どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年10月22日(火)新発売のカップ麺、マルタイ「元祖泡系 博多一幸舎監修 赤ラーメン」の実食レビューです。
元祖泡系を提唱する「博多一幸舎」の大人気メニュー「赤ラーメン」を再現したローソン限定カップラーメンが新登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
元祖泡系博多一幸舎監修 赤ラーメン
博多一幸舎(はかたいっこうしゃ)とは、福岡県福岡市博多区博多駅前に「総本店」を構える “泡系とんこつラーメン” の専門店で、創業は2004年(平成16年)3月12日。現在は2018年7月11日に新装開店した総本店を拠点にしていますが、もともとは福岡県福岡市中央区大名に開業した「博多一幸舎 大名本家」が創業店です。
今回のカップラーメン「元祖泡系博多一幸舎監修 赤ラーメン」は、博多一幸舎の創業者・吉村幸助店主監修商品で、株式式会社マルタイがローソン限定商品として販売したもの。マルタイやローソンの公式ウェブサイトに製品情報は掲載されていませんが、博多一幸舎のホームページ(お知らせ)に関連情報があり、全国のローソンにて発売されたと書いてありました。
「博多一幸舎」最大の特徴は、元祖泡系(あわけい)の所以になっているスープ表面の脂泡。特注の巨大羽釜(通常店舗は2機、総本店のみ3機)に大量の豚骨(頭骨・背骨・丸骨)を入れ、その骨が砕けるまで炊き続けた後、熟したスープと若いスープを頻繁に入れ替えながら旨み・甘み・骨の味を最高の状態で引き出す “熟成追い炊き製法” が良質な泡を生み出します。
ふわふわの泡は、豚骨の香り(空気)と脂、そして水が混じり合った最高点(乳化)の現れで、きめ細かい泡がカプチーノのように浮かぶ茶褐色のスープは “豚骨の概念が変わった” というポジティブな評判・口コミが多く、ラーメン激戦区の駅前に移転した後も人気店の地位を確立。2019年10月現在、海外店舗も合わせると50店舗以上の支店を抱える大所帯になりました。
2019年1月29日に大盛バケツ型のローソン限定カップ麺「元祖泡系 博多一幸舎監修 博多豚骨ラーメン」を発売しているのですが、今回はピリ辛バージョンの「赤ラーメン」を再現。「赤ラーメン」は、実店舗でも人気の高い自家製海鮮油と豚骨をブレンドしたピリ辛とんこつラーメンで、容器側面に表示されている辛さレベルも「2」のピリ辛。
博多一幸舎とマルタイは仲が良く、前回の大盛バケツ型「元祖泡系 博多一幸舎監修 博多豚骨ラーメン」も販売者はマルタイ。その「博多豚骨ラーメン」は、2018年1月9日にも発売されており、同年1月25日〜2月28日の限定メニューとして、マルタイの定番商品「太麺皿うどん」を使用した「一幸舎特製 熱盛皿うどん」を大名本家店で提供するなど、かなり密接な関係にあるのですが——
前回の「博多一幸舎監修 博多豚骨ラーメン」を製造していたのは、大阪府大阪市に本社を構える「エースコック株式会社」の関西滝野工場(兵庫県加東市河高字黒石1816-175)。そもそも2012年(平成24年)7月以降、マルタイのカップ麺はサンヨー食品(サッポロ一番)直属の製造部「太平食品工業」に製造を委託しているので、もうマルタイ本社では作っていません。
たとえば上記写真の “OPEN” と書いてある開封シール、これはサンヨー食品のタテビッグ製品に貼り付けてあるシールと同じもの。ただ、大盛バケツ型のカップ麺は太平食品工業の製造ラインにも対応していないため、前回・前々回は「スーパーカップ」のノウハウを持つサンヨー食品の子会社・エースコックに製造を委託していました(関連記事「元祖泡系 博多一幸舎監修 博多豚骨ラーメン」)
開封
さて、今回の「元祖泡系 博多一幸舎監修 赤ラーメン」に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「調味油」が1袋。容器側面には “特製ピリ辛オイル入り豚骨” としか書いてありませんが、博多一幸舎のホームページには、 “炊き出し感のある濃いめの豚骨スープに明太風味の特製ピリ辛オイルを——” とあるので、濃いめの豚骨もさることながら、オイルの明太風味も今回の注目すべきポイントの一つになります。
ちなみに容器底面に表示されている製造所固有記号は「W」となっていて、サンヨー食品のWは「太平食品工業株式会社 関西工場」(奈良県大和郡山市額田部北町944)を意味するローマ字。さらにマルタイ側から見た時のWも、以前から “奈良県大和郡山市にある協力工場” とされていたので、今回の製造所は太平食品工業の関西工場で間違いありません。
粉末スープの色は淡い赤土色で、かなりスナック的かつ塩っぱい香り。具材はポークチップ、ねぎ、キクラゲとシンプルな内容で、肉は情緒のないハムみたいなチャーシューチップですが、質はともかく具材の構成としては実店舗の「赤ラーメン」と同じです。ただ、ひとつ再現カップ麺として最大の不安も——
製品詳細情報・購入価格等
製品名:元祖泡系 博多一幸舎監修 赤ラーメン 販売者:株式会社マルタイ 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場(W) 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4902702004385(JANコード) 発売日:2019年10月22日(火) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PS)+胴巻き紙 湯量目安:470ml 調理時間:熱湯2分30秒 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、卵粉、野菜エキス、しょうゆ)、スープ(ポークエキス、植物油脂、魚介エキス、粉末しょうゆ、ポークオイル、食塩、デキストリン、砂糖、香辛料、たん白加水分解物、野菜粉末、昆布エキス)、かやく(ポークチップ、ねぎ、キクラゲ)、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉・タマリンドガム)、炭酸Ca、微粒二酸化ケイ素、香料、カラメル色素、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、トウガラシ色素、香辛料抽出物、(変材料の一部に乳成分、えび、ごま、大豆、鶏肉を含む) |
実食開始
麺はノンフライ麺ではなく油揚げ麺で、とんこつラーメンらしく白っぽい見た目なんですけど、これが今回最大の不安要素。最近の太平食品工業が製造するタテ型カップ麺は、もれなく油揚げ麺が安っぽくなる傾向に——いや、すでにその傾向があります。インスタント感の強さはカップラーメンならではの魅力であり、しかしながら欠点にもなり得る項目。
店頭表示価格は211円(税込価格228円)、2019年10月現在のコンビニで販売されているNB商品の縦型ビッグ(税込232円)よりも4円安い値段。別添の調味油は後入れで、湯戻し時間は熱湯2分30秒。この2分でも3分でもない「2分30秒」の設定はマルタイらしく、容器側面の作り方に “調理時間はお好みで調節してください” と添えてあるのもマルタイらしい心遣い。
後入れの調味油は思いのほか量が多く、投入直後は湯気が立たないほど。それにはインパクトを感じた反面、やはり油揚げ麺の仕上がりが不安な実食前の現在、お店(泡系)の個性と赤ラーメンの再現度に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)当たり
カロリー:463kcal |
参考値(調理直後に分別して分析) エネルギー:463kcal(めん・かやく:383kcal)(スープ:80kcal) 食塩相当量:6.5g(めん・かやく:1.4g)(スープ:5.1g) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
実店舗では2008年から自社製麺工場「製麺屋慶史」を設立し、従来の粉っぽい麺からモッチリ感も味わえる平打ち麺に改良。さらに現在の総本店では、特注羽釜3機で炊き上げた総本店専用のスープにあわせ、他の店舗で使用している細平打ち麺よりも幅を広げているのですが、今回のカップラーメンに使用しているのは丸刃の縮れ麺。
若干の扁平はありますし、食べ始めは適度なコシを残しますが、実店舗の自家製麺からは程遠く、一般的な博多とんこつラーメンに使われる極細ストレート低加水麺でもありません。縦型カップ麺は簡便性(手軽さ)を売りにしているため、諸々の制約があるのは重々承知しているつもりですが、今回の「赤ラーメン」はコンビニ限定のPB商品かつ値段は税込228円。
太平食品工業といえば(※厳密にいうと開発部は違いますけど)、サッポロ一番きってのシリーズ「和ラー」の麺も製造している企業。その足下にも及ばないチープな麺で、現在の水準を加味するとオープン価格の廉価版(実売価格100円前後)もいいところ。もし今回のカップ麺がスーパー向けで、値段も税込130円前後なら話は変わってきますけど、名店監修を度外視しても値段に見合ったクオリティではありません。
スープ
熱湯2分30秒直後、フタを完全に剥がすとスープの表面に気泡が見られますが、お店の脂泡(しほう)を意識して再現したものではなく、単純に油揚げ麺の内部にある気泡(きほう)が発生させているもの。博多一幸舎の公式ウェブサイト内にあった “炊き出し感のある濃いめの豚骨” という解説とは裏腹に、豚骨の炊き出し感や骨の旨味はまったくといっていいほど意識されていません。
「調味油(明太風味の特製ピリ辛オイル)」は思いのほか多く、全投入直後は湯気も立たないほどの量にはインパクトを感じた反面、ベースの粉末スープは味が浅い上に塩気は強めに効いていて、濃いのは豚骨ではなく食塩。調味油の主成分も動物性ではなく植物性がメインとなっていて、ごま油ベースのラー油に魚介エキスを添加したようなテイスト。
言われてみれば明太子っぽい風味が粉末スープにも仕込んであって、ごまラー油に “うまい「某めんたい味」の粉を少し混ぜているような味” とでもいえば雰囲気なんとなく伝わりますでしょうか。なんかこう、駄菓子の明太子味に使われるシーズニング的な風味が軸にあり、調味油を入れると魚醤っぽい旨味が強くなる不思議なフレームワーク。
結果的に今回のスナック的な油揚げ麺との相性は悪くなかったんですけど、なぜコレが「博多一幸舎」の味としてゴーサインが出たのか不思議なくらい肝心の豚骨がなってません。やや粘性はあるものの、それに伴うほどスープは乳化しておらず、骨の味にこだわり続けている “元祖泡系” の個性やプライドは見えませんでした。
具材
博多一幸舎の実店舗では、脂身と赤身のバランスが取れた肩ロース肉の薄切り大判チャーシューを使用しており、総本店では特別に低温調理チャーシュー(レアチャーシュー)を採用しています。対するカップ麺の具材はハムみたいなポークチップ、汎用の青ねぎ、細切りキクラゲの3種類で、いずれのクオリティも乾燥具材の品質を超えることはありません。
しかし、コリコリとしたキクラゲの食感は無条件で好印象だったのと、このポークチップが意外にもジューシーで、上出来! には一歩及ばずの具材ではあるものの、想像していたよりも美味しかったです。個体差で脂身の比率は前後するかもしれませんが、けっこう悪くないですね。
総評
★★☆☆☆☆☆☆☆☆(★2)
なんだか思っていたよりもチップ状のチャーシューが美味しかったのはサプライズでしたけど、麺やスープは再現度云々を抜きにしてもイマイチで、「博多一幸舎」らしからぬ安っぽさが残念。たとえばスーパー向けの商品だったらギリギリ納得(★3)かもしれませんが、コンビニ限定で228円(税込)は割高です。
「博多一幸舎」は名店ですし、マルタイのカップラーメンもノンフライ麺の清陽軒(せいようけん)監修商品や定番のカップちゃんぽんは名作なんですけど、今回の商品はイマイチと言わざるを得ませんでした。たぶんノンフライ麺で再現したらヤバいと思うので、ぜひリベンジしてもらいたいですね。