どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年12月16日(月)新発売のカップ麺、寿がきや食品「冬のコク塩ラーメン(12代目)」の実食レビューです。
今年で発売12年目を迎えた寿がきや冬の風物詩「冬のコク塩ラーメン」2019年は豚の旨味を強化!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
冬のコク塩ラーメン 2019
「冬のコク塩ラーメン」とは、寿がきや食品株式会社(愛知県豊明市)が “冬に食べたい熱々でコクのあるラーメン” をコンセプトに開発している冬季限定のカップラーメンで、第1弾の発売日は2008年12月15日。当時の参考小売価格は税込238円、たっぷりの背脂に白菜や焦がしネギなど、冬に好適の塩ラーメンとして、シリーズ発売当初から製品の基盤は固まっていました。
昨年(11代目)の発売日は2018年11月12日(月)だったので、今年は例年よりも1ヶ月遅れのリリースになりましたが、発売12年目となる2019年も鶏ガラ、豚骨を炊き出したスープに白菜の旨味をアピール。ちょっとスープの塩気が強いけど香辛料が効いたスパイシーでパンチのある塩ラーメン、というのが寿がきや食品の「コク塩ラーメン」の基本的な特徴です。
昨年は “こだわりの塩” をテーマにベトナム産天日塩「カンホアの塩」とモンゴル産岩塩「天外天塩(てんがいてんえん)」を使用していましたが、今回それらに関する記述はありません。どうやら今年は塩よりもコクを意識しているらしく、寿がきや食品の公式ウェブサイトによると “豚の旨味をUPすることで、よりコクのあるスープに改良しました” とのこと。
パッケージは例年通り深めの群青色をベースにしているのですが、ほぼ2017年・2018年と同じデザインだったのに対し、今年は商品名の「コク塩ラーメン」部分を強調。さらに雪の結晶を「冬の」周辺にあしらうなど、やや硬派な印象からポップなデザインになったようにも感じるのですが、ほぼ調理後のイメージ写真は同じです。
発売11年目の前回は、加ト吉(カトキチ)水産株式会社フーズ部群馬工場が製造する旧モデルの汎用ノンフライ麺を復活させ、なるほど “こだわりの塩” を思わせる塩の甘味が印象的なスープが味わい深く、3種のネギ(白ネギ、青ネギ、焦がしネギ)やフライドガーリック、赤唐辛子などによるスパイス感もバッチリ。
同じく寿がきや食品の「冬季限定」シリーズ(現「冬の○○」シリーズ)には、赤白2種の信州米味噌、加えて重厚感と甘さのある麦味噌と背脂のコクを合わせた「冬季限定コク味噌ラーメン」という商品があり、近年では2015年11月と2016年11月に発売されていたのですが、2017年以降は音沙汰無しなので、今年は発売されないかもしれません。
なお、ニュータッチことヤマダイ株式会社も「凄麺 冬の塩らーめん」という冬の風物詩を所持しており、そちらは2003年の冬に初代が発売されているため、寿がきや食品の「コク塩ラーメン」よりも歴史が長い冬季限定カップ麺。今年も11月4日に “15代目” となる「凄麺 冬の塩らーめん」を発売し、寿がきや食品よりも一足早く冬の訪れを告げました。
ヤマダイの冬季限定しおラーメンにも白菜が入っており、それは過去に食べたカップ麺の中で最強の白菜といっても過言ではないフリーズドライの分厚い白菜で、みずみずしくてザクシャキの食感。今年の凄麺は背脂がカットされてしまったのですが、前年に続いて生おろしニンニクを別添してくるなど、寿がきや食品の「冬」とは違ったアクションで顧客の購買意欲を刺激しています。
開封
さて、別添の小袋は「液体スープ」「後入れかやく入スープ」「かやく」の合計3袋。かなり液体スープの量は多く、さらに冬季限定という寒い季節も相俟って、背脂をはじめとする動物油脂が小袋の内部で固まっています。液体スープの小袋だけ水色に変わっていますが、小袋の構成としては昨年から変わっていません。
麺は熱湯4分のノンフライ麺で、やはり調理前の見た目は加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場に製造を委託している旧・汎用麺と同じもの。現在でも寿がきや食品の工場にはノンフライ麺を製造する設備が整っていないため、カトキチ(テーブルマーク)に麺の製造を委託しており、油揚げ麺はポンポコラーメンの山本製粉株式会社(愛知県豊川市)に製造を委託しています。
2017年5月22日に発売された「銀座香味徳(かみとく)監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」から汎用麺(熱湯4分)の仕様が大幅に変わり、現在の有名店監修商品に使用されている一回り太い丸刃の麺が主流となっているのですが、この旧タイプも侮れません。特に塩気のキリッと効いた塩ラーメンとの相性がいいので、まさに「冬のコク塩ラーメン」には打って付けの存在。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:冬のコク塩ラーメン 販売者:寿がきや食品株式会社 製造所:加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場 内容量:109g(めん65g) 商品コード:4901677082657(JANコード) 個装サイズ:φ167×70(mm) 発売日:2019年12月16日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋(液体スープ・後入れかやく入スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物油脂、小麦たん白、大豆食物繊維、たん白加水分解物)、スープ(しょうゆ、動物油脂、食塩、チキンエキス、ポークエキス、乳糖、香辛料、植物油脂、野菜エキス、オニオンパウダー、香味油、ゼラチン、ポークプロテイン、砂糖、たん白加水分解物、魚醤、イカエキス、酵母エキス)、かやく(肉そぼろ、白菜、ねぎ、背脂加工品、フライドガーリック、唐辛子)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸カルシウム、乳化剤、着色料(カラメル、クチナシ)、粉末セルロース、増粘多糖類、香料、酸化防止剤(V.E、V.C)、酸味料、(一部に卵・乳成分・小麦・いか・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
先入れの小袋は「かやく」のみで、近年のパターンどおり白菜と肉そぼろが入っています。2016年12月12日に発売された「冬季限定 コク塩ラーメン(9代目)」までは薄っぺらくてケミカルな風味の丸型チャーシューを使用していたのですが、発売10年目を迎えた2017年11月20日発売品より肉そぼろが採用され始めました。
思えば発売10年目を迎えたタイミングで商品名を「冬季限定コク塩ラーメン」から「冬のコク塩ラーメン」に変更し、2019年の調理後も2017年・2018年バージョンと比較して目立った違いは見られませんが、昨年のメーカー希望小売価格は税別227円だったところ、今年は税別238円に値上がりしています。ただ、これについては2019年6月1日に実施された業界全体の価格改定によるもの。
コンビニで購入した場合の税込価格は257円(昨年は税込245円)、実際に立ち寄ったコンビニの店舗では「ローソン」「ミニストップ」「ファミリーマート」での販売を確認しました。それでは、前回との違いや豚の旨味に注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(109g)当たり
カロリー:365kcal |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:365kcal(めん・かやく:265kcal)(スープ:100kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
たとえば同社の激辛カップ麺「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん(2019)」などに使われている、全粒粉を練り込んだ特注のノンフライ麺だと仕様が変わってくるのですが、先ほど例に挙げた「香味徳」のカップラーメンをはじめ、2017年以降の汎用ノンフライ麺ではありません。それ以前の旧・汎用ノンフライ麺ほどの扁平率ではないものの、しっとりとした加水率の高い口当たりとコシの強さが魅力的な旧型を使用しています。
そもそも原材料の構成からして別物で、現在の汎用麺は “小麦粉(国内製造)、食塩、植物油脂、小麦たん白、大豆食物繊維、たん白加水分解物” がテンプレとなっているのに対し、「でん粉」を使用しているのが旧タイプの特徴的なポイント。一見すると熱湯4分も必要なのか不安になるような細さですが、フライングしてはいけません。食べ始めの強いコシや粘り気のある弾力は、時間を守ることで引き出されるもの——
むしろ熱湯4分きっちり待つことで “コシがアップする” ため、不用意に切り上げると逆にコシが弱くなります。しっとりとした口当たりに芳潤な小麦の風味、さらにスープの塩味が小麦の甘味をグイッと引っ張り出し、麺との一体感を高める適切な縮れなど、今年もスパイシーな冬のコク塩スープとの相性は申し分ありませんでした。おそらく前回と同じ麺だと思うのですが、例年以上に美味しかったです。
スープ
おおむね原材料の構成は昨年のスープから変わっておらず、後入れの「かやく入スープ」は今年も開封した瞬間から黒胡椒やガーリックを中心としたスパイシーな香りを漂わせ、3種のネギ(白ネギ、青ネギ、焦がしネギ)にフライドガーリック、赤唐辛子、背脂顆粒が含まれているのも例年通りのフレームワーク。
原材料名から「天外天塩29%」と「カンホアの塩27%使用」という表記がなくなっているので、今年は特に塩の産地にはこだわってようですし、カロリーや脂質、食塩相当量の値も大幅に変わっているわけではないのですが、やや体感的な塩分濃度は下がり、反対に豚脂(ラード)の芳ばしい風味とコクは例年以上。
湯気が立たないほど分厚い油膜が張るわけではないのですが、前回よりも動物油脂の使用量が増えているような印象で、こってり感は麺をすすると唇がポテッとするくらい。でもクドさを感じさせるようなコッテリではなく、清湯系の豚骨と鶏ガラの丁寧なコクや豚脂の芳ばしさを打ち出しながら、食塩のエッジを適度に包み、塩ラーメンらしく後味をピシッと引き締める塩梅も見事。
タレに醤油を使用していますが、あくまでも香り付け程度なので、きちんとテイストは塩ラーメン。赤唐辛子の辛さは大したことないけれど、芳ばしい焦がしネギのアクセントにスパイシーな黒胡椒の刺激、さらにフライドガーリックのパンチも絶妙で、魚醤とイカエキスの隠し味が幅と奥行きを深めている——ちょっと今年のコク塩はヤバいですよ。
基本の構成は同じなんですが、豚脂の芳ばしさに醤油の香り、スパイス感、塩加減、ふと感じる柚子皮っぽい柑橘系の風味など、2019年は12年目にして歴代もっともバランスがいいスープかもしれません。
かやく
もはや向こう側が見えそうなくらい、職人レベルの薄さでカットされたペラペラのチャーシューを使い回していた数年前と比較して、ずいぶんと最近の寿がきや食品は具材にも力を入れてくれるようになったのですが、前述した「凄麺」が誇る最強のFD白菜には太刀打ちできず、肉そぼろの量も多くありません。
しかし、この肉そぼろ(たぶん鶏肉メイン)は生姜風味のスパイシーな味付けで、サイズのわりに口の中に飛び込んできた時の存在感は大きく、スープの力強さを援護する能力は意外と侮れないレベル。それに大量ではないとはいえ、昨今よく使われるようになってきた大豆たん白加工品(フェイクミート)ではなく “ちゃんとした肉そぼろ具材” なのがいいですね。
白菜は適度に歯触りを残しつつ、基本は柔らかめの口当たりで、ほんのり優しい白菜ならではの甘みがスパイシーなスープと対比を描き、そこそこ量も寂しくありません。かやく入スープに含まれている3種のネギやフライドガーリック、赤唐辛子、背脂顆粒も具材と思えば上等ですし、この背脂顆粒(背脂加工品)も効果的な素材。
液体スープにも小さいながらに本物の背脂が入っているのですが、あくまでもスープの一部。対する背脂顆粒はプルッと原型をとどめ、雰囲気の向上に一役買っていました
総評
★★★★★★★☆☆☆(★7)
2008年の冬から続く初代の基本的なフレームワークを踏襲しつつ、昨年よりも豚の旨味が強化された2019年。毎度のことながら具材のボリュームには期待できない商品ですが、12年目となる今回の麺とスープのマッチングは「コク塩ラーメン」史上過去1で、全体のバランスは歴代最強といっても過言ではありません。
あっさりした淡麗系しおラーメンが好きな方や具材のボリュームを重視されている方にはオススメしにくいですし、一時期はマンネリ化していた旧型の汎用ノンフライ麺にネガティブだとイメージは変わってくるかもしれませんが、これまでの「コク塩」が好きだった方は間違いなく楽しめます。ちょっと値段は高めですが、ひとつの力強い塩ラーメンとして完成形にある一杯ですよ。