どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年11月1日(月)新発売、東洋水産(マルちゃん)のカップ麺「すぎ本×しば田 鴨だし塩醤油ラーメン」の実食レビューです。
講談社発行『業界最高権威 TRYラーメン大賞』の “2019-20 名店部門 しお1位” と “2015-16 名店部門 しょう油1位” が夢のWコラボ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
すぎ本×しば田 鴨だし塩醤油ラーメン
『TRYラーメン大賞』とは、ラーメン業界で確固たる地位を築いた6名の審査員、並びに2名のゲスト審査員(新人部門のみ審査)によって決定される “ラーメン業界最高権威” のアワード本で、TRYは東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー(Tokyo Ramen of the Year)の略称。東洋水産との付き合いは長く、筆者が知る限りでも10年以上は続いており、有名店監修の商品を主軸に展開してきました。
今回の新商品「マルちゃん すぎ本×しば田 鴨だし塩醤油ラーメン」は、講談社発行『第20回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2019-2020』の “名店部門 しお1位” に輝いた「らぁ麺 すぎ本」及び『第16回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2015-2016』の “名店部門 しょう油1位” に輝いた「中華そば しば田」のコラボ商品で、両店の特徴を掛け合わせたオリジナルの味を共同開発。
「らぁ麺 すぎ本」とは、神奈川県横浜市青葉区で「醤油らぁ麺」及び「塩らぁ麺」を提供している有名店で、2013年(平成25年)12月15日にオープン。店主の杉本康介(すぎもと こうすけ)氏は、ラーメンの鬼と呼ばれた故・佐野実(さの みのる)氏が認めた最後の弟子として知られ、創業から間もなく『TRY認定 第15回 ラーメン大賞 2014-2015』の “新人賞” を獲得した実力の持ち主。
創業当初は東京都中野区(鷺ノ宮)に店を構え、2016年(平成28年)12月2日発売の『ミシュランガイド東京2017』で初のビブグルマンに輝き、2020年8月の移転を理由に『ミシュランガイド東京』から落選しましたが、それまでに “4年連続ミシュラン(ビブグルマン)掲載” を成し遂げた名店中の名店。
東洋水産との関係は、2020年6月1日発売の縦型ビッグ「すぎ本 塩ラーメン」を皮切りに、直近だと2021年8月2日にカップめん限定の味「すぎ本 辛塩ラーメン」を発売しているため、今回の「すぎ本×しば田 鴨だし塩醤油ラーメン」で3度目のコラボ。これまでは『TRYラーメン大賞』を媒体に、単独でカップ麺を監修してきたので、夢のWコラボは初の試みです。
そんな「らぁ麺 すぎ本」とタッグを組むことになった「中華そば しば田」とは、96年組の代表格「麺屋武蔵 新宿本店(現:創始 麺屋武蔵)」並びに惜しまれつつも閉店した吉祥寺の人気店「音麺酒家 楽々(おんめんしゅか らくらく)」出身の店主・柴田貴史(しばた たかし)氏が独立開業したラーメン店で、創業は「らぁ麺 すぎ本」のオープンと重なる2013年の11月28日。
現在も店舗を構える東京都調布市若葉町の長閑な街道沿い・仙川で産声を上げるや否や、新店らしからぬ実力の高さで話題になり、杉本康介氏が “新人賞” に輝いた『TRY認定 第15回 ラーメン大賞 2014-15』で “新人大賞部門 総合1位” を獲得。その頃から東洋水産とのコラボが始まって、過去に4つのカップラーメンを監修しているのですが、こちらも夢のWコラボは初の試み。
商品名は「鴨だし塩醤油ラーメン」ということで、鴨だしは東洋水産が得意とする分野の一つ。ただ、いったい “塩ラーメン” なのか “醤油ラーメン” なのか、そもそも醤油を隠し味に使う塩ラーメンもありますし、そのバランスにも注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製スープ」が1袋。東洋水産のニュースリリースには “チキンの旨味をベースに、鴨・豚・魚介等の旨味をバランスよく利かせた塩醤油スープ。※特製スープ付き” との記載があるので、ますます味のバランスが気になるところ。
具材は大きめの肉だんごを筆頭に、メンマ、ネギとシンプルな構成で、いつもは味付鶏肉だんごを使っているのですが、東洋水産のニュースリリースには「味付鴨肉だんご」と記載。夢のWコラボで奮発したんだなーと感心しつつ、念のため原材料名を確認してみたところ、かやくの項目には「味付鶏肉だんご」の文字‥‥鴨肉と違うやんw
鴨肉を使う予定が変わったのか、それとも単純に表記をミスしたのか、いずれにせよ鴨肉ではないようなので、ちょっとした糠喜びを喰らったのですが‥‥w それはさておきメーカー希望小売価格は220円(税別)ということで、2021年11月現在の縦型ビッグ商品における標準的な値段。コンビニでは「ミニストップ」と「セブンイレブン」での取り扱いを確認しているため、販売店の参考にしてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん すぎ本×しば田 鴨だし塩醤油ラーメン 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901990370028(JAN) |
発売日:2021年11月01日(月) 実食日:2021年11月04日(木) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:ネット通販サイト(オムニ7) 商品購入価格:213円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(チキンエキス、鴨エキス、ポークエキス、食塩、しょうゆ、魚介エキス、鴨脂、ゼラチン、植物油、鶏脂、砂糖、粉末野菜、フライドオニオン、たん白加水分解物、こんぶエキス)、かやく(味付鶏肉だんご、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、酒精、増粘多糖類、乳化剤、カラメル色素、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・乳成分・さけ・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。製造所は酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は東洋水産が1983年(昭和58年)7月から資本参加している連結子会社で、現在は「本気盛(マジモリ)」や「謹製」シリーズなど、マルちゃんの縦型ビッグ製品を担当しています。さて、あとは内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で小袋を温めながら待つこと3分——。
大きな味付鶏肉だんごを筆頭に、けっこう具材の量は多く、湯気からは繊細で緻密な香りが漂ってくるのですが、そこまで鴨の香りは強くありません。ちなみに原材料名では添付調味料の項目に記載されていたので、最初は気が付かなかったのですが、しれっと入っていたフライドオニオンも注目したいポイント。
ちなみにTwitterでの評判をチェックしてみたところ “ビッグネームを並べたわりに普通” や “中途半端” との厳しい意見から “追加購入決定” との高評価まで、いくつかの両極端なコメントが目に入りました。それでは、引き続き「めん」「スープ」「具材」の項目に分けて特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)あたり |
カロリー:404kcal たん白質:10.9g 脂 質:17.4g 炭水化物:50.9g 食塩相当量:6.4g (めん・かやく:2.3g) (スープ:4.1g) ビタミンB1:0.39mg ビタミンB2:0.35mg カルシウム:171mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:404kcal(めん・かやく:316kcal)(スープ:88kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
細身だけど反発性が高い
形状は角刃で切り出された平打ち麺で、断面は四角く、それほど厚みはありません。しかし、かなり弾力の強い食感で、噛んでも噛んでも押し返してくるというか、なかなか噛み切れない反発性の持ち主。その反発性がカップラーメンらしくもあるのですが、時間が経っても湯伸びしにくいのはメリットで、しかも油揚げ麺なのに繊細なのが最大のポイント。
おそらく新開発の麺ではないと思いますけど、数年前の東洋水産が展開していた縦型ビッグ(「本気盛」など)のカップラーメンと比較して、比べ物にならないほど上品な仕上がり。後述するスープの作りが繊細だったので、かつての油揚げ麺だとスープを破壊しかねないところ、そういった懸念を感じなくなりました。
もちろん熱湯3分でも食べられますが、だいぶ反発性の高い麺なので、3分後に別添の特製スープを馴染ませた後、さらに1〜2分ほど休ませてから食べるのもオススメ。そうすることでスープとの一体感が高くなるので、よかったら試してみてください。
スープ
粉末スープだけでも成立するような勢い
まずは別添の「特製スープ」を入れる前に味を確かめてみたところ、このままでも成立しそうなくらい出汁(だし)の旨みが濃密で、ちょっとビックリ。ただ、この時点でのジャンルは “塩ラーメン” で、鴨の風味も極端に強いわけではありません。しかし、別添の「特製スープ」を加えると‥‥
鴨脂と鶏脂に由来する芳ばしい風味に、液体しょうゆベースのタレがプラスされ、すこし “醤油ラーメン” の面持ちも出てくるのですが、ちょうど “塩ラーメン” との中間に位置しているようなバランス。動物系は鶏を軸に、鴨や豚のエキスを加え、煮干しや鯖などの魚介をブレンド。さらに昆布で旨味の相乗効果を図っているのですが、それらの要素が喧嘩せずに調和しています。
鴨だしを謳いながらも “あえて鴨の脂を控え、鴨肉を低温で炊き出した旨味を重視している” ような、すこしインパクトに欠ける味ではあるものの、ふわっと漂ってくるフライドオニオンの芳ばしさや若干のホロ苦さも印象的で、とても丁寧に作り込まれたスープだと感じました。
具材
具材にも抜かりなし
味付鶏肉だんご、メンマ、ネギは、ほかの商品にも使われている汎用の具材なので、目新しさこそないものの、生姜を効かせた味付鶏肉だんごは食べ応えがあり、鶏肉の旨みと生姜の香味がスープに寄与。コリコリとした歯応えのメンマは風味もよく、しかしながら強すぎない適切な存在感。ネギもフリーズドライだったので、繊細なスープを壊しません。
ニュースリリース(PDF)では「味付鴨肉だんご」とアピールしつつ、実際は鶏肉だったので、すこし糠喜びを喰らったと前述しましたが、あいかわらず味付鶏肉だんごのクオリティは高く、物足りなさを感じることはありませんでした。
※2021年11月13日(土)追記:すでに上記のニュースリリースは修正済みなので、スクリーンショットとは内容が異なります。
総評
たとえば鴨を全面に押し出したスープや醤油のキレに期待していた場合、実際の仕上がりにギャップを感じるおそれもありますが、あえて鴨の脂に頼らない作りは即席カップ麺だと珍しく、鴨肉の旨みを想起させる繊細さと緻密な味の組み立て方が見どころ。
あまりカップラーメンを食べない方にこそ試していただきたい、そう思える繊細さに価値が見出せる一杯でした。2021年10月25日発売のTRYラーメン大賞×夢のWコラボ「大島×三ん寅 汁なし味噌ラーメン」はインパクトの強い味わいだったので、そちらもオススメです。【author・taka :a(大石敬之)】