どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2025年11月24日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん 推しの一杯 NAKAMURA かけそば塩」(278円+税)の実食レビューです。
アメリカ・ニューヨークで活躍する「NAKAMURA」中村栄利店主監修 “無期限休業中の名店「中村屋」の味わい„ がカップラーメン限定で復活!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
NAKAMURA かけそば塩
NAKAMURA(ナカムラ)とは、2016年1月中旬よりニューヨークのロウアー・イースト・サイド (172 Delancey St, New York, NY 10002, USA.)にて人気を博しているラーメンダイニングで、店主は腕を高く引き上げて振り下ろす独特の湯切りスタイル “天空落とし„ で一世を風靡した「中村屋」の創業者・中村栄利(Shigetoshi “Jack” Nakamura)その人。

このページでレビューする「マルちゃん 推しの一杯 NAKAMURA かけそば塩」は、1999年(平成11年)9月10日に神奈川県大和市高座渋谷で創業し、2022年(令和4年)2月13日の最終営業をもって無期限休業中となった「麺処 中村屋」(神奈川県海老名市)の味わいを再現したカップラーメンで、現在はニューヨークを拠点に活躍を続けている中村栄利店主監修の一杯。
ラーメン界隈では “天空落としの中村屋とツバメ返しの麺屋武蔵ニ天„ などと騒がれたこともあるくらい、あの豪快な湯切り姿が代名詞となっている「中村屋」ですが、提供直前に七輪でチャーシューを炭火焼きにする “炙りチャーシューの元祖„ でもあり、ラーメン業界で淡麗(たんれい)という単語が使われ始めた切っ掛けの一つといっても過言ではない “神奈川淡麗系„ のパイオニアでもある伝説の店。
1977年(昭和52年)1月1日、神奈川県厚木市で生まれた中村栄利氏は、学生時代にアメリカ留学を経験し、帰国してからラーメン作りの研究を始めることになるのですが、作り方を教えてくれる師匠はいない。そこで重要な資料となったのが “誰もが知っている「カップラーメン」の原材料名だった„ というのは知る人ぞ知る話。

カップラーメンは人工的な原材料で作られているが、多くの人を魅了し、定期的に購入されている。これを天然の素材で再現できたら——そんな課題を基に研究を続け、神奈川淡麗系の原型を作り上げた栄利氏。ちなみに国内外で人気を博している「AFURI(阿夫利)」の代表取締役・中村比呂人(ひろと)氏は栄利氏の実兄で、神奈川県厚木市にあるAFURI総本山「ZUND-BAR (ズンド・バー)」の製法は「中村屋」がベース。
ZUND-BARは当初、中村兄弟の父が “中村屋の2号店„ として準備を進めていた店で、その立ち上げに比呂人氏が携わっていることが栄利氏に伝わっておらず、兄弟仲に亀裂が入り、中村屋とは完全に別の会社になった——という逸話を以前に聞いたことがあるのですが、2016年10月にAFURI初の海外店舗「AFURI PORTLAND」がオープンした際、現地の厨房で栄利氏が “天空落とし„ を披露するなど、すでに関係は修復されている様子。
話を戻しまして「中村屋」のカップラーメンといえば、2002年(平成14年)に当時の十勝新津製麺(後の「とかち麺工房」)が “らーめんの最終型„ と題した「かけそば〔しお〕」と「かけそば〔しょうゆ〕」を発売(2006年に「2002年ベストセラーの復刻版」として再発売)しており、今はなき氷結乾燥ノンフライ麺や混ざり立て風味を再現するための “液体5種別封„ を特徴とするなど、かなり凝った作りでした。

さらに、現在は「AFURI」のカップラーメンを通年販売している日清食品と「中村屋」によるカップ麺限定メニュー「らーめん中村屋 ピリ辛&玉子つけ込みダレ風味」などもあったので、中村店主が即席カップめんに携わるのは今回が初めてのことではないけれど、NY「NAKAMURA」監修は史上初。しかも具材を省いた「かけそば」ということで、即席カップめん業界のトレンドになりつつあるスタイルです。
開封

今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」に、後入れ「液体スープ」と「特製油」の組み合わせで、かやくは入っていません。この構成を特徴とする東洋水産のカップラーメンといえば、ファミリーマート限定の「Lab Q かけ醤油らぁ麺」や「麺屋極鶏 鶏だく かけ極濃鶏白湯」「NIBOSHIMANIA かけ濃厚煮干そば」などの実績があるため、期待値の高さは申し分ない展開。

ちなみに「推しの一杯」は、2024年3月13日発売の「環2家」監修を皮切りに「彩未」「横綱」「夢を語れ」「大喜」「魁龍」が名を連ねているブランドで、東洋水産が自信を持ってオススメする人気ラーメン店とのコラボがコンセプト。味のモデルは「中村屋」ですが、海外のラーメンダイニングを絡めるのは今回が初めての試みです。
気になるメーカー希望小売価格は278円(税別)なので、ファミマの「かけ」シリーズ(268円+税)よりも高めに設定されてるのですが、おそらくNB(ナショナルブランド)商品であることが理由の一つ。また「マルちゃん正麺 カップ」が展開しているラーメン系の希望小売価格も278円(税別)なので、それに合わせたのもあるでしょう。ただ、正麺カップは具材あり。NAKAMURA監修は具材なしですから、その差は大きなポイント。
製品詳細情報・購入価格等
| 製品名:マルちゃん 推しの一杯 NAKAMURA かけそば塩 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:117g(めん75g) 商品コード:4901990382595(JAN) |
| 発売日:2025年11月24日(月) 実食日:2025年12月04日(木) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:278円(税別) 購入価格:300円(税込) |
| 麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(粉末スープ・液体スープ・特製油) |
原材料名とアレルギー表示
| 【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(植物油、チキンエキス、魚介エキス、デキストリン、たん白加水分解物、鶏脂、食塩、香辛料(ガーリックチップ、しょうが)、ねぎ、こんぶエキス)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、炭酸カルシウム、レシチン、香料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、カラメル色素、増粘多糖類、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・さば・大豆・鶏肉を含む) |
実食開始

ノンフライ麺は油揚げ麺と比較して戻りにくい傾向があるので、スープ類の先入れは御法度としている商品も多いのですが、今回の「粉末スープ」は先入れ指定。先ほど引き合いに出した「NIBOSHIMANIA かけ濃厚煮干そば」も粉末スープは先入れだったので、熱湯だけなら3〜4分で戻るノンフライ麺を使用しているのかもしれません。

あとは内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「特製油」を温めながら待つこと5分。時間になったらフタを開けて「液体スープ」を入れて——なんですけど、ちょっと気を付けておきたいのが「特製油」の扱い方。容器側面の調理方法には “5分後、液体スープを加えよくかきまぜ、特製油を加えてお召し上がりください„ と書かれています。
つまり、言い換えると「特製油」を加えてからは “混ぜないほうがいい„ ことを意味しているため、調理の際に留意してみてください。それでは、中村店主監修のオリジナリティはもちろん、具材なしでも値段相応の満足感が得られるのか「めん」「スープ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
| 栄養成分表示:1食(117g)あたり |
| カロリー:395kcal たん白質:10.2g 脂 質:10.8g 炭水化物:64.3g 食塩相当量:5.7g (めん・かやく:1.8g) (スープ:3.9g) ビタミンB1:0.25mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:187mg |
| 参考値(調理直後に分別した値) 熱量:395kcal(めん・やくみ:324kcal)(スープ:71kcal) |
| ※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん

生麺のようななめらかな口当たりと、透明感や弾力のある食感が特長のノンフライ麺。
出典:https://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2025/11/nakamura.html

個人的には熱湯5分+5分待ち推奨
該当のニュースリリースや商品のパッケージにも製法までは明記されていませんが、原材料に「こんにゃく」が含まれること、加えて原材料名の末尾に「乳糖」の記載があることから「マルちゃん正麺 カップ」が確立した東洋水産の独自技術「生麺ゆでてうまいまま製法」(特許 第5719064号)であることは確実——だと思うんですけど、商品によって記載があったりなかったりするんですよね。

とはいえ質感的には「生麺ゆでてうまいまま製法」のソレなのですが、見た目は一つ前の新作「推しの一杯 魁龍 どトンコツ」と似ているようで、特有の反発性は比較的に穏やか。見た目でいえば「NIBOSHIMANIA かけ濃厚煮干そば」とも似ていますけど、それよりも加水率が高く、しっとりとした質感が特徴的。
よくも悪くも麺の自己主張が強い分、食べ始めはスープに勝ち過ぎている印象を受けたので、すこしミスマッチに思えたのも束の間、折り返し地点からスープとの親和性がグイグイ向上。それこそ食べ終わる頃に麺とスープの相性がピークを迎える感じだったので、熱湯5分+添付調味料を馴染ませてから追加で5分放置がベストかもしれません。
スープ

鶏と魚介の旨味をベースにした塩味のラーメンスープ。生姜とねぎの香りが利いた特製油付き。
出典:https://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2025/11/nakamura.html

うまみの洪水
調理中に「粉末スープ」の味を確認してみたところ、出汁(だし)っぽい旨み成分(グルタミン酸系)が強く、かなり人工的な味わい。ガーリックチップの香味も並行してはいるものの、あくまでサポート的な役割です。
さらに「液体スープ」も旨み成分の比率が高く、一般的なカップラーメンと比較して体感1.3倍くらいの旨みが押し寄せてきたので、ちょっとビックリしたんですけどw 加えて含有量のわりに食塩の当たりも鋭く、それが旨みの暴走を抑え、口に含んだときの重厚感、過ぎ去った後のキレ、そして長い余韻を両立している複雑な作り。

粉末スープ+液体スープの段階だと鶏・魚介のバランスは拮抗している‥‥いや、どちらかというと魚介のほうが少し優勢に感じたんですけど、仕上げの「特製油」を加えた途端、鶏脂の香りで存在感は鶏のほうが優勢に。それもオイルの量が多かったので、実に芳醇な印象を与えてくれます。

けれどもオイルの量が減ってくる後半は魚介のほうが強く、そこにガーリックチップや生姜のアクセントも重なってくるのですが、それらも鶏優勢→魚介優勢の変化に伴い感じ方が変わってくるので、そのプロセスにも魅力を感じました。それにしても旨みの余韻めっちゃ長いですよw
総評
参考値(調理直後に分析した値)の表記が「めん・かやく」ではなく「めん・やくみ」となっているように、具材らしい具材は入っていませんが、スープの作り込みと変化の具合が複雑で、かやくなしでも最後まで飽きることはありません。また実食前にファミマの「かけ」シリーズよりも高いと触れましたが、東洋水産の推し活ブランド「推しの一杯」のメーカー希望小売価格は333円(税別)を基準としているため、それを思うと格安かも。
本商品の魅力を最大限に引き出すためには、食べる直前に加える「特製油」を入れてからは混ぜないこと。それから個人的に、今回のスープには柔麺のほうが圧倒的に合うと感じたので、調理直後のバランスを確かめた後、よかったら5分くらい放置してみてください。それにしても “かけ系„ のリリース頻度が高まってきた昨今、ますます目が離せないカテゴリーになってきました。【author・taka :a(大石敬之)】


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