どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年1月7日(火)新発売のカップ麺、東洋水産「中華そば処 琴平荘 味噌そば」の実食レビューです。
期間限定営業で話題の「琴平荘」で “平日20食限定” の人気メニュー「味噌そば」がファミリーマート限定のカップラーメンに!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
中華そば処 琴平荘 味噌そば
「琴平荘(こんぴらそう)」とは、山形県は鶴岡市にある行列必至の名店で、推定昭和40年(1965年)創業の「旅館」を前身とする、ちょっと異色のラーメン店。「中華そば処」としての営業は平成14年(2002年)11月から開始となっており、旅館への客足が遠退く冬場の閑散期対策としてラーメン業を始めたのが切っ掛け。
もともとは店主・掛神淳(かけがみ あつし)氏の祖母が簡易宿泊所として始めた民宿を引き継ぎ、旅館として経営していたところ、時代の流れとともに客足が減り、ついには旅館としての経営が立ち行かなくなるほど——そこで始めたのが一念発起のラーメン業で、当初は11月から翌年3月までの5ヶ月間限定で営業を始めました。
掛神店主(現在54歳)は、1965年5月1日生まれの山形県鶴岡市出身で、大学中退後に父親が経営していた飲食店で調理を学び、旅館時代から調理を担当していたそうですが、ラーメン店での修行経験はゼロ。全国のラーメン店を食べ歩き、試行錯誤を繰り返しながら研究に研究を重ね、2010年に自作し始めた “トビウオの焼き干し” が行列を呼ぶ起点になります。
地元で獲れたトビウオを市場で仕入れ、下拵えから天日干し・焼きまで完全に自家製。とにかく「琴平荘」は “自家製” にこだわっていて、麺はもちろんスープに使う素材の加工も店主がイチから仕込み、メンマも乾燥の状態から1週間ほどかけて戻したものをチャーシューの煮汁で煮ているらしく、その中で “唯一自家製じゃないのは海苔だけ” という徹底ぶり。
今回のテーマとなっている「味噌そば」の特徴は、カップ麺のパッケージにも “鯛の旨味が隠し味” と書いてあるように、ラーメン業界でも珍しい鯛の煮干しを使っているのがポイント。他にも魚介にはアゴ(トビウオ)の焼き干しやサバの煮干(稚魚)を合わせ、タレには山形県庄内米を使用した味噌(白みそ)をブレンドしています。
動物系には岩手県産の高級丸鶏を使い、豚のゲンコツ(大腿骨)や豚肉、モミジ(鶏の足)を香味野菜と一緒に時間をかけて煮込むのが「琴平荘」のスタイル。実店舗には看板メニュー「中華そば(醤油)」の他に平日30食限定の「中華そば(塩)」もあるのですが、今回は冒頭でも触れた “平日20食限定” の「味噌そば」が再現されました。
そんな “幻の一杯” ともいわれている「味噌そば」を再現しているのは、以前から「琴平荘」のカップラーメンを製造しているマルちゃんこと東洋水産。2019年1月15日に発売されていたファミリーマート限定商品「中華そば処 琴平荘 中華そば」と同じように、今回もコンビニのファミリーマート限定・数量限定のPBカップ麺となっています。
ちなみにパッケージの右側にも書いてある東洋水産の “生麺ゆでてうまいまま製法”(特許第5719064号)といえば、言わずと知れた「マルちゃん正麺カップ」の独自製法で、生の麺を茹でてから乾燥させたもの——
これまで醤油味の「中華そば」は何度かファミリーマート(サークルK・サンクス)限定商品として販売されていて、前回レビューしている商品(上記の2019年1月発売品)にも “生麺ゆでてうまいまま製法” のノンフライ麺が使用されていたのですが、カップ麺で「味噌そば」が再現されるのは今回が初めてだと思います。
開封
さて、別添の小袋は「液体スープ」「粉末スープ」「かやく」の合計3袋、上記の関連記事でレビューした「中華そば」には焼き海苔が別添されていたのですが、実店舗でも「塩」と「味噌そば」に海苔はトッピングされていないため、これについては再現度の高さに寄与しているポイント。麺も “生麺ゆでてうまいまま製法” のノンフライ麺なので、特に不安はありません。
ときにファミリーマートの公式ウェブサイトにある商品情報(来週の新商品)は、基本的に毎週土曜日を境に更新されるのに対し、先週は珍しく “※1月7日(火)〜1月13日(月)発売の新商品情報は、1月7日(火)0時以降順次公開いたします。” となっていたので、もしかして2020年から仕様が変わったのかもと思っていたのですが——
ちょうど同じようなタイミングでアクセス解析ツールをチェックしていた際、とつぜん先ほどリンクを貼った「琴平荘」の関連記事にアクセスが集中。何事かと思い調べてみたところ、毎日放送(MBS)の『情熱大陸』に店主が出演していたことが要因と判明しました(掛神店主が着用していたルイ・ヴィトンの総額にもビックリw)。
それとファミマ公式ウェブサイトの更新遅延に直接的な因果関係があるのかどうか、現段階では断定できないものの、なんせ今回のカップ麺は実際に店内で見つけるまで存在すら知らなかったので、このタイミングで関連商品を出してくるのか——と。マーケティング部の戦略というか、前回の発売日と同じような時期とはいえ偶然ではないでしょう。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:中華そば処 琴平荘 味噌そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:125(めん75g) 商品コード:4901990365154(JAN) |
発売日:2020年01月07日(火) 実食日:2020年01月07日(火) 発売地域:全国(数量限定) 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:278円(税込) ファミリーマート標準価格:258円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂)、添付調味料(みそ、ポークエキス、豚脂、植物油、りんご果汁、香辛料、砂糖、でん粉、食塩、野菜エキス、ゼラチン、魚醤(魚介類)、酵母エキス、ごま、しょうゆ、鯛エキス、たん白加水分解物)、かやく(焼豚、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、レシチン、酒精、かんすい、炭酸カルシウム、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、香辛料抽出物、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチン・魚醤(魚介類)を含む) |
実食開始
先入れの小袋は「かやく」1袋、中には汎用的な丸型のチャーシュー1枚に少量の乾燥メンマ、あと大切りのネギが入っています。数年前に発売されていたサークルKサンクス限定時代にはレトルト調理品が入っていたのですが、2017年11月28日に発売された「中華そば」以降、乾燥具材だけの構成に切り替わりました。
ちなみに2019年6月1日、業界全体でカップ麺の値段が底上げされているのですが、ファミリーマート標準価格は2019年1月発売品と同じ258円(税込278円)となっているため、価格改定による煽りは受けていません。なお、液体スープと粉末スープは熱湯を注ぐ前に入れると調理不良の原因になるため、かならず後入れしてください。
さて、琴平荘を象徴する焼き干しの香りなどは皆無に等しい実食前の現在、しかしながら芳醇な白味噌の香りと若干の鯛に個性を感じる調理直後。実店舗の評判や口コミも参考にしつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(125g)あたり |
カロリー:447kcal たん白質:13.9g 脂 質:14.9g 炭水化物:64.3g 食塩相当量:6.3g (めん・かやく:1.9g) (スープ:4.1g) ビタミンB1:0.32mg ビタミンB2:0.39mg カルシウム:163mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:447kcal(めん・かやく:336kcal)(スープ:111kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
クオリティは低くないけど再現度は‥‥?
常温で2~3週間も日持ちする麺に疑問を抱き、それから自家製麺にこだわり始めた琴平荘の麺は、なんと驚きの加水率50%以上。ただ、この「味噌そば」だけ麺の加水率を50%まで落とし、中華そばの麺ほど縮れていません。対する今回のノンフライ麺も縮れは控えめですが、もちもちとした粘り気よりも歯応えを重視しているようなタイプです。
どちらかというと粘り気よりもギュッと詰まっているような食感で、後半には歯切れの良さが目立ち、単純に麺単体としての品質は低くないものの、やや加水率は低めでしょうか。前回は黄色味の強い多加水麺だったので、それと使い分けているのは好印象なのですが、イメージとしては「マルちゃん正麺カップ 濃厚とろ豚骨」の麺と瓜二つ。
東洋水産曰く、技法としては正麺カップと同じ特許製法 “生麺ゆでてうまいまま製法” を使っていても、再現カップ麺(「ラーメン横綱」など)に使用する場合は微妙に変えていると聞いたことがあります。とはいえ麺の量も現行の正麺カップと同じ75g* ですし、琴平荘・味噌そば専用の多加水麺ではなく、既存の中加水麺に近いと感じました。
*正麺カップの麺は2019年8月26日のリニューアルから10g増量
スープ
白みそベースの優しい味
液体スープよりも先に粉末スープを開封して馴染ませてみたところ、いまや琴平荘の代名詞となっている焼き干しは目立っておらず、この時点で印象的だったのは煎り胡麻と砂糖の甘みくらい。あくまでも粉末スープは下地を整えることに徹していたので、さっさと次に進みます。
液体スープには比較的に淡色の味噌ダレとオイル(豚脂を植物油で割ったもの)が多めに入っていたのですが、こってり系ではなく淡麗系の味わいで、なるほど味噌も確かに白みそベースの柔らかいテイスト。動物系は豚骨を軸に据え、一般的にネガティブとされる独特の臭みは丁寧に取り除き、はんなり泳ぐ鯛エキスは文字通り隠し味。
ちなみに本店では「味噌そば」と “自家製ラー油” がセットで提供されるのも有名な特徴となっているのですが、今回はアレンジ前の仕様となっていて、ラー油は入っていません。たしか味噌そばにも青魚系の出汁を使っていたと記憶しているのですが、今回まったく青魚系の味は感じなかったので、現在は仕様が変わっているのかもしれません。
具材
具材は頼りない‥‥
丸型のチャーシューは比較的に大きめのサイズではあるものの、とうぜん実店舗のチャーシューとは別物ですし、それを差し引いても税込278円のカップラーメンとして上出来とは言えない具材。地味に美味しいですけどねw 味付けは甘く、醤油は控えめで、やや成型肉特有のチープさは並行しますが、スープを壊すような具材ではありません。
ネギは実店舗の白ネギとは違う青ネギですが、大きめにカットしてあるため安っぽいイメージはなく、これについては好印象。メンマも東洋水産の開発部が1週間かけて——みたいなメンマではなく、味付けも風味も控えめな汎用のメンマで、コリッとした食感が箸休めに効果的でした。とはいえコンビニ限定かつ税込278円、もうちょっと頑張ってほしかったです。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
白味噌ベースのスープに鯛の隠し味、そしてオイルは多めでも攻撃性のないテイストなど、いわゆる札幌の濃厚こってり系みそラーメンとは別物で、なるほど味噌ラーメンではなく「味噌そば」とは言い得て妙だなと。ただ、ひとつのカップラーメンとして具材の貧弱さが否めなかったことに加え、やはり麺はイメージが違うような——
とはいえ私が過去に食べたことがあるのは宅麺という通販サイトで取り寄せた冷凍の「味噌そば」ですし(※冷凍でも本物)、とにかく「琴平荘」の店主は味の変化を厭わないほど研究熱心な方なので、もしかすると現在は仕様が変わっているのかも。おろしニンニクとラー油でアレンジしたら、より本店の味に近くなると思うので、もしよかったら参考にしてください。