どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年12月23日(月)新発売のカップ麺、エースコック「タテロング わかめラーメン しじみだし・しょうゆ」の実食レビューです。
年末恒例 “しじみ200個分のオルニチン配合” わかめラーメン「しじみだし・しょうゆ」今年も発売!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
わかめラーメン しじみだし・しょうゆ 2019
1983年(昭和58年)6月に誕生したエースコックのロングセラーブランド「わかめラーメン」とは、誕生1年前の1982年(昭和57年)当時のマーケティング部に与えられた “業績を牽引(けんいん)する力強いヒット商品を作る” という命題のもと発足。「食品の安全・健康」と「内容の充実・質的向上」を取り組みの指針とし、それをクリアした素材が「わかめ」でした。
近年では「そうめん」に「うどん」「タンメン」「油そば」など、わかめを主役に様々なバリエーションを展開中で、今回の「しじみだし・しょうゆ」は肝臓に良いとされる “しじみ200個分のオルニチン” を配合した年末年始恒例の変わり種。飲み会や宅飲みが増えてくる季節にあわせ、2016年12月から毎年恒例の人気フレーバーとなっています。
ときに昭和58年といえば、即席麺の “高級化戦略” が盛んだった時代。1980年(昭和55年)当時およそ袋麺の平均売価が70円、カップ麺は平均130円で販売されていた頃、東洋水産(マルちゃん)が1食あたり300円もするカップ麺「力一杯」を発売。翌1981年(昭和56年)には明星食品が中華三昧の前身となる「中華飯店」を発売し、高級インスタントラーメンが注目され始めました。
そして1982年(昭和57年)の明星食品「中華三昧(ちゅうかざんまい)」やハウス食品の「楊夫人(マダムヤン)」、東洋水産の「華味餐庁(かみさんちん)」、日清食品の「麺皇(めんふぁん)」など、各社こぞって高級グルメ路線のインスタントラーメンに注力していたのですが、その真っ只中に “業績を牽引する力強いヒット商品” を任されたエースコックのマーケティング部。
通常、時代の流れに乗るべきところ、あえて高価格インスタント麺ブームの真逆を行くような “健康路線” に着目し、当時の業界ではトレンド錯誤の「わかめラーメン」は失敗作という空気が支配的だったそうですが、みごと通年商品に定着。2019年には発売36周年を迎え、前述の「わかめ油そば」や「あさりタンメン」、さらに上記の「わかめ3.5倍」や「わかめ7倍」などで度肝を抜いてきました。
ちなみにエースコックの「わかめラーメン」が構想段階にあった1982年(昭和57年)10月、まるか食品が麺に小麦胚芽を練り込んだ「ペヤング わかめラーメン」というカップ麺を発売しているので、実はエースコックが業界初のパイオニアではないのですが、この路線で商業的な成功を収め続けている企業は一社だけ——はい、そろそろ「しじみだし・しょうゆ」に話を戻しましょう。
わかめラーメンの「しじみだし・しょうゆ」が初めて発売されたのは、2016年12月26日で、第1弾から “しじみ200個分のオルニチン配合” をアピール。2017年12月25日に発売された第2弾では「わかめ」の量が増え、2018年12月24日に発売された第3弾(前回)は「金ごま」を使用するなど微妙に変化を繰り返し、今年はわかめ20%増量にリニューアル。
2019年も引き続き “しじみ200個分のオルニチン配合” となっていて、しじみ由来ではなく発酵法で製造されたアミノ酸としてのオルニチンを配合しているのも例年通り。ちなみにオルニチンの最低必要摂取量は1日400mg、しじみに換算すると約1,400個分相当なので、しじみ200個分では足りないのですが、ふつうのカップラーメンよりも漠然と健康によさそうですよね。
開封
それに、この「しじみだし・しょうゆ」は固定ファンが多く、今年末もリリースを待ち望んでいた方は少なくありません。これまでと同じように別添の小袋は「液体スープ」が1袋、最初から容器の中に入っています。昨年は淡い水色でしたが、今年は深いブルーになり、デザインも縦書きから横書きに変わりました。
具材は磯の風味豊かなわかめ、風味の良いごま、程良く味付けしたメンマ、色調の良いコーンということで例年通りですが、今年は金ごまのアピールなし。ただ、乾燥わかめの量は昨年よりも多く、無論こいつらの膨張率は侮れません(※上記の画像にゴマは写っていませんが、ちゃんと入っています)。
メーカー希望小売価格は税別220円で、発売地区は全国のスーパーやコンビニなど。コンビニで購入した場合の税込価格は232円が2019年末の相場となっており、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」と「ファミリーマート」が意欲的でした。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:タテロング わかめラーメン しじみだし・しょうゆ 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(W)兵庫県加東市河高1816-175 内容量:90g(めん70g) 商品コード:4901071246655(JANコード) 商品サイズ:縦111mm×横111mm×高さ118mm 発売日:2019年12月23日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ)、スープ(しょうゆ、植物油脂、食塩、糖類、たん白加水分解物、香辛料、でん粉、魚醤、トマトエキス、デキストリン、オルニチン、シジミエキス、香味油、酵母エキス、ポーク調味料)、かやく(わかめ、ごま、メンマ、コーン)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、酒精、香料、カラメル色素、かんすい、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、微粒二酸化ケイ素、香辛料抽出物、増粘多糖類、酸味料、ビタミンB2、甘味料(スクラロース)、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・えび・大豆・鶏肉・豚肉・ごまを含む) |
実食開始
麺は熱湯3分の油揚げ麺で、必要なお湯の目安量も440mlと昨年から変更ありません。この時点からエースコック(わかめラーメン)特有の油揚げ麺臭が強く漂ってくるのですが、わかめのヘルシーさとカップラーメンらしい油揚げ麺のジャンクの加減、この対比を描く関係性も「わかめラーメン」の醍醐味と思える強みですね。
さて、コーンは少量でメンマのサイズも小さめですが、わかめの膨張率は一種のテロ。どんぶり型や大盛バケツ型に入っている別添のスパイスがないのは寂しいところではあるものの、前年比20%の大量わかめはボリューム満点で、いまのところ不安はありません。なお、液体スープは “後入れ” なので、うっかり熱湯を注ぐ前に入れないように注意してください。
ちなみに内容量は前回の91gから90gと微妙に減っていますが、麺の量は調理前70gから変わっておらず、しかもカロリーはジャスト365kcalと同じ値でした(他の数値は微増減)。わかめの量は申し分ないので、歴代しじみだし・しょうゆとの違いや共通点に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(90g)当たり
カロリー:365kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:365kcal(めん・かやく:319kcal)(スープ:46kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
2017年12月発売品までは丸刃でカットした角断面の麺(断面は四角いけどカドは鋭角じゃない麺)を使用していたのですが、前回の2018年12月発売品から丸断面の麺に変わり、今回も断面の丸い丸刃でカットされた油揚げ麺が採用されています。やや黄色味の強い見た目で、それも定番どんぶり型の「わかめラーメン」に通じるポイント。
調理前から主張が強かった油揚げ麺特有のニオイは調理後も弱まることはなく、むしろ強くなっているようにすら感じるのですが、この風味も “カップラーメンを食べている” という特有の背徳感を満たしてくれる重要なポジション。有名店監修のカップ麺ではネガティブに足を引っ張ることも珍しくないけれど、「わかめラーメン」においてはプラスに作用してくれます。
おそらく麺自体は前回と同じ醤油練り込み麺で、今年も比較的やわらかめに仕上がるのですが、むしろ若干やわ麺くらいが具材とのバランス的に正解。わかめと一緒に食べれば油揚げ麺特有の風味も穏やかになりますし、その独特な兼ね合いも魅力の一つで、きちんと「わかめラーメン」らしいと思える仕上がりでした。
スープ
オルニチンはシジミに由来するものではありませんが、ちゃんと原材料にシジミエキスを使っていて、アサリとはニュアンスのあるシジミらしい旨味が舌の脇にクッと伝わってくるのがポイント。磯の香り(わかめ)と二枚貝の旨味は無論の相性で、後がけのスパイスが別添されていないのが寂しいところではあるものの、トレードオフによるマイナスはありません。
液体スープに含まれる醤油ダレ(濃口しょうゆ)が粉末しょうゆでは出せないコクを打ち出し、植物油脂が膨よかな印象を強め、さらにシジミと磯の香りと魚醤による旨味の相乗効果も素晴らしく、今年も「わかめラーメン」の強みを貝出汁で絶妙に強化している文句なしの美味しさ——なんですけど、これまで使用されていなかった “トマトエキス” が気になります。
とはいえパッケージの原材料名を見たから気になったくらいで、実際にトマトの味がするとかではないのですが、トマトエキスとは斬新なアイディア。そのトマトエキスを除くと原材料に使用している素材は前回と同じで、しかしながらデキストリンの使用量が減り、たん白加水分解物の使用量が増えるなど、組み方に変化が見られましたが、おおむね例年通りですね。
具材
わかめが前年比2割増となった今回、そのボリューム感は申し分なく、もちろん「わかめラーメン」の名に恥じない肉厚わかめが惜しげも無く入っています。そのためメンマやコーンは完全に霞んでしまっているのですが、ときおり感じるメンマのコリコリとした食感やコーンの甘味が箸休め的に主張してくるため、存在感が皆無なわけではありません。
熱湯3分直後、まだ手を付ける前から具材で麺が完全に見えない状態で、わかめの出汁がスープに染み込み、液体スープなしでも成立しちゃうくらいの存在感なのですが、それに負けない貝出汁の個性も見事。ごまは標準どんぶり型よりも少なめですが、わかめのボリュームと縦型の利便性を思えば上出来以上の内容ですね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
麺は油揚げ麺特有の風味が強いタイプですが、ある意味それも「わかめラーメン」を語る上で外せないポイントで、さすが前年比わかめ20%増量のボリューム感も申し分なく、今年も満足度の高い一杯でした。本家と比較してスパイス感は弱いけれど、シジミエキスの個性的な旨味でオリジナリティの強い変わり種です。
オリジナリティといえば原材料名の「トマトエキス」には驚きましたが、前回との違いは胡麻の芳ばしさが控えめになったこと、わかめの量が増えたことの2点くらいだったので、例年通りという認識で問題ありません。今年も楽しみにされていた方はもちろん、わかめラーメンと貝出汁の相乗効果が気になる方は、ぜひ試してみてください。