どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年4月25日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん 珍々亭 濃厚油そば」の実食レビューです。
珍々亭のカップ麺がシリーズ初のノンフライに!? 珍々亭(ちんちんてい)三代目店主監修によるカップ入り即席麺が “生麺ゆでてうまいまま製法” に正統進化!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
珍々亭 濃厚油そば 2022
珍々亭(ちんちんてい)とは、1954年(昭和29年)の創業以来、東京都武蔵野市で人気を博す名店で、地元の常連客や亜細亜大学・武蔵野キャンパスの学生たちを中心に愛され続けること半世紀以上。今でこそ即席カップめん業界でも定番の「油そば」ですが、国立市の一橋大学付近にある三幸(さんこう)と並び、それを全国に先駆けてメニュー化した “油そば発祥の店” とされる老舗です。
どっちが先に「油そば」を提供し始めたのか-・という疑問について、公的かつ詳細な資料は残っていないようですが、珍々亭が油そばをメニュー化したのは1958年(昭和33年)の話。近年はマルちゃんのブランドで知られる東洋水産が「珍々亭」監修による即席めん(カップめん、袋めん)やチルド麺(要冷蔵)を展開しているため、全国的な知名度の高さでは「珍々亭」が勝ります。
今回の新商品「マルちゃん 珍々亭 濃厚油そば」は、珍々亭の三代目・小谷修一店主監修のもと、店舗の看板メニューである「油そば」を再現したカップ入り即席麺で、2013年(平成25年)7月15日の発売以来、ほぼ毎年恒例となっているコラボレーションなのですが、2022年は「珍々亭」監修シリーズ初となる “生麺ゆでてうまいまま製法” を採用しているのが最大のポイント。
生麺ゆでてうまいまま製法(特許 第5719064号)とは、ゆでた麺を東洋水産の独自技術で乾燥させることにより、お湯を注ぐだけで生麺本来の味と滑らかでコシのある食感が楽しめる特許技術で、2015年(平成27年)10月5日に発売されるや否や、即席めん市場に “第2のマルちゃんショック” を与えた「マルちゃん正麺(せいめん)カップ」と同じ製法。
即席カップめん類における乾燥麺は、蒸した麺を1食分ずつ金属枠に入れ、140~160度の油で揚げる「フライめん(油揚げめん)」と呼ばれるもの。あるいは蒸した麺を油で揚げずに、熱風を当てて水分を飛ばす「ノンフライめん」の2つに分類されるのですが、生麺ゆでてうまいまま製法は “麺を蒸す工程が入らない” 特殊な製法で、生の麺を茹で上げたときの臨場感を忠実に再現することに成功しました。
それは「マルちゃん正麺 カップ」のみならず、たとえば「中華そば処 琴平荘 中華そば」や「麺屋 彩未 札幌味噌らーめん」「麺匠玄龍 濃厚味噌らーめん」など、近年は有名店が監修した商品にも頻繁に応用されているのですが、前述のように即席カップ麺としての「珍々亭 油そば」シリーズに導入されたのは初めての展開。
過去にノンフライ麺の「袋 珍々亭 油そば」だったり、電子レンジ加熱専用の冷凍麺だったり、東北・甲信越・関東・静岡・中京エリアでは2022年5月現在も要冷蔵のチルド麺「頂点の一杯 珍々亭 油そば 2人前」を販売中ですが、即席カップ麺では大盛り(130g)の油揚げ麺と相場が決まっていたので、まさかの “生麺ゆでてうまいまま製法” には驚きました。
もちろん本格さが格段にアップしていることは容易に想像できますけど、油そば特有のジャンクな食べ応えは踏襲されているのかどうか、コストパフォーマンス的な部分はどうか。2021年に「珍々亭」関連の商品は出なかったので、2019年9月9日に発売(2020年11月9日に再販)された「珍々亭 油そば」(以下「前回」という。)からの進化に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」の計2袋。前回は汁なしカップ麺の需要が低迷する秋・冬シーズンに向け、お店のラーメンスープを再現した特製カップスープを別添していましたが、生麺ゆでてうまいまま製法の導入に合わせてカップスープは省き、汁なしカップ麺の需要が最盛期を迎える夏に備えて市場に投下してきた東洋水産。
前回までは “精製ラードの芳ばしい風味を特徴とする角刃の油揚げ麺” を基本としていましたが、今回より “生麺ゆでてうまいまま製法の平打ち麺” に切り替わり、この時点での香りも見た目も完全に別物。また麺量も130g(汁なしカップ麺での大盛り)から90g(汁なしカップ麺でのレギュラーサイズ)に減っているため、2022年は量より質を優先したことが明確に表れています。
それはメーカー希望小売価格にも反映されており、前回は220円(税別)だったのですが、今回は240円(税別)と高めの設定で、手軽に食べられるカップ麺としてはミドル級。購入店のウエルシアでは228円(税込246.24円)での販売だったので、それも踏まえた上で評価しなければいけません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 珍々亭 濃厚油そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:125g(めん90g) 商品コード:4901990371346(JAN) |
発売日:2022年04月25日(月) 実食日:2022年05月08日(日) 発売地域:全国 取得店舗:ウエルシア 商品購入価格:246.24円(税込) 希望小売価格:240円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺(厳密には乾麺) スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:600ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、植物油脂、乳糖、大豆食物繊維)、添付調味料(しょうゆ、豚脂、植物油、チキンエキス、香味油脂、醸造酢、ポークエキス、デーツ果汁)、かやく(味付豚肉、メンマ、なると、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、炭酸カルシウム、レシチン、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、クチナシ色素、カラメル色素、増粘多糖類、香辛料抽出物、香料、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、大きなナルトが1枚に、味付豚肉、メンマ、ネギと店舗の「油そば」をイメージしたラインナップ。微妙にメンマが少なくて味付豚肉が多いとか、その逆も然り、重量判定による個体差が生じることもありますけど、具材の構成は前回から変わっていません。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら湯切りして、液体スープを混ぜ合わせたら完成です。豚脂の芳ばしい香りの臨場感は衰えていませんが、やや醸造酢の存在感が弱くなり、もっと圧倒的に違うのは油揚げ麺に由来する精製ラードの存在感を感じないこと。
ちなみに大盛りの油揚げ麺から標準量のノンフライ麺に変わったので、カロリーは725kcalから472kcalに減り、脂質の値も34.6gから15.9gに下がるなど、前回よりも圧倒的にヘルシーになっていました。それでも油そば特有の背徳感が楽しめるのか「めん」「スープ」「具材」の項目に分けて特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(125g)あたり |
カロリー:472kcal たん白質:11.4g 脂 質:15.9g 炭水化物:70.9g 食塩相当量:4.6g ビタミンB1:0.40mg ビタミンB2:0.65mg カルシウム:175mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
量は少なくなったけど本格さは見違えるほどにアップ
前回は角刃で太めの縮れ麺だったのに対し、2022年は丸刃で切り出された縮れの弱い平打ち麺に変わっているため、ほぼ真逆といっても過言ではない形状。比較的に加水率は高く、粘りの強い弾力を備えながら、内側より強く押し返してくる反発性の持ち主で、芳醇に香る小麦の風味も本格さを高めることに寄与。やや表面の滑りが気になるかと思いますが、それも再現度を高めている要素の一つ。
ちょっと写真では伝わりにくいかと思いますが、標準的なノンフライ麺の長さと比較して短めに切り出されているのも特徴で、これは既存の「マルちゃん正麺 カップ 濃厚こくソース焼そば」などに共通するポイント。これによってタレが飛び散ることへのリスクヘッジになり、なおかつ女性でも食べやすい長さとの定評があります。
カップ麺での油そばといえば男性向けの印象が強いかと思いますが、麺の量は正麺カップの「濃厚こくソース焼そば」や「汁なし担々麺」と共通で、気になるカロリーや脂質の値は「濃厚こくソース焼そば」と比較して誤差の範囲内。油揚げ麺ならではの罪悪感は楽しめないけれど、それだけに多くのユーザーが手に取りやすい仕様に変わりました。
スープ
原材料名は前回から変わっていないが‥‥
前回の添付調味料と原材料名を比較してみたところ、実は “まったく変わっていなかった” ので、主な使用原材料も大きく変えていないと思うのですが、比較的に醸造酢の酸味が弱くなり、後味に残る甘さが強くなったように感じます。しかし、洗練されたノンフライ麺に絡みつく豚脂のインパクトは強烈で、その芳ばしい風味も然る事乍ら、コクのある濃口しょうゆダレでボヤけた印象は与えません。
もちろん油そばらしく2、3口ほどで豚脂のリップグロス状態になりますけどw アブラがウマいと思える配合は、あいかわらず見事。かなりシンプルな原材料名が表しているように、実際のテイストもシンプルで、それだけに誤魔化しが効かない方向性。もうすこし酢の酸味が欲しいところではあるものの、老舗らしい伝統的な味わいに深みを感じました。
具材
雰囲気あるある
味付豚肉、メンマ、ネギは他のカップ麺にも使われている具材なので、目新しさこそないものの、砂糖と醤油で甘辛く味付けした豚肉は風味・食感ともにリアル。赤身の部分はクラシカルなチャーシューを彷彿とさせる繊維質を残し、脂身の部分は甘くて柔らかく、いい意味で豚臭い感じの風味が全体にワイルドな印象を与え、なおかつ液体スープとの相性も申し分ありません。
ネギは熱風乾燥かつ少量ですが、とりあえず汁なしカップ麺だからキャベツを入れとこーぜ的なラインナップではなく、汁なしラーメンの雰囲気を高めてくれるメンマはコリコリとした食感で箸休めに効果的。カップ麺としては大きめのナルトも目を引く存在で、さらに雰囲気を盛り上げることに貢献していました。
総評
食べ応えのある大盛り麺がシリーズ初の “生麺ゆでてうまいまま製法” に変わったことにより、精製ラード特有の背徳感は完全に鳴りを潜め、麺量もレギュラーサイズに減ってしまったのですが、なんのこれしき本格さは従来品の比ではありません。スープは正統派の路線を守りつつ、前回よりもプレミアムな仕上がりから、きちんと値段相応の価値が見出せた一杯です。
これからカップ麺での「珍々亭 油そば」は “生麺ゆでてうまいまま製法” に統一するのか、それとも秋・冬限定で特製カップスープ付きの油揚げ麺バージョンが復活するのか、今後の方針については定かでないものの、2022年の「濃厚油そば」は素直に良品だと感じたので、気になっている方は販売期間内に確保しておいてください【author・taka :a(大石敬之)】