どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年1月24日(月)新発売、サンポー食品のカップ麺「焼豚ラーメン×麺道はなもこし 鶏白湯ラーメン」の実食レビューです。
とんこつの本場で “非とんこつ系” の鶏白湯(とりぱいたん)を提供する人気店「麺道はなもこし」と “豚骨にこだわる” 九州のメーカーがカップラーメンを共同開発!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
焼豚ラーメン×麺道はなもこし 鶏白湯ラーメン
麺道はなもこしとは、とんこつラーメンの激戦区として知られる福岡県は薬院大通に店を置き、その地で行列が耐えないほどの人気店で、いま “もっとも福岡でアツいラーメン店” と評価されている実力の持ち主。店主の広畑典大(ひろはた のりひろ)氏は、博多とんこつラーメンの名門「博多だるま」で修行を積んだ経歴を持ち、しかしながら豚骨ではなく鶏白湯で勝負することを選択した人物。
今回の新商品「焼豚ラーメン×麺道はなもこし 鶏白湯ラーメン」は、佐賀県三養基郡基山町に本社・工場を構えるサンポー食品と「麺道はなもこし」の特徴を掛け合わせた一杯で、単なる監修商品ではなく、お互いの長所を活かしあった “いいとこ取りのコラボレーション” がコンセプト。多くの「はなもこし」ファンがいたサンポー食品社員の想いが実を結び、念願のコラボが実現したそうです。
「麺道はなもこし」のルーツを探ってみると、店主は「博多だるま」出身の人物と前述しましたが、もともとは福岡市中央区今泉2丁目で人気を博した居酒屋「ハナモコシのシェネ」に始まり、当初は地鶏料理をはじめとする創作料理を提供していました。しかし、2009年12月に屋号を「鶏と麺 花もこし」に改め、現住所の福岡県福岡市中央区薬院2丁目(エスキーモアシャトー薬院 1F)に移転。
以前からの常連客が離れてしまったこともあり、試行錯誤の末に辿り着いたのが自家製麺。そのために製麺機を購入し、移転から約2年後となる2011年10月20日 “すべて自分ひとりで作った料理を提供したい” という想いを実現するため、26席を確保していた「鶏と麺 花もこし」を改装し、ワンオペでも回せるカウンターわずか6席のラーメン専門店「麺道はなもこし」にリニューアルしたそうです。
はなもこし(花もこし)という個性的な店名は、森田一義(もりた かずよし)氏のレコード『TAMORI 2(タモリのバラエティー・ショー Vol.2)』に収録されていた「きょうのお料理『ハナモコシのシェネ地中海風』《信濃路ツアー・三流れ川付近》』に由来し、それが転じて現在の「麺道はなもこし」になったとか。
そんな「麺道はなもこし」で提供されているのは、福岡県産の銘柄鶏として知られる華味鶏(はなみどり)を大量に煮込み、鯛干しや瀬戸内産のイリコ、北海道産の羅臼昆布、貝柱などで旨味を引き立てた「鶏そば」が有名で、本枯れ節や羅臼昆布、秋刀魚節、丸鶏などから作る清湯(ちんたん)系の「中華そば」も注文率が高いメニューとなっているのですが、今回のカップ麺は前者の「鶏そば」がモデル。
しかし、それをカップラーメンで忠実に再現するのではなく、お互いの長所を活かしあった “いいとこ取りのコラボレーション” が「焼豚ラーメン×麺道はなもこし」のコンセプト。サンポー食品の焼豚ラーメン×有名店といえば、これまで「豚骨ラーメンコラボ企画*」と題し、九州の豚骨ラーメン専門店とコラボした6商品を展開していましたが‥‥
*第1弾「長浜ナンバーワン」(2016年4月11日発売)、第2弾「丸幸ラーメン」(2017年1月16日発売)、第3弾「魁龍どトンコツ」(2018年1月15日発売)、第4弾「丸星ラーメン(丸星中華そばセンター)」(2019年1月21日)、第5弾「初代秀ちゃん」(2020年1月20日)、第6弾「名島亭」(2021年9月13日)
今回より企画そのものを「焼豚ラーメンコラボシリーズ」に改め、その第7弾として鶏白湯の名店とコラボを実現させたサンポー食品。また「麺道はなもこし」の店主もサンポー食品の「焼豚ラーメン」に対する思い入れが強く、自身の人格形成に一役したと公言しているため、どのように互いの長所を活かし合っているのか、そのバランスに注目です。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「焼豚」「かやく」「粉末スープ」に、後入れの「調味油」で合計4袋。ハート型の焼豚が “焼豚ラーメン” のアイデンティティを表現し、多めの粉末スープと調味油の組み合わせもサンポー食品らしい構成で、調味油の量が多いのも嬉しいポイント。
麺はラードを配合した油で揚げたフライ麺で、たとえば「丸幸ラーメン」監修の商品などに使っている福岡県産小麦(ラー麦)は使用していないようですが、この時点でラードの香りが芳ばしく、サンポー食品らしいファーストインプレッション。あくまでも “お互いの長所を活かしあった” がコンセプトなので、油揚げ麺もネガティブではなく、スープとの相性に集中できるのがポイント。
メーカー希望小売価格は220円(税別)で、おそらく九州を出た途端にエンカウント率が低くなっていると思いますが、販売エリアは全国区かつ販売店も限定していないNB(ナショナルブランド)商品。九州のコンビニではセブンイレブンでの取り扱いが多く、関西でもイトーヨーカドーでの販売を確認しているため、サンポー食品の営業がセブン&アイ系列の店舗に力を入れたのかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:焼豚ラーメン×麺道はなもこし 鶏白湯ラーメン 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230) 内容量:114g(めん85g) 商品コード:4901773101221(JAN) |
発売日:2022年01月24日(月) 実食日:2022年01月28日(金) 発売地域:全国 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:大盛りバケツ型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:500ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:4袋(焼豚・かやく・粉末スープ・調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(チキンエキス、植物油脂、豚脂、粉末油脂、しょうゆ、食塩、チキンオイル、香辛料、デキストリン、魚介エキス、かつお節粉末、たん白加水分解物、糖類)、かやく(焼豚、きくらげ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(キサンタン)、炭酸カルシウム、乳化剤、かんすい、カラメル色素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・ごまを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は調味油以外すべて先入れなのですが、麺の上に「焼豚」を置いてから「かやく」の順に入れ、それから「粉末スープ」を開けるのがポイント。この手順は多めの粉末スープを溶かすために必要なので、かならず守り、粉末スープを溶かしながら、ゆっくりと内側の線まで熱湯を注いでください。
待っている間にフタの上で「調味油」の小袋を温めて、時間になったら粉末スープを完全に溶かし、調味油を入れて再度よく混ぜ合わせたら完成です。ハート型の焼豚により、調理後の見た目は「焼豚ラーメン」らしく、調味油に豚脂(ラード)を使っているのですが、いつもの「焼豚ラーメン(九州とんこつ味)」と比較して香りは別物。
それもそのはず、サンポー食品の絶対的エース「焼豚ラーメン」に必要不可欠な “ポークエキスは使用していない” ため、なかなか面白い展開。はたしてサンポー食品は鶏白湯も表現できるのか、引き続き両者の長所に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(114g)あたり |
カロリー:540kcal たん白質:12.1g 脂 質:26.7g 炭水化物:62.9g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.3g) (スープ:4.3g) ビタミンB1:0.47mg ビタミンB2:0.45mg カルシウム:194mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
いつもの油揚げ麺
サンポー食品が製造する油揚げ麺には、大きく分けて熱湯3分の標準的なサイズと熱湯2分の細麺があり、今回は前者。どちらを使っても「麺道はなもこし」店主こだわりの自家製麺には程遠く、似ても似つかぬ仕上がりになりますが、後述する粉末スープや調味油との相性に問題はなく、結果的な印象としては悪くありません。
たとえば「丸星ラーメン監修 久留米とんこつ」など、寿がきや食品に製造を委託したノンフライ麺を使った商品も一部ありますが、サンポー食品といえばラードで揚げたフライ麺。おそらく既存の油揚げ麺なので、新鮮味はないものの、食べ始めは中心部に残るコリコリとした歯応えがクセになる感じ。揚げ油に使われているラードが功を奏し、風味も香ばしく、そうそう、これこれ‥‥みたいな、好きw
けっこうスープの味が強かったので、おそらく熱湯2分の麺だと埋没してしまい、バランスが悪かったのだろうと想定すれば、納得できる取り合わせ。もちろん再現度の高さを重視した場合、ノンフライ麺に分があるのは明確ですが、サンポー食品といえば “ラードで揚げた麺” を期待している方も多いと思うので、今回は油揚げ麺ならではの魅力を楽しんでください。
スープ
カップラーメンらしい味だけど軸に個性がある
たとえば「焼豚ラーメン トロ旨鶏白湯風」(2015年9月14日発売品)に、ヤオコー限定の「特製鶏油香る白濁スープ 鶏白湯ラーメン」(2020年11月9日発売品)ほか、このブログでもレビューした「博多華味鳥(はなみどり)監修 博多極上鶏白湯ソバ」(2021年1月25日発売品)など、実はサンポー食品史上初の鶏白湯ではありません。
しかし、ちょうど1年ほど前に発売された「博多華味鳥」の粉末スープを例に挙げると、それよりもトロミが強く、ぽってりとした口当たり。白湯系でもクセを抑えたチキンエキスを使用していたので、粘度の高さについては不自然に感じるものの、やや醤油の当たりが強く、胡椒のアクセントにも輪郭を持たせ、メリハリのある味に仕上げてあります。
実は普段の「焼豚ラーメン(九州とんこつ味)」にも “魚介エキス” を隠し味に使っているのですが、それとは別に “かつお節粉末” を重ねることで、この商品を監修した「麺道はなもこし」の味を取り込んでいるようなイメージ。さらに調味油の中身も「焼豚ラーメン」とは別物で、豚脂に鶏油(チキンオイル)をブレンドしており、豚脂とは違う芳ばしさを表現しています。
味のベクトルはカップラーメンど真ん中だったので、お店の味とは程遠いのではないかと思いますが、醤油、かつお節、胡椒をハッキリさせた鶏白湯という路線は面白く、なかでも鰹の効かせ方に「麺道はなもこし」のエッセンスを感じました。
具材
けっこうキクラゲが多かった
ハート型の焼豚は「焼豚ラーメン」のトレードマークで、向こうが透けて見えそうなくらいペラッペラなサイズに成型してありますが、その薄さとは裏腹に “心を込めて作りました” というサンポー食品の厚い気持ちが込められたもの。ネギもフリーズドライで風味がよく、エアドライのネギよりも自然な歯触りで、主張し過ぎないのが好印象。
コリコリとした食感のキクラゲも量が多く、チャーシューの味付けも濃いめなので、意識して食べると気分転換に嬉しい存在でした。しかし、たとえば「麺道はなもこし」の店舗で人気を博す「鶏そばアメリカン」には、食物繊維を補う刻み昆布がトッピングされているのと、薬味に酸っぱいの(大根桜漬け)もしくは辛いの(秘伝のタレ)が選べるのも特徴なので、もう一捻り欲しかったです。
総評
かなりカップラーメンらしい仕上がりなので、どちらかといえば本格的な商品ではないものの、豚骨を追求しているサンポー食品が鶏白湯に手を出すパターンは珍しく、かつお節粉末の効かせ方に「麺道はなもこし」のWスープを彷彿とさせる個性を感じました。
「豚骨ラーメンコラボ企画」から「焼豚ラーメンコラボシリーズ」にシレッと切り替わりましたが、おそらく今後も単なる監修商品ではなく、お互いの長所を活かしあった “いいとこ取りのコラボレーション” というコンセプトは受け継がれていくと思うので、第8弾を監修する有名店のピックアップはもちろん、いいとこ取りのバランス感も楽しみにしてます【author・taka :a(大石敬之)】