どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年5月30日(火)新発売、東洋水産のカップ麺「ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨(黒マー油入り)」の実食レビューです。
かため極細麺の改悪から5年以上、ローソン限定の留型商品に生まれ変わった「ハリガネ」の新作を食べてみた結果——。
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨
ハリガネとは、湯戻し1分の極細麺を特徴とする東洋水産のブランドで、2011年(平成23年)5月9日発売の「極細メンかた とんこつ味」を皮切りに発足。定義や良否については諸説あるものの、博多とんこつラーメン専門店などで硬い順から「コナオトシ」「ハリガネ」「バリカタ」「カタ」と続く麺の茹で加減を名前の由来とし、その中でも2番目に硬い歯応えをイメージしています。
今回の新商品「ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨」は、博多の豚骨ラーメンをイメージした湯戻し1分の極細麺に、熊本ラーメンの象徴といっても過言ではないマー油(焦がしニンニク油)を組み合わせた一杯で、全国のローソン店舗を対象にした留型商品。東洋水産の「ハリガネ」といえば、あえてのスナック感に強い魅力を感じており、以前なら無条件で手に取っていました。そう、あの日までは——。
あれは私が全国を、いや‥‥世界中を飛び回り、自らの概念を覆してくれるような出会いを求め、バックパックひとつで各地を転々としていた、あの若かりし頃——。みたいなドラマは微塵もないんですけど、これは現在を遡ること5年以上、2017年(平成29年)11月13日に「ハリガネ」シリーズ第20弾としてリリースされた「スパイシー豚骨」の話。
それまでの「ハリガネ」には、丸刃で切り出した油揚げ麺を搭載していたのに対し、件の「スパイシー豚骨」から角刃の縮れ麺にシフト。もともと荒波に揉まれたかの如く激しめの縮れが施され、なおかつ食感も風味もスナック的ではございましたが、それも含めてカップラーメンらしい魅力とポジティブに感じておりましたのに、麺の切刃が変わった途端に安っぽく、オープン価格の廉価版かよ、みたいな。
いやマジで、当時は “なんてことをしてくれた” などと「ハリガネ」の担当者を恨んだとか恨んでないとか(※恨んでません)。それほどのショックを受けることになった改悪のタイミングがあり、しばらく同じ仕様の油揚げ麺を使い続けた後、2019年(令和元年)9月30日発売のシリーズ第22弾「ハリガネ ねぎだく豚骨」にて “新かため極細麺” お披露目となったのですが、引き続きダメダメ。
おかげで私の中に ——火が消える寸前のロウソク程度に—— 残っていた「ハリガネ」の麺に対する信頼度は暴落し、今後はレビューする気にもなれないだろうと見切りを付けかけていたのですが、幸か不幸か2019年9月の「ねぎだく豚骨」を最後にNB(ナショナルブランド)商品としての「ハリガネ」は終売します。しかし、それから3年後‥‥。
2021年(令和3年)9月7日に復活を遂げた「ねぎだく豚骨」及び「黒マー油とんこつ味」の発売を境に「ハリガネ」は “ローソン限定の留型商品” に生まれ変わり、現在に至ります。というわけで、このブログで取り上げるのは2019年9月発売の「ねぎだく豚骨」以来、約4年ぶりに向き合うことになるのですが、正直なところ不安しかないのが本音。
パッケージではビシィッと気持ちよくストレートなのに、フタを開けてみたら詐欺と訴えられてもおかしくないレベルには縮れている、というギャップは発売当初からの様式美(?)なので、私くらいのベテランになると、それくらいの茶目っ気には目を瞑れます。しかし、角刃の「ハリガネ」を素直に受け入れられるほど出来た人間ではないので、もしかすると酷評になるかもしれません。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製油」1袋のみで、容器側面に小さく “黒マー油入り” と記載されていることから、おそらく中身は黒マー油。ちなみに20年以上前、極細麺の「ハリガネ」と対を成す「スゴブト」というシリーズがあったんですけど、それは「魚介とんこつ醤油味」「焼そばソース味 大盛り」「濃厚味噌味」の計3品で終了しました。
かやくは定評のある味付豚肉を筆頭に、フリーズドライのネギが鮮やかで、ちょっと画像では確認しづらいのですが、粗挽き唐辛子とガーリックチップも入り、この時点でガーリックパウダーとガーリックチップの香りが強めに漂ってきます。とはいえ生おろしニンニクほどの攻撃性ではないので、ここに重なるマー油のインパクトに期待したいところ。
2011年10月3日発売の “シリーズ第2弾” 及び2013年11月4日発売の “シリーズ第8弾” 並びにローソンの留型商品に切り替わってからも前述の「黒マー油とんこつ味」を発売していましたが、コンセプト的に2016年11月28日発売のシリーズ第18弾「黒ダレ辛とんこつ」に近い‥‥掘り下げ過ぎですかねw とりあえず、黒いマー油と赤い唐辛子は「ハリガネ」史上2回目の組み合わせ。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨(黒マー油入り) 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901990374651(JAN) |
発売日:2023年05月30日(火) 実食日:2023年06月04日(日) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ローソン) 小売価格:239円(税別) 購入価格:258円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯1分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(ポークエキス、豚脂、香味油脂、食塩、香辛料(ガーリックパウダー、唐辛子、こしょう、ジンジャーパウダー)、しょうゆ、植物油、砂糖、酵母エキス、たん白加水分解物)、かやく(味付豚肉、ガーリックチップ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、加工でん粉、炭酸カルシウム、かんすい、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、クチナシ色素、カラメル色素、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間はパッケージの通り1分となっているのですが‥‥ええ、今回も過去作の例に漏れずゴリゴリに縮れております。どうやったらイメージ画像通りのストレート麺に戻せるのか教えてほしいw などと思いつつ、もしかすると1分後にピーンと伸びる新技術を導入した、ブランド史上最高峰の極細麺かもしれない。
などと0.08%くらいの淡すぎる期待を抱きつつ、それはさておき別添の小袋は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「特製油」を温めながら待つこと1分。時間になったら「特製油」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。無論、1分で小袋の中身が温まるはずもなく、しかしながら容器の側面を素手で持つと “けっこう熱い” ので、調理の際は注意してください。
ちなみに製造所は酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は1983年(昭和58年)7月から東洋水産が資本参加している連結子会社で、房総工場については “マルちゃんの工場” という認識で問題ありません。それでは、引き続き極細麺の改良とスープのインパクトにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)あたり |
カロリー:457kcal たん白質:12.4g 脂 質:24.2g 炭水化物:47.3g 食塩相当量:5.5g (めん・かやく:1.5g) (スープ:4.0g) ビタミンB1:0.34mg ビタミンB2:0.33mg カルシウム:190mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:457kcal(めん・かやく:360kcal)(スープ:97kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
早急に改良すべき
パッケージのイメージ画像ではストレートでも、いざフタを開けてみたら詐欺と訴えられてもおかしくないレベルには縮れていると前述したように、それは最新作の「やみつき旨辛ガーリック豚骨」も例に漏れず。けれども私くらいのベテランになr(中略)結論からいうと「スパイシー豚骨」(改悪後)の延長線上に位置する品質で、改悪前の魅力は取り戻せていません。その頃から比較すると、誰だよ状態。
ちょっと撮影に手間取ったので、上記の画像では2枚とも伸びちゃってるんですけど、つまり実際の縮れは画像で見るよりも強く、食べ始めの食感はハリガネもとい “ただ適切に戻ってないだけ” みたいな。熱湯3分のカップラーメンでも1分しか待てない! だったら気にならないと思いますけど、まだ全体の半分くらいが乾燥状態というか、パキパキ、サクサク、パキパキ、サクサク‥‥。
そうか、皿うどんを食べていると思えば! などとポジティブに考えてはみたものの、皿うどんではない事実。ちゃんと沸かした熱湯を注ぎ、フタをした状態で2分30秒ほど待てば、致命的な戻りムラについては気にならなくなるでしょう。ただ、湯戻し1分の表示が不具合に思えるような仕様だったので、及第点は付けられませんでした(※撮影して完食後、再び調理して撮影せずに実食した上での感想です)。
スープ
見た目のわりに大人しかった
まずは粉末スープだけの状態で味を確認してみたところ、とろみ成分による人工的な粘度の高さが気になったのですが、商品名に「やみつき旨辛ガーリック豚骨」を冠しているように、けっこうニンニク(ガーリックパウダー)の風味は強く、ほんのちょっとピリ辛でパンチのあるテイスト。
東洋水産の縦型カップに使われるポークエキスは基本的に骨っぽさが強いので、その基準を思うと豚骨感については頼りなさを感じたものの、乳化感が弱いわけではありません。しかし、それ以上にニンニクの自己主張が目立つので、もうちょっと頑張ってほしかった気持ちが無きにしも非ず。
そこに加える「特製油」は、おそらく「沼るニンニク 熊本風とんこつラーメン」と同じ代物で、豚脂がスープのコクをグッと深めてくれるだけでなく、なんといってもマー油の芳ばしさが‥‥あれ、そんなに強くない。とろみの強さが原因か、いったん全体に溶け込んでしまったら最後、そのまま土台に飲まれているようなイメージで、焦がしニンニクの個性がフロントに立つことはありません。
それを “調和” と捉えれば、優等生なスープとしての完成度は一定のラインに到達しているため、好みの問題もあるかと思います。ただ、ホロ苦いマー油のインパクトだったり、唐辛子の辛さだったり、尖った部分や攻撃性に期待していると、フィルターが掛かった感覚に陥るかもしれません。とはいえ最終的なガーリック感については食後の口臭が気になる勢いだったので、喫食のタイミングには要注意です。
かやく
無駄のないラインナップ
味付豚肉は砂糖と醤油がベースの甘辛い味付けで、たとえば淡麗系の塩ラーメンなど、場合によっては良くも悪くもスープに強く干渉する側面も備えているのですが、前述したスープとの相性に問題はありません。ちょっと獣的というか、野趣に富んだ風味も伴うけれど、それも含めて噛めば噛むほど滲み出る肉の旨みが味わい深い具材。
フリーズドライ(凍結乾燥)のネギは程よい主張でありながら、薬味らしくスープの引き立て役として機能している効果的なアイテムで、ガーリックチップは目視できなかったんですけど、ちょいちょい口の中で暴れてました。それぞれ新進気鋭の具材ではなく、しかしながら不足も無駄もないラインナップでした。
総評
5年以上前にショックを受けた「ハリガネ スパイシー豚骨」の改悪と比較したら、当時よりもマシな質感に変わってはいるものの、博多とんこつラーメンらしい雰囲気の低加水麺を食べたいのであれば、明星食品の「バリカタ」を差し置いてまで、現在の「ハリガネ」を選ぶ価値はありません。それに目を瞑ってスープを重視したとしても、同じ週に「沼るニンニク」をリリースしてしまったのが敗因。
油揚げ麺でしか味わえない、パキパキした戻りムラに強い魅力を感じるのであれば、上記のような感想を抱くことはないでしょう。ただ、ローソン限定の留型商品かつ販売価格が特別に安いわけではない、そのポジションも踏まえると、早急に改善するべき案件かと思います【author・taka :a(大石敬之)】