どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年2月18日(月)リニューアル新発売のカップ麺、ヤマダイ「ニュータッチ 凄麺 尾道中華そば」の実食レビューです。
瀬戸内の港町で愛される素朴な味を再現した「凄麺 尾道中華そば」に “大粒背脂” が入ってパワーアップ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
凄麺 尾道中華そば 2019
全国に点在する「ご当地ラーメン」を本格的なノンフライ麺「凄麺(すごめん)」で再現した「凄麺 ご当地シリーズ」ですが、2019年5月10日現在の現行ラインナップは今回の「尾道」を含めて19品。北海道から九州まで、だいたい押さえるべき大御所ご当地ラーメンは揃っています。
今回の「凄麺 尾道中華そば」が初めてリリースされたのは2018年6月25日(月)と比較的に新しく、まだ初版の発売開始から1年経過していませんが、「大粒背脂」入りにリニューアル。ところで、尾道(おのみち)の「中華そば」と「尾道ラーメン」の違いをご存知でしょうか――
もともとは1928年(昭和3年)ごろ、広島・尾道にある中村製麺所に住み込みで働いていた中国福建省出身の張(ちょう)さんが青竹と手回し麺伸ばし機で麺を作り、チャルメラを吹きながら露店で売り歩いていた「支那そば(しなそば)」が起源とされているのですが、当時のスープは現代の澄んだ清湯(チンタン)系の醤油味ではなく、牛骨と豚骨から取った濁りのある白湯(パイタン)系のスープでした。
その後、「朱華園(しゅうかえん)」の創業者で台湾出身の朱阿俊(しゅうあしゅん)さんが1947年(昭和22年)に屋台を開業。醤油ベースの澄んだ “動物系清湯” に大粒の背脂を浮かべたスタイルで、その「朱華園」が現在も尾道から福山の間(広島県東部)で古くから親しまれている「中華そば」発祥の店と言われています。
対する「尾道ラーメン」とは、1990年代に福山市の珍味メーカー「阿藻珍味(あもちんみ)」が鶏ガラスープに平子いわしを使った「お土産用の尾道ラーメン」を販売したのが始まりで、以降それに似た “魚介系清湯” のラーメンを市内で提供する店が増えたことによって定着――つまり、いわゆる「尾道ラーメン」は県外目線のイメージが強く、古くから地元・尾道で親しまれてきた「中華そば」とは別物。
現に「中華そば」発祥の「朱華園」も “うちは中華そばであって尾道ラーメンではない” と断言しているのですが、もちろん「尾道ラーメン」が悪いとかそういう話ではありません。今回のカップ麺をより深く理解していただくために、尾道のラーメンには大きく分けて古くから地元で親しまれてきた朱華園をルーツとする「中華そば」、そして阿藻珍味をルーツとする「尾道ラーメン」の2通りあることを事前に解説しておきたかったのです。
というのもカップラーメンで再現されるのはイリコ(煮干し)の出汁を効かせた「尾道ラーメン」が一般的で、クラシックな「中華そば」にはスポットが当たることは基本的にありません。しかし、そこに着眼したのがニュータッチことヤマダイの「凄麺」シリーズで、リニューアル前の商品もレビューしているのですが、まさにタイトル通りトラディショナルな「中華そば」を再現していました。
いりこ出汁を使わない背脂の浮いたスープ、そして具材の大きなチャーシューとメンマはレトルト調理品という実に硬派かつ豪華な作りで満足度が高く、リニューアル後も商品名は同じなので、おそらく大幅に路線は変更していないと思うのですが、パッケージのチャーシューが変わっていることや大粒背脂の導入など、リニューアル前との違いやトレードオフに注目しながら食べてみます。
開封
「凄麺」のフタ裏には「フタの裏ばなし」という製品の開発秘話やラーメンの特徴などが記載されていて、今回の裏話「開発担当者からのメッセージ(No.尾 – 10)」には初のリニューアルであること、そして写真には写っていませんが “液体スープにも小粒の背脂を入れることでレトルト調理品の大粒背脂とスープのマッチングを高めている” ことが解説されていました。なるほど、さすが細部にまでこだわっていますね。
別添の小袋は「レトルト調理品」「液体スープ」「かやく」の3袋構成で、液体スープの小袋には「フタの上で温め、 “めんをほぐした後” に入れてください」とアドバイスが記載されているのですが、レトルト調理品については小袋にも調理方法にも温めてくださいとは書いてありません。どうしよう‥‥かなり中身は動物油脂の量が多そうなので、軽くフタの上で温めてみましょうか。
販売エリアはニューデイズ、全国のスーパーマーケット・ドラッグストアなどと紹介されているのですが、凄麺シリーズに強い店舗であれば「尾道」もあるはず。なかなか売っていないという声が多いことでも有名なニュータッチのカップ麺なんですけど、2019年5月竣工の新工場増設工事が落ち着き次第、以前よりも取扱店舗は増えるとのことでした(※メーカー公式情報)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ニュータッチ 凄麺 尾道中華そば 製造者:ヤマダイ 内容量:115g(めん60g) 商品コード:4903088013428(JANコード) 規格サイズ:縦175mm×横175mm×高さ78mm 発売日:2019年02月18日(月)リニューアル |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(レトルト調理品・液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉、食塩、大豆食物繊維)、スープ(しょうゆ、たん白加水分解物、動物油脂、食塩、チキンエキス、香辛料)、かやく(豚脂、味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、カラメル色素、かんすい、香料、酸味料、増粘剤(キサンタン)、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(本品原材料でアレルギー物質の表示が義務付け及び推奨されているもの 27品目中) |
実食開始
麺は熱湯5分のノンフライ平打麺となっているのですが、リニューアル前の「尾道」や同シリーズの「喜多方ラーメン」に使用されているノンフライ平打麺は62gなのに対し、今回は60gと微妙な誤差が生じています。凄麺シリーズは極太麺・太麺・平打麺・中細麺・細麺と5種類の軸があり、それをスープに合わせて使い分けているのが基本なので、ちょっと今回は既存のパターンから外れました。
そのノンフライ麺にオブラート状の成分が付着していますが、これは麺をほぐれやすくするために施された大豆由来の食物繊維なので、身体に直接的な害はありません。また、今回の「かやく」は先入れなんですけれども前回 “後入れしたほうが美味しかった” ので(※香り立ちが段違いでよくなります)、今回も後入れすることにしました。
さて、完成です。実はレトルト調理品を開封した直後の写真を間に挟む予定で撮影していたんですけど、なんか想像以上にショッキングな写真だったのでw 軽く整えてから撮影した写真を具材の解説時に使いますね。ちょっとネギの量が減ってメンマも小さくなりましたが、新たに導入された大粒背脂はインパクト絶大ですよ。
それでは、リニューアル前との違いや大粒背脂のクオリティに注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(115g)当たり
熱 量:355kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
表面はツルツル、中はモチモチのゆでたての旨さを追求したノンフライ麺で、尾道中華そばの特徴である平打風の麺を再現しています。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 瀬戸内の港町で愛されてきた素朴な味『凄麺 尾道中華そば』2月リニューアル発売!」)
調理前は縮れていましたが調理後はストレート状の平打ち麺で、麺の表面は摩擦抵抗ゼロの滑らかさ。タイプとしては生めん風というよりもノンフライ麺サイドのベクトルなんですけど、「凄麺」らしく本物を追求した本格志向の仕上がりで、場合によってはマイナス因子(雑味)にもなる油揚げ麺のように独特の風味がスープに干渉しない、というのもブランドの方向性を思うと嬉しいポイント。
小麦の香りも心地よくナチュラルに鼻腔を抜け、食べ始めはモチモチとした弾力が楽しめるのですが、リニューアル前と比較して加水率の低い麺(水分量の少ない麺)に仕様が変わっています。前回のノンフライ麺は加水率が高く、それも「喜多方」クラスの多加水麺に仕上がっていたのに対し、今回は明らかに粘り気が落とされていました。そして、この仕様変更は正解です。
尾道で提供されているラーメンには中細麺や太麺、縮れ麺など、お店によって麺が違うことも珍しくないのですが、冒頭で触れた「朱華園」を筆頭に昔ながらの中華そば店では加水率25〜32%の平打ち小加水ストレート麺が基本。もちろんゼッタイではありませんが、前回の多加水麺から中加水寄りの小加水麺に下がったので、再現度が増しているように感じました。
スープ
尾道で昔から食べられている中華そばのスープを再現しました。ベースの醤油はまろやかなタイプとキレのあるタイプの2種類を使用し、チキンの旨みと背脂を加えました。醤油、背脂、チキンの旨みのバランスをとことん追求することで、シンプルな構成ながらも深みのある味に仕上げました。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 瀬戸内の港町で愛されてきた素朴な味『凄麺 尾道中華そば』2月リニューアル発売!」)
スープの原材料は「しょうゆ、たん白加水分解物、動物油脂、食塩、チキンエキス、香辛料」とシンプルで、今回もイリコなどの魚介は使わない純動物系のスープです。たん白加水分解物(コクを出す旨味成分)の後押しありきですが、シンプルな鶏がらスープに繋ぎの背脂を浮かべてキュッと醤油が全体を引き締めている、なんとも昭和ライクなトラディショナルスープですね。つまりスープ単体で見ると、正直ぜんぜん特別な味でありません。
ただ、今回のようにシンプルな醤油ベースのスープには砂糖や糖類、人工甘味料などで甘味を添加して、ちょっと甘辛い感じでコクを表現してくるのが定番なんですけど、今回そういった小手先の演出で短絡的に納得させるのではなく、キリッとした醤油を軸に立て、じんわりと素材の旨味で食わせる「素朴の手本」と言っても過言ではないフレームワーク。
しっかり醤油のキレはあるけれど、たっぷりの背脂が鋭利な印象を与えない。ほのかに感じる甘みは糖類や人工甘味料の甘さとは違う、醤油や背脂に由来する自然な甘さ。わざとベースをミニマムに組み上げることで大粒背脂のポテンシャルを最大限に引き出そうとしているような構成で、実際にキレのあるスープが背脂(具材)の柔らかい旨味を引き立てている——その結果とても素晴らしいスープだと腑に落ちる素朴さでした。
かやく
レトルト具材:大粒背脂、チャーシュー、メンマ
乾燥かやく:ねぎ(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 瀬戸内の港町で愛されてきた素朴な味『凄麺 尾道中華そば』2月リニューアル発売!」)
チャーシューは豚のバラ肉を巻いたような脂身の多い丸型から四角くて赤身の多いタイプに代わり、メンマも明らかにサイズダウンしています。メンマの食感はクタクタで風味も弱く、ちょっと箸休めには頼りない存在でしたが、チャーシューはオールドタイプで素朴なスープの雰囲気にフィット、さらにレトルト調理品の肉具材に有り勝ちな缶詰っぽい風味が控えめなのもいいですね。
で、これですよ笑っちゃうくらい大きな大粒背脂w 背脂入りのラーメンといえば京都や東京、新潟(燕三条)などの “背脂チャッチャ系” が有名ですが、それとは違うゴロッとした背脂の塊が入っています。それは「朱華園」を代表する「中華そば」の特徴でもあるので、やはり発祥の店を強くイメージしているのでしょう。
まさに背脂は「具材」で一つひとつのサイズが大きく、写真のように箸で持ち上げることも可能。2018年12月4日(火)にローソン先行商品として発売された「麺屋武蔵 無双新免 鴨だしら~麺」という数量・期間限定のカップラーメンに「フォアグラ風味の背脂」が使用されていたのですが、その流れを汲んでいますね。今回はフォアグラ風味ではないものの、かなり強烈でリアルなインパクトを打ち出していました。
もちろんサイズだけではなく、たった1粒でも口に入れた瞬間から背脂特有のコクと甘みが口いっぱいに広がって、とんでもない臨場感。正直この背脂だけ評価するなら無条件で「★8.5」はつけたいくらいですし、これまでリアル系の背脂はエースコックが最強だと信じて疑わなかった私ですが、どんぶり型での牙城は完全に崩れましたね。
独断で後入れした「かやく(ねぎ)」も一瞬でスープに馴染むフリーズドライ系のネギなので、わざわざ先入れする必要はありません。もちろんスープとの一体感を重視するのであれば先入れでも問題ありませんし、かやくの小袋のには “ネギしか入っていない” ので、そもそも入れなければネギが嫌いな方でも安心してお召し上がりいただけます。
総評
★★★★★★☆☆☆☆(★6++)
チャーシューとメンマの劣化、またネギの量が減ったマイナスもありましたが、加水率を見直して再現度がアップしたノンフライ麺に素朴でトラディショナルな甘さ控えめのスープ、そのスープが大粒背脂のコクと甘みを最大限に引き出していて、大粒背脂の導入による他のトレードオフは結果ほとんど気になりませんでした。
「凄麺ご当地シリーズ」には「京都 背脂醤油味」や「新潟 燕三条系 背脂醤油ラーメン」といった背脂がテーマの定番商品もあるのですが、両者に大粒背脂は合わないため、しばらくニューカマーが現れない限りシリーズの中で巨大な背脂を楽しめるのは「尾道」だけの特権——ほんと高品質なので、背脂さえダメじゃなければ一度は試していただきたいオススメのカップ麺です。