どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年5月23日(月)新発売、セブンプレミアムゴールドのカップ麺「飯田商店 しょうゆらぁ麺」の実食レビューです。
2021年1月に始まったプロジェクトの集大成、ついに解き放たれる——。日本で一二を争う業界屈指の銘店「らぁ麺 飯田商店」監修によるカップラーメンが “セブンプレミアムの最高峰” 7PGに栄転!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
飯田商店 しょうゆらぁ麺
らぁ麺 飯田商店(いいだしょうてん)とは、2010年(平成22年)3月16日の創業以来、神奈川県足柄下郡湯河原町で人気を博す「らぁ麺」と「つけ麺」の専門店で、日本有数の温泉地として知られていた湯河原を “ラーメンの聖地” としても認知させた震源地。孤高の天才と謳われた店主の飯田将太(いいだ しょうた)氏は、権威ある数々の賞を総なめにしてきた人物で、常に第一線を走り続けています。
今回の新商品「飯田商店 しょうゆらぁ麺」は、セブン&アイグループが展開しているブランドの中でも最上級に位置する「セブンプレミアム ゴールド」のカップ入り即席麺で、東洋水産と「らぁ麺 飯田商店」の店主が共同開発。これまでに何度かセブン&アイ限定のカップ麺を監修してきた飯田商店ですが、初のゴールドに格上げという衝撃の展開に、ひとつの歴史が動きました。
セブンプレミアムゴールドのカップ麺といえば、現在を遡ること20年以上、2000年(平成12年)4月18日発売の日清名店仕込み「札幌すみれ みそ」及び「一風堂 赤丸新味」並びに2001年(平成13年)5月15日発売の「山頭火 とんこつ塩」を前身とし、2012年(平成24年)11月13日発売品からセブンゴールド(現「セブンプレミアム ゴールド」)初のカップラーメンに格上げされ、不動の地位を確立。
「飯田商店 しょうゆらぁ麺」の存在が公になるまでは、現「すみれ 札幌濃厚みそ」「一風堂 赤丸新味 博多とんこつ」「山頭火 旭川とんこつ塩」の3品を絶対的な定番とし、全国的な知名度を誇る他の有名店が入る隙はもちろん、日清食品以外のメーカーも肩を並べることを許されなかった状況が何年も続いていたので、飯田商店の参入はセブン&アイの歴史を変えた瞬間といっても過言ではありません。
らぁ麺屋になる前の「飯田商店」は、干物や海苔などの乾物、塩辛の卸業を営んでいた “ひもの屋” で、飯田店主の両親が営んでいました。しかし、飯田店主が25歳の頃、実家に1億円以上の借金があることを知り、返済のために飛び込んだのがラーメン業界で、当初は叔父が営む「ガキ大将ラーメン 湯河原店」の店長を務めていたのですが、人生の転機を与えたのがレジェンド「支那そばや」の一杯。
そこで自家製麺の美味しさに衝撃を受け、お店の定休日である月曜日に「つけ麺 醤太」をオープン。さらに食べ歩きと研究を続ける中、当時の相模原で人気を博していた「ラァメン家 69’N’ROLL ONE」(現在は尼崎に移転した「ロックンビリーS1」)の鶏と水だけで作ったスープを特徴とする「2号ラーメン」に出会い、自身が思い描く至高の一杯「らぁ麺」の理想を固めました。
かくして “らぁ麺屋” としての「飯田商店」開業当初、惚れ込んだ「2号ラーメン」のレシピを嶋崎順一(「69’N’ROLL ONE」の創業者)その人から受け継ぎ、鶏と水だけの「醤油らぁ麺」を提供し続けた結果、最終的に業界最高権威『TRYラーメン大賞』のTRY大賞・総合1位4年連覇で殿堂入りという偉業を成し遂げます。しかし、今回のカップ麺は「醤油らぁ麺」を再現した一杯ではありません。
商品名が「しょうゆらぁ麺」となっているように、かつて人気を博した鶏100%の清湯ではなく “豚をメインに使った現在の「らぁ麺 飯田商店」が提供する味わい” を再現。パッケージにあるQRコードをスマホで読み取ると、待ち時間の5分で分かる「開発秘話」(YouTube)が観られるので、それについては動画で楽しんでください。このページでは、商品の味について細かく掘り下げます。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」が1袋に、後入れの「液体スープ」「特製油」「焼のり」の計4種。麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、こんにゃくを原材料に使用していることから、東洋水産が誇る「マルちゃん正麺(せいめん)カップ」の流れを汲んだ “生麺ゆでてうまいまま製法” とみて間違いありません。それと同時に、値段が過去一高いのも見逃せないところ。
コンビニのセブンイレブンはもちろん、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマート、オムニ7なども販売店に含まれますが、販売価格は1食あたり278円(税込300円)の高級品。2014年(平成26年)5月7日発売のNB商品「マルちゃん 縦型ビッグ 飯田商店 醤油ラーメン」を皮切りに、東洋水産とコラボを続けている飯田商店ですが、ここまで強気な設定のカップラーメンは初めてです。
しかし、現在の「らぁ麺 飯田商店」では、人気飲食店に特化した予約管理サービス「OMAKASE(オマカセ)」に事前登録し、そこで予約しないと店内で飲食できないシステムを導入しているため、予約時に一席あたり390円の手数料が必須。さらに2022年5月21日の価格改定により、店舗の「しょうゆらぁ麺」は1,600円に値上げされたので、その味わいが手軽に楽しめるのであれば——。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム ゴールド 飯田商店 しょうゆらぁ麺 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:129g(めん75g) 商品コード:4901990371650(JAN) |
発売日:2022年05月23日(月) 実食日:2022年05月28日(土) 発売地域:全国 取得店舗:オムニ7(イトーヨーカドーのネット通販サイト) 商品購入価格:300円(税込) 希望小売価格:278円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・特製油・かやく・焼のり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、植物油、ラード、ポークエキス、鶏脂、醸造酢、食塩、ほたてエキス、こんぶエキス、香味油脂)、かやく(焼豚、メンマ、のり、ねぎ)/ 加工でん粉、酒精、かんすい、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、レシチン、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、増粘多糖類、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)※本商品で使用している海苔は、えび・かにが混在する方法で採取しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、大きめの丸い焼豚に、メンマ、ネギとシンプルなラインナップ。丸い焼豚とメンマは2018年4月23日発売のNB商品「マルちゃん 飯田商店 醤油ラーメン」と共通する項目になりますが、それは当時の「醤油らぁ麺」に倣い、あえてネギを省いていたところ、今回の「しょうゆらぁ麺」では現在の仕様に近付けるため、ネギを採用しているのが “こだわり” のポイント。
かやくを麺の上に開けたら内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上に「液体スープ」と「特製油」の小袋を乗せ、動画を観ながら待つこと5分。時間になったら液体スープと特製油を加え、よく混ぜ合わせた後、仕上げに「焼のり」をトッピングしたら出来上がり。具材こそカップ麺の枠を出ませんが、特製油から漂う動物系の臨場感に、醸造感のある醤油の香りに新奇な個性を感じる調理直後。
ただ、正規のルートで購入しても税込300円の大台に乗るカップラーメン。高くて美味しいは当たり前だと思う(でないといけない)ので、飯田商店監修ならではの特別感に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(129g)あたり |
カロリー:437kcal たん白質:15.4g 脂 質:13.8g 炭水化物:64.5g (糖 質:61.3g) (食物繊維:3.2g) 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.5g) (スープ:4.1g) ビタミンB1:0.31mg ビタミンB2:0.45mg カルシウム:129mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:437kcal(めん・かやく:332kcal)(スープ:105kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
正麺カップの流れを汲んだ反発性の強い麺
ノンフライ麺の詳しい製法について、商品のパッケージや前述の動画でも公表されていませんが、麺の内部を多孔質化させる “こんにゃく” を練り込み、2021年9月6日発売品(リニューアル)以降の「マルちゃん正麺 カップ」に導入された “乳糖” を配合している-・というのが麺の製法を特定するためのキーワード。
食べ始めはノンフライめん特有のゴムっぽさが残っているのですが、多めに入っていた「特製油」が表面に纏わり付き、つるっと口当たりのいい麺肌が個性を演出。ややスープを弾くタイプに該当しますが、スープの乗りは悪くありません。店舗の自家製麺とは異なるベクトルにあるものの、粘りを抑えながらも適度に反発してくる弾力が面白くて、油揚げ麺のように雑味がないのも勝因。
もちろん熱湯5分でも問題なく食べられるのですが、飯田商店の麺は “柔らかめに茹で上げられている” というのもラーメン好きの間では有名な特徴なので、熱湯5分きっちり守った後、別添の「液体スープ」と「特製油」を馴染ませてから2、3分ほど休ませるのもオススメの食べ方。なめらかな表面はそのままに、ちょっと日本蕎麦ライクな啜り心地も楽しめるので、時間に余裕があれば試してみてください。
スープ
他に類を見ない醤油感に注目
店舗で提供されているスープは、銘柄鶏の丸鶏(黒さつま鶏黒王、比内地鶏、名古屋コーチン、山水地鶏)及びガラ(比内地鶏、名古屋コーチン、黒さつま鶏 黒王)並びに銘柄豚の肉(霧島高原純粋黒豚、TOKYO X)及びガラ(金華豚のゲンコツと背骨、霧島高原純粋黒豚の背骨)などから旨味を抽出した動物系の清湯で、清湯とは思えないほど濃密な旨みを実現。
タレに使われる醤油は、足立醸造(兵庫県多可郡)の天然醸造有機濃口醤油をメインに、末廣醤油(兵庫県たつの市)の淡口醤油や和歌山県の濃口醤油、愛知県の三年熟成たまり醤油をブレンドしています。それをカップ麺の液体スープで完璧に再現するのは不可能に近い領域になりますが、まず突出して個性的だったのが醤油の香りと醸造感。
「液体スープ」の動物系は繊細で、醤油のキレや香りを立てながら、食塩の当たりは弱く、ホタテと昆布で旨味を補強しているのも見どころ。片や表面に浮かぶ多めの「特製油」は攻めの姿勢にあり、豚脂でスープ全体の重心を下げながら、鶏油の芳ばしさで「らぁ麺」らしい味わいに。余韻として舌に残る貝の滋味も味わい深く、誰もが親しみやすい路線にありながら、きちんと個性が備わっています。
具材
もっとも印象的なのは海苔だった
メンマは乾燥具材のレベルを逸脱する品質にあらず、大きめの丸い焼豚は成型肉特有の雑味が強かったので、個人的には入っていなくても‥‥などと感じたのですが、フリーズドライのネギは雑味がなくて好印象。でもって印象に残ったのは、スープとの相性がよく、ノンフライ麺の小麦感やスープの旨みを引き出す効果を担っていた2枚の海苔。
海苔の食べ方について特別なセオリーがない方は、しっかりとスープに浸し、ふやかしてから表面のオイルごと麺に巻き付けて口に運ぶのがオススメです。
総評
これまでセブンプレミアムゴールドの即席カップめんカテゴリーにおける代名詞だった「すみれ」「一風堂」「山頭火」に続き、第4のフレーバーとして名乗りを上げた「らぁ麺 飯田商店」(東洋水産)なので、ハードルの高いスタートになりましたが、なかでも醸造感の強い醤油の個性が面白く、既存の商品とは違う魅力を備えた一杯でした。
販売価格が278円(税込300円)のカップラーメンなので、無条件に格安とはいえないものの、ここまでクリアな動物系の醤油清湯はセブンプレミアムゴールド史上初の味。この流れで「飯田商店」の大親友であり永遠のライバル「中華蕎麦とみ田」の栄転に、かつて猛威を振るった「博多だるま」や「もちもちの木」(地域の名店シリーズ)復活の兆しも見えてきたので、今後の動向にも注目です【author・taka :a(大石敬之)】