どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年5月4日(月)新発売のカップ麺、エースコック「スーパーカップ1.5倍 ポークゼロ こってり濃厚とんこつ味ラーメン」の実食レビューです。
こってり濃厚とんこつ味なのに「豚」不使用!? 令和時代の新・とんこつ味にエースコックが挑む!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
豚不使用の豚骨ラーメン
スーパーカップ1.5倍とは、エースコック株式会社が1988年(昭和63年)から販売しているロングセラーブランドで、当時 “業界初の大盛りカップ麺” として新発売。大盛りカップ麺のパイオニアは現在も食べ盛りの学生を中心に支持されているため、近年ではブランドコンセプトの食べ応えを踏襲しつつ、SNSでの話題性や拡散性を強く意識するようになりました。
今回の新商品「スープカップ1.5倍 ポークゼロ こってり濃厚とんこつ味ラーメン」は、豚(ポーク)ゼロなのに濃厚な “とんこつ風” のスープを表現した新商品で、おそらくカップめん業界では初の試み。商品のパッケージでは牛と鶏がラーメンを持ち上げているように、ビーフエキスとチキンエキスを使用して、豚骨不使用なのに濃厚な “とんこつ味をリアルに再現した” とのこと。
2018年9月24日に麺1.5倍(90g)から “衝撃の麺100g” にリニューアルした定番の「スーパーカップMAX」をはじめ、定期的に新作がリリースされるコンビニ限定の「超スーパーカップ1.5倍」シリーズなど、まともな正統派フレーバーも展開しているのですが、ニュースサイトやSNSなどで取り上げられやすいバズを狙った変わり種の商品も多くなってきた昨今。
たとえばカロリーがゾロ目の「ラッキーカロリー777 豚骨醤油ラーメン」(2018.05.21)や “エッセル” を意識していたとしか思えない「バニラ風味のクリーミーシーフード味ラーメン」(2018.07.30)など、記憶に新しいところでは “ほぼ透明なのにカレー味” のエンタメ系カップ麺「クリアテイスト ほぼ透明な!?スパイスカレー味ラーメン」(2019.07.29)も印象的な変わり種でした。
しかし、いずれも奇抜とはいえ実食前から漠然と味が想像できなくもない商品だったのですが、今回のパッケージ側面にも書いてある「鶏や牛をベースにしたとんこつ風スープ」は未知の領域。ビーフエキスは牛骨系や韓国系の商品に組み込まれていることが多く、チキンエキスはポークエキスに匹敵する使用頻度の高い素材ではあるものの、とうぜんポークエキスとは旨味のベクトルが異なります。
もうひとつパッケージに表示されている「そぼろ風大豆ミート使用」というのは、現在のカップ麺でも頻繁に見かけるフェイクミート(大豆加工品)のこと。基本的にコストを調整する目的で使われる傾向にあるのですが、たとえばヤマダイの純菜食者対応カップ麺「T’sレストラン監修 ヴィーガンヌードル*1」にも活用されているので、まったくネガティブな具材ではありません。
ヤマダイの「T’sレストラン監修 ヴィーガンヌードル」は、動物性食材の他に化学調味料やアルコールも不使用なので、ムスリムの方が多いイスラム圏にも対応したハラル認証取得食品に指定されているのですが、先ほどの画像にも映り込んでいたように「スーパーカップ1.5倍 ポークゼロ こってり濃厚とんこつ味ラーメン」は “ハラル対応商品ではありません” と表示されています。
ただし “豚原料は使用しておりません” ということで、本品に含まれるアレルギー物質の欄に「豚肉」の文字はありません。はたして豚に由来する原料は不使用でも豚骨(とんこつ)らしいスープに仕上がっているのかどうか、開封して中を確かめていきましょう。
*1 ヤマダイ「T’sレストラン監修 ヴィーガンヌードル」実食レビュー
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れ「かやく入り粉末スープ」と後入れ「液体スープ」の合計2袋。かやくが別包装ではない場合、具材に対する期待値を下げなければいけないのですが、スーパーカップの変わり種では珍しい話ではありません。かやく入り粉末スープのみ先入れなので、開封する順番に注意してください。
麺は白っぽい見た目の油揚げ麺で、湯戻し時間は熱湯2分。やや縮れがあるものの、とんこつラーメンと相性がよさそうな丸刃の細麺を採用しています。熱湯を注ぐ前からエースコック特有の油揚げ麺臭が漂ってくるため、しばしば有名店監修の再現カップ麺でぶつかることも多いのですが、食べ応え重視のスーパーカップでは許容が厳しい要素ではありません。
メーカー希望小売価格は税別220円、通年商品の「スーパーカップ1.5倍」及び「スーパーカップMAX」の希望小売価格(税別210円)よりも10円高めの値段設定ですが、2020年5月現在のPB商品における大盛りカップ麺の標準的な価格。コンビニで買った場合の税込価格は232円、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では「ローソン」と「ミニストップ」での取り扱いを確認しました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:スーパーカップ1.5倍 ポークゼロ こってり濃厚とんこつ味ラーメン 製造者:エースコック株式会社 関西滝野工場 製造所:兵庫県加東市河高1816-175(W) 内容量:117g(めん90g) 商品コード:4901071235208(JAN) 商品サイズ:140×140×105mm |
発売日:2020年05月04日(月) 実食日:2020年05月06日(水) 発売地域:全国(スーパー・コンビニ等) 取得店舗:コンビニ(ローソン) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:大盛バケツ型 容器材質:紙 湯量目安:500ml 調理時間:熱湯2分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく入り粉末スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、砂糖)、スープ(チキンエキス、植物油脂、動物油脂、しょうゆ、ガーリックペースト、ビーフエキス、香味油)、かやく入りスープ(食塩、乳化油脂、大豆加工品、チキンエキス、ごま、砂糖、酵母エキス、香辛料、ゼラチン、ねぎ、たん白加水分解物、キクラゲ、植物油脂、乳等を主要原料とする食品)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、増粘剤(増粘多糖類、加工でん粉)、炭酸カルシウム、酒精、香料、乳化剤、かんすい、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、(一部に小麦・乳成分・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
先入れの小袋には粉末スープと大豆そぼろ、ねぎ、ごま、キクラゲが入っていて、お湯を注ぐ前は “とんこつ味のカップラーメンに使用されている粉末スープの香りに酷似” しています。とはいえ本格的な豚骨の香りではなく、それこそ「スーパーカップMAX 濃コクとんこつラーメン」っぽいジャンクな香りなのですが、あながち的外れではありません(ビックリ)。
あとは熱湯を注いで2分待機。粉末スープの量が多いため、お湯を入れる時は粉末スープを溶かしながら注ぎ、待っている間に後入れの液体スープをフタの上にのせて温めます。コンビニ限定の「超スーパーカップ1.5倍」や「ブタキム」を除く変わり種のスーパーカップは具材が貧弱になりがちなので、あまり期待していなかったのですが、だいぶ大豆そぼろが膨れ上がりましたね。
なお先入れの粉末スープにトロミ成分が含まれていたので、溶け残りがないよう念入りに混ぜてください(推奨まぜ時間30秒)。それでは、豚不使用なのに とんこつ風” なのかどうかに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(117g)あたり |
カロリー:534kcal たん白質:13.5g 脂 質:25.5g 炭水化物:62.5g 食塩相当量:7.5g (めん・かやく:2.2g) (スープ:5.3g) ビタミンB1:0.47mg ビタミンB2:0.60mg カルシウム:435mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:534kcal(めん・かやく:416kcal)(スープ:118kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
とりあえず及第点
形状は縮れのある平打ち麺で、調理前は細身に見えたのですが、とんこつラーメンの枠組みでは中太くらいのサイズ感。たとえば定番スーパーカップの濃コクとんこつ「スーパーカップMAX とんこつラーメン」には、豚骨専用・24番の丸刃で切り出した細麺を使用しているのに対し、今回それとは違うフライ麺を採用しています。
熱湯2分しっかり待ってから粉末スープを完全に溶かし、さらに液体スープを入れて混ぜ終わったまでの合計時間は、だいたい2分45秒前後。若干ながら部分的にサクッとした戻りムラが残っている、正直そんなに本格的な麺ではないのですが、加水率は豚骨風の白湯スープに合う低めの設定で、パツンッとした歯切れのいい食感。
厚みのない平打ちの低加水麺なので、そこまで弾力と歯切れのよさに耐久性はなく、後半にかけて食感がダレてくるのも早いのですが、いい意味でチープなインスタント感に理解のある方であれば大丈夫。現行スーパーカップの「濃いコクとんこつ」にはレベルの高い油揚げ麺を採用しているため、欲をいえば使い回してほしかったところではあるものの、スープとの相性は悪くありませんでした。
スープ
おもしろいw
先入れの粉末スープだけでも塩気は強く、その中に動物系の旨み成分が仕込んであるのですが、鶏の旨味を軸にしているようなテイスト。ビーフエキスは隠し味っぽい存在感だったので、牛骨白湯(ぱいたん)や牛のテールスープ、また韓国のコムタン(牛の肉や内臓を煮込んだスープ)のような癖はありません。
別添の液体スープには、乳白色のスープと多めの油脂が含まれ、なにスープかと聞かれたら鶏白湯でも牛骨白湯でもなく、もちろんポークエキス不使用につき豚骨白湯でもないのですが、独特の臭みを抑えながらも漠然と動物系白湯と思える独特の味わい。液体スープを入れた後は醤油ダレの風味とキレもプラスされるので、けっこう塩気は強めに効いてます。
原材料名は “チキンエキス、植物油脂、動物油脂、しょうゆ、ガーリックペースト、ビーフエキス、香味油” とエースコックにしては珍しくシンプルで、たん白加水分解物(うまみやコクを足す目的で加工食品に使われているアミノ酸混合物)の記載はありません。この原材料名だけ見るとビーフエキスを隠し味に加えた鶏白湯なんですけど、ぜんぜん鶏白湯っぽくない‥‥なんだこれw とにかく人工的でジャンク、新しい。
具材
例の粗悪な肉そぼろよりは‥‥
とんこつラーメンに嬉しいキクラゲの量は少なく、ネギも在り来たりな乾燥ねぎなので、この2つについては正直そんなに書くことがありません。とはいえ少量ながらキクラゲのコリコリとした歯応えは嬉しく、麺の食感がダレてきた頃に拾って食べると箸休めに効果的。
そして大量に入っている大豆そぼろは新開発の具材ではないものの、これ実は比較的にポジティブな素材なんです。
エースコックの肉具材に “程よく味付けした肉そぼろ” と解説される肉そぼろがあり、これが「あたり」の時は美味しい肉そぼろなのですが、高確率でスポンジみたいな食感の「はずれ」なので、いっそのこと入っていないほうがいいと感じることもしばしば。
対する大豆そぼろは大豆たん白加工品特有のクニッとした弾力ですし、これといった味付けもされていないのですが、平成の終わりから令和にかけて注目されている素材なので、ある意味これも今回のテーマになっている “令和時代のとんこつ味” に誂え向きな存在といえるかもしれません。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
まさに “これぞエースコック” といわんばかりの変わり種で、とにかくスープの旨味が人工的。そのため鶏骨や牛骨、豚骨を煮込んで抽出したような味わいではないものの、旨味に希薄な印象はありません。ちょっと塩気が強めでトロミも不自然なのですが、結論「おいしい」か「まずい」かでいえば不味くはなかったです。
とりあえず化学的な旨味が苦手な方にはオススメできないですし、本格的な豚骨ラーメンを食べるスタンスで手に取ると裏切られますが、もとより一部の商品を除いて大味に傾く傾向にある「スーパーカップ」の新作。食の多様化・こだわりが激しい現代だからこそ打ち出された “令和時代のとんこつ味” これはこれと割り切れば面白かったので、気になった方は挑戦してみてください。