どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2018年11月12日(月)新発売のカップ麺、エースコック「タテロング 池袋大勝軒 ワンタン中華そば 大盛り」の実食レビューです。
1961年(昭和36年)創業の老舗ラーメン店「大勝軒」監修シリーズに新商品が登場!創業者・山岸一雄氏の “量も美味しさのうち” という信念に基づき、お店の代表メニュー「中華そば」が大盛り仕様のカップラーメンで再現されました。
さらにエースコックが自慢のワンタンをトッピングしてアレンジしているのですが‥実際に食べてみた感想と経験をもとに評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
池袋大勝軒 ワンタン中華そば
これまでにもエースコックと大勝軒のタイアップは何度も行われており、どんぶり型から今回のタテ型ビッグ(タテロング)、またカップ麺で「特製もりそば」を再現した “つけめん” がリリースされたこともありました。
今回は大勝軒ならではの「こころ」と名店の「歴史」を感じられる一杯に仕上げたとエースコックのニュースリリースではアピールされていたのですが、創業者・山岸一雄氏と大勝軒の歴史(こころ)を少し振り返ってみましょう‥
東池袋「大勝軒」とは、大勝軒の創業者・山岸一雄氏が考案し、ラーメン界の歴史を変えた “つけ麺の元祖” 「特製もりそば」と「中華そば」を代表メニューとしている伝説的なラーメン店で、2018年現在、本店は弟子の飯野敏彦氏が二代目店主として継承し、修行を積んだ弟子たちは「大勝軒のれん会」として地域に愛される味を提供するために日々精進を重ねているそうです。
1934年(昭和9年)に長野県中野市で生を受けた山岸氏は、一家の主として母親と妹の面倒を見続け、中学校を卒業後に上京。17歳の時には職人になるべく旋盤工としての腕を磨いていたそうなんですけれども、従兄弟の兄貴(坂口正安氏)が突然訪ねて来て「一緒にラーメン屋をやらないか」という提案から人生が大きく変わることに‥
阿佐ヶ谷・栄楽でラーメン修行を始め、現在の特徴である「自家製麺」と「手塩にかけたスープ」の基礎を築きながら、1951年(昭和26年)に兄貴と独立し、「中野 大勝軒」を創業。売上を順調に伸ばし、1954年(昭和29年)に「代々木上原 大勝軒」を出店することになるのですが、そこを大勝軒の本店とし、「中野 大勝軒」は支店として山岸氏が任され、味を模索していく中で後に伝説となる「特製もりそば」を考案します。実は、当時に山岸氏が食べていた「まかない」(裏メニュー)から生まれました。
1961年(昭和36年)6月6日、周りに商店も繁華街もない場所に現在の本店である「東池袋 大勝軒」を構えた山岸氏は、自分の “こだわり” を追い続けて研究を重ね、看板メニューの「中華そば」と「特製もりそば」を完成させるのですが、最もこだわっていたのは「精いっぱい努力して、美味しいものをつくって、お客さんに喜んでもらおう」という “お客さんへの感謝の気持ち” 。
2007年3月20日、山岸氏の健康と区画整理のため、惜しまれつつも閉店‥しかし、2008年1月5日に創業者のDNAを受け継いだ現在の二代目店主・飯野敏彦氏が復活させ、山岸氏の「心」こそが “大勝軒の味” だとして現在も脈々と受け継がれています。
さて、そんな「歴史」と「こころ」が感じられる一杯に仕上がっているという今回のカップラーメン。大勝軒の “原点” とも言える「中華そば」は、これまでにも何度か再現されていますし、具材のワンタンも今回が初起用というわけではないのですが、2018年8月13日以来、エースコックの製造するワンタンは皮を強化したことによって戻りムラが生じるようになりました。
およそ2年ぶりとなる大勝軒とのコラボカップ麺なんですけど、ワンタンの戻り具合が実食前の不安要素です。それでは、開封して中身をチェックしてみましょう。ところで今回のパッケージデザイン、向かって左は赤、右は白の紅白で縁起がいいですね。
開封
いつもタテロング製品だと別添の小袋はフタの上ではなく容器の中にあって、毎度お馴染み粉末スープまみれ状態なのがデフォルトなんですけど、今回はフタの上に「調味油」が貼り付けられています。そういえば私が初めてエースコックの “小袋をフタ上に別添” を確認したのも、たしか大勝軒のカップ麺だったような‥
で、最近ちょっと気になっている小袋とフタの間にある接着剤なんですけど、エースコックの接着剤は(滅多に見られませんがw)なかなか量が多め。しかし、まるで蝋(ろう)のように固まっているので、サンヨー食品のようにネチ〜ッと伸びることはなく、パキッと軽快に剥がれました。
そしてフタ上に調味油が別添されていたと思ったら中には液体スープが入っていて粉まみれ‥というダブル小袋パターンもあったりするのですが、今回は容器の中に小袋は入っていないので、別添はフタ上の「調味油」1袋です。
具材に見えるのはワンタン、メンマ、ナルト、ねぎ。この時点での香りはメンマと魚介、そしてクラシカルな印象を受ける醤油清湯系の素朴なタイプ。がっしりとした見た目の油揚げ麺ということで、調理時間は熱湯5分となっているのですが、問題はワンタンの皮が5分で戻るかどうかですね‥
製品情報・購入価格
製品名:タテロング 池袋大勝軒 ワンタン中華そば 大盛り 製造者:エースコック 製造所:自社工場 W(兵庫県加東市) 内容量:99g(めん80g) 発売日:2018年11月12日(月) JANコード:4901071239978 希望小売価格:205円(税抜) 発売地域:全国(スーパー・コンビニ等) |
麺の種類:油揚げ麺 容量種別:タテ型ビッグ 容器材質:紙 必要湯量:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】 油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、植物性たん白、しょうゆ、砂糖)、スープ(食塩、動物油脂、植物油脂、魚介パウダー、酵母エキス、ポーク調味料、砂糖、粉末しょうゆ、香味油、香辛料、粉末酢、たん白加水分解物、カツオエキス、メンマパウダー、でん粉、卵白粉)、かやく(ワンタン、なると、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、香料、カラメル色素、かんすい、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、微粒二酸化ケイ素、ビタミンB2、ビタミンB1、紅麹色素、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ごまを含む) |
【アレルギー表示】 小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ごま |
実食開始
フタ裏の上半分には、「!ワンタンが戻りません!」「必ず、ワンタンの上に充分熱湯を注いでください。」との注意書きがあるので、それに従います。開封口を少し手前に傾けて容器を小刻みに揺すると具材が手前に移動するので、熱湯を “ゆっくりと” ワンタンに当てるように狙って注ぎましょう。
これまでにもワンタン具材の入ったカップ麺では必ずと言っていいほど “容器側面の調理方法などに” さりげなく記載されていた注意事項になるのですが、ここまでダイナミックな注意喚起は少し珍しいかもしれません。戻りムラについての問題点は、やはり開発部の中でも意識されているようですね。
さて、完成です。チャーシューは入っていないけど、いかにも「中華そば」な雰囲気にホッとするビジュアル。ただ、ワンタンの皮が早くも硬いw それについての原因と詳細は、「かやく」の項目にて写真を添えて解説します。それでは、実際に食べてみましょう。
1食(99g)当たり
カロリー:425kcal |
※参考値(調理直後に分別した値) エネルギー:425kcal(めん・かやく:358kcal)(スープ:67kcal) |
めん
適度な弾力と滑らかさを併せ持った角刃の太めんです。適度な味付けを施し、食べごたえのあるめんに仕上げました。
(エースコック「商品情報」より引用)
適度に縮れが施された断面の四角い太めの平打ち麺で、食べ始めは弾力を感じたのですが、思っていたよりも食感に持続力がありません。5分ジャストで食べ始めても “MAX(めん100g)” 以前のスーパーカップに使用されていた「カドメン」系の “シゲキ的噛みごたえ” は得られず、8分前後(フタを開けてから3分くらい)で早くも柔らかめに‥
食感に関しては前回、前々回の再現カップ麺(タテロング版)でも同じように感じていて、見た目はエースコックが得意な加水率の高い “もちもち” とした多加水麺系統なんですけど、粘り気よりも歯切れの良さが目立ちます。しかし、そんな頼りない食感に反して油揚げ麺特有の風味は強く、これはこれでカップ麺でしか味わえない魅力ではあるものの、今回の場合は悪い意味でチープというか、蛇足的に感じてしまいました。
前回のタイアップ製品は、約2年前の「タテロング 池袋大勝軒 55周年記念 継承の味みそラーメン」(2016年10月24日発売)になるのですが、それと比較してエッジのある切刃に変わったのと(でも口当たりは滑らか)、当時は気にならなかった油揚げ麺特有のニオイが気になりました。スープとの相性は、可も無く不可も無しです。
スープ
大勝軒の味わいをイメージした、ポークベースにカツオやサバの風味をしっかりと利かせた醤油スープです。別添の調味油を加えることでコクと旨みが広がり、最後まで満足感のある一杯に仕上げています。
(エースコック「商品情報」より引用)
全体的にバランスよく、それでいて強めに魚介(魚粉)が効かせてあるのですが、昨今流行りのニボシ系ではありません。魚粉の含有量は主にサバやカツオなどの節系が中心となっているためエグ味は見られませんし、力強くも膨よかなテイスト。ただ、かなり体感的な塩分濃度にはキレがあります。
スープの原料中、最も含有量が多いのは「食塩」となっているように、魚粉や旨味成分、醤油などに含まれるナトリウムよりも直接的な塩気が先行するので、けっこう舌にピシッと刺さるタイプ。醤油は濃口よりも薄口で、ある意味ちょっと京風(日本料理)に通じるフレームワークかもしれません。
隠し味のメンマパウダーが素朴な印象を強め、ほんの少し酢の酸味が面白いアクセントに。味としては塩気のキレと節が中心の魚介(魚粉)系さえ大丈夫なら、それ以外に人を選ぶ要素は見当たらず、別添の調味油によるコクで “きちんとラーメンの” スープなんですけど、もう少し麺の加水率を上げないとバランスが悪いように感じました。
かやく
滑らかな食感で風味の良いワンタン、色調の良いなると、ねぎ、程良く味付けしたメンマを加えて仕上げました。
(エースコック「商品情報」より引用)
ワンタンは3個、かわいいナルトは2枚、そこそこメンマは多め、ねぎシャッキシャキ。ナルトについては個体差で枚数が変動しそうですが、おそらくワンタンは平均3個だと思います。メンマは厚薄様々でサイズは小さめなんですけど、厚みのある個体はコリコリで、どれも香りは強く、スープの素朴さを高めてくれていました。
ねぎも比較的に厚みがあって、小さなくせに存在感が強く、麺の弾力が頼りなかったので、その歯触りが食感のアクセントに嬉しかったです。で、問題のワンタンなんですけど‥
上記の画像は熱湯を注いでから3分くらい経過した時にチラッ‥と覗いて撮影した写真になるのですが、このように “お湯を注いだ直後から麺の上で蒸らされている状態” なんです。いくらワンタンの上を狙って直接お湯を注ごうと、そこに触れるのは “最初だけ” なので、どうしても湯気だけでは限界があり、皮の表側が戻りません。
麺と触れている裏面は問題なく戻っているのですが、フタを開けて混ぜてから直後にワンタンを食べると皮のフチがパキッと乾いた食感。なので、しばらくスープの中に沈めてケアしなければいけないんですけど、なかなか頑固で‥w 最終的に皮が均等に戻ることはありません。我々が行える解決策としては、お湯を注いでから2〜3分前後でフタを半分だけ開き、グルッと麺をひっくり返す。もしくは上手に麺を容器から取り外し、麺の底にワンタンを仕込む、などの手間が必要になるのですが、後者は現実的ではありませんね。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(3)
(標準は★3です)
今回のカップ麺、エースコック「タテロング 池袋大勝軒 ワンタン中華そば 大盛り」は、魚介の効いた素朴なスープが味わい深かった反面、ここまで「食塩」の塩気を強く効かせるのであれば、もうちょっと麺の弾力と食感の持続性がないと後半にかけて気持ちの緩みが否めず、ややアンバランスな印象が目立ちました。
そして、ワンタンの戻り具合に関しては皮の改善、もしくはタテロング用に早く戻るワンタンの新開発、または事前にワンタンを麺の下に仕込むなど、それなりの対応が必要だと思います。いつも好き勝手に書いていて申し訳ないのですが、開発部の皆様よろしくお願いします。
柔らかめとはいえ麺量は大盛り仕様の80gですし、味としては★4でも‥と迷ったのですが、もっとクオリティの高い麺を現状のエースコックは持っているので、ワンタン改善の余地も踏まえて少し厳しめに見ました。しかし、節系の出汁が効いたスープは白ご飯に合うこと請け合いなので、ささっと麺を食べて白ご飯と一緒に‥という場合には、よきカップ麺になるでしょう。