、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、パプリカ色素、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、ベニコウジ色素、(一部に小麦・乳成分・大豆・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルギー表示】 小麦・乳成分・豚肉・大豆・ゼラチン |
実食開始
パッケージには「※京都のきつねうどんは甘く味付けした揚げと山椒がきいたつゆが特徴です。」と書かれているのですが、前述したように京都の「きつね」は甘く味付けした油揚げがのっていますが、「きざみ」になると基本的に甘い味付けではありません。ただ、おっしゃる通り山椒はマストですね。
今回はカップうどんですが、お湯を注いでから熱湯3分で大丈夫です。フタをして待っている間、西の「どん兵衛」に通じる和風だしの香りと揚げの甘い香りが漂ってきたのですが‥
はい、完成。舞妓さんが食べやすいように小さくカットされた刻み揚げで京風を演出し、その量もオープン価格の廉価版とは思えないボリュームですよね。どん兵衛にルーツを感じる甘めの出汁とネギの香りを感じるのですが、あまり山椒は目立っていません。
それでは、実際に食べてみましょう。つゆに「利尻昆布」と「丸大豆醤油」を100%使用していることも「こだわり素材」のポイントなので、それにも注目しながらレビューします。
1食(62g)当たり
カロリー:279kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:279kcal(めん・かやく:253kcal)(スープ:26kcal) |
めん
つるみのあるまっすぐでしなやかなうどん。
(日清食品「ニュースリリース」より引用)
以前は “もち性” 小麦の「国産チクゴイズミ小麦」をアピールしていましたが、現在は特に小麦粉の産地や品種については言及されていません。きちんと熱湯3分で食べ頃を迎え、期間限定の「タテ型どん兵衛」みたいに目立った戻りムラも目立って気にならない、しなやかで喉越しのいい油揚げ麺です。ただ、ぺらっぺらで厚みがなく、コシや粘り気、弾力などは意識されていません。
風味については “昔のどん兵衛”(熱湯3分時代)に近く、ちょっと懐かしさを覚え、しかしながら縮れのないストレート麺には先進的な日清食品らしさが垣間見られたのですが、耐久性に難あり。というか、そもそもの食感が食べ始めの段階から頼りないんですけど、うどんのイメージとしては京都というよりも “稲庭うどん” に近い印象ですね。
食べ応えを求めると物足りなさが先行するのですが、とにもかくにも寄り添い型の主張から油揚げ麺特有の野暮ったさは控えめで、関西風つゆとのバランスもよく、おにぎりと一緒にスープ感覚で食べられるタイプ。小腹が空いた時や軽めに食事を取りたい時、何気に重宝すると思います。
つゆ
まろやかで深いうまみが特長の丸大豆醤油を使用し、利尻昆布エキスでうまみをきかせた風味豊かなつゆ。アクセントにさんしょうを加えました。
(日清食品「ニュースリリース」より引用)
会津産鰹節のアピールは廃止されましたが、2000年から一貫して利尻昆布の使用が続けられています。オープン価格の廉価版に有り勝ちな化学調味料特有のピリピリとした刺激も控えめで、しっかり出汁が効いている関西風。丸大豆醤油を使用しながらも醤油が攻めてくるタイプではなく、しかしながら後味は食塩のキレがピシッ、と引き締めます。
麺を食べている時や食べ始めは出汁重視の優しいテイストで、比較的に甘味も強く、魚介を中心に据えながら、じんわり昆布が効いてる‥「北のどん兵衛」ほど昆布が主体の味ではありませんが、テイストとしては西日本の「どん兵衛 きつねうどん」(よりも気持ち醤油が強めなんですけど)に近いため、その雰囲気を手頃な価格で味わえる全国発売品という部分には需要を感じました。
徐々に後半は塩気が蓄積してくるのですが、京都は濃口醤油よりも実は塩分濃度が高い薄口醤油をメインに使うので、料理によっては出汁を効かせた繊細な味わいながらも食塩のキレが強く、その印象としてはマッチした塩気のキレかもしれません。雰囲気的にもバッチリと関西風のつゆに仕上がっているのですが、肝心の山椒は大して目立っていなかったので、それが少し物足りなかったです。
かやく
京風きざみ揚げ、かまぼこ、ネギ。
(日清食品「ニュースリリース」より引用)
一応、甘口の味付けではあるのですが、「日清のどん兵衛 きつねうどん」の油揚げほど甘濃いテイストではありません。やや比較的にパサついた食感だったので、「どん兵衛」ではなく「日清御前」の油揚げを刻んで入れているような印象でしょうか。しかし、ご覧の通り量が多く、これでオープン価格なら上等です。
かまぼこは「日清の江戸そば」と共通だと思うんですけど、つゆの塩梅からネギの味や香りの存在感は江戸そばよりも大きく‥いや、よく見ると江戸そばのネギよりも大きいですね。江戸そばのネギは粉末スープと同梱されているようなタイプだったんですけど、もうちょい大きめでシャキッとしていました。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(3)
(標準は★3です)
刻み揚げをトッピングした関西風うどんということで、たしかに「京都」のイメージにも繋がりますし、オープン価格なのに具材が多く、値段を思えばペラペラで厚みのない麺にも納得できるのですが、山椒の存在感が弱かったのが没個性に思えてしまいました。
「七味屋本舗」の「ゆず一味唐がらし」が別添されていた時には柚子がピシッと効いていて、刻み揚げに加えて薬味にもこだわる京都らしさが感じられたんですけど、もうちょっとつゆに捻りがほしかったです。
とはいえ具材が充実しているのは素直に好印象ですし、全国で関西風つゆが楽しめることには西日本以外での需要が見出せました。次回のリニューアルでは別添の復活、もしくは京都の “たぬき” にブラッシュアップして個性の演出に期待、といったところでしょうか。当ブログ内の一つ前の記事で「日清の江戸そば」もレビューしているので、よろしければあわせてご覧ください。