どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年4月24日(月)新発売、日清食品のカップ麺「SUSURUも唸る家系の名店 王道家 豚骨醤油ラーメン」の実食レビューです。
2023年は家系カップ麺がヤバい!? 家系四天王と名を馳せた元吉村家直系店「王道家」が白飯に合う “ぶっ濃い” カップラーメンを監修!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
SUSURUも唸る家系の名店 王道家 豚骨醤油ラーメン
王道家(おうどうや)とは、2003年(平成15年)1月28日の創業以来、家系ラーメンの “王道” を追求し続けている人気店で、かつては「杉田家」「環2家」「はじめ家」と並ぶ家系四天王に数えられた名門中の名門。現在は家系総本山「吉村家」と袂を分かち、独自のグループを展開していますが、この業界ではトップクラスの実力を誇り、本物の家系を広めるための独立支援にも力を入れています。
今回の新商品「SUSURUも唸る家系の名店 王道家 豚骨醤油ラーメン」は、大人気YouTuberのSUSURUさんと日清食品によるコラボ企画で、2021年11月22日発売の「SUSURUがイマ食べたいこってり第1位 麺や六等星 濃厚豚骨醤油」に続く第2弾。王道家の清水裕正(しみず ひろまさ)店主監修のもと、これぞ家系の王道とされる味わいが再現されました。しかし、発売のタイミングよ‥‥。
「王道家」監修のカップラーメンといえば、現在を遡ること15年以上、まだ「王道家」が「吉村家」の直系店舗で家系四天王だったときの話。2007年(平成15年)9月20日に十勝新津製麺(後の「とかち麺工房」)がデイリーヤマザキ限定の「千葉県 柏 吉村家直系店 家系四天王 王道家 濃厚とんこつ醤油」をリリースしていたので、日清食品とのコラボが初の即席カップめん業界参入ではありません。
ちなみに現在は辛口YouTuberとしても人気を博している、清水店主が自身のYouTubeチャンネル『王道家公式チャンネル』にて、当時のことを振り返り “売名行為だよな、俺らが出したときはな。宣伝だと思って出したから” などと本音を漏らしていたのですが、それほど熱湯を注ぐだけで「王道家」の味を再現するのは難しいということ。はたして心境が変わったのか、それとも再び宣伝が目的なのか——。
ただ、清水店主は2011年(平成平成23年)に「吉村家」創業者・吉村実(よしむら みのる)その人から直系店を破門された後、その理由は「吉村家」の人材教育に関する問題と従業員の待遇改善にあったと触れながら、それでも “本物の家系を広める事が何よりの恩返しだと信じ——” と、自身のブログに綴っていたことがあるので、そういった想いから再びカップ麺の世界に戻ってきたのかもしれません。
ちなみに「王道家」は2年前、SUSURUさんのYouTubeチャンネル『SUSURU TV.』の「第1986回」(公開日:2021年4月13日)に取り上げられていることから、SUSURUさんとの間にパイプがあり、また清水店主は “YouTubeで話題の名物店主” として日清食品チルドの「王道家 豚骨醤油 3人前」や「王道家 家系油そば 2人前」などを監修しているため、必然的な流れにも思えるのですが‥‥
コロナ禍による二郎インスパイア系のブームも落ち着きを見せ、再び家系ラーメンを模した商品が目立っている昨今の即席カップめん業界。直近だと先月だけでも明星食品がローソン限定の変わり種「家系総本山 吉村家監修 汁なし豚骨醤油ラーメン」を、さらに東洋水産(マルちゃん)も「推しの一杯 ラーメン環2家 横浜家系醤油豚骨」を発売するなど、家系総本山×直系復帰店×元直系が三つ巴の状態。
元家系四天王の「六角家」は破産し、明星食品×セブン&アイグループとの契約も切れたので、次は直系1号店の「杉田家」が動きを見せるのか、それとも「はじめ家」に話が舞い込んでいるのか、あるいはすでに水面下で‥‥などと個人的にワクワクしてるんですけどw はたして数年ぶりに登場した「王道家」監修のカップラーメンとは、ここから先は商品の内容について細かく掘り下げます。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、食べる直前に加える「特製鶏油(ちーゆ)」1パックのみで、残念ながら「王道家」も重要視している海苔は別添されていません。ただ、簡便性の高さも重視しなければいけないコンビニ向けの縦型ビッグ容器を採用しているため、海苔の別添については技術的な問題(製造ラインの関係)で妥協せざるを得なかったのでしょう。
さらに、ほうれん草のトッピングは素直に嬉しいポイントになりますけど、かやくのチャーシューチップに見える具材は日清食品お得意の大豆たん白加工品なので、フェイクミートを採用しなければいけないくらい、麺とスープにコストを費やしているのでしょうか。そして、もうひとつ注目しておきたいのがメーカー希望小売価格の設定です。
2023年4月現在、即席カップめん業界における縦型ビッグ製品のメーカー希望小売価格は、ほとんどの企業において245円(税別)が基準となっているのに対し、今回は252円(税別)と高めの値段。たった7円の差に思えるかもしれませんが、この業界は1銭(100分の1)単位でコストを調整しなければいけないため、皆さんが想像している以上に大きな差だと思ってください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:SUSURUも唸る家系の名店 王道家 豚骨醤油ラーメン 製造者:日清食品株式会社 製造所:静岡工場(静岡県焼津市相川17-2) 内容量:101g(めん70g) 商品コード:4902105277256(JAN) |
発売日:2023年04月24日(月) 実食日:2023年04月25日(火) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:252円(税別) 購入価格:224円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(特製鶏油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、植物性たん白、大豆食物繊維、植物油脂、チキン調味料)、スープ(豚脂、粉末しょうゆ、食塩、ポーク調味料、でん粉、鶏脂、植物油脂、糖類、クリーミングパウダー、チキン調味料、酵母エキス、ポークパウダー、香味油、たん白加水分解物、香辛料)、かやく(大豆たん白加工品、チンゲン菜、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、カラメル色素、香料、炭酸Ca、酸味料、グリセリン、増粘剤(キサンタンガム)、乳化剤、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、フラボノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。ノンフライ麺の製造は油揚げ麺よりもランニングコストが高いので、より本格的な仕上がりに期待できる選択です。ちなみに「王道家」が破門にされた理由の一つは自家製麺への切り替え(「吉村家」を救った酒井製麺から離れたこと)ともいわれているのですが、それほど “こだわり” があるので、日清食品の手腕が問われるところ。
別添の小袋は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「特製鶏油」を温めながら待つこと5分。時間になったらフタを剥がし、温めておいた「特製鶏油」を加え、しっかり混ぜたら完成です。やはり家系に必須の海苔がないのは寂しいポイントになりますけど、すこし醤油を焦がした感じのビターな香りと芳醇な鶏油が食欲を刺激してくる調理直後。
ただ、コンビニで購入した場合の税込価格は272.16円になるので、費用対効果についても意識しなければいけません。はたして王道家の魅力は伝わってくるのかどうか、その個性と “ぶっ濃い” のインパクトにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(101g)あたり |
カロリー:393kcal たん白質:10.0g 脂 質:10.6g 炭水化物:64.3g 食塩相当量:8.6g (めん・かやく:3.2g) (スープ:5.4g) ビタミンB1:0.28mg ビタミンB2:0.37mg カルシウム:252mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:393kcal(めん・かやく:283kcal)(スープ:110kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度はさておき割り切れば悪くない
伝統的な家系ラーメンの麺は、厚みのある麺帯を無理やり細い切り刃の中に通し、カットしたときに幅と厚さが逆転する「逆切り」という特殊な技法で切り出されるため、太麺でも茹で上げのスピードが早く、さらにスープの絡みがよくなるメリットも得られるのですが、一般的な製麺機だと負荷に耐えられず壊れてしまいます。
それを清水店主は自力で再現しようとしたので、とある失敗から「逆切り」を会得するまでに1千万円以上を費やしたそうです。しかし、今回のカップラーメンに使われているノンフライ麺は、いかにも日清食品らしいコシの強さが目立つ仕上がりで、数年前のように致命的な戻りムラこそ気にならなくなってきたものの、強靭なコシと引き換えに、食べ始めのゴムっぽい質感が玉に瑕。
ただ、後述する “ぶっ濃い” スープに負けないくらい、噛めば噛むほど滲み出る小麦の甘さが特徴的で、再現度についてはさておき、これはこれと割り切れば悪くありません。麺重量は調理前70gと縦型ビッグの平均値ですが、コシの強さから必然的に咀嚼回数が増えるので、体感的な食べ応えは実際の麺量以上に思えました。
スープ
ぶっ濃い
まずは「特製鶏油」を入れずに味を確認してみたところ、パッケージに力強く “白飯に合うぶっ濃い一杯” とあるように、数あるカップラーメンの中でも濃いめの部類に入りますが、闇雲に塩気が強いわけではありません。例えるなら塩分濃度だけが高いのではなく、ブリックス濃度(Brix)そのものが高いというか、どっしりと重心が低い濃厚なテイスト。
豚骨と鶏ガラを長時間じっくりと、それも高火力でガンガンに炊き出したような、乳化感の強い白湯(ぱいたん)が土台を支えているため、まったりとした動物系の旨みが口いっぱいに広がるのですが、それに負けじと醤油の主張も容赦なく、粉末とは思えない攻撃性を実現。また家系のカップ麺にしては珍しく黒胡椒(ブラックペッパー)のアクセントも印象に残ったので、そこにも個性を感じました。
そこに浮かぶ「特製鶏油」は黄金色の‥‥というわけではなく、見た目こそ地味なオイルが入っているのですが、内容は豚脂と鶏脂のミックスで、豚脂はスープの豚骨感をワンランク上の段階に引き上げてくれる歯車。そして鶏脂は家系に欠かせない、鶏油の芳ばしさを演出してくれるアイテムで、家系マニアからは賛否両論ありそうですけど、カップめんマニア的には上等と思えた “ぶっ濃い” スープです。
かやく
麺とスープのクオリティを思えば及第点
製品のスタイル的に仕方が無かったのだとは思いますけど、家系ラーメンにトッピングされている海苔は切っても切れない存在なので、スープが硬派に濃かっただけに、残念といわざるを得ないポイント。ネギの量も飾りにならないほど少なく、大豆たん白加工品も少量で、元直系とはいえ「吉村家」にルーツを感じさせる燻製チャーシューのような風味も添加されていません。
しかし、ほうれん草の量はバランス的に申し分なく、シャキシャキとした強めの歯触りが箸休めに効果的。再現度の高さを重視するのであれば、FD(フリーズドライ – 凍結乾燥)のクタクタほうれん草がベストではあるものの、ほうれん草に具材のコストを集中させたところは潔く、そこに清水店主の柔軟で硬派な姿勢を垣間見た気がしました。
総評
しっかりとNISSIN流にデフォルメされていたので、清水店主渾身の一杯!! みたいな仰々しさ感じる商品ではなかったんですけど、いい意味でフラットに “まぁカップラーメンだからな、こんなもんじゃねーか?” っていう店主の声が聞こえてきそうな。それでいてコシの強いノンフライ麺だったり、どっしりとしたスープの濃さだったり、しっかり押さえるべきところは押さえたぞ、っていう。
販売価格が縦型ビッグの相場を超えるため、すこし総評から差し引きましたが、結果的に悪い商品ではありません。もちろんデフォルメに目を瞑る必要はありますけど、白めし or おにぎり片手に濃いめのカップラーメンがデフォルトの方は、試してみても損はないと思います。——あ、ちょい足しアレンジに抵抗がない方は、ひとまずマストで海苔は用意してください【author・taka :a(大石敬之)】