どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年2月3日(月)新発売のカップ麺、エースコック「一度は食べたい名店の味 八雲監修の一杯 ワンタン麺 白醤油味」の実食レビューです。
“ミシュランガイド東京2017-2020” 連続掲載店「八雲」の特製ワンタン麺(白)がカップラーメンに!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
八雲監修の一杯 ワンタン麺 白醤油味
八雲(やくも)とは、東京・池尻大橋に本店を置く創業1990年9月の行列が絶えない名店で、店主の稲生田 幹士(いなうだ かんじ)さんは浜田山の老舗「たんたん亭」出身という経歴の持ち主。今回のカップ麺「八雲監修の一杯 ワンタン麺 白醤油味」は、同店の1番人気メニュー「特製ワンタン麺(白)」を再現したもので、「一度は食べたい名店の味」シリーズ第32弾の新作です。
稲生田店主は「たんたん亭」で2年の修行を終えた後、最初は “支那そば 八雲” という看板を掲げ、目黒区上目黒2丁目に独立開業したのが1999年9月。八雲という名前の由来は、店主の生まれ故郷である島根県は松江の地名に因んでいるらしく、ワンタン(雲呑)を漢字で書いたときに “雲” の字が重なったことも決め手になったのだとか。
開業当時はインターネットも普及しておらず、軌道に乗るまでに時間を要したそうですが、改良に改良を重ねるうちに口コミが広がって、いつしか行列ができるほどの名店に——そう、行列といえば近隣住民の苦情が付き物。「八雲」創業の地である中目黒も例外ではなく、行列に対する近隣住民からのクレームが相次いだ結果、2005年に店主は中目黒から移転することを決意します。
次の拠点に選んだのが池尻大橋で、2020年2月現在の本店所在地ではなく、東京都目黒区大橋・オリエンタル青葉台の2階に店舗を移転(2005年8月27日オープン)。移転当初の昼はラーメン店の「支那そば 八雲」として営業、夜は後輩に店を譲り「焼き鳥 夜雲」として二毛作営業を行っていたそうですが、営業時間の制限によって夜営業の「夜雲」は撤退。
中目黒時代は行列店だった「支那そば 八雲」の移転後、しばらくは閑古鳥が鳴き続けていたらしく、新たな客を呼び込むために店主は新メニューを考案。それまで濃口醤油を使った黒醤油ベースの「黒だし」のみ提供していたところ、白醤油ベースの「白だし」を開発し、白と黒の「ミックス」も選べるようにした結果、その「白」が既存の「黒」を上回る勢いで大ヒット。
それから行列を取り戻し、各種メディアでも大きく取り上げられ、講談社発行『第16回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2015-2016(東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー)」の “名店しょうゆ部門” で「中華そば しば田(仙川)」と並び堂々の1位を獲得。食べログでも注目され始めた時、度重なる水漏れに店舗が限界を迎え、2度目の移転を余儀なくされました。
そこで2017年1月13日、現在地の東京都目黒区東山(エビヤビル1F)に移転。路面店かつ駅も近くなったことで客足も伸び、その行列は途絶えることを知らず、2017年から3年連続で「食べログ 百名店 TOKYO」に選出。さらに2017年から『ミシュランガイド東京』でも3年連続ビブグルマンを獲得し、東京の店では “初めてミシュランにワンタン麺で認められる” 偉業を成し遂げます。
なお、「八雲」の実店舗でワンタン麺を食べたことはなかったので、カップ麺の再現度も評価できるように、通販サイトの「宅麺.com」で “本物の白だし特製ワンタン麺” を取り寄せ、事前に味を予習しておきました。もちろん “カップラーメン” という立ち位置を加味した上で評価しますが、再現元の特徴が気になる方は関連記事「八雲 特製ワンタン麺(白)」もあわせてご覧ください。
開封
さて、別添の小袋は「液体スープ」が1袋、あいかわらず最初から容器の中に入っているのかと思いきや、珍しくフタの上に貼り付けてあります。エースコックのニュースリリースには “別添の液体スープを加えることで、白醤油の旨みと香りが口の中いっぱいに広がり、最後まで飽きのこない味わいに仕上げました” と解説されていたので、白醤油の旨みと香りが今回の注目ポイント。
「白醤油」とは、愛知県碧南市を主産地とし、江戸時代から造られている “小麦が主原料の醤油” で、一般的な大豆を主原料とする醤油よりも熟成期間が短く、その淡白で上品な味わいから「素材を活かすための醤油」として重宝されています。濃口醤油や薄口醤油よりも甘味が強く、ここに昆布や鰹節、椎茸などの出汁(だし)を加えたら、いわゆる「白だし」ですね。
ちなみに『TRYラーメン大賞』で優勝した店といえば、例外なく東洋水産(マルちゃん)が再現カップ麺を発売しています。けれども『第16回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2015-2016』の名店部門(しょうゆ)で「八雲」が優勝した際、東洋水産は当時それ以前から付き合いのあった「しば田」とタイアップしていたので、「八雲」はカップラーメンになりませんでした。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:一度は食べたい名店の味 八雲監修の一杯 ワンタン麺 白醤油味 製造者:エースコック株式会社 関西滝野工場 製造所:兵庫県加東市河高1816-175(W) 内容量:89g(めん70g) 商品コード:4901071246686(JAN) 商品サイズ:縦111mm×横111mm×高さ118mm |
発売日:2020年02月03日(月) 実食日:2020年02月04日(火) 発売地域:全国(スーパー・コンビニ等) 取得店舗:コンビニ(ミニストップ) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:タテロング ブランド:一度は食べたい名店の味 容器材質:紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白粉)、スープ(食塩、糖類、しろしょうゆ、植物油脂、チキン調味料、魚介パウダー、動物油脂、粉末しょうゆ、香辛料、おからパウダー、オニオンパウダー、白だし、たん白加水分解物、酵母エキス、カツオ風味調味料、コンブエキス、カツオブシエキス、全卵粉)、かやく(ワンタン、ねぎ、メンマ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、香料、酒精、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE)、微粒二酸化ケイ素、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、酸味料、くん液、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ごまを含む) |
実食開始
たまたま当時は「しば田」が優先されて「八雲」には声が掛からなかったのか、それとも「八雲」が東洋水産のオファーを蹴ったのかどうかは定かでないものの、ミシュラン掲載店が満を持して監修した今回のカップラーメン。麺は熱湯3分の油揚げ麺で、調理前はエースコック特有の油揚げ麺臭が気になったのですが——
具材はワンタン、ねぎ、メンマとシンプルで、実店舗の特製ワンタン麺に入っているワンタンの数は6個が標準となっているところ、再現カップ麺では3つ。なお、容器側面の調理方法とフタの裏にもデカデカと “必ず、ワンタンの上に充分熱湯を注いでください” と書いてあるので、ゆっくりとワンタンの上から熱湯を注ぎましょう。
それから別添の液体スープは熱湯を注いでから待っている間にフタの上で温めて、食べる直前に入れてください(※先に入れると麺が適切に戻らないかもしれません)。それでは、引き続き本物との違いや共通点に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力と再現度の高さを判定します。
栄養成分表示:1食(89g)あたり |
カロリー:374kcal たん白質:10.1g 脂 質:12.7g 炭水化物:54.9g 食塩相当量:5.8g (めん・かやく:1.5g) (スープ:4.3g) ビタミンB1:0.46mg ビタミンB2:0.38mg カルシウム:274mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:374kcal(めん・かやく:309kcal)(スープ:65kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
食感の再現度は高い
本物の特製ワンタン麺には菅野製麺所(※大栄食品から変更)の中細麺を合わせていて、形状は角刃でカットした角断面のストレート麺となっているのですが、エースコックのカップ麺には丸刃でカットした角のない中細麺が合わせてあります。しかし、ほとんど縮れがないストレート麺で、ここは素直に技術の進歩を感じるところ。
また、実際の麺は加水率が低く、今回の油揚げ麺も加水率は低めの低加水麺となっていて、やや白っぽい見た目も共通点。どうしても繊細なスープを相手に油揚げ麺特有の風味を感じるので、そこは生麺やノンフライ麺に敵わないポイントではあるものの、ダラダラと食べなければ許容できないような風味ではないですし、この食感けっこう本物に近いです。
八雲(菅野製麺所)の麺を口にしたとき、もっとも印象に残ったのは麺を噛んだ時の弾力で、中心にコリッとした歯応えを残すところに個性を感じました。対する今回の麺も中心にコリッ、クニッとした歯応えがあって、まさに八雲の麺で印象的だった食感に近く、これにはビックリ。とりあえずフライングせずに3分きちんと待ってから、麺を優先的に食べ進めるのがオススメ。
スープ
なかなかどうしてスープも近い
実際のスープはラーメンにしては珍しく、豚骨や鶏ガラなどの “骨は不使用” で、動物系は鶏肉や豚肉からのみ出汁を取り、乾物系は羅臼昆布や干し海老、干し椎茸を重ね、魚介は煮干し、鰹節、鯖節、うるめ節をブレンド。ほんのりと生姜のアクセントが香り、白醤油の柔らかくて淡い旨味が全体を整えているのですが、大きく分けて「畜肉」「煮干し」「白醤油」で構成されています。
対してカップ麺のスープに椎茸や干し海老は含まれていないようですが、魚介は煮干しが強く、昆布の下支えもあって、動物系も癖のない清湯ベースと「八雲」の特徴を押さえたフレームワーク。そして別添の液体スープには白醤油と白だしも合わせ、鶏油と思われる黄色いオイルも仕込んであり、おそらく「MEGA鶏 濃厚鶏まぜそば」の鶏油(ちーゆ)と同じもの。
「MEGA鶏」ほど強烈に鶏油が主張してくるわけではないのですが、投入直後の香りには臨場感があり、実店舗のスープも香味油は鶏油のみ使っているらしく、鼻腔を抜ける香りには近いものを感じました。加えてフワッと広がる白醤油特有の風味に煮干しのシャープなコクが重なる感じも近く、けっこう厳し目に評価しようと思っていたのですが、想像以上の再現度にビックリです。
具材
具材はカップ麺の限界を感じるけれど——
再現元の特製ワンタン麺にはプリップリの海老ワンタン×3個、中華街の肉焼売も裸足で逃げ出すレベルのジューシーな肉ワンタン×3個、それはそれは食べ応えがあって、今まで食べたワンタン麺のワンタンでイチバンおいしいと感じたのですが(そんなにワンタン麺の経験値は高くないんですけどw)、カップ麺の具材は汎用のワンタンが3つと小さいメンマ、それにネギと最低限の内容。
宅麺の商品にメンマは入っていなかったのですが、実店舗のメンマは柔らかい穂先メンマを使っているらしく、対してカップ麺のメンマは小さめの資材(でも歯応えはコリッコリ)。ちなみに写真で奥のワンタンだけ色が白いように、今回は1つだけ “ワンタンを麺の下に入れて熱湯を注いでみた” ところ、3分後には皮がデロンとなって破れてしまいました。
反対に通常通り調理すると、ワンタンは迫り上がってきた麺の上にのっているだけの状態になるため、上半分の皮がパリッとしたまま戻りません。とはいえ以前の致命的だった繋ぎ目の部分は戻りやすくなっていたので(つまり皮が破れやすくなったわけなんですけどw)、そこは好印象でした。あの戻りムラを噛んだ時のバキッ!ってなるやつ、けっこうストレスですからね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
縦型カップ麺は利便性が高い分、どうしても制約が多いので、それなりに妥協しなければいけないところは出てきます。しかし、再現元の特製ワンタン麺(白)は税込1,100円、今回のカップ麺はコンビニで購入しても税込232円、単純に868円もの値段差が生じているので、それを思えば麺とスープは上出来の再現度(※価格は2020年2月4日現在の情報)。
具材についてはエースコックのカップラーメンだなぁ‥‥という結果に落ち着いてしまうのですが、麺の食感とスープにおける白醤油や魚介の使い方には雰囲気があって、想像していた以上によかったです。コンビニでは「ミニストップ」での取り扱いが意欲的だったので、もし売ってない場合はミニストップを中心に探すと見つかりやすいかもしれません。