どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年3月11日(月)新発売のカップ麺、寿がきや食品「京都 らぁ麺とうひち 鶏醤油らぁ麺」の実食レビューです。
京都の人気店「らぁ麺とうひち(藤七)」の看板メニュー「鶏醤油らぁ麺」をカップラーメンで再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
らぁ麺とうひち 鶏醤油らぁ麺
「らぁ麺 とうひち(藤七)」とは、京都・北大路にある行列必至の有名店で、お店の名前は “とうしち” ではなく「とうひち」。開業は2015年3月20日、店主の袖岡哲也(そでおか てつや)さんは京都つけ麺の走りとも言われている名門「京都千丸 しゃかりき」出身で、しゃかりき店主・梶充秀さんのもとで修行を始めたのは33歳頃。もともとインテリア業界で15年ほど働いていたらしく、脱サラからのスタートで最初から独立を希望して修行入りしたそうです。
「山さんラーメン」「宇奈月(うなづき)」「いいちょラーメン」が継承し、その源流とされる伝説的な幻のラーメン「岩倉屋台」発祥の地・京都市左京区岩倉で生まれ育った袖岡さんは、もともと小学生の頃からラーメン好きというラーメンフリークで、学生の頃からラーメンを自作していたそうです。「飯田商店」や「トイ・ボックス」、「ロックンビリーS1」をリスペクトされているそうですが、もっとも影響されたラーメン店は大阪・鶴見の名店「鶴麺(つるめん)」らしく、そこで食べたラーメンに衝撃を受けて会社を辞めると決意。
当時はサラリーマン生活15年からの脱サラということもあって、しゃかりきオーナーの梶さんから “やめたほうがいい” と言われたそうですが、死に物狂いで修行するからと4年間しゃかりきグループに在籍。最初は基本を学ぶために京都産業大学キャンパス内にある2号店「らーめん壱馬力」で1年半働き、しゃかりき本店で1年半副店長を務め、さらに3号店の「つけそば 一乗寺ブギー」で1年半、同じ「しゃかりきグループ」でも違うコンセプトを掲げる3店舗それぞれの個性を経験して「らぁ麺 とうひち」をオープンしました。
「らぁ麺とうひち」のコンセプトは、 “地鶏と生揚げ醤油” 。「鶴麺」にインスパイアされた生揚げ醤油(きあげしょうゆ)と素材本来の旨味にこだわった鶏清湯「鶏醤油らぁ麺」が看板メニューとされているのですが、化学調味料不使用の無化調で麺は自家製の平打ち中太麺、「ミシュランガイド大阪・京都」のビブグルマン(サービス料、席料込みで5,000円以下のミシュランおすすめ店)にも掲載された実力の持ち主です。
さらに関西最大のラーメン激戦区、京都・一乗寺から目と鼻の先にある京都・修学院にセカンドブランドの2号店「らぁ麺 すぐる(卓)」を2018年4月24日にオープン。そちらでは “豚と小麦” をコンセプトに掲げ、京都のブランド豚・丹波高原豚を使用した清湯系のラーメンを提供しており、スープはもちろんトッピングのチャーシューにも丹波高原豚を使用しているそうですが、「らぁ麺とうひち」で人気だった限定メニュー『ネオ アキラ』(第一旭・アキラ系)を独立させる形で出店したようですね。
丹波黒どりの丸鶏、ガラ、モミジ、脂、黒さつまどりの鶏ガラ、秋田比内地鶏の丸鶏と脂をブレンドした鶏出汁と生揚げ醤油を前面に押し出した、天然素材で作ったスープ‥そんな「極上の鶏醤油」(パッケージのデザインはタリーズコーヒーみたいになってますけどw)を再現したのが今回のカップ麺「京都 らぁ麺とうひち 鶏醤油らぁ麺」で、おそらく同メニューがカップラーメンになるのは今回が初めてだと思うのですが、以前にも寿がきや食品から再現カップ麺が発売されていました。
その時は限定メニュー「鶏白湯らぁ麺」の再現だったんですけど、超おいしくて‥‥濃厚な鶏白湯スープにローストブラン(焙煎小麦ふすま)を配合した全粒粉入りの平打ちノンフライ太麺、さらにポワブルロゼ(ピンクペッパーとも呼ばれていますがウルシ科のコショウボクという植物の果実を乾燥させたものでコショウではありません)をホールのまま入れるという、実に個性的な一杯に仕上がっていたのを覚えています(当時の評価は★7)。
そんな寿がきや食品とのタイアップ経緯もあるので、お店の特徴とされる芳醇で力強い鶏出汁と生揚げ醤油の打ち出し方に注目ですね。ちなみに屋号となっている「とうひち(藤七)」は、袖岡さん(袖岡家)の「家号」に由来しているそうです。お店の丼や暖簾、カップ麺のパッケージにも “冥土に繫がっている家紋” ともいわれる「抱き茗荷紋(みょうがもん)」が写っていますが、おそらく袖岡家の家紋に因んでいるのでしょう。
開封
さて、ここからは本題(カップ麺)の中身に触れていきます。容器の中に入っている別添の小袋は、「液体スープ」「かやく」「あとのせかやく」の合計3種類。「かやく」のみ “先入れ” で、「液体スープ」と「あとのせかやく」は食べる直前に入れる “後入れ” です。液体スープを先に入れると麺が適切に戻らなくなるおそれがあるため、調理の際はご注意ください。
麺は前回の「鶏白湯らぁ麺」と同じく油で揚げていない全粒粉入り麺(ノンフライめん)が採用されていて、一見して明白に小麦の表皮と思われる全粒粉の粒が視認できるのですが、ローストブランなどのアピールポイントは見当たらず、平打ち麺でもありません。また、フタの開封口には熱湯5分と書いてありますけど5分も必要‥? と感じるくらいの細さです。
寿がきや食品の公式ウェブサイトに詳しい販売地域や取扱店などの記載はありませんが、お店のツイッター公式アカウント曰く、主な販売店は「ローソン」「デイリーヤマザキ」、関西地域では「イズミヤ」「ライフ」などと紹介されていました。そこで知ったのですが、先日は京都市左京区岩倉の地域振興イベントに出店し、「鶏魚介醤油らぁ麺」を提供するなど、地域住民との関わりも深いお店なのですね。
製品情報・購入価格
製品名:京都 らぁ麺とうひち 鶏醤油らぁ麺 販売者:寿がきや食品株式会社 製造所:加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場 内容量:118g(めん65g) 商品コード:4901677082480(JANコード) 規格サイズ:φ167×70(mm) 発売日:2019年03月11日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(全粒粉入り麺) スタイル:どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、小麦全粒粉、食塩、植物油脂、小麦たん白、大豆食物繊維)、スープ(醤油、動物油脂、チキンエキス、チキンブイヨン、発酵調味液、食塩、ゼラチン、昆布エキス、魚介エキスパウダー、酵母エキス)、かやく(チャーシュー、ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸カルシウム、乳化剤、増粘多糖類、リン酸塩(Na)、酸化防止剤(V.E、V.C)、カゼインNa、カラメル色素、(一部に卵・乳成分・小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】卵・乳成分・小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン ※特定原材料及びそれに準ずるものを表示(27品目中) |
実食開始
お湯を入れる前に先入れの「かやく」を‥とはいえチャーシューだけなんですけどねw しかもメーカー希望小売価格が238円とは思えない小さなサイズです。先ほど熱湯5分も必要? などと書きましたが、思いのほか細いのに指定の湯戻し時間が長い場合、カタめが好きだからとフライングすると麺が適切に戻らず、逆に食感が軽くなることもあるので、まずは5分ちゃんと待つのがセオリーです(寿がきや食品のノンフライ麺製品では特に)。
液体スープの小袋には「液体スープ」としか書かれていませんが、容器側面にある調理方法には “「液体スープ」をフタの上にのせ温める” とあるので、5分待っている間にフタの上で温めましょう。その量は多く、小袋もずっしり重たいので、スープの温度低下を最小限に抑えたい方は多めに熱湯を準備しておいたほうがいいかもしれません。
5分経ったら液体スープを入れる前に麺をほぐし、それから液体スープを馴染ませて、あとのせかやく(乾燥ねぎ)をトッピングしたら完成です。液体スープを入れた途端に芳醇な鶏の香りが広がったのですが、乾燥ネギの香りもいいですね。それでは、お店こだわりの “鶏出汁” と “醤油” に注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
1食(118g)当たり
熱 量:387kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:387kcal(めん・かやく:323kcal)(スープ:64kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。特に食物アレルギーなどのアレルギー疾患に懸念がある方は、ご購入・お召し上がりの前に、念の為お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
全粒粉を配合した、歯切れが良いノンフライ中細めん。
(出典:寿がきや食品「商品情報」)
中細麺なのに熱湯5分と長めで、実際に湯戻し前も細めでしたが、5分後には一回り太く、そしてコシの強さが印象的な歯応えのあるノンフライ麺です。かなり透き通っている綺麗な見た目は女性的な面持ちなんですけど、けっこうコシが強く、しっかり5分待ってからスープやネギをトッピングして、撮影の前に味見してみたところ適切に食べごろ。
さらに撮影後(お湯を注いでから合計7分くらい)もコシは衰えることなく歯応えをキープしていて、10分経過した後でもなんのその。さらに合計15分くらい経った頃になっても芯のある噛み応えだったので、ある意味ちょっと伸びなさ過ぎるのが不自然だったりもするのですがw これなら固茹で派の方も納得の歯応えだと思います(逆に柔茹で派の方は15分以上待つ必要があるかも‥苦笑)。
麺に練り込まれている全粒粉は小麦粉に占める割合の5%と寿がきや食品のカップラーメンとしては平均的な比率となっていて、透明感のある見た目通り小麦の香りも透き通っていたのですが、じっくり噛んでいると奥のほうから特有の芳ばしい風味がフワッ‥と香り、全粒粉ならではの恩恵を感じます。表面は滑らかですが適度な縮れでスープとの一体感は高く、またお店のスープと同じようにキリッとシャープな鶏醤油に仕上がっていたので、それに負けない麺の存在感と雑味の無さに好感が抱けました。
スープ
鶏油と醤油を合わせた淡麗系醤油ラーメンスープ。
(出典:寿がきや食品「商品情報」)
メーカー公式の説明文は掴めるようで掴めない漠然としたシンプルな内容なんですけど、実際にスープの旨味もシンプルで、しかしながら深みがあります。丹波黒どりから取ったスープには鶏特有のニオイがなく、他の地鶏に比べてシャープな後味が特徴となっているのですが、それと同じようにカップ麺のスープも雑味が控えめ。
お店がこだわっている「生揚げ醤油」とは、諸味から搾り出したまま火入れ(熱処理)などの加工を施さず、そのままの状態で市場に出回ることは基本的にない醤油のことなんですけど、さすがにカップ麺のスープなので、せいぜい雰囲気は生醤油(きじょうゆ)。しかし、くっきりと醤油が効いた力強い味わいには、お店の個性に通じるものがあります。
表面に浮かぶオイルの量は多めで、しかも動物油脂が中心となっているのですが、鶏油でゴリ押しするようなインパクト任せのスープではありません。ほのかに、上品に、それでいて豊かに香る鶏油(チーユ)が淡麗系ならではの繊細さを表現しているのですが、こってり感もあり、舌の上で膨れ上がる鶏の旨味と後味を濁さない醤油のキレ、サポートに昆布と魚介を迎え入れつつ芳醇な鶏の旨味と醤油を研ぎ澄ましたような仕上がりには再現度の高さを感じました。
かやく
チャーシュー、ネギ。
(出典:寿がきや食品「商品情報」)
お店のトッピングは白髪葱(栃木産のブランドネギ「那須の白美人ネギ」)と三つ葉、豚チャーシュー、鶏チャーシュー、極太メンマなので、かなりカップ麺の具材は頼りないのですが、あとのせかやくの乾燥ねぎがいいですね。かなり細かくてチャイブスとか分葱(わけぎ)っぽい感じなんですけど、あとのせ(後入れ)だからこそネギの香りが際立ち、それがスープや小麦の風味を引き立てます。
チャーシューは値段のわりに小さくて、素材そのものを切り出したというよりも脂身を混ぜて加工したような雰囲気が否めず、寿がきや食品特有のケミカルな風味が気になったりもしたのですが、スープの味を壊すほどではありません。それが本格的な麺とスープに対してインスタント感を強く象徴するポイントになっていたんですけど、たぶん入っていなかったら入っていなかったで寂しいのでしょうね。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
希望小売価格が238円、つまりコンビニで購入すると税込257円になりますが、ぜんぜんオッケーです。私はギリギリ税込200円以内で捕獲したので、主観的な満足度は★6でも差し支えないレベル‥いや、でもやっぱり具材の貧弱さは否めませんね(苦笑)。ただ、あとのせかやくのネギは素直に好印象で、とにかく麺とスープの作り込みが素晴らしい。
かなりシンプルなスープなので、ある意味ちょっと新作カップ麺としては記憶に残りにくいかもしれませんが、お店の “地鶏と生揚げ醤油” というテーマにそって余計な素材を使わない雑味のなさと芳醇な鶏、くっきりとした輪郭の醤油、その絶妙なバランスが起こす化学反応には魅力を感じました。奇抜でインパクトのある味ではないけれど、「らぁ麺とうひち」のこだわりが見える本格的なカップ麺です。