どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年10月2日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「鹹豆漿拉麺(シェントウジャンラーメン)」の実食レビューです。
台湾で定番の朝ごはんをマルちゃんのカップラーメンにアレンジ!? 鶏の旨味、豆乳、黒酢、パクチーの風味が融合した「鹹豆漿」の味わいを再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
鹹豆漿拉麺
たとえば小籠包(ショウロンポウ)を筆頭に、魯肉飯(ルーローハン)、牛肉麺(ニョーローメン)、胡椒餅(フージャオビン)、大鶏排(ダージーパイ)、雪花冰(シュエファービン)、芋圓(ユーユェン)、豆花(トウファ)など、日本でも注目を集めている台湾グルメ。しかし、トレンドに敏感な日本の即席カップめん業界において、台湾グルメを題材にした商品は多くありません。
しかし、そのカテゴリーに目を付けたのが “マルちゃん” のブランドで知られる東洋水産。今回の新商品「鹹豆漿拉麺(シェントウジャンラーメン)」は、日本では知る人ぞ知る、しかしながら台湾では朝ご飯の定番メニューとして愛されている鹹豆漿(Xiándòujiāng)の味わいを再現した一杯で、もともとは麺料理ではないのですが、お湯かけ3分で手軽に楽しめるカップラーメンにアレンジ。
パッケージで訴求されている英文 “Flavorful chicken, soy milk, black vinegar and coriander flavor unite in a captivating soup” を日本語に直訳すると「鶏の旨味、豆乳、黒酢、パクチーの風味が融合した魅惑のスープ」という意味合いになるのですが、そもそも鹹豆漿ってナニ? どんな食べ物? という方も多いと思うので、特徴を解説しておきます。
鹹豆漿(シェントウジャン、シェンドウジャン)とは、前述のように台湾では定番の朝ご飯で、鹹(シェン)は「しょっぱい」を、豆漿(トウジャン)は「豆乳」を意味する単語。つまり「鹹豆漿」を直訳すると “しょっぱい豆乳” になるように、味付けは塩とラー油でシンプルに調えられているのですが、温かい豆乳に酢を加え、ほろっとした食感を出す独特の調理方法がポイント。
ちなみに砂糖を加えた甘い豆乳だと甜豆漿(ティエントウジャン)になるのですが、余談はさておき「鹹豆漿」には刻んだ搾菜(ザーサイ)やネギ、パクチー、干し海老など、たくさんの具材が入れられるのも特徴で、なかでも油条(ヨウティヤオ、ユウティアオ)と呼ばれる揚げパンはマストで添えられるアイテム。
そういえば、2020年1月6日にエースコックが「スープはるさめ NEWSTAR(ニュースター)台湾風豆乳鶏湯(トウニュウジータン)」というカップスープを出しているため、業界全体で見ると先を越されている東洋水産ですが、私の知る限り鹹豆漿を拉麺(ラーメン)にアレンジしたカップ麺は前例がない取り組み。
さらに「鹹豆漿拉麺」の発売と同日、マレーシアのペナン島を発祥とするローカルフード「Prawn Mee(プロウン ミー)」を再現したカップラーメンを展開し、ラインナップを強化。なぜ今「鹹豆漿」と「Prawn Mee」なのかについては開示されていませんが、面白い試みであることは間違いありません。
容器側面には “台湾の定番朝ごはん「鹹豆漿」をアレンジしたラーメンです。チキンをベースに豆乳と黒酢を合わせ、パクチーの香りを利かせました。” という概要が記載されているのですが、この商品は国内製造で、パクチーの演出には「パクチーフレーバー」を使用とのこと。はたして異国情緒が楽しめるのか、仕上がりが楽しみです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、食べる直前に加える「特製油」1パックのみで、東洋水産のニュースリリースに “パクチーの香りが特徴的な特製油付き。” との記載があることから、ここにパクチーフレーバーを使用している様子。ただ、スープそのものに “パクチーの香りを利かせた” といった旨の記載もあるので、パクチーが苦手な方は避けたほうが安全かもしれません。
かやくは味付チキンダイスに、ネギとフライドオニオンの組み合わせで、残念ながら具材としてのパクチーや搾菜、干し海老ほか、油条を模した具材なども入っていません。もしかすると熱湯で花開く可能性もありますけど、まだ目立ってパクチーの香りが漂ってくることはなく、鹹豆漿らしさは控えめ。
ちなみにレギュラーサイズの縦型カップ(236円+税)よりも大きく、縦型ビッグ(271円+税)よりも背が低い容器を使用しているため、メーカー希望小売価格も245円(税別)と中途半端な設定なのですが、直近だと「縦型ビッグ 沼るニンニク」及び「同 沼るニボシ」と同じ値段。沼る○○シリーズは特殊な立ち位置なので、比較するとアレなんですけど、この価格がミドルサイズの基準になりそうです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:鹹豆漿拉麺 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:85g(めん65g) 商品コード:4901990375948(JAN) |
発売日:2023年10月02日(月) 実食日:2023年10月04日(水) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 小売価格:245円(税別) 購入価格:213円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ミドル 容器材質:プラ+紙 湯量目安:370ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、たん白加水分解物、発酵調味料、しょうゆ、卵白)、添付調味料(植物油、砂糖、食塩、香味油脂、粉末豆乳、チキンエキス、乳等を主要原料とする食品、脱脂大豆粉、粉末黒酢、しょうゆ、フライドオニオン、酵母エキス、たん白加水分解物、香辛料)、かやく(味付チキンダイス、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、炭酸カルシウム、かんすい、酸味料、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香辛料抽出物、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は3分と標準的。ちなみに東洋水産のニュースリリースに記載されている “発酵調味料で味付けをし、油で揚げて香ばしい風味を付けた、スープとの相性が良い、角刃で切った麺。” という商品特徴は、縦型ビッグの「沼るニンニク」及び「沼るニボシ」と完全に一致するので、もしかすると同じフライ麺を使用しているのかもしれません。
別添の小袋は後入れなので、それを取り外してから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「特製油」を温めながら待つこと3分。時間になったら「特製油」を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。本物の鹹豆漿よろしく分離は起きなかったので、そこまで忠実に再現されてはいませんが、けっこうパクチーの香りが強く、異国情緒の演出はバッチリ。
ちなみに製造所は酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、1983年(昭和58年)7月より東洋水産が資本参加している連結子会社の工場なので、単純に “マルちゃんの工場” という認識で問題ありません。それでは、引き続き鹹豆漿を彷彿とさせる雰囲気に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(85g)あたり |
カロリー:407kcal たん白質:8.4g 脂 質:20.2g 炭水化物:47.9g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:2.2g) (スープ:3.7g) ビタミンB1:0.29mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:145mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:407kcal(めん・かやく:309kcal)(スープ:98kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サイズのわりに耐久性あります
縦型ビッグの「沼るニンニク」と「沼るニボシ」はレビューしていないため、まだ体感的な比較はできないのですが、念のため原材料名を書き出してみたところ、今回の「鹹豆漿拉麺」と完全に一致。もしかすると微調整している可能性もありますけど、少なくとも同じ流れを汲んだフライ麺であることは確実です。
形状は角刃で切り出された平打ちの縮れ麺で、そこまで厚みと幅はありません。しかし、噛んだときの反発性は強く、見た目のわりに食感の劣化は控えめで、独特の弾力が食べ終わる頃まで持続。調理前の麺重量は65gだったので、大盛りサイズの基準(めん70〜80g)には満たないけれど、体感的にはレギュラーサイズ以上の食べ応えが得られます。
もともと鹹豆漿は麺料理ではないので、再現度については言及できませんが、それだけに変なバイアスが発生しないのはメリットともいえるポイント。どちらかといえばスナック的なタイプになるため、ノンフライ麺に見紛うような質感とはいえないけれど、単純にイメージは悪くありませんでした。
スープ
しぇんとうじゃん‥‥?
まずは「特製油」を入れずに味わってみたところ、鹹豆漿=しょっぱい豆乳なのに、残念ながら豆乳の存在感は想像以上に控えめ。原材料に粉末投入や脱脂大豆粉を使用していることから、豆乳らしさが皆無というわけではないけれど、たとえば同社が販売している「豆乳ごま担々うどん」や「豆乳ごまみそうどん」ほどの勢いはありません。
反対に粉末黒酢の主張は強く、そこにはハッとさせられたのですが、前述のように分離は発生していなかったり、とろみの加減が妙に強かったり、はたして鹹豆漿の再現度でいうと、ちょっと違うんじゃない? みたいな。
続けて「特製油」を加えた途端、パクチーの猛攻が始まるので、苦手な方はノックアウト必至のインパクトは備わっているのですが、鹹豆漿とは‥‥。ちょっと豆乳感に期待し過ぎていたところは認めますけど、東洋水産は豆乳系に強いので、もうすこし振り切ってほしかったです。
かやく
チキンダイスはウマい
味付チキンダイスは小さめですが、濃いめの味付けで、噛めば噛むほど旨味が滲み出てくるタイプ。ネギもフリーズドライ(凍結乾燥)の斜め切りなので、エアドライ(熱風乾燥)のネギよろしくジャキジャキした歯触りではありません。ネギの食感については強烈なパクチーフレーバーが相俟って、ところによってはパクチーを噛んでいるような感覚が楽しめました。
ただ、これ専用にカップめん専用の油条を開発できなかったとしても、たとえば代打で刻み揚げを入れるとか、そういった工夫があってもよかったかなと。フライドオニオンのアクセントも言われてみれば‥‥だったので、干し海老でも入っていると嬉しかったんですけど、それだと同時発売品の「Prawn Mee」に抵触しますかね。
総評
東洋水産は豆乳に強いので、そのイメージから豆乳の主張に物足りなさを感じたり、パクチーだけが独り歩きしているような感覚に陥ったり、どうにも「鹹豆漿」の魅力にリンクしづらい仕上がりから、ちょっと厳しめに評価しています。ただ、パクチーが好きなら試す価値ありかなと。
逆に苦手なら全力で避けるべき一杯になりますけど、よくも悪くも確実に人を選ぶ商品なので、好みによってはバシッとハマると思います。なんか、無責任な締め方でスミマセン‥‥w【author・taka :a(大石敬之)】