どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年6月12日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ ちょい辛」の実食レビューです。
ファン待望の「辛ニボ」復活!? 正麺カップの人気フレーバー「濃ニボ」4年目は “夏場を意識した” ちょい辛スープで再登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ ちょい辛
マルちゃん正麺(せいめん)とは “いま抜群に美味しく、そして10年後・20年後も古びることなく愛され続ける即席麺” をコンセプトに、東洋水産が力を入れているブランドで、2011年(平成23年)11月7日発売の袋麺「マルちゃん正麺 醤油味 / 味噌味 / 豚骨味」を皮切りに発足。カップ麺の登場以降、ダウントレンドが続いていた当時の即席袋めん市場に衝撃を与え、爆発的な売り上げを記録します。
マルちゃん正麺という名前は、永年に亘ってインスタントラーメンを作り、味を磨き続けてきた東洋水産=マルちゃんが考える「これこそ正しい麺、理想のラーメンの完成形なのだ」という強い自負に由来するネーミング。前述の衝撃は、後に業界で “マルちゃんショック” と呼ばれ、今でも関係者の間では語り種になっているのですが‥‥
袋麺の登場から約4年後、2015年(平成27年)10月5日に満を辞す「マルちゃん正麺 カップ」を発売した東洋水産。わずか1ヶ月で1,200万食という驚異の出荷数を叩き出し、今度は即席カップめん市場に “第2のマルちゃんショック” を与えました。それから現在にかけて袋麺・カップ麺ともに数量限定のスポット商品にも力を入れており、さまざまなフレーバーを世に送り出しています。
今回の新商品「マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ ちょい辛」は、2020年4月27日発売の初代「マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ」を皮切りに、毎年恒例となっている「濃ニボ」シリーズの新作で、初代〜三代目までは “濃厚煮干し×がっつり背脂入り” をコンセプトにしていましたが、4年目となる2023年版は半月ほど発売時期を先延ばし、シリーズ初の “ちょい辛” を展開してきました。しかし‥‥
正麺カップにおける “煮干し×辛味” といえば、初代「濃ニボ」の登場から約4ヶ月後、2020年9月7日に “うま辛豚骨醤油味” の「マルちゃん正麺 カップ 辛ニボ」をリリースしていた、というのは(思い返せば3年前ですけど)まだ記憶に新しいところ。その「辛ニボ」は、いつの間にか通年商品に位置付けられ、2021年3月8日のリニューアル(二代目)で春夏仕様のスープに改良。
さらに半年後、2021年9月6日のリニューアル(三代目)で麺の変更に踏み切ったのですが、このタイミングで当時の定番フレーバー「芳醇こく醤油」「香味まろ味噌」「うま辛担々麺」計3品それぞれの麺にも新たに “乳糖” が配合され、全体的に加水率が低下。箸で持ち上げた際に印象的だった重量感も特筆に値しない、粘りの強さよりも反発性を重視した仕様に変わりました。
そのリニューアルが残念でならなかったと、個人的には今でもネガティブに思っているのですが、それはさておき2021年9月6日のリニューアル発売を最後に「辛ニボ」の進化はストップ。ある日を境に東洋水産の公式ウェブサイトにあった製品情報も削除され、レギュラーの座から退きました。というわけで、今回の「濃ニボ ちょい辛」は、そのリバイバルを狙った変わり種なのではないかと。
ちなみにパッケージの右上には、SNSで話題になった「マルちゃん正麺 カップ 煮干し担々麺」(2022年1月17日発売品)の “にぼっ” よろしく “ちょい” という吹き出し付きのニボシが紛れ込んでいるように、あくまでも「ちょい辛」をコンセプトにしているのですが、よく見ると小さく “辛いものが苦手な方はご注意ください。” という警告文もあるので、もしかすると思わぬビンタを喰らうかもしれません。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」2袋に、後入れ「粉末スープ」と「液体スープ」の計4種で、この構成は従来の「濃ニボ」と変わりません。ちなみに東洋水産のニュースリリースを見ると “ポークをベースに、煮干しの旨みと唐辛子の辛みを利かせた濃厚煮干しスープ。” との記載があったので、従来品に負けない煮干しの濃さと唐辛子の絶妙な掛け合いに期待したいところ。
麺は東洋水産の独自技術で乾燥させた、生麺ゆでてうまいまま製法(特許5719064号)による乾燥麺で、前述のように2021年9月6日のリニューアルで大きく質感を変えているのですが、それによってスープの幅が広がったのは心強いメリット。おそらく既存のパターンを使い回していると思うので、注目すべきはスープとの相性です。そして、もうひとつ注目しておかなければいけないのが希望小売価格。
2023年6月1日出荷分からの価格改定により「マルちゃん正麺 カップ」シリーズのメーカー希望小売価格は従来の249円(税別)から278円(税別)に値上がりしているのですが、今回の「濃ニボ ちょい辛」における設定は333円(税別)ということで、お高い部類のカップラーメン。コンビニで購入した場合の税込価格は359.64円になるため、それも踏まえた上で評価します。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ 濃ニボ ちょい辛 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:124g(めん70g) 商品コード:4901990374873(JAN) |
発売日:2023年06月12日(月) 実食日:2023年06月16日(金) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 小売価格:333円(税別) 購入価格:300円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・粉末スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(煮干しエキス、しょうゆ、香味油脂、植物油、ポークエキス、乳糖、粉末煮干し、こんぶエキス、香辛料、豚脂、食塩、たん白加水分解物、砂糖)、かやく(背脂加工品、焼豚、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、加工でん粉、酒精、カラメル色素、かんすい、炭酸カルシウム、レシチン、パプリカ色素、香辛料抽出物、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、ビタミンB2、ベニコウジ色素、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、片方にはメンマと背脂加工品を、もう片方には丸いチャーシューとフリーズドライのネギを充填している、例年通りの組み合わせ。さすがに背脂加工品の量は初代〜三代目の濃ニボ(がっつり背脂入り)と比較して少なめですが、ひとつ気になったのが “これまでの背脂加工品と香りが違う” こと(※詳しくは後述)。
添付調味料は2袋とも後入れなので、かやくをあけたら内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら “添付調味料を入れる前に” 麺をほぐし、それから「粉末スープ」を完全に溶かし、最後に「液体スープ」を馴染ませたら出来上がり。
粉末スープには粘度を高める成分が含まれていたので、溶け残りがないよう念入りに混ぜ合わせてください。それでは、煮干の打ち出し方と念のため辛さレベルにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(124g)あたり |
カロリー:421kcal たん白質:14.4g 脂 質:13.0g 炭水化物:61.7g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:2.4g) (スープ:4.5g) ビタミンB1:0.32mg ビタミンB2:0.36mg カルシウム:248mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:421kcal(めん・かやく:289kcal)(スープ:132kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ポクポクした感じの低加水麺
先に2021年9月6日のリニューアル(麺の仕様変更)が残念でならなかったと前述しましたが、もちろんネガティブな印象ばかり感じているわけではありません。なかでも顕著なメリットは、加水率を下げることに成功した部分。今回は正麺カップの中でも一二を争うレベルで加水率が低く、粘りは控えめで、ポクポクした感じが印象的。この表現で伝わりますかねw
このブログでは大絶賛しているファミマルの「中華そば処 琴平荘 味噌そば」(レビューは2023年1月3日発売品)に匹敵するほどではないけれど、小麦の風味は穏やかに、それでいて明確に鼻を抜け、加水率の低さも功を奏し、後述する濃厚なスープとの相性も悪くありません。
画像でも麺と麺が複雑に絡み合っているように、ほぐれにくさが気になったので、それに伴う食べ始めの部分的な戻りムラに関してはマイナスに思えたものの、致命的なほど酷い欠点ではなく、スープの出来を思えば値段相応に感じました。
スープ
煮干がメインの辛さ控えめ辛辛魚的な(※イメージ)
まずは「粉末スープ」を単体で舌に乗せてみたところ、白ご飯と一緒に食べたら “ふりかけ” になりそうな、けっこう強めの魚介感(主に煮干)と旨み成分を感じたんですけど、いざ全体に馴染ませると突出型ではなくバランス型。この時点での塩味(えんみ)も頼りないため、あくまでも土台を支えることに徹しています。ただ、とろみ成分が多めに含まれているので、しっかり溶かしてください。
というわけで、後入れの「液体スープ」を加えてからが本番なんですけど、辛さをグ〜〜〜ンと抑えた「辛辛魚らーめん」っぽいというか、あくまでもイメージですよw ただ、寿がきや食品が販売している「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん」(レビューは2023年1月30日発売品)のマイルド版ではなく、本物の「辛辛魚らーめん」を食べやすい辛さに落としたような、それっぽい余韻が印象的。
辛辛魚を象徴する辛魚粉が聳(そび)えることはなく、そもそも魚粉は節よりも煮干がメインなので、そういった違いもありますけど、辛辛魚は刺激が強すぎる、でも味の系統は好きなんだよなぁ‥‥だったらハマること請け合い。商品名が「濃ニボ」のわりに苦味やエグみは控えめですが、濃さの指標はクセにあらず、煮干ならではの旨みを厚く上品に編み込んでいるような、東洋水産らしい打ち出し方。
ぽってりとした口当たりは人工的な成分(増粘多糖類や加工でん)に由来するため、それなりに不自然ではあるものの、想像以上に厚みのあるポークエキスと魚粉のザラついた舌触りが功を奏し、とろみの加減もネガティブではありません。辛味は文字通り “ちょい辛” なので、ピリ辛の枠を出ることはないけれど、煮干がメインの辛辛魚(辛さ控えめ)みたいなフレームワークに強烈な中毒性を覚えました。
かやく
背脂加工品に注目(覚えていたら熱湯を注ぐ前に)
比較的に面積が広い丸型のチャーシューは、直近にレビューしたカップ麺を例に挙げるとセブンプレミアムの「飯田商店 にぼしらぁ麺」と共通で、それには2枚入っていたのですが、今回は1枚。値段が値段なので、もうちょっと踏ん張ってほしかった思いもありますけど、メンマは濃ニボちょい辛スープと相性がよく、斜め切りのネギがフリーズドライなのも嬉しいポイント。
そして、もっとも印象に残ったのは背脂加工品。調理後は分かりにくいのですが、お湯を注ぐ前の香りが違うと前述したように、背脂の表面を軽く焦がしたような、芳ばしい臨場感が新鮮で。というのも東洋水産の背脂加工品は、基本的に別添の「特製油」ありき。
そこに含まれる動物油脂と手を取り合うことで背脂らしさが出てくるため、これ単体でも “それっぽい香り” が楽しめたことに変化を感じました。さらに、湯戻し後は従来よりも口当たりが本物に近くなったように思います。勘違いだったらスイマセンw ちなみに「辛ニボ」の具材は味付挽肉+ネギだったので、構成としては従来の「濃ニボ」に忠実な内容です。
総評
というわけで、初代〜三代目の “がっつり背脂入り” から夏向けの “ちょい辛” に変わった四代目の濃ニボ。個人的に「辛ニボ」の再来に近い印象を受けたのですが、スープを筆頭にリッチな路線にブラッシュアップした感じの仕上がりで、ぽってりした口当たりの(辛辛魚らーめんライクな)スープは中毒性が高く、値段に見合ったクオリティを実現。
背脂加工品の香りと口当たりも従来より本格化していたので、もうちょっと量が多いと嬉しかったんですけど、それを踏まえても満足度の高い一杯でした。コンビニで買うと1食あたり359.64円、スーパーやドラッグストアでも税込300円前後の販売価格が相場になるかもしれませんが、その価値は充分にあると思います【author・taka :a(大石敬之)】