どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年8月5日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「エチオピア監修 ビーフカリー味ラーメン」の実食レビューです。
カレー激戦区「神田・神保町」のカリーライス専門店「エチオピア」の “ビーフカリー” をカップラーメンにアレンジ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
エチオピア監修カップ麺 ビーフカリー味ラーメン
今回のカップ麺は、東京神田・神保町にあるカレーライスもとい “カリー” ライス専門店「エチオピア」とサンヨー食品のコラボ商品で、エム・シーシーという食品メーカーから「エチオピア ビーフカリー」や「エチオピアビーフカリー 激辛」といったレトルトカレーも発売されているのですが、おそらくカップラーメン化は同店初の試みです。
神田神保町(かんだ じんぼうちょう)といえば “古書店の街” ですが、ラーメン二郎の直系店を代表する行列店「ラーメン二郎 神田神保町店」や二郎系・二郎インスパイア系の中でも根強い人気を誇る「用心棒」などが肩を並べるラーメン激戦区でもあり、 “欧風カレー” の名付け親である「ボンディ」や今回の「エチオピア」をはじめ、カレーの専門店も多い「カレー激戦区」。
「エチオピア」といえば東アフリカにある古代文明が栄えた場所で、300万年以上にも遡る遺跡もあり、ご存知「モカ」や世界的に評価されている香り高い「イルガチェフ」で有名なコーヒーの母国。カレー専門店としては珍しい名前ですが、もともと「エチオピア」はコーヒーの専門店でもあり、お店の名前は開店当時に評判だった「エチオピアコーヒー」に由来します。
「エチオピア」の創業は昭和63年(1988年)4月、神田小川町に第1号店をオープン。他にも神保町には大正13年(1924年)創業の老舗「共栄堂」や昭和48年(1973年)創業の「欧風カレーボンディ」、昭和57年(1982年)創業の「ガヴィアル」などの名店を筆頭に “400軒以上ものカレー提供店” が立ち並び、現在も新店が増え続けているそうです。なぜ神保町がカレー激戦区としても有名なのか——
東京・神田は江戸時代から幕府のお膝元として発展し、明治10年ごろから神保町主周辺に様々な大学が建てられはじめ、明治13年には駿河台に「東京法学社(法政大学の前身)」、神田神保町3丁目に「専修学校(専修大学の前身)」を建設。その後も「東京法学院(中央大学の前身)」や「明治法律学校(明治大学の前身)」が建てられ、神保町界隈は瞬く間に学生街になりました。
この時代が後に “世界最大規模” となる「神田古書店街」に繋がるのですが、それはさておき食べ盛りの学生が多いこともラーメン激戦区たる所以の一つ。同じように学生の間で本を読みながらスプーン1本で食事が摂れること、またマニアが集う街・神田の地域性と作り手の趣味嗜好が強く出るカレーの方向性がマッチして神保町はカレーの街になった——というのがカレー激戦区の理由とされています(※諸説あり)。
そんな名店ひしめき合うカレーの街で長年愛されている専門店、「エチオピア」のビーフカレーもとい「ビーフカリー」をカップラーメンにアレンジして落とし込んだ今回、 “具材に牛肉は使用しておりません” と、ばっちりパッケージに免責事項が記載されているのですがw ちゃんとスープの原材料には「ビーフエキス」を使用、アレルゲン表示にも「牛肉」の文字を確認。
「エチオピア」の創業者・鈴木堅司シェフのモットーは、 “けっしてカレーの味には妥協しない” こと。玉ネギやニンジン、セロリなどの代表的な野菜に粗く削った10種類以上の香辛料や薬味を組み合わせ、油の使用量を抑えることでスッキリとした後味も特徴的なポイント。さらに “辛さ70倍” の激辛カレーも有名なのですが、特に今回のカップ麺に辛さレベルの表示はありません。
開封
フタの上や容器の中に別添の小袋はないので、フタを開けたら熱湯を注いで待つだけの簡単調理。ただ、容器には一般的なプラ容器(PS:ポリスチレン)ではなく、もっと硬質なPP(ポリプロピレン)製の容器が採用されています。定番どころでいうと「QTTA(マルちゃん)」の容器にも使われている材質で、形状はサンヨー食品グループのエースコックが手掛ける「THE和」と同じタイプ。
具材は牛肉ではなく鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ、玉ねぎ、赤ピーマンで、けっこう肉そぼろの量が多く、玉ねぎは微塵切りにされているのか調理前は目立ちません。またパッケージにも表示されている「サンヨー食品」とは「サッポロ一番」のことで、あの「サッポロ一番 みそラーメン」や「サッポロ一番 塩らーめん」を販売しているメーカーです。
以前はカップ麺にもブランド関係なくサッポロ一番と表示していたのですが、2019年4月に社内方針が更新され、2019年6月10日発売「火炎辛麺 赤神 神増し」以降の新商品には “自社ブランド(和ラー・カップスター等)のみサッポロ一番と表示するように定めた” とのこと。そういえば「火炎辛麺 赤神 神増し」の容器、それも今回と同じPP製のプラ容器でした。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:エチオピア監修 ビーフカリー味ラーメン 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場(W) 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901734037958(JANコード) 商品サイズ:φ112×118(mm) 発売日:2019年08月05日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:縦型ビッグ・大盛サイズ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:小袋なし |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、チキンエキス、粉末卵)、スープ(香辛料、食塩、砂糖、トマトソースパウダー、ビーフエキス、トマトパウダー、クリーミングパウダー、香味調味料、粉末ポテト、チャツネシーズニングパウダー、たん白加水分解物、みそ、酵母エキス、リンゴ果汁粉末、デキストリン、発酵調味料、植物油脂)、かやく(鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ、玉ねぎ、ピーマン)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、増粘多糖類、炭酸カルシウム、香料、微粒二酸化ケイ素、トレハロース、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・りんご・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるものを表示) |
実食開始
カップ麺の製造所は太平食品工業株式会社の関西工場となっているのですが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月に設立されたサンヨー食品の製造部です。カップラーメンということでカリーライスのライスは入っていませんし、けっこう縮れの強い細めの油揚げ麺が採用されていて、いまのところ可も無く不可も無しといった印象。
かなり玉ねぎのサイズが小さかったので、完全にサルベージすることは難しかったのですが、効果のほどは本文にて。とりあえず具材は何気に多く、肉そぼろのサイズも大きめで、パッケージに “魅惑のスパイス” とアピールされていたように、なかなか独特の香りが漂ってきます。ただ、けっこうスープの粘性率が高いですね。
混ぜ時間20秒くらいだと変化はないのですが、さらに混ぜれば混ぜるほどトロミがアップ。最終的に1分30秒まぜ続けて、やっと大丈夫かな‥‥だったので、調理の際は留意してください。それでは、カレーの辛さレベルにも注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)当たり
カロリー:417kcal |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:417kcal(めん・かやく:319kcal)(スープ:98kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サンヨー食品の公式ウェブサイトには “しなやかでつるみがあり、適度なコシのあるめん” と記載されているのですが、しなやかさよりもハリのある質感が印象的な油揚げ麺で、食べ始めは適度に歯ごたえのある硬めの食感。ただ、時間を守らずに見切り発車した場合、けっこう部分的に硬い部分が残っていると思います。
かといって粘り気のある多加水麺ではなく、どちらかというと加水率の低い低加水麺なので、あまり食感の持久力はありません。湯戻し後も縮れは強く、それによってスープの掴みは悪くありませんでしたが、だんだんと柔らかくなってくる食感の変化に合わせて油揚げ麺特有のスナック的な風味が滲み出してくる、そのピンボケ具合が後半ちょっと気になりました。
おそらく今回のスープに同社の「和ラー」的な本格志向の麺を合わせた場合、麺の本格さが独り歩きする嫌いが否めず、いっそのこと「カップスター」(しょうゆ以外)の麺を合わせてみても——いやいや縦型ビッグの製品にしては頼りないような気がするので、いい意味で無難といえば無難だったかもしれません。ちなみに麺の量は70g、このサイズの平均値です。
スープ
生姜やニンニクによる香味野菜に加えて多めにブレンドされているカルダモンのキレ、それとは対照的なシナモンとクローブの甘み、さらにクミンの香りも印象深く、ほろ苦い風味とセリ科特有の鼻を抜ける感覚が楽しめる複雑なスパイス感。残念ながらビーフは目立っていませんが、バナナなどの果物を思わせるチャツネのフルーティなコクにトマトの酸味など、なかなか本格的な味わいです。
お店の辛さは0倍が家庭用の中辛程度、5倍が家庭用の辛口程度、10倍が大辛くらい、70倍は自己責任の激辛で、さらに裏メニューの100倍(未知との遭遇)もあるとのこと。今回のスープは家庭用のカレールーで「中辛」程度の辛さだったので、おそらく辛さレベル0倍の定番を意識しているのでしょう。
その味わいは本格的なのに、野菜の食物繊維が溶け込んだサラサラ系のカレーとは違う、増粘多糖類で粘性率を高めている人工的なトロミが野暮。おかげで麺とスープの一体感が向上する、というメリットについては素直に好印象ではあるものの、せっかく特徴的なスパイスの初速が大幅に鈍るので、もっとシャバシャバ寄りに仕上げたほうがスパイスを直感的に楽しめたように感じました。
具材
残念ながら牛肉ではないので、とんかつを注文したのに豚肉じゃない的な状態ではあるものの、けっこう肉そぼろの量は多く、スパイシーな味付けで食べ応えあり。赤ピーマンもスパイスの効いたスープと特有の甘みが合っていて、どちらも単純にカップ麺としての取り合わせとしては悪くありません。ただ、肉そぼろに匹敵して多かったネギは可もなく不可もなし、それから開封直後は下の写真のように——
肉そぼろがプカッと浮いてきた麺に押し上げられてしまうので、3分間ほとんど “蒸されているだけ” の個体が発生します。したがって真っ先に食べると中途半端な戻り具合のまま‥‥いや、ある意味それもカップ麺ならではの醍醐味なので、中途半端なサクサク感も一興でしょうか。
そして小さな玉ねぎは写真で見ても見づらいように、だいぶ小さめにカットされているので、ときたまシャキッとする程度。しかしながら麺を食べ終えた後に容器の底で肉そぼろと待ち構えているため、後半のライス投入で本領を発揮します。ご飯を投入する予定のない方は、定期的に底から混ぜながら食べましょう。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
本店ではいっさい妥協のないカレーがサーブされますが、カップラーメンでの再現度は100%上出来とは言えません。それは仕方のないことですし、わざと店の味から再現度を80%くらいに抑えている——という裏話もあるくらい。と、それはさておき味は本格的で悪くありませんでしたが、どうしても人工的なトロミが蛇足に思えてならなかったので、星ひとつ差し引きました。
それからビーフも弱いため、タイトルのビーフカリーに期待するとコケます。でも単純に美味しいかまずいかでいえば前者ですし、カルダモンの効いたスパイスの本格感は好印象だったので、もちろん買って損をするような一杯ではありません。ちょっと今回はサンヨー食品のアレンジが強すぎたように感じたので、次は「エチオピアビーフカリー激辛ラーメン」の開発・挽回に期待ですね。