どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年10月14日(月)新発売のカップ麺、明星食品「明星 御殿山(うどぅんやま)監修 琉球古来そば」の実食レビューです。
沖縄そばの人気店「琉球古来すば 御殿山 〜うどぅんやま~」の一番人気メニュー「沖縄そば」をカップ麺で再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
琉球古来すば「御殿山」監修カップ麺
「琉球古来すば 御殿山(りゅうきゅうこらいすば うどぅんやま)」とは、沖縄県那覇市首里の高台にある老舗沖縄そば店で、お店の名前「御殿山」の読み方は “ごてんやま” ではなく「うどぅんやま」。現在「国際通り店」「琉球ガラス村店」「那覇空港店」「パルコシティ店」と沖縄県内にも店舗を展開しているのですが、「首里本店」では築150年以上の歴史を持つ古民家で営業しています。
「沖縄そば」とは、ご存知そば粉を使用した日本蕎麦の仲間ではなく、製法としては梘水(かんすい)を使用した中華麺ジャンルに属しているのですが、「琉球古来すば(そば)御殿山」では昔ながらの作り方を守っていて、なんと “やんばる(国頭村)で1〜2年長期乾燥させたガジュマルの木を燃やし、灰を作るところから” スタート(※「すば」は昔の呼び方)。
その昔、まだ梘水(かんすい)が主流ではなかった頃、木を燃やして作った灰を何週間も寝かせ、そこから取れる灰汁(アク)を麺に練り込んでいました。現在は本場・沖縄でも梘水を使って麺を打つ店もありますが、「御殿山」では伝統の手法に倣い、さらには仕上がりに違いが出てくる何種類かの灰汁をブレンドして、可能な限り均一になるよう調整している徹底ぶり。
もともとは23年前(1996年)に個人経営で始まったそうですが、2016年から株式会社ココスアイランドオキナワ[代表取締役:洲鎌一馬(有限会社チャオジャパントレーディング代表取締役)]に事業譲渡。同社は積極的な事業拡大を進めており、2020年には「台湾」と日本食ブーム到来中の「オックスフォード(イギリス)」に店舗を展開、沖縄そばで海外進出すると話題になっています。
スープは鰹節の出汁を中心に沖縄県産の酒、砂糖、塩、しょうゆ等で味を調え、化学調味料は使わない無化調仕上げなのもポイント。お店ではオーソドックスなプレーンの「純麺」と胚芽を練り込んだ「胚芽麺」の2種類から選べるのも特徴で、今回のカップ麺は全粒粉入り麺(胚芽麺)ではないようですが、コシのある「ノンフライ麺」を採用しています。
以前、株式会社とかち麺工房(旧「十勝新津製麺株式会社」)が信州の “凍り蕎麦” にインスパイアされたフリーズドライの特許製法「氷結乾燥法*」を生み出し、「氷結乾燥麺」という特殊なノンフライ麺を使用したカップラーメンを製造していましたが——(*後に一風堂グループの「株式会社渡辺製麺」が買収、現在はカップめん事業から完全に撤退)
現在のカップ麺で主流となっている麺の製法は、油で揚げて乾燥させる「フライめん」(油揚げ麺)と油で揚げない「ノンフライめん」(非油揚げ麺)の2種類で、後者は基本的にAD製法(エアドライ製法、熱風乾燥)を採用。明星食品の場合、ノンフライ麺でも生地に “植物油脂” を練り込み、麺の内側からも熱を加えて気泡の数や大きさをコントロールしているのが特徴です。
こだわりの製麺技術で定評のある明星食品のノンフライ沖縄そばということで、思わず期待が高まる現在、実は本日 “10月17日” は「沖縄そばの日」——1978年(昭和53)10月17日、公正取引委員会から「本場沖縄そば」の商標登録が正式に承認され、沖縄生麺協同組合が1997年(平成9)に10月17日を「沖縄そばの日」と定めました。
開封
さて、別添の小袋は「粉末スープ」「かやく」「あとのせかやく」「紅しょうが」の合計4袋。実は全国発売の1週間前・2019年10月7日(月)に「御殿山」の地元沖縄で先行販売されていたのですが、沖縄以外の地域では今週から全国発売解禁。販路を問わない全チャネル販売で、なおかつ数量限定・期間限定のスポット商品ではありません。
ちょっと裏話を挟むと、今回のカップ麺「明星 御殿山(うどぅんやま)監修 琉球古来そば」は、明星食品から「御殿山」に営業をかけたのではなく、運営母体の “洲鎌一馬社長が自ら国内大手メーカー数社に沖縄そばを売り込み” に行った結果、その熱意に明星食品が協賛する形で製品化が実現。しかも、継続的に販売が続けられる新たな「定番商品」として開発されました。
今回のパッケージに、明星食品の「どんぶり型」で主流となっている「スーパーノンフライ製法」(タテ型の場合「スチームノンフライ製法」)の文字はありませんが、少量の植物油脂を練り込んだノンフライ麺を採用。さすがにガジュマルの灰から抽出した灰汁ではなく梘水を使っているものの、うどんと中華麺の中間的な見た目が沖縄そばらしいですね。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 御殿山(うどぅんやま)監修 琉球古来そば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:80g(めん65g) 商品コード:4902881438346(JANコード) 商品サイズ:縦165mm×横165mm×高さ75mm 発売日:2019年10月07日(月)沖縄先行 / 10月14日(月)全国 |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(粉末スープ・かやく・あとのせかやく・紅しょうが) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、植物性たん白、大豆食物繊維、酵母エキス)、スープ(食塩、魚介エキス、糖類、香味調味料、たん白加水分解物、かつおぶし粉末、豚・鶏エキス、昆布エキス、しょうゆ、植物油脂)、かやく(チャーシュー、紅しょうが、香辛料(七味唐辛子、赤唐辛子)、ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、酒精、かんすい、炭酸マグネシウム、香料、乳化剤、酸味料、カラメル色素、ベニコウジ色素、増粘剤(キサンタンガム)、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本品製造設備では、を含む製品を生産しています。 |
実食開始
先入れの小袋は「かやく」のみ、味付け用の添付調味料は粉末スープですが、麺の戻りが悪くなってしまうので、先に入れてはいけません。明星食品の定番カップ沖縄そばといえば、うちなー限定(沖縄限定)販売の袋めん「明星 沖縄そば 5食パック」(1988年10月発売)とカップめん「明星 カップ 沖縄そば」(1989年9月発売)がありますけど、ノンフライ麺の定番商品は今回が初めて。
しかしながら前述したように販売エリアは全国で、販売店も限定されていない全チャネル販売。実際に立ち寄ったコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」と「ファミリーマート」での取り扱いが意欲的で、コンビニで購入する場合の値段は持ち帰り(税率8%)で税込価格248円でした。
さて、何気に嬉しい低カロリー(280kcal)、脂質も “たったの3.9g” というヘルシーなカップ麺。後入れ粉末スープを入れる前に麺をほぐし、それから粉末スープを入れて溶かしたら、お好みで特製七味香る「あとのせかやく」と別添の「紅しょうが」をトッピングしてください。それでは、「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(80g)当たり
カロリー:280kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:280kcal(めん・かやく:243kcal)(スープ:37kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
沖縄にはオーソドックスな「沖縄そば」の他に、やや細くて縮れの少ないストレート麺を使っている「宮古そば」、同じくストレートでも平打ちではなく丸い麺を使っている「八重山・石垣そば」、太くて縮れの強い「大東そば」など、いくつかの麺が存在するのですが、今回は沖縄本土のポピュラーな「沖縄そば」を再現。
木灰特有の風味は再現できていませんが、ほんのりと黄色味を帯びた白い肌が沖縄そばらしく、しかしながら油揚げ麺を使用したカップ沖縄そばの麺とは完全に別物。油揚げ麺では “ごわごわ” とした加水率の低い太麺になることが多く、かたくて強付いた独特の食感が魅力だったりもするのですが、さすがノンフライ麺もっともっと本格的。
形状は緩やかに縮れた平打ちで、そんなに厚みはないけど、かなりコシの強い剛の麺。食べ初めの粘り気が少ない硬めの歯ごたえが “うどん” とは違う沖縄そばらしさを演出します。ただし、うっかり “調理時間を延ばすと多加水麺になってしまう” ので、沖縄そばらしさを楽しみたい方は時間厳守。逆にニューウェーブ系(うどん系)を楽しみたい方は、1〜2分ほど長めに待ってみてください。
スープ
近年、カップめん業界では豚骨清湯(とんこつちんたん)という “透明な豚骨ラーメン” が注目されているのですが、よくよく考えてみると沖縄そばの豚出汁(だし)は “まさに” それで、癖のない豚骨(動物系)清湯にカツオだし(魚介系)をブレンド。豚と鰹の比率は圧倒的に鰹が優勢で、いわゆるW(ダブル)スープ仕立てとなっています。
ただ、お店のスープは無化調なのに対し、カップ麺のスープは化調の旨み成分を比較的けっこう強めに効かせていて、食塩のキレもキリッとダイレクト。奥に昆布の隠し味が見え隠れしていますが、粉末スープのみ味わうと雑味が多く大味で、あまり繊細なテイストとは言えません。でも上の写真でスープの色が激変しているように、あとのせかやくの中に入っている特製七味の面目躍如。
この七味唐辛子が思いのほか多く、粗挽き赤唐辛子と完全にパウダー状の赤唐辛子をブレンド。中でも赤唐辛子のピリッとした刺激と黒ごま・白ごまの芳ばしさが目立ち、粉末スープの雑味を上手いこと誤魔化してくれます。ただ、八重山名物の “島こしょう”(ヒバーチ・ピパーツと呼ばれるヒハツモドキの実を粉末にした特産品)ではないので、ちょっと「うどん」っぽくなりますけどね。
スープがサラサラとしているため、けっこう容器の底に赤唐辛子が集中。その結果、辛さレベルは “あまり混ぜずに食べたらピリ辛” くらいなんですけど、油断していたら後半にかけて思わぬ辛さになっているかもしれないので、辛い食べ物が苦手な方は様子を見ながら入れてください。
かやく
ノンフライ麺を使用した明星食品のカップ沖縄そばといえば、2016年8月8日に「明星 沖縄風ソーキそば」という税別290円の製品が発売されたことがあり、それにはレトルト調理を駆使した “炙り軟骨ソーキ” が入っていて、思わず感動しました。しかし、今回は豚バラ系の丸いチャーシューと大きめにカットされたネギが先入れかやくに入っています。
日清食品の厚切焼豚ほど分厚い焼豚ではないけれど、希望小売価格193円〜220円(税別)前後のカップラーメンに入っているような薄っぺらいチャーシューよりもワンランク上のタイプ。お店の三枚肉(豚ばら肉)には及びませんが、あとのせかやくと別添の紅生姜を思えば悪くありません。ただ、ちょっとネギの色が悪いように、スープで気になった雑味の要因にも——
あとのせかやくに入っている青葱は、先入れの色が悪い大きなネギと違い、自然と麺に絡んでくる風味のいい薬味タイプ。そのアクセントが効果的で、酸味を筆頭に存在感の強い紅生姜(生タイプ)も七味唐辛子と同じく今回のスープには必須。紅生姜の量は多すぎず少なすぎない、まさに適量だったのもよかったです。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
ノンフライ麺は伝統の琉球古来すば(そば)よりも後半にかけてニューウェーブ系に寄っていましたが、食べ始めの硬さには臨場感があり、ひとつのノンフライ麺としてハイレベル。ちょっと気になった粉末スープの雑味も七味唐辛子と生タイプの紅生姜がカバーしてくれていたので、結果的に総合力の高さが光っていました。
コンビニで買ったら税込248円という値段からコスパ重視の方にはオススメできませんし、麺の量も平均(70〜80g)と比較して少なめ(65g)ですが、ノンフライ麺を採用したカップ沖縄そばの定番商品は現状「御殿山」のみ。また、麺の戻し時間でイメージけっこう変わるので、自分好みの硬さと加水率を探求してみてください。