めん・スープ・秘伝のたれに全集中「一蘭」初のカップ麺 “こだわりすぎた” 一杯が革命を起こしてきた件

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エースコック

どうも、taka :a です。

本日の一杯は、2021年2月15日(月)新発売、エースコックと共同開発したカップ麺「一蘭 とんこつ」の実食レビューです。

ライバルは実店舗!? コンビニや公式通販サイトでも売り切れ続出「一蘭」史上初のカップラーメン、その実態とは——。

実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。

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一蘭 とんこつ

一蘭(いちらん)とは、福岡県福岡市博多区中洲に本社総本店を構える天然とんこつラーメン専門店で、1960年(昭和35年)創業者・中原貞之氏が福岡県福岡市百道に開業した1軒の屋台「双葉ラーメン」を前身とし、その屋台時代から “ラーメンの中央に唐辛子ベースの赤いタレを浮かべる” 独自のスタイルを確立。1966年(昭和41年)屋台を福岡県小郡市に移転した際、屋号を現在の「一蘭」に改め、その歴史が始まります。

中央に鎮座する “赤い秘伝のたれ” は「一蘭」が元祖

一度は初代店主・中原氏の高齢を理由に廃業を予定していた「一蘭」ですが、現「株式会社 一蘭」代表取締役の吉冨学社長が「一蘭」を買取り、1993年(平成5年)9月、福岡県福岡市南区に現在の1号店「那の川店」をオープン。以降、福岡を中心に店舗を展開し、2013年(平成25年)7月11日には「香港コーズウェイベイ店」で海外進出を果たすなど、日本が世界に誇るラーメン事業の中でも有数のトップブランドに成長しました。

今回の新商品「一蘭 とんこつ」は、創業60年以上の歴史を誇る「一蘭」史上初のカップ麺で、その歴史的な商品の開発に携わったのは大阪府吹田市に本社を構えるエースコック株式会社。20年以上前から「一蘭」に寄せられていた商品化の要望に加え、数多くの企業からも共同開発の話を持ち掛けられていたそうですが、一蘭の “こだわり” を形にできる技術の実現が難しく、あえて即席カップ麺の商品化は見送っていたとのこと。

「一蘭」としては、麺・スープ・具材・秘伝のたれ、いずれも一切の妥協は許せない——。それでも “いつか必ず、お客様の期待に応えたい” との想いから試行錯誤を繰り返し、エースコック協力のもと、ついに即席カップ麺としての「一蘭」を現実化。それについて2021年1月21日、公式Twitterアカウントが「ついに…! 一蘭からアレが出ます…!」と匂わせ、同年2月5日には正式なアナウンスがあり、大きな話題になっていました。

カップ麺の非常識 “あえて具材は入れておりません” で差別化

しかし、これは単なる有名店監修のカップラーメンではありません。たとえばパッケージに「あえて具材は入れておりません」とあるように、カップ麺のステータスといっても過言ではない具材は不使用で、それは “ラーメン本来の純粋な味わいを楽しんでいただくため” と解説。まるで同店が有する店舗システム特許「味集中カウンター」よろしく “麺・スープ・秘伝のたれが作り出す美味しさに、ただひたすらに向き合える” 仕様。

さらに公式が発表している希望小売価格も税込490円ということで、ひとつのカップ麺としては異例の値段。それだけに “こだわり” は凄まじく、たとえば麺。最初に出来上がった「一蘭 とんこつ」の麺は、歯応えを強調した粉感の強い仕上がりで、福岡らしい麺ではあるが “一蘭らしくない” と再開発。歯応えの中に潜む滑らかさや麺の溶け方など、細部にわたって多角的に調整し、これまでにない独自のノンフライ麺を開発することに成功。

スープは骨っぽさを打ち出しつつ、特有の微細な舌触りや粘度を表現するために、粉末と液体の両方を採用。そして「一蘭」を象徴する「秘伝のたれ」は、わずか “4人しかいない秘伝のたれ職人” が試行錯誤を重ね、カップ麺のためだけに専用のタレを開発するなど、並大抵ではない「こだわり」と「企業秘密」が詰まった「一蘭 とんこつ」を完成させたのですが、話題性の高さから各店で売り切れ続出。案の定、入手困難な状況に——。

公式通販では「売り切れ」と「再入荷」を繰り返す

この記事を書き始めた2021年2月18日の深夜、一蘭の公式通販サイト「おみやげ一蘭」では “在庫 残りわずか” となっていたのに対し、日付が変わって1時間後には “在庫がありません” で入荷待ちの状態。このように短いスパンで再入荷・売り切れを繰り返し、カップ麺を取り扱っていた実店舗でも完売御礼のところが多く、それについては「一蘭」としても予想外の出来事だったそうです。

開封

別添の小袋は3種類

そんな「一蘭」史上初のカップ麺に別添されている小袋は、粉末スープ(A)、液体スープ(B)、赤い秘伝のたれ(C)の合計3袋。パッケージはもちろん、それぞれの小袋にもエースコックの社名やロゴマークなどはプリントしていないため、プロである筆者が見てもメーカーを特定するのが困難な仕様となっているのですが、それこそが今回のポイント。

販売者に「株式会社一蘭」と表示

ちょっとマニアックな話になりますが、容器側面の製品情報には「販売者:株式会社一蘭」と記載されている、つまり “一蘭が開発した商品”(エースコックは製造のみ)というのがキモ。

通常、有名店の名前が入った再現カップ麺は、販売者の欄にメーカーの社名を表示するのが一般的。あくまでも商品のモチーフになっている店は監修者なので、これが一般的な再現カップ麺と「一蘭 とんこつ」の決定的な差。もしもエースコックが販売者だった場合、あえての具材なしで希望小売価格は税込490円という、業界の常識にとらわれない仕様は成し得なかったかもしれません。

ちなみに「一蘭」が公表している販売店は、古賀SA店(下り)を除く一蘭の実店舗、おみやげ一蘭公式通販、一部コンビニ、小売店など。地域や店舗によっては売ってない場合もあるかと思いますが、コンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」での取り扱いを確認しているため、販売店の参考にしてください。

製品詳細情報・購入価格等

製品名:一蘭 とんこつ
販売者:株式会社一蘭(福岡市博多区中洲5-3-2)
製造所:エースコック株式会社 関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816-175)
内容量:128g(めん60g)
商品コード:4562214821254(JAN)
発売日:2021年02月15日(月)
実食日:2021年02月19日(金)
発売地域:全国(一部地域を除く)
取得店舗:コンビニ(ローソン)
商品購入価格:490円(税込)
希望小売価格:454円(税別)
麺の種類:ノンフライ麺
スタイル:大判どんぶり型
容器材質:プラ(PS)
湯量目安:440cc
調理時間:熱湯4分
小袋構成:3袋(粉末スープ・液体スープ・秘伝のたれ)

原材料名とアレルギー表示

【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、植物性たん白、大豆食物繊維、卵白粉)、液体スープ(ポークエキス、香味油、しょうゆ、調製ラード、食塩、砂糖、発酵調味料、菜種油、シーズニングペースト、たん白加水分解物)、粉末スープ(ポークエキスパウダー、たん白加水分解物、調製ラード、香辛料)、たれ(還元水あめ、菜種油、たん白加水分解物、唐辛子、食塩、ポークエキス、砂糖、おろしにんにく、しょうゆ、おろし生姜、調製ラード、味噌、シーズニングペースト、シーズニングパウダー、ブラックペッパー)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、酒精、炭酸カルシウム、乳化剤、卵殻焼成カルシウム、微粒二酸化ケイ素、着色料(カラメル、カロチノイド、クチナシ、カカオ)、酸化防止剤(ビタミンE)、かんすい、香料、増粘剤(キサンタン)、酸味料、(一部に小麦・卵・大豆・鶏肉・豚肉を含む)

実食開始

麺は油で揚げないノンフライ麺を採用

麺は「一蘭 とんこつ」専用に新規開発されたノンフライ麺で、とんこつラーメンといえば熱湯60秒の商品も存在しますが、湯戻し時間は熱湯4分と比較的に長めの設定。前述のように「あえて具材を入れておりません」ということで、先入れの「かやく」などは別添されておらず、小袋は “すべて後入れ” というのも調理の際に注意したいポイント。

パッケージに偽りなしw

また容器側面の調理方法によると、小袋を入れる順番を指定しているのも “こだわり” で、お湯を注いでから4分後にノンフライ麺をほぐし、小袋に「A」と書かれた後入れスープ(粉末)を溶かしてから「B」と書かれた後入れスープ(液体)を馴染ませるのが正しい手順。2種類の後入れスープを完全に溶かしたら、中央に一蘭を象徴する「秘伝のたれ」をトッピングして出来上がり。

秘伝のたれが入っている小袋には “辛いので、お好みに合わせて量を調節してください” と記載されているため、辛い食べ物が苦手な方は、すこしずつ様子を見ながら加えてください。それでは、税込490円の価値があるのかどうかはもちろん、念のため辛さレベルにも注目しつつ「めん」「スープ」「秘伝のたれ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。

栄養成分表示:1食(128g)あたり
カロリー:471kcal
たん白質:14.1g
脂  質:20.0g
炭水化物:58.8g
食塩相当量:8.6g
(めん・かやく:1.4g)
   (スープ:7.2g)
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。

めん

エースコックが本気出してきた件

8.5

実店舗で使用している生麺は、経験豊かな職人が独自にブレンドした小麦粉を軸に、その日の天候・気温・湿度を考慮して、微妙に違う配合で製麺しているらしく、熟成させる時間や水の温度も季節によって微調整。加水率は天然とんこつスープに合わせた低めの設定で、製麺後は専用の麺箱に移し、茹でる直前まで空気に触れないように保管する徹底した管理体制も特徴。

熱湯4分きちんと守って食べごろ

それを再現したノンフライ麺も加水率は低く、形状は平打ち気味のストレート。自然な小麦のザラつきに臨場感を覚える絶妙な舌触りもさることながら、ふわっ‥‥と鼻腔に抜ける小麦の香りも見どころで、既存のノンフライ麺にはないリアリティを実現。さらに加水率の低さに反し、なかなか伸びにくいのも特徴となっているのですが、徐々にスープと馴染む一体感に “麺の溶け方” を試行錯誤したことが感じられます。

調理前の麺量は60gと多くはないですし、替え玉(かえだま)が入っているわけでもないのですが、生麺に近い弾力と適切な歯切れを両立している、その圧倒的な臨場感で物足りなさは皆無。もちろん実店舗で生麺を茹で上げたときの感動を100%完全に再現できているわけではないけれど、明らかに既存のノンフライ麺とは次元が違ったので、それについては感動を覚えました。

スープ

とんこつの骨っぽさまで硬派に打ち出す

8.5

まず「A」と書かれた粉末スープ単体の味を確認してみたところ、これだけで味が成立するわけではないのですが、骨っぽい風味と口当たりに魅力を感じるフレームワーク。原材料は “ポークエキスパウダー、たん白加水分解物、調製ラード、香辛料” とシンプルで、しかしながら骨っぽさを打ち出しているポークエキスパウダーを筆頭に、とろみの強さではなく旨みで勝負しているのも好印象。

液体スープはフタの上で温めてから投入

そこに「B」と書かれた液体スープを加えると、骨っぽい風味が大幅に強まるだけでなく、じっくりと丁寧に炊き出したような乳化感を実現。こちらの原材料は “ポークエキス、香味油、しょうゆ、調製ラード、食塩、砂糖、発酵調味料、菜種油、シーズニングペースト、たん白加水分解物” と複雑で、こってりと膨よかなオイルのコクに、独特の臭みを抑えながらも「とんこつ」と実感できる濃厚なエキスが口いっぱいに広がります。

お店の天然とんこつスープと比較した場合、どうしてもインスタント特有の雑味が並行するので、そこにカップ麺の限界を感じるところはあるものの、たとえば数年前にセブンイレブンで販売されていた大判どんぶり型「明星 地域の名店シリーズ 博多だるま」を初めて食べたときに近い、それに似た感動を覚えました。

秘伝のたれ

辛味の強さも量も適切

6.0

これまでに「一蘭」が培ってきた “赤い秘伝のたれ” の調合技術を活かし、この商品のためだけに開発したという「秘伝のたれ」は、還元水飴をベースにしているため、やや不自然な粘度が生じています。しかし、それが後述する総評の足を引っ張ることはありません。

試しに直接そのまま舐めてみたところ、辛さレベルは一般的にみてもピリ辛ちょい上で、しかしながら硬派にピリ辛。もちろん辛いだけのタレではなく、にんにくや生姜などの香味野菜をはじめ、どこか乾物系の発酵調味料を彷彿とさせる複雑な味わいが印象的。もちろんスープとの親和性も申し分なく、細部にわたって調整を繰り返したことが伝わってくるような、まさに計算し尽くされたフィット感。

いきなり溶かしてもバランスは崩れない

複数の「一蘭 とんこつ」を同じ日に、同じ店で購入していたので、試しに最初から「秘伝のたれ」を全体に馴染ませてみたところ、なかなかどうしてバランスは崩れません。けっこう存在感の強いアイテムなので、もちろんスープの表情はガラッと変わりますが、それでも「一蘭」の天然とんこつスープを彷彿とさせる骨っぽさは衰えることを知らず、むしろ “ニュアンスは秘伝のたれを入れてからのほうが鮮明だった” ことに驚きました。

総評

8.0

「一蘭」の公式ネット通販サイトで購入してもコンビニ(ローソン)で購入しても税込490円なので、一般的にカップ麺として許容されそうにない値段ですし、あえての “具材なし” というのも評価を二分するターニングポイントになるかと思いますが、麺・スープ・秘伝のたれに全集中した迫力は凄まじく、もはや革命といっても過言ではありません。

ノンフライ麺とスープの作り込みに至ってはエースコックのイメージを覆す出来栄え(すみませんw)だったので、具材が入ってなくても‥‥いや、もしエースコックの商品にありがちな細切れ具材が中途半端に入っていた場合、それが蛇足に働いていたのは明白。コストパフォーマンス重視の方にはオススメできない商品ではあるものの、さすが「一蘭」開発と思える革新的な一杯だったので、一度は試す価値ありですよ(author・taka :a)

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