どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2025年12月23日(火)新発売、ファミリーマートのカップ麺「支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺」(267円+税)の実食レビューです。
ラーメンの鬼と呼ばれた男の生き様を伝え続けるレジェンド店「支那そばや」監修のカップラーメンに “麺とスープを極めた至高の一杯„ 新登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺
支那そばや(しなそばや)とは、誰よりもラーメンを愛し、素材の探求はもちろん、調理方法から器に至るまで徹底する、そのストイックな姿勢から “ラーメンの鬼„ と呼ばれた故・佐野実[さの みのる, 1951年(昭和26年)4月4日 – 2014年(平成26年)4月11日]氏が遺した銘店。自家製麺・厳選素材・国産小麦の普及など、現在では当たり前のように語られている “こだわり„ を業界に先駆けて取り入れたパイオニアです。

今回の新商品「ファミマル 支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺」は、神奈川県横浜市戸塚区に本店を置く「支那そばや」監修のもと、あえて具材らしい具材を省いた「かけ系」のカップラーメンで、ファミリーマートと明星食品が共同開発。しなやかでつるみのあるノンフライ麺に、北海道産ホタテのエキスと名古屋コーチンのオイルを使用したスープが特徴ということで、支那そばやらしい “こだわり„ が見受けられる一杯。
最近このブログや筆者のSNS(X, Instagram)で使用し始めた「かけ系」という表現は、それに該当する商品をカテゴライズするために用いている単語なので、まだ一般的に浸透している言葉ではないんですけど、チャーシューなどの具材を省いたカップラーメンのリリースは増え続けている昨今。
なかでもローソンと日清食品が共同開発した「スープ激うま!」は尤もたる例で、具材を入れないことでスープの品質を底上げし、なおかつNB(ナショナルブランド)商品よりも手頃な販売価格を実現。2023年4月25日に登場するや否や、わずか1年で累計販売数640万個突破の大ヒットを記録し、第1弾の「濃厚豚骨ラーメン」と「札幌味噌ラーメン」は今年9月30日から通年展開をスタートするなど、たしかな実力を示しています。

片やファミリーマートの「かけ系」は “基本的に有名店監修で大判どんぶり型の容器を使用した„ 製品スタイルが特徴で、2024年4月23日発売の「ファミマル Lab Q かけ醤油らぁ麺」を皮切りに「麺屋極鶏 鶏だく かけ極濃鶏白湯」「NIBOSHIMANIA かけ濃厚煮干そば」と続いているシリーズ。
上記の「かけ系」はファミリーマートと東洋水産の共同開発商品で、それとの関係性を示唆しているかのようなNB商品「NAKAMURA かけそば塩」が発売されたのも記憶に新しいところ。しかし、このページでレビューするファミマルの「支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺」は、先述のように明星食品との共同開発商品なので、従来のパターンからは外れますが、同社は業界に先駆けて「かけ系」を積極的に展開していた企業。
コロナ禍が世間を脅かしていた4年前、2021年(令和3年)3月29日に発売された “前代未聞の「だしパック」入り„ 即席カップめん「麺とスープだけ 黄金鶏油中華そば」を皮切りに「漆黒マー油豚骨ラーメン」「琥珀貝だし中華そば」「黄金鶏油中華そば(2代目)」「え? 透明スープの豚骨!?」を矢継ぎ早に展開し、業界を賑わせていたのですが、シリーズ第5弾のクリア豚骨(2023年8月21日発売品)を最後に新作のリリースがストップ。
ちょうど同時期に日清食品(親会社)の「スープ激うま!」が注目を集めていたので、もしや‥‥などと勘繰ってしまいますけど、さておき今回の「支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺」は明星食品が久々に携わった「かけ系」の一杯。

パッケージには「一、まずは麺とスープだけを味わう」「二、千切りねぎ(あとのせかやく)を入れ香りと味の変化をお楽しみください」とのアドバイスが記載されているため完全に「麺とスープだけ」の商品ではないけれど、麺とスープを極めた “至高の一杯„ ということで、その仕上がりや銘店「支那そばや」監修ならではの “こだわり„ にも注目しながらレビューします。
開封

今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「粉末スープ」と「液体スープ」に “お好きなタイミングで入れてください„ と書かれた「あとのせかやく」の組み合わせで、明星食品が打ち立てた「だしパック入り」の金字塔は継承されていませんが、北海道産ホタテのエキスと名古屋コーチンのオイル使用は大きなステータス。

麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、けっこう細めに切り出されていますが、湯戻し時間は長めの5分。先ほど引き合いに出した東洋水産の「かけ系」には、PB・NBもれなく「生麺ゆでてうまいまま製法(特許5719064号)」のノンフライ麺が搭載されているためバリエーションに欠ける印象があるけれど、明星食品の場合そういった不安はありません。
ちなみにファミリーマート通常価格は、前述の「Lab Q」「極鶏」「NIBOSHIMANIA」監修商品と同じ267円(税込288円)に設定されているため、その企画に連なる新作とみて間違いありません。そういえば昨年12月17日にもスープに北海道産ホタテエキスと名古屋コーチンオイルを使用した “かやく入り„ のカップラーメン「支那そばや 佐野実の伝説の一杯 醤油らぁ麺」を発売していたので、もしかすると——。
製品詳細情報・購入価格等
| 製品名:ファミマル 支那そばや監修 かけ醤油らぁ麺 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:106g(めん70g) 商品コード:4902881487832(JAN) |
| 発売日:2025年12月23日(火) 実食日:2025年12月24日(水) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 販売価格:267円(税別) 購入価格:288円(税込) |
| 麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
| 【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、乳たん白、クロレラエキス)、スープ(豚脂、しょうゆ、チキンエキス、チキンオイル、ポークエキス、油脂加工品、食塩、糖類、たん白加水分解物、ポーク調味料、ホタテエキス、酵母エキス、チキン調味料、かつおぶしエキス、香辛料(ジンジャー、ガーリック)、昆布エキス、酵母粉末、醸造酢、植物油脂、昆布粉末、香味調味料)、かやく(ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酒精、カラメル色素、炭酸カルシウム、増粘多糖類、香料、卵殻カルシウム、微粒二酸化ケイ素、乳化剤、酸味料、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本品製造設備では、かに・くるみを含む製品を生産しています。 |
実食開始

今回の別添は3袋とも後入れなので、それらを取り出してから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと5分。パッケージのフタ上に “名古屋コーチンオイルはチキンオイル中16%使用„ と記載されているのですが、これって昨年の「佐野実の伝説の一杯」に配合されていた名古屋コーチンオイルと完全に一致するパーセンテージなんですよね。

つまり、今回の新作は「佐野実の伝説の一杯」から具材を省いたカップラーメンなのでは——などと思いつつ、さておき本商品は “まずは麺とスープだけを味わう„ ことを推奨しているため、時間になったら「粉末スープ」と「液体スープ」だけ投入し、全体に馴染ませたら完成です。現時点では完全に「麺とスープだけ」なので、これ以上ないほどシンプルな仕上がり。
おかげで名古屋コーチンオイルをはじめとするスープの芳醇な部分がストレートに押し寄せてくる、そんな香りの臨場感がテンションを高めてくれる調理直後。というわけで、引き続き厳選素材の存在感についてはもちろん、コストパフォーマンスや昨年12月発売品からの違いと共通点にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
| 栄養成分表示:1食(106g)あたり |
| カロリー:405kcal たん白質:10.3g 脂 質:14.5g 炭水化物:59.4g (糖 質:57.1g) (食物繊維:2.3g) 食塩相当量:6.4g (めん・かやく:1.8g) (スープ:4.6g) ビタミンB1:0.96mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:160mg |
| 参考値(調理直後に分別した値) 熱量:405kcal(めん・かやく:335kcal)(スープ:70kcal) |
| ※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん


昨年と同じノンフライ麺じゃない‥‥?
「支那そばや」の店舗で提供されている自家製麺には、身体に及ぼす悪影響の懸念がなく、外国産の小麦よりもコシが出にくい傾向がある国産小麦のグルテンを強化でき、なおかつ保水性の確保が図れることを理由にジェファー液(クロレラ熱水抽出液)を使用しているため、その “こだわり„ を尊重したノンフライ麺にも「クロレラエキス」を配合しているのが見どころの一つ。

うおおおおおおおクロレラすげえええええええ!!! ってほど顕著にクロレラエキスが主張してくるわけではないけれど、特筆すべきは保水感。昨年の「支那そばや 佐野実の伝説の一杯 醤油らぁ麺」は食べ始めにカタさが目立っていたのに対し、今回は序盤から多加水麺のような粘りと弾力が優勢で、時間の経過と共に穏やかな質感に変わっていくるけれど、ただただスープとの一体感が向上していくイメージ。
また昨年のレビューには “カタめの歯応えから急に柔らかめの食感にシフトする„ と記録しているのですが、今年のノンフライ麺は食感の変化が緩やかで、なおかつ食べ始めからスープとの親和性が高く、ワンランク上の質感に進化しているように感じました。見た目にも色味が薄くなっていたので、原材料は同じでも配合や製法を変えているのかもしれません。
スープ


うっかり溜め息が出ちゃうほどの作り込み
まずは「粉末スープ」の味を確認してみたところ、袋麺の「明星 チャルメラ しょうゆラーメン」に別添されている例の添付調味料と共通点が多いテイストで、なかでも粉末しょうゆの使い方や香辛料・香味野菜のタイプが酷似しています。つまり、銘店監修の本格さよりもインスタントラーメンらしさ全開の内容なのですが‥‥

続けて「液体スープ」を馴染ませた途端、名古屋コーチンオイルに由来する上品な芳ばしさはもちろん、それを支える鶏と豚の丁寧な旨みも印象的。豚脂を多めに使うことでスープに重厚感を与えているけれど、体感的な豚臭さは皆無に等しい縁の下の力持ち。さらに北海道産ホタテエキスの訴求も誇張ではなく、動物系の原材料とは異なる滋味が全体の膨よかさと奥床しさをブースト。
このホタテエキスが「チャルメラ」を彷彿とさせる要素のひとつでもあるのですが、最終的にはインスタントラーメンらしからぬ本格さに振り切ったベクトルで、ホタテの甘さとチキンオイルの芳ばしさを適度に引き締めてくれる醸造酢の隠し味も効果的。
ちなみに原材料名の構成は並びまで「支那そばや 佐野実の伝説の一杯 醤油らぁ麺」と完全に一致する内容ですが、かつおと昆布の主張は比較的に大人しく、従来品よりも動物系の要素とホタテの魅力をダイレクトに感じました。粉末スープの小袋が昨年とは異なるデザインだったので、内容にも変更があるものと思われますが、後述する「かやく」の変更による影響も微々たるものではありません
かやく


引き算の美学
「あといれかやく」の小袋に入っているのはFD(フリーズドライ=凍結乾燥)の千切りネギだけなので、トッピングは薬味だけということになりますが、こいつも勝因のひとつ。よくあるチャーシューやメンマは使用していないため、加工肉特有の雑味やメンマの発酵感がスープに滲み出ることはなく、それが “かやくの変更による影響も微々たるものではない„ と前述した理由なんですけど、千切りネギの品格ある香りたるや。
AD(エアドライ=熱風乾燥)のネギにありがちな強めの繊維質は皆無に等しく、風味も圧倒的に上品。厳選素材を使用したスープの魅力を高めてくれる薬味らしい引き立て効果はもちろん、千切りの形状から麺との絡みも素晴らしく、製品価値と満足度の底下げに大きく寄与していました。
総評
スープの方向性は「佐野実の伝説の一杯」の流れを汲んでいたけれど、かやくを千切りネギだけに絞ったことによる変化は凄まじく、ノンフライ麺にも進化を感じた本商品。しかも「佐野実の伝説の一杯」の販売価格は1食あたり297円(税込320円)だったのに対し、今回の「かけ醤油らぁ麺」は267円(税込288円)ということで、300円の壁を越えなかったところもデカい。
もちろん具材は袋麺との差別化に深く関わっているステータスのひとつになりますが、今回のように麺とスープの作り込みが素晴らしい商品であればあるほど “とりあえず放り込みました的な具材„ は要らないんですよ。
2026年4月に実施される即席カップめんの値上げに伴い、今後さらなる買い控えが予想される現在。なかでも有名店監修の大判どんぶり型は具材の安っぽさが際立つ傾向があるので、このジャンルでは使い回しの具材を省き、手に取りやすい販売価格を実現した「かけ系」のトレンド化に期待しています。【author・taka :a(大石敬之)】


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