どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年8月2日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん すぎ本 辛塩ラーメン」の実食レビューです。
神奈川の名店「らぁ麺 すぎ本」監修 “お店では食べられない” カップラーメン限定の味が登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
すぎ本 辛塩ラーメン
「らぁ麺 すぎ本」とは、神奈川県横浜市青葉区で「醤油らぁ麺」及び「塩らぁ麺」を提供している有名店で、創業は2013年(平成25年)12月15日。店主の杉本康介(すぎもと こうすけ)氏は、ラーメンの鬼と呼ばれた故・佐野実(さの みのる)氏が認めた最後の弟子として知られ、創業から間もなく『業界最高権威 TRY認定 第15回 ラーメン大賞 2014-2015』の新人賞に輝いた実力の持ち主。
今回の新商品「マルちゃん すぎ本 辛塩ラーメン」は、東京都港区に本社を置く東洋水産と「らぁ麺 すぎ本」店主・杉本康介氏のコラボ商品で、ラー油の辛味とニンニクを利かせた “店では食べる事ができない” 辛塩ラーメンをテーマに開発。お店の看板メニューである「塩らぁ麺」とは異なり、ラー油の辛味やニンニクのジャンク感を加えることで、夏に食べたくなる味わいに仕上げたそうです。
現在を遡ること11年以上、2010年の春——。誰よりもラーメンを愛した食材の鬼・佐野実氏の「支那そばや 本店」に弟子入りした杉本康介氏は、身体がもたないと感じるほど過酷な労働環境に身を置くことになり、修行開始から1年後に退職を申し出たそうですが、去る者は追わずの佐野氏が珍しく引き止め、結果的に「支那そばや 本店」で働くこと約3年半。
そこで研ぎ澄まされた技と師匠譲りの妥協なき食材選びを武器に、2013年の冬「らぁ麺 すぎ本」を東京都中野区(鷺ノ宮)に立ち上げ、オープンから1年後に前述の講談社発行『第15回 TRY(Tokyo Ramen of the Year / 東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー)ラーメン大賞 2014-2015』しょうゆ部門・しお部門で新人賞を獲得。
さらに2016年12月2日発売の『ミシュランガイド東京2017』で初のビブグルマンに輝き、2018年4月から待望の自家製麺を導入。その後、2020年8月21日より現住所(神奈川県横浜市青葉区桜台26-1 第3アサキビル1F)で営業しているため、移転を理由に『ミシュランガイド東京』から落選しましたが、それまで “4年連続ミシュラン掲載” を成し遂げた名店中の名店。
そんな「らぁ麺 すぎ本」監修のもと、2020年6月1日(月)に縦型ビッグのカップ麺「マルちゃん すぎ本 塩ラーメン」を発売しているため、東洋水産とは2度目のコラボ。前回は2019年10月17日発行の『第20回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2019-2020』で「名店部門しお1位」に選ばれたことを記念した商品で、お店の看板メニュー「塩らぁ麺」を再現していました。
その流れを汲んだ今回の新作「辛塩ラーメン」は、前述のように “お店では食べられない” カップ麺だけの限定メニュー。前回は『TRYラーメン大賞』絡みの関連商品という位置付けだったのに、今度は「らぁ麺 すぎ本」単体で商品を監修ということで、お店の人気と実力の高さが推察できます。
ちなみにテレビ朝日『ザワつく金曜日 一茂良純ちさ子の会』2021年7月30日(金)18:45~20:00放送分にて、発売前の「すぎ本 辛塩ラーメン」がスタジオに登場し、その味をメンバーも絶賛。
加えて東洋水産の開発担当者が五味検査(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を判断する味覚検査)を受けていることや、プロジェクト開始から今回のカップ麺が完成するまでに7ヶ月の期間を費やしたなど、開発秘話や裏話も紹介されていました。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「特製油」が1袋。フタの上にも “カップ麺限定” と書いてありますが、商品化に向けて「らぁ麺 すぎ本」の店主が実際に「辛塩らぁ麺」を試作してくれたらしく、厳しい五味検査を通過した東洋水産の開発担当者が本物の「辛塩らぁ麺」を試食し、その味を再現するカタチで開発に取り組んだそうです。
具材は味付鶏肉だんごを筆頭に、メンマ、ねぎとシンプルなラインナップ。当初は味付豚肉を採用する案も出ていたそうですが、味付豚肉の味がスープに強く出てしまったらしく、スープの再現度を高めるために “味付鶏肉だんごを合わせたほうが店の味に近かったから” という理由と “かき混ぜた後でもスープの表面に浮かぶから” という見栄えのメリットもあり、豚肉ではなく鶏肉だんごが採用されました。
メーカー希望小売価格は220円(税別)なので、2021年8月現在の縦型ビッグ製品における標準的な値段。販売店は全国のコンビニや量販店、一般小売店なども対象のNB(ナショナルブランド)商品として展開。実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ミニストップ」での取り扱いを確認したので、販売店の参考にしてください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん すぎ本 辛塩ラーメン 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901990369220(JAN) |
発売日:2021年08月02日(月) 実食日:2021年08月06日(金) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:コンビニ(ミニストップ) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(チキンエキス、鶏脂、食塩、香味油脂、ポークエキス、魚介エキス、植物油、砂糖、香辛料、粉末野菜、フライドオニオン、たん白加水分解物、チキン風味パウダー)、かやく(味付鶏肉だんご、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、乳化剤、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香辛料抽出物、パプリカ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。麺を選ぶときにも開発者の悩みは尽きず、さまざまな麺を試した結果、歯切れのいい低加水麺よりもソフトで口当たりのいい麺をチョイスした様子。近年の東洋水産が販売する縦型ビッグの油揚げ麺は、熱湯2分だとスナック感が仇になることもあるけれど、3分〜5分の油揚げ麺は安心して楽しめるようになってきました。
あとは熱湯を注いでから3分間、別添の「特製油」は後入れなので、フタの上で小袋を温めながら待ち、時間になったら中身を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。かなり辛そうな見た目のオイルが浮かびますが、香りに攻撃性はなく、むしろ繊細なファーストインプレッション。よく確認すると小さなフライドオニオンも入っていたので、それも効果を発揮してくれそうな予感。
なお製造所は酒悦(しゅえつ)の房総工場となっていますが、1983年(昭和58年)7月から東洋水産の商品を製造している連結子会社の工場なので、カップ麺に関してはマルちゃんの工場という認識で問題ありません。それでは、4年連続ミシュラン掲載店監修のオリジナリティと念のため辛味の強さに注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(95g)あたり |
カロリー:437kcal たん白質:9.4g 脂 質:20.8g 炭水化物:53.0g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:1.8g) (スープ:4.8g) ビタミンB1:0.43mg ビタミンB2:0.35mg カルシウム:171mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:437kcal(めん・かやく:324kcal)(スープ:113kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
マルちゃんの次世代型フライ麺
店舗で使われている自家製麺は、中細サイズの平打ちストレート麺で、小麦粉には「支那そばや」御用達の北海道産小麦(横山製粉)を使い、全粒粉を練り込んでいるのもポイント。以前は三河屋製麺から全粒粉入りの細ストレート麺を取り寄せていましたが、店内に製麺機を導入したことで、以前よりもスープとの調和が完璧になったとの評判です。
今回の油揚げ麺も中細くらいに切り出された平打ち麺ですが、適度に縮れが施されており、全粒粉も練り込まれていないため、お店の自家製麺を忠実にイメージしているわけではありません。むしろ東洋水産の「謹製(きんせい)」シリーズに使われているタイプなので、おそらく使い回しかと思いますが、ひとつの油揚げ麺としてのクオリティが高く、後述の繊細なスープに干渉し過ぎないのも利点。
緩やかな縮れと平打ちの形状から、スープの持ち上げもよく、麺を啜り上げているときにもスープの旨味や香りが感じられ、噛むとコシのある弾力が楽しめる、4年連続ミシュランガイド掲載店監修の商品に使っても恥ずかしくない品質の高さ。ただし、熱湯3分でも食べられますが、小袋の中身を加えた後 “1〜2分ほど休ませると弾力が自然になる” ので、ちょっと意識してみてください。
スープ
乾物系の旨味が印象的
東洋水産のニュースリリースには、スープの特徴として “チキンベースにアサリ・さば等の旨味と程よい辛みのラー油を合わせた塩味” との記載があり、なるほど貝の旨みを感じるのですが、ゴリゴリの貝出汁(だし)ではありません。それよりも優しいテイストで、例えるならホタテの干し貝柱を想起させる、膨よかで芳ばしい乾物系の旨みが印象的。
動物系は鶏の出汁を中心に、それも骨より肉から旨味を抽出したようなベクトルで、丸鶏を彷彿とさせる繊細さ。あえて塩気は目立たせず、素材の旨みを活かす感じの塩梅で、ニンニクの香味を効かせながらも繊細なテイスト。なるほど味付豚肉を使用していたら、この繊細なバランスが崩れていたかもしれません。
それが壊れたらどうしよう‥‥と、すこし恐る恐る「特製油」を加えてみたら、だいぶ辛味は穏やかで、ほんのすこしだけ(なんだったら辛くないまである)ピリッとしたアクセントを感じる程度。それよりも胡麻油系の芳ばしさが主体のオイルなので、粉末スープだけでは打ち出せないコクを表現しつつ、乾物系の旨味と重なり合い、芳ばしさの相乗効果を感じました。
具材
鶏肉たくさん
大きな味付鶏肉だんごは、ほんのり生姜風味の味付けで、一般的にネガティブとされる鶏のクセを抑えながら、しっかり旨味を引き立てています。やや乾燥具材特有のジャンクさはあるものの、あまりカップラーメンを食べ慣れていない方にもオススメできるタイプのトッピングで、コリコリとした歯触りのメンマも箸休めに効果的。
すこし入っていた(上記の写真で鶏肉だんごの下に集めた)フライドオニオンも面白く、乾物や胡麻油とは違う芳ばしさがあり、ふわっと香るホロ苦さも注目したい見どころ。
東洋水産の縦型ビッグに使われている具材は基本的に重量判定なので、異様にメンマが多いとか、鶏肉だんごが少ないとか、そういった個体差が生じることも珍しくありません。しかし、念のため別の個体を確かめてみたところ、やはり鶏肉だんごの数が多く、そこから滲み出る鶏の旨味もスープに寄与していると感じました。
総評
いわゆる “流行りの味” ではないけれど、それに流されないオリジナリティを感じる一杯で、あの「らぁ麺 すぎ本」監修の名に恥じない完成度の高さ。乾物の芳ばしさが印象的なスープに、その繊細さを壊さない麺、具材も食べ応えのある大きめの鶏肉だんごをメインに配慮の行き届いた良品でした。
前回は『TRYラーメン大賞』の繋がりでカップ麺を監修、そこからの「らぁ麺 すぎ本」単体で商品化という流れから、今後も定期的に続編が企画されるかもしれません。実際の店舗では「支那そばや」のDNAを受け継ぐ「醤油らぁ麺」も有名なので、その再現にも期待しています【author・taka :a(大石敬之)】