どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年6月20日(月)新発売、明星食品のカップ麺「セブンプレミアム ゴールド 中華蕎麦とみ田 純粋豚骨らぁめん」の実食レビューです。
銘店紀行から “GOLD” に正統進化!? 千葉県松戸市「中華蕎麦とみ田」が誇る “完全本店仕様” の「らぁめん TOKYO-X 純粋豚骨」をセブン&アイ最上級のカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
中華蕎麦とみ田 純粋豚骨らぁめん
中華蕎麦とみ田(ちゅうかそば とみた)とは、2006年(平成18年)6月5日の創業以来、千葉県松戸市で人気を博す日本屈指の行列店で、現在は完全予約制ですが、最盛期には4時間待ちの行列を成した伝説の持ち主。本店や直営店の人気はもちろん、セブン&アイとの共同開発商品を積極的に発売するなど、現在のラーメン・つけめん業界で “最も知名度が高い名店” といっても過言ではありません。
今回の新商品「中華蕎麦とみ田 純粋豚骨らぁめん」は、セブン&アイグループが展開しているプライベートブランドの中でも最上級に位置するセブンプレミアムゴールド(以下「7PG」と記載)の新作で、富田治(とみた おさむ)店主監修のもと、明星食品が “本店限定” の「らぁめん」を再現。中華蕎麦とみ田監修の即席カップ麺としては初の7PGということで、また新たな歴史を刻みました。
「中華蕎麦とみ田」といえば、マニアの間で “またおま系” と称される濃厚魚介豚骨の最高峰として、これまでに数々の賞を総なめにしてきた実力派。有名どころを例に挙げると、講談社発行の1週間MOOK『業界最高権威 TRY(Tokyo Ramen of the Year / 東京・ラーメン・オブ・ザ・イヤー)認定 第14回ラーメン大賞 2013-14』のTRY大賞(同誌における最高賞)初選出から4連覇で殿堂入り。
また全国の強豪が集まるラーメンイベント「大つけ麺博 日本一決定戦(2012)」及び「同 日本一決定戦2(2013)」では2年連続優勝に輝き、2018年に開催された「大つけ麺博 10周年特別企画 日清ラ王 presents ラーメン日本一決定戦」の優勝で事実上の3連覇を達成するなど、濃厚な魚介豚骨を看板に、ひとつの時代を築き上げたのですが、本店では2020年7月18日の営業もって従来のスタイルを封印。
同年8月13日の営業再開以来、本店では「らぁめん」「つけめん」ともに「中華蕎麦とみ田」の代名詞となっていた濃厚魚介豚骨スープではなく “幻の豚” TOKYO X(東京エックス)を軸に据えた「TOKYO-X 純粋豚骨」にブラッシュアップ。その約6ヶ月後、2021年2月から「つけめん」は “豚骨魚介” に変わりましたが、現在も「らぁめん」は “純粋豚骨” を継続しています。
「中華蕎麦とみ田」とセブン&アイHLDGS.の付き合いは長く、ジェネリック二郎の金字塔を打ち立てた「豚ラーメン」に、期間限定の冷しつけ麺・冷し豚中華ほか、7PG初となる冷凍食品「濃厚魚介豚骨つけめん」など、様々な商品開発に協力。即席カップめん部門では、2010年(平成22年)7月23日より、一貫して明星食品とコラボを続けているのですが、このカテゴリーで7PGに参入したのは初めて。
7PGのカップラーメンといえば、現在を遡ること20年以上、2000年(平成12年)4月18日発売の日清名店仕込み「札幌すみれ みそ」及び「一風堂 赤丸新味」並びに2001年(平成13年)5月15日発売の「山頭火 とんこつ塩」を皮切りに、現「すみれ 札幌濃厚みそ」「一風堂 赤丸新味 博多とんこつ」「山頭火 旭川とんこつ塩」の3品を絶対的な定番としていましたが‥‥
その牙城を崩した東洋水産のカップ麺「飯田商店 しょうゆらぁ麺」(2022年5月23日発売品)の衝撃は、まだ記憶に新しいところ。その際に触れた “「飯田商店」の大親友であり永遠のライバル「中華蕎麦とみ田」の栄転” が水面下で進んでいた2022年、すでに縦型ビッグの「銘店紀行 中華蕎麦とみ田(四代目)」は製造を終了しているため、これを機に部署が変わったようです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」が1袋に、後入れ「特製ポークオイル」「豚骨だれ」「山椒香る特製オイル(山椒フレーバー使用)」の計4種。なかでもカップラーメンの小袋らしからぬ重量感の豚骨だれが頼もしく、味変用の山椒香る特製オイルも注目すべきポイント。ただ、ちょっと作り方に注意が必要な様子。
フタの裏には簡易的に書いてありますが、後入れの「特製ポークオイル」には粘度を高めるための成分が含まれているようなので、お湯を注いでから4分後、よく揉み解してから完全に溶かし、とろみを確認してから「豚骨だれ」を馴染ませなければいけません。また「山椒香る特製オイル」は “半分ほど食べてから入れる” ことを推奨しているため、調理の際は留意してください。
本体価格は278円(税込300.24円)ということで、既存する7PGのカップ麺「すみれ」「一風堂」「山頭火」「飯田商店」らと同じ値段。2022年6月1日出荷分からの価格改定により、税込300円オーバーのNB(ナショナルブランド)商品も出てきたので、場合によっては “お買い得” かもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム ゴールド 中華蕎麦とみ田 純粋豚骨らぁめん 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:138g(めん70g) 商品コード:4902881484985(JAN) |
発売日:2022年06月20日(月) 実食日:2022年06月25日(土) 発売地域:全国 取得店舗:イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7) 商品購入価格:300円(税込) 希望小売価格:278円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型(しおケアカップ) 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:4袋(特製ポークオイル・豚骨だれ・かやく・山椒香る特製オイル) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】スープ(ポークエキス、豚脂、香味調味料、しょうゆ、植物油脂、食塩、香味油、糖類、香辛料、たん白加水分解物)、めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、乳たん白)、かやく(チャーシュー、メンマ、ねぎ)/ 加工デンプン、増粘多糖類、酒精、調味料(アミノ酸等)、かんすい、ソルビット、炭酸カルシウム、カラメル色素、乳化剤、卵殻カルシウム、酸味料、香料、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・大豆・豚肉・ゼラチンを含む)※本商品製造工場では、えび・かにを含む商品を製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容はチャーシュー、メンマ、ネギとオーソドックスな構成ですが、明星食品のカップラーメンに “乾燥状態でもフニャフニャと柔らかいメンマが入っているとき” は本気モード(※あくまで経験に基づく持論ですけどw)。ちなみに容器は塩分の摂取量がコントロールできる「しおケアカップ」を採用していますが、それについての訴求はありません。
別添の「特製ポークオイル」と「豚骨だれ」は後入れなので、お湯を注いでから4分間、フタの上で小袋を温めながら待ち、まずは「特製ポークオイル」から溶かすのですが、そこまで強烈な粘度の高さではありません。しかし、実は “豚骨だれにも粘性を強める成分が入っていた” ので、調理の際は注意してください。
ちなみに売ってない地域もあるかと思いますが、コンビニのセブンイレブンはもちろん、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマートほか、イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)でも1食単位で購入できるので、販売店の参考ください。それでは、山椒香る特製オイルの味変効果にも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(138g)あたり |
カロリー:507kcal たん白質:12.4g 脂 質:22.6g 炭水化物:65.7g (糖 質:61.5g) (食物繊維:4.2g) 食塩相当量:8.6g (めん・かやく:2.7g) (スープ:5.9g) ビタミンB1:0.30mg ビタミンB2:0.37mg カルシウム:914mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:507kcal(めん・かやく:313kcal)(スープ:194kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
今回のためだけに専用のノンフライ麺を搭載
本店の「らぁめん」に使われている麺は、厳選した国産小麦の上質な中心粉のみ、つまり日本酒でいうところの大吟醸よろしく磨き抜かれた小麦の中心部だけを粉にして打った自家製麺で、その白く美しい色味も然る事乍ら、小麦本来の香りと等級の高い小麦粉に由来する甘味が楽しめます。
それをイメージしている今回の麺は、油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、製法は明星食品が誇る “スーパーノンフライ製法” とみて間違いありません。やや細めのサイズでありながら、中心部までギュッと詰まった密度の高さと芳醇な小麦の香りが相俟って、後述する高粘度スープに埋没しない存在感。
食べ始めはノンフライめん特有のゴリゴリとした歯応えも目立ちますが、細身の形状からスープの持ち上げは申し分なく、再現度を扨措けば悪くない取り合わせでした。ちなみに調理前の麺重量を既存の7PG商品と比較してみたところ、一風堂(めん70g)と同じ重量で、すみれ(めん80g)や飯田商店(めん75g)、山頭火(めん75g)よりも若干ながら少なめでした。
スープ・山椒香る特製オイル
とろみの向こう側に豚骨感は備わっているのだが‥‥
豚骨だれよりも先に馴染ませなければいけない「特製ポークオイル」は、小袋に “うま味ととろみの” とあるように、とろみ成分と豚脂(ラード)をブレンドしているような内容で、ふわっと漂う芳ばしい香りが印象的。でもってドロドロになるのかと思いきや、これ単体では自然に思える粘性です。
続けて「豚骨だれ」を加えると、この中には大量のポークエキスを中心に、豚頭エキスも使用しているらしく、なるほど調理直後は豚骨の旨味がグワーッ、と押し寄せてきます。いやー、さすが天下の「中華蕎麦とみ田」だなと。余韻まで楽しめたのですが、この感想はファーストインプレッション。
とろみ成分は「豚骨だれ」にも入っていて、最終的には「天下一品」の “こってり” よろしくドロドロになるのですが、その段階に入ると骨の旨味や豚脂の香りがボヤけてしまい、せっかくの魅力が格段に衰えてしまう “とろみの罠” に直面。とろみが強い=濃厚という図式は単純明快で分かりやすく、しかしながら人工的な成分で強引にドロドロさせているので、それが味覚をマスキングしてきます。
途中で加える「山椒が香る特製オイル」の “山椒が香る” は香料に由来するため、味覚に訴えかけてくる特有の痺れは弱く、爽やかなアクセントだけをプラスしてくれる存在。ただ、香りの影響力は強いので、それが地の豚骨感を浮き彫りにしつつ、同時に山椒の清涼感が豚骨の旨味を相殺するような側面も——。ちょっと中途半端な印象を受けたので、ガチの山椒を別添するほうがよかったかもしれません。
ちなみに栄養成分表示を見ると、カップラーメンでは非常識なカルシウムの多さ(914mg)が目立ち、それはそれは強烈な骨の旨味が備わっているのかと思いきや、おそらく卵殻カルシウムに由来する値。とにもかくにも人工的な粘度の高さが折角のポークエキスと豚脂を奥に追いやってしまうので、もうすこしサラッとしていたら、大きくプラスに傾いたと思います。
具材
もうすこし特別感が欲しかった
メインのチャーシューには適度にサシが入っているのですが、税込300円のカップラーメンとしては小さめで、同じ価格の「一風堂 赤丸新味博多とんこつ」に入っている厚切焼豚の足元にも及びません。メンマは比較的に自然な歯触りですが、値段に伴うインパクトを備えた具材とはいえず、ネギもフリーズドライ(凍結乾燥)より安価なエアドライ(熱風乾燥)で印象に残りません。
かつて明星食品が製造していた「もちもちの木」が誇る穂先メンマが入っていれば、中華蕎麦とみ田の威厳を‥‥などと思ったんですけど、本店の「らぁめん TOKYO-X 純粋豚骨」に入っているのは穂先メンマではなく材木メンマなので、入れるなら「明星 ぶぶか油そば ガチ太」(2022年5月9日発売品)の極太メンマでしょうか。
総評
「中華蕎麦とみ田」監修というプレッシャーから、すこし厳しめに評価してしまった部分は認めます。ただ、なまじ強すぎる粘度が裏目に出てしまい、せっかくの “純粋豚骨” がピュアに伝わってこなかったので、いっそのこと濃厚魚介豚骨に振り切る、あるいは粘度を調整するべきだと感じました。
ちなみに2022年6月25日現在、明星食品が担当する縦型ビッグの「銘店紀行 博多だるま(四代目)」は販売中ですが、すでに「銘店紀行」は「博多だるま」を除いて撤退済み。中華蕎麦とみ田の異動から推測すると、おそらく “銘店紀行そのものが消える” のは時間の問題なので、次は「博多だるま」が満を持す大判どんぶり型に戻るのかどうか、今後の展開にも注目です【author・taka :a(大石敬之)】