どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年1月23日(月)新発売、サンポー食品のカップ麺「焼豚ラーメン×石田一龍」の実食レビューです。
焼豚ラーメン×名店コラボ第8弾は “とんこつラーメンの老舗と新進店が混在する北九州” において不動の地位を確立した人気店「石田一龍」からの熱い要望で実現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
焼豚ラーメン×石田一龍
焼豚(やきぶた)ラーメンとは、1978年(昭和53年)8月の発売以来、現在は九州におけるソウルフードとしての確固たる地位を築き上げた、佐賀県三養基郡基山町に本社・工場を置くサンポー食品のブランドで、2023年(令和5年)8月に45周年を迎えるロングセラー。地元の九州ではもちろん、全国的にもコアなファンを多く抱えています。
今回の新商品「焼豚ラーメン×石田一龍」は、とんこつラーメン超激戦区である北九州で絶大な支持を得た「石田一龍」とサンポー食品の絶対的エース「焼豚ラーメン」のコラボ企画で、焼豚ラーメン×名店シリーズの第8弾。以前から「焼豚ラーメン」のファンだった「石田一龍」の創業者・新森龍二(しんもり りゅうじ)店主たっての希望により、コラボ商品の開発に至ったとのこと。
石田一龍(いしだいちりゅう)とは、もともと新森店主の父親が営んでいたラーメン店「久留米ラーメン 一龍」にルーツを持ち、新森店主が28歳の頃、2008年(平成20年)に先代の跡を継いだことに始まります。けれども事業を継承した当時、まだラーメンづくりの経験値も浅く、経営のノウハウもない。あまり仕事にも身が入らない状態で、1日に10〜20杯程度の売り上げが続いたそうです。
しかし、とある客からキッパリ「まずい」と言われ、ついに店主のエンジンが始動。その頃から付き合いがあった、福岡県北九州市にある製麺所「安部製麺」の代表取締役を務め、後にグループ店の「石田一龍 まこと家」を経営することになる仲間・安部大介(あべ だいすけ)さんと二人三脚でスープの改良に取り込み、店舗で寝泊まりしながら不眠不休の研究が続くこと7ヶ月——。
試行錯誤の末に辿り着いたのは、久留米の伝統技法である継ぎ足し式の “呼び戻し” と、博多で一般的な “取り切り”(その日に必要な分量を毎日いちから作る手法)を融合させたハイブリッド型の「濃厚ラーメン」で、豚の頭骨やゲンコツ(大腿骨)など、原価度外視で厳選した豚骨を16時間以上じっくりと煮込み、クセを抑えながらもクリーミーで濃厚な白濁スープを実現。
『食べているときに “おいしい” は当たり前、大切なのは心地よい “余韻” に長く浸れること」をモットーに頭角を現し始め、2013年(平成25年)3月17日に開催された「第3回 北九州ラーメンフェスティバルin門司港」で優勝に輝いたことを切っ掛けに「久留米ラーメン 一龍」から屋号を本店の住所(福岡県北九州市小倉南区下石田1丁目4-1)に因んだ「石田一龍」に変更し、その名を九州に轟かせました。
以降は破竹の勢いで事業を拡大し続け、2023年1月現在の店舗数は福岡県に6店舗、大阪府に1店舗、山口県に2店舗、鹿児島に2店舗(合11店舗)を展開し “今後も他に出店予定あり” とのことですが、新森店主が営んでいるのは本店のみ。同一資本で店舗を拡大するのではなく、それぞれの厨房に店主が立つ暖簾分け制で、なにかあればグループ内で情報を共有し、味や接客の向上を図っています。
そんな「石田一龍」店舗のメニューには「濃厚」と「屋台」があり、後者は比較的に “あっさり” としているのですが、手元の資料によると「焼豚ラーメン×石田一龍」が意識しているのは前者。
パッケージには「本家 石田一龍 本店監修」とありますが、単なる監修商品ではなく、焼豚ラーメンと「石田一龍」の長所を活かし合った “いいとこ取りのコラボレーション” がコンセプトなので、北九州ラーメンを代表する味わいとカップラーメンらしさの融合に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「焼豚」「かやく」「粉末スープ」に、後入れ「調味油」の計4種。焼豚ラーメンのアイデンティティとなっているハート型の焼豚をはじめ、多めの粉末スープに調味油の組み合わせなど、いかにもサンポー食品らしい構成となっているのですが、だからこそ「石田一龍」らしさの打ち出し方が楽しみになる展開。
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。縮れの強い形状や、揚げ油にラードを使用している部分など、ここにも「焼豚ラーメン」らしさが色濃く反映されています。他に大きく分けて熱湯60秒、熱湯90秒、熱湯2分、熱湯5分(ちゃんぽん、うどん)のサイズ違いに、特殊な小麦粉(ラー麦)を使用したパターンも保有しているサンポー食品ですが、もっともオーソドックスなタイプですね。
ちなみに焼豚ラーメンのコラボ企画は、第1弾「長浜ナンバーワン」を皮切りに、第2弾「丸幸ラーメン」、第3弾「魁龍どトンコツ」、第4弾「丸星ラーメン(丸星中華そばセンター)」、第5弾「初代秀ちゃん」、第6弾「名島亭」、第7弾「麺道はなもこし」と変遷を経て、第8弾は「石田一龍」にバトンが渡されました。第7弾だけは “鶏白湯” でしたけど、同じ企画にカウントされています。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:焼豚ラーメン×石田一龍 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230) 内容量:117g(めん85g) 商品コード:4901773101542(JAN) |
発売日:2023年01月23日(月) 実食日:2023年01月25日(水) 発売地域:「石田一龍」店舗、全国のスーパー・コンビニ等 小売価格:245円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:大盛バケツ型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:500ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:4袋(粉末スープ・かやく・焼豚・調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(ポークエキス、豚脂、食塩、しょうゆ、香辛料、チキンエキス、たん白加水分解物、植物油脂)、かやく(焼豚、きくらげ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(キサンタン)、pH調整剤、炭酸カルシウム、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、カラメル色素、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・ごまを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は、調味油を除く「焼豚」「かやく」「粉末スープ」すべて先入れで、重要なのが投入する順番。前述のようにサンポー食品のカップラーメンは、基本的に粉末スープの量が多く、それを溶かしながら給湯しなければいけないため、まずは「焼豚」を入れるのがポイント。それから「かやく」「粉末スープ」の順に入れ、ゆっくりと熱湯を注いでください。
お湯を内側の線まで注いだら、フタの上で「調味油」の小袋を温めながら待つこと3分。時間になったら「調味油」を入れ、よく混ぜ合わせたら完成です。引き続きカップラーメンらしさ全開の状態ではあるものの、いつもの焼豚ラーメンに入っているコーンや別添の紅生姜は省き、キクラげを追加した構成は、店舗のトッピングをイメージしたラインナップ。
ちなみにカロリーは533kcal、脂質は24.0g、炭水化物は66.1g、やや食塩相当量は多めの7.4gとなっているのですが、いずれも大盛りサイズのカップ麺において驚くような数値ではありません。しかし、カルシウムだけは “720mg” と異様に多かったので、引き続き「石田一龍」コラボならではの濃厚感に期待しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(117g)あたり |
カロリー:533kcal たん白質:13.1g 脂 質:24.0g 炭水化物:66.1g 食塩相当量:7.4 (めん・かやく:2.3g) (スープ:5.1g) ビタミンB1:0.39mg ビタミンB2:0.34mg カルシウム:720mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
実は標準どんぶり型の麺と製法が違います
「石田一龍」の店舗で使われている麺は、店主の恩人といっても過言ではない「安部製麺」こだわりの細麺で、九州とんこつラーメンの例に漏れず、加水率は低めに設定されているのですが、風味を高めるために熟成させているのもポイント。ほとんど縮れのないストレート状でありながら、スープとの調和にも定評があります。
対して「焼豚ラーメン×石田一龍」の油揚げ麺も加水率は低めに設定されているのですが、揚げ油に由来するラードの風味や縮れの強さなど、いかにもカップラーメンらしいタイプ。先にサンポー食品は特殊な小麦粉(ラー麦)を使った麺も保有していると触れましたが、そういった小麦粉を使用しているわけでもありませんでした。しかし、後述するスープとの相性は申し分ありません。
いつもの「焼豚ラーメン 九州とんこつ味」と同じ22番の切刃(溝巾1.4mm)で切り出された中細麺で、原材料名の構成も並びまで完全に一致するのですが、製造ラインにおいて標準どんぶり型と大盛り用では蒸す・揚げるなどの条件が微妙に違う——というのは、知る人ぞ知る話。大盛り用では伸びにくいように工夫されているので、最後までコシのある食感が楽しめました。
スープ
乳化感は強いけど優等生じゃない
粉末スープに熱湯を注いだ瞬間のファーストインプレッションは、部分的に「究極の一杯 久留米豚骨」と似ているな‥‥だったんですけど、味の系統は別物。豚骨の骨っぽさを演出するザラつきだったり、それを表現するポークエキスの種類だったり、いくつか共通するポイントは感じましたが、それはさておき定番の「焼豚ラーメン 九州とんこつ味」とも別物で、ぽってりとした味わい。
ただ、白濁とんこつスープ特有のミルキーな部分だけを突出させるのではなく、とろみが強めの口当たりから始まり、骨の旨みをギュッと濃縮したようなクリーミーさが口の中に広がった後、ふわっと骨の髄を思わせる部分が顔を出し、後に残るは骨の甘さ。とろみの付け方は人工的で、チキンエキスも併用していることから、純粋な豚骨スープではないけれど、濃厚さの指標を履き違えた味ではありません。
調味油の量は常識的で、猛々しい獣臭は抑えてありますが、使用しているのは100%動物系のオイル。粉末スープだけでは打ち出せない、動物性オイルならではのコクと臨場感が程よくプラスされ、全体の濃度がワンランク上の段階に昇格します。やや食塩相当量の数値は高めと前述しましたが、かえし(しょうゆ)が豚骨の前に出ることはなく、とろみを不自然に思わせない、ちゃんと濃厚な味わいでした。
かやく
シンプルだけど不足なし
焼豚は「焼豚ラーメン」を象徴するアイデンティティ的な存在で、ハート型の理由は “心をこめて作りました” というサンポー食品の想いを「カタチ」にした結果。まったくもって厚みはなく、湯戻し後は向こうが透けて見えそうな勢いなのですが、けっこう濃いめの味付けなので、なかなかの存在感。
細切りのキクラゲはコリコリとした食感で、思っていたよりも量が多く、ミルキーな豚骨スープの中においてアクセントに効果的。ネギも熱風乾燥(AD:エアドライ)よりランニングコストが高い凍結乾燥(FD:フリーズドライ)の青葱を使用しているため風味がよく、こちらもスープに合っていました。生タイプの紅生姜は別添されていませんけど、なんら不足はなかったです。
総評
いつもの「焼豚ラーメン 九州とんこつ味」と比較して、スープは骨の濃度が高く、とろみも強め。あくまでもカップラーメンの延長線上に‥‥というか、カップラーメンど真ん中なので、実際の「石田一龍」で提供されているラーメンとは完全に異なるベクトルを歩んではいるものの、わかりやすくマイルドさに振りながらも適度に骨の髄を感じさる、そこに「石田一龍」監修の恩恵が見出せました。
九州を出ると一部の地域では手に入らない、どこに売ってるのか分からないど、そういった場合も出てくるかとは思いますが、濃厚でクリーミーな豚骨ラーメンが好きなら探す価値あり。2023年1月29日(23:59)までの期間中、サンポー食品の公式Twitterアカウントがプレゼントキャンペーンを実施しているため、最寄りに販売店がない方は要チェックです【author・taka :a(大石敬之)】