国道3号線のレジェンド【丸星ラーメン】監修のカップ麺「久留米とんこつ」と “本物のラーメン” を徹底比較

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サンポー食品

どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。

本日の一杯は、2021年11月15日(月)新発売、サンポー食品のカップ麺「丸星ラーメン監修 久留米とんこつ」の実食レビューです。

サンポー食品が老舗の味に挑戦!? 九州の大動脈・国道3号線沿いに立地する伝説の店「丸星ラーメン」監修のカップラーメンがノンフライ麺になって再登場!! 本店で食べた “本物のラーメン” とカップ麺を比較してみた結果——。

再現度は高い? それとも‥‥。実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。

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丸星ラーメン監修 久留米とんこつ

丸星ラーメンとは、福岡県久留米市に流れる筑後川付近、国道3号線沿いに佇む老舗のラーメン店で、ドライブイン型飲食店の先駆けであり、日本初の24時間営業店とも伝えられているレジェンド。常連客からは “マルボシ” の呼び名で親しまれていますが、正しくは「丸星(まるほし)中華そばセンター」といい、屋号は創業者である故・星野吾三郎その人の名前に由来します。

サンポー食品のNB商品としては初のノンフライ麺を搭載

今回のカップ麺「丸星ラーメン監修 久留米とんこつ」は、とんこつラーメン発祥の地・久留米を代表する老舗「丸星ラーメン」監修のもと、お店の継ぎ足し製法による炊き込み感を再現したスポット商品で、佐賀県三養基郡基山町のサンポー食品と共同開発。以前より親交がある「丸星ラーメン」とサンポー食品ですが、まさかの “ノンフライ麺” を搭載ということで、らしからぬ展開に驚きました。

実は昨年の11月某日、筆者は実際に「丸星ラーメン(丸星中華そばセンター)」の本店で “本物のラーメン” を食べたばかり——。本店で提供されている「ラーメン」は、1958年(昭和33年)の創業以来、現在にかけて一度も羽釜の中を空にすることなく、大量の豚骨を炊き続けたスープが最大の特徴で、店内には独特の香りが充満していたのですが、とんこつ好きには堪らないシチュエーション。

筆者が伺った日は、星野吾三郎氏の孫に当たる三代目が羽釜の前に立ち、大量の豚骨を煮詰め、その臨場感と老舗の空気感に心を打たれながら、券売機の値段を見てビックリ。都内では1000円前後のラーメンも珍しくない昨今、本店の「ラーメン」は450円(2021年11月時点)で、数年前に値上げされたようですが、それでも格安と思える設定です。

本店で食べた「ラーメン」の写真(筆者撮影)

店内の床は土間のままで、高級感のない机と椅子が並び、パートのおばちゃんが忙しなく動いている、昭和のイメージを色濃く残したエモい雰囲気。おでんや漬物、手作りの惣菜など、大衆食堂よろしくラーメン以外の料理も並んでいましたが、ひとまず450円の「ラーメン」だけを注文し、ほどなくしてスピーディに着丼。

トッピングはチャーシュー、ねぎ、海苔とシンプルで、丼の縁には肉片のような脂が付着している、まるでオシャレとは無縁の仕上がり。豚骨に由来する香りも荒々しく、表面に浮かぶ脂の量も多い攻めのスタンスで、麺は梘水(かんすい)特有のツンとする匂いを強めに感じたのですが、それも含めて味わい深いと思えた逸品。なかでも骨髄から抽出された骨の旨みが複雑で、しばらく声を失ったほど。

駐車場はトラックが何台も停められるくらいに広く、国道3号線を走るトラックの運ちゃんに好まれそうな味わいでありながら、見渡すと若い女性の姿もあり、13時半という昼のピークタイムを過ぎた頃の入店にもかかわらず、絶え間ない来客に人気の高さを実感しました。それから厨房の様子を観察し、気さくな三代目に見送られ、店を後にしたのですが、しばらく続いた余韻まで深く印象に残っています。

サンポー食品のノンフライ即席カップ麺は激レア

そんな老舗の味を再現した「丸星ラーメン監修 久留米とんこつ」は、サンポー食品のNB(ナショナルブランド)商品としては初となるノンフライ麺を使用したカップラーメンで、同社の開発から話を伺ったところ、担当者曰く “かなりスープの再現度は高い” との回答でした。というわけで、お手並み拝見と参りましょう。

開封

調味油の小袋が無地でビックリw

今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」と「粉末スープ」に、後入れの「調味油」で合計3袋。で、調味油の小袋が無地‥‥サンプルかよw サンポー食品のニュースリリースには “炊き出し感を付与する特製調味油を使用” とあったので、もしかすると既存の製造ラインに組み込めないほどクセの強いオイルを使っているのかもしれません。

ノンフライ麺の製造は寿がきや食品に委託

麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。サンポー食品の工場にはノンフライ麺を製造する設備が整っていないため、ノンフライ麺の製造は寿がきや食品の関東工場(かつての加ト吉水産フーズ部群馬工場)に委託しています。調理前の見た目からして “寿がきやっぽい” ので、それが吉と出るか凶と出るか。

メーカー希望小売価格は248円(税別)と若干ながら高めの設定で、販売地域は九州のスーパーとディスカウントストアが対象とのこと。関係者曰く、数量限定でリリースしているため、九州を除くエリアには流通しておらず、九州内でもコンビニには売ってないとの回答でした。しかし、カップ麺を監修した「丸星ラーメン」の店舗でも販売中で、一部のイトーヨーカドーも販売店に含まれるそうです。

製品詳細情報・購入価格等

製品名:丸星ラーメン監修 久留米とんこつ
販売者:サンポー食品株式会社
製造所:寿がきや食品産株式会社 関東工場
内容量:101g(めん65g)
商品コード:4901773100972(JAN)
発売日:2021年11月15日(月)
実食日:2022年01月08日(土)
発売地域:九州
希望小売価格:248円(税別)
麺の種類:ノンフライ麺
スタイル:大判どんぶり型
容器材質:プラ(PS)
湯量目安:400ml
調理時間:熱湯4分
小袋構成:3袋(かやく・粉末スープ・調味油)

原材料名とアレルギー表示

【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物油脂)、スープ(ポークエキス、豚脂、しょうゆ、香辛料、チキンオイル、たん白加水分解物、食塩、酒粕パウダー、デキストリン、植物油脂)、かやく(焼豚、きくらげ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、炭酸カルシウム、かんすい、セルロース、増粘多糖類、乳化剤、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。

実食開始

かやくの上に粉末スープを開封するのがポイント

別添の小袋は「かやく」と「粉末スープ」も先入れで、今回はラードを配合した油で揚げた麺を封印していますが、あえて液体スープは使わずに、大量の粉末スープと調味油で勝負するのがサンポー食品のスタイル。これだけ粉末スープが多いと、麺が戻らなくなるのではと心配になりますが、逆に粉末スープを後入れすると完全に溶けないおそれが出てくるので、指示通りに作ってください。

調理後の香りは好印象

調理の際は、粉末スープを溶かすために、かやくを麺の上にあけてから粉末スープの順にあけ、ゆっくりと粉末スープを溶かしながら熱湯を注ぎ、待っている間にフタの上で調味油の小袋を温めます。で、お湯を注いだ直後‥‥くせぇwww(※全力で褒めてます)。さすがに本物ほどではないけれど、調味油を加えてからは香り高い豚脂が印象的で、ファーストインプレッションは悪くありません。

しかし、店舗で食べたときに感銘を受けた “海苔は入っていない” ので、それについては総評の星を一つ落としかねないポイント。はたして再現度の高さは如何程か、実際に「丸星ラーメン」の本店で食べた「ラーメン」の写真を添えながら「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。

栄養成分表示:1食(101g)あたり
カロリー:407kcal
たん白質:11.1g
脂  質:13.2g
炭水化物:61.0g
食塩相当量:6.4g
(めん・かやく:2.1g)
   (スープ:4.3g)
ビタミンB1:0.41mg
ビタミンB2:0.44mg
カルシウム:400mg
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。

めん

本店の麺

再現度は低い

4.0

本店の「ラーメン」に使われている麺は、同行者のオーダーで硬さが選べることを知り、茹で加減はカタ麺で注文。加水率は低く、小麦が持つ粉っぽさと歯切れの良さを打ち出しながら、程よく適度に粘り、博多とんこつラーメンの極細ストレート麺とは異なる歯応え。九州のラーメンとしては太めの部類に入りますが、一般的には中細で、前述のツンとした匂いもノスタルジックさを強めるスパイスに。

再現度は低いけど割り切れば悪くない

片や今回のノンフライ麺は、いかにも委託先の寿がきや食品らしい仕上がりで、店舗の麺よりもプリプリした感じが強く、縮れの加減も再現度を低くしているポイント。このノンフライ麺が持つ “しっとり感” は以前から大好きで、個人的な嗜好でいえば好印象ではあるものの、久留米とんこつラーメンらしい麺かと聞かれた場合、無条件で縦に頷くことはできません。

ただ、油揚げ麺のように雑味が出ないのはメリットで、再現度を扨措くならば、スープとの相性は悪くありません。本物よりも加水率の高い質感ですが、現在の寿がきや食品が保有するノンフライ麺の中では加水率の低いタイプをチョイスしていたので、これはこれと割り切れば楽しめました。でも、けっこう試験的な感じがしますね。

スープ

お店のスープは正統派の久留米とんこつなのに対し‥‥

3.0

筆者が食べた時間帯(13時25分頃)のスープは豚骨の濃度が高く、ひとくち含めば鼻に抜ける骨っぽさを筆頭に、豚骨臭や獣臭も野趣に富んでいて、豚脂の芳ばしさも印象的。ちょっと後半はタレの醤油を強めに感じたのですが、それに負けない骨髄の旨みや血の感じも含めて素晴らしく、こってり荒々しく炊き出され、完食すると丼の底に骨粉や骨髄の一部が残っていました。

ちなみに店舗のスープは通称 “呼び戻し” と呼ばれる技法を採用し、創業から現在まで、羽釜の火を24時間絶やすことなく大量の豚骨を煮込み続けています。そのため人を選ぶ独特の匂いを伴うのですが、それも久留米の老舗「丸星ラーメン」が守り続けている大切な要素。

カップ麺のスープは酒粕の存在感が気になる

それを再現しているカップ麺のスープも骨太で、調味油から放たれる豚脂の風味も芳ばしく、その調味油については文句の付け所が見当たらなかったのに対し、粉末スープで気になったのが酒粕のクセ。おそらく炊き出し感を表現するために加えたのだと思いますが、しょうゆ感も控えめで、極端に表現すると最後に残ったのは “とんこつスープで作った粕汁” みたいなイメージ。

店舗では60年以上の熟成を重ねた呼び戻しスープを提供しているため、そのクセを表現するために酒粕パウダーを導入したのかもしれませんが、その存在感が強過ぎます。麺を啜り上げている間に抜ける豚脂の風味は実に心地よかったものの、スープ単体で飲んだときは豚骨の炊き出し感よりも酒粕が勝っていたので、それが正統派なイメージから遠退く要因になり、奇を衒った味に思えました。

具材

お店のトッピングはシンプルで無駄がない

せめて海苔は入れてほしかった‥‥

2.0

「丸星ラーメン」は60余年の歴史を誇る老舗なので、ちょっとパサついた感じのクラシカルなチャーシューがトッピングされているのかと思いきや、とろけるような口当たりでビックリ。チャーシュー単体での味付けは控えめで、肉が持つ本来の旨みと脂身の甘みを大切にしたタイプ。

濃厚なスープに青ネギのフレッシュなアクセントも適切で、なんといってもクセのある豚骨スープと海苔の相性が素晴らしく、やわらかいチャーシューと同じくらい‥‥いや、それ以上に印象的だったのは海苔かもしれません。

カップ麺の具材は‥‥

片やカップ麺の具材は丸い焼豚、歯触りの強いネギ、キクラゲの3種類で、キクラゲに関しては店舗のラーメンには使われていないトッピング。2019年1月21日発売のコラボ第1弾「焼豚ラーメン×丸星ラーメン」には有明のりが入っていたのと、2022年1月現在も販売されているコラボ第2弾「棒状 丸星ラーメン監修 久留米豚骨ラーメン」にも焼き海苔が入っているので、そこは妥協してほしくなかったです。

総評

3.5

大判どんぶり型の容器に使っても見劣りしない、たっぷりの調味油には気合を感じたのですが、土台の粉末スープは酒粕の主張が強く、最終的に口の中に残ったのは酒粕の味。ふと鼻に抜ける豚脂の芳ばしさはよかったものの、骨粉や骨髄を彷彿とさせる要素は弱く、ベクトルの違いが否めませんでした。

お店で完食後に印象的なのは骨粉と「祈る 安全運転」

もちろん店舗の味をカップ麺で完全に再現するのは至難の業なので、ある程度のデフォルメは必要ですが、海苔を省いていたのも残念なポイント。かなり期待度が高かったので、厳しく評価してしまったことは認めますけど、他社のノンフライ麺にコストを費やすのではなく、自社の油揚げ麺を使い、サンポー食品らしさをフルに押し出したほうがいいかもしれません【author・taka :a(大石敬之)】

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