どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年5月20日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん ラーメン海鳴(うなり)魚介とんこつ」の実食レビューです。
博多とんこつの進化系と謳われる名店「ラーメン海鳴」の原点「魚介とんこつ」をカップラーメンで再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
ラーメン海鳴 魚介とんこつ
「ラーメン海鳴」とは、福岡や東京の人気行列店で修行を積み、福岡県福岡市中央区で2009年11月にオープンした行列の絶えない有名店です。今回の再現もとで看板メニューの「魚介とんこつラーメン」を筆頭に、修行先とは異なる独自のラーメンを展開しているのですが、お店の名前はラーメン海鳴(うみなり)ではなく「ラーメン海鳴(うなり)」が正しい読み方。
食べた人が思わず『美味い!』と “うなる” ような一杯を——そして「海=魚介の美味さを存分に堪能できる」新しい博多とんこつラーメンを、というのが店名の由来。その想い表現した「魚介とんこつラーメン」の味わいをカップラーメンで再現したのが今回の新商品なんですけど、カップ麺のパッケージでも印象的な豚サーフィンの海鳴キャラクターがファンキーで可愛いですね(笑)。
一口では語れない「魚介とんこつ」というテーマですが、「海鳴」の豚骨スープは丁寧に下処理を施した豚骨を臭みが出ないように寸胴で20時間、 “まったりと旨味が凝縮した” スープと “骨の髄を抽出した” スープを取り出して、それら2本をブレンド。さらに新しい寸胴は味や油が馴染むまで3ヶ月間、下処理やスープの温め用として使用するという徹底ぶり。
そして魚介スープには産地で分けた2種類の煮干と3種類の節類、羅臼昆布を合わせ、1回あたりに使用する煮干の量は1.2kg(200~300匹)。しかも、その煮干すべて手作業で頭や内臓を取り除き、和食の出汁(だし)に近い製法で低温から旨みを抽出しているとのこと。豚骨も煮干も丁寧に仕込むことで臭みや癖を抑え、やや魚介の要素が立つ味わいがスープの特徴とされています。
そのラーメンを作り上げ、「ラーメン海鳴」を人気店へと育て上げた店主・大久保 茂雄(おおくぼ しげお)さんは、常に安定よりも変化を選び、ラーメンの概念に囚われないラーメン職人で、もともとは東京の大手貿易会社に勤めていたそうです。そのまま仕事を続けていれば安定した将来が約束されている——けれども輝いている将来の自分がイメージできないと退職を決意、脱サラからのスタートでした。
東洋水産のニュースリリースには “福岡や東京の人気行列店で修行を——” としか書かれていませんが、店主は東京の「すごい煮干ラーメン凪」や福岡の一幸舎系列「博多元助」出身という経歴を持ち、10年間の修行を積んだ後、1年の準備期間をおいて2009年11月4日に「ラーメン海鳴 清川店」を独立開業。オープン当初から毎月の限定麺(創作麺)を提供し、中でも博多っ子の度肝を抜いた博多とんこつ×イタリアン「ラーメンジェノバ」も「海鳴」の真骨頂とされています。
その「ラーメンジェノバ」が超気になったんですけどw(「中洲店」と「海鳴食堂」限定で提供中とのこと)、今回は「海鳴」の原点「魚介とんこつ」の再現。カップ麺のパッケージには「湯戻し2分! 新かため極細麺!」と新開発の麺がアピールされているのですが、こと最近の東洋水産が手掛けるタテ型ビッグの麺は軒並みクオリティがアップしています。
お店の麺はスープに合わせて4種類の麺を用意し、「魚介とんこつ」に使用する自家製麺は表面に “もっちり” 感、そして芯に “反発” を持たせるイメージで打っているそうなので、その特徴が再現できているのかどうかも注目すべきポイントです。
開封
別添の小袋はフタの上に貼り付けてある「特製油」が1袋、けっこう持った感じ中身の量は多め。東洋水産のタテ型ビッグは基本的に特製油・特製スープの2種類に分けられるのですが、タレが入っている時は「特製スープ」、ほぼオイルで構築されている場合は「特製油」となっているので、今回こってり感ありそうですね。
開封すると粉末スープが多めに入っていて、具材は味付豚肉・玉ねぎ・ネギとシンプルな構成です。しかしながら味付豚肉は東洋水産が得意とするリアル系、この段階から甘辛い香りが漂ってきて食欲をそそり、ネギは大きめカット、玉ねぎは歯触りが強そうな細切りで、それぞれ量も申し分ありません。
希望小売価格はタテ型ビッグ製品の平均的な設定(205円)よりも5円高い210円(税別)、私はコンビニのファミリーマートで購入したのですが、値段は税込224円。その後、遅れて入荷してきた地元のローカルスーパーでは税込170円でした。ちょっと悔しかったですw(カップラーメンで54円の差って大きいですよね)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん ラーメン海鳴 魚介とんこつ 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:101g(めん70g) 商品コード:4901990363167(JANコード) 規格サイズ:縦108mm×横108mm×高さ122mm 発売日:2019年05月20日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:470ml 調理時間:熱湯2分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(ポークエキス、豚脂、食塩、植物油、砂糖、でん粉、粉末さばぶし、香味油脂、チキンエキス、たん白加水分解物、酵母エキス、香辛料、粉末かつおぶし、粉末煮干し、発酵調味料)、かやく(味付豚肉、たまねぎ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、加工でん粉、炭酸カルシウム、かんすい、カラメル色素、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】小麦・卵・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
麺の湯戻し時間は熱湯2分、パッケージにも極細麺と書いてあったように、だいぶサイズは細めに仕上がっています。先ほど東洋水産の麺が軒並みレベルアップしていると触れましたが、湯戻し前の状態から縮れの少ない洗練された佇まい、かつハリのある質感は “マルちゃん新世代系フライ麺” に見られる特徴と同じですね。
あとは熱湯を注いで2分後に特製油を投入し、よくかき混ぜたら完成です。調理方法や小袋には特に何も書いてありませんが、特製油の量が多いことに加えて動物油脂の豚脂(ラード)も含まれているため、待っている間に軽くフタの上で温めておいたほうがいいかもしれません。それからスープにトロミ成分が含まれていたので、容器の底から念入りに混ぜましょう。
それでは、麺が見えないほどの具材量が好印象な調理直後、お店の個性や麺の仕上がりに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(101g)当たり
熱 量:481kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:481kcal(めん・かやく:359kcal)(スープ:122kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
硬く歯ごたえのある極細の角麺。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『ラーメン海鳴 魚介とんこつ』新発売のお知らせ」)
湯戻し前は縮れのないストレート麺に見えたのですが、実際に調理した後はウェーブがかった細めの油揚げ麺で、たとえば同社の「マルちゃん 謹製 山椒香る塩そば」ほど洗練された新世代麺ではありません。けれども油揚げ麺特有のスナック的な風味は穏やかなので、確実に以前の熱湯2分かため極細麺よりも進化しています。
お店の麺も断面の丸い博多とんこつ系の極細ストレート麺ではなく、やや平打ち風の中細麺が採用されているようなので、おそらく角刃でカットしたのは正解。2分直後に開封して特製油を投入し、よく混ぜてハイ実食! だと部分的にサクッとしたスナック感が残っていたので、30秒ほど余分に待って馴染ませるのがいいかもしれません。
実店舗の自家製麺は「表面にもっちり感」と「芯に反発を持たせる」イメージで打っているらしいと書きましたが、この麺も表面に適度な弾力があり、中心部は歯切れがよく、しかしながら博多のパッツン系ほど弾けない食感に芯の反発性を感じました。これでストレートなら言うことないんですけど、それは次の “新かため極細麺” に期待ですね。
それから今回のスープには後半の柔らかくなってきた頃合いのほうが合っているように感じたので、もちろん好みの問題もありますが、30秒~1分ほど長めに待つのもいいかもしれません。食感の変化を楽しみながら、自分にベストなタイミングを探してみるのも楽しいですよ。
スープ
ポークの旨味をベースに、さば節や、煮干しの香味油脂を使用し、魚介の風味を利かせた、コクのある魚介豚骨味のスープ。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『ラーメン海鳴 魚介とんこつ』新発売のお知らせ」)
まったりとクリーミーな豚骨のコクが初っ端から舌を包み込んでくる、とても柔らかい旨み重視のスープで、いわゆる “またおま系” の荒々しい魚介豚骨醤油味とは一線を画す仕上がり。ベースの豚骨は特有の臭みを最小限に抑え、しかしながら丁寧に、じっくりと炊き出したような乳化感から薄っぺらいシャバシャバとんこつスープではありません。
とろみ成分でスープの粘度は高かめに仕上がっているのですが、骨のポジティブな旨みだけを抽出したようなコクから不自然な印象を与えることなくナチュラルに濃厚さを加速。そして容器側面には “魚介の旨味をふんだんに利かせた” と書いてあるのですが、荒々しさはありません。煮干・節類が丁寧に豚骨と馴染み、なるほど和風出汁の引き方に近い手法で旨味を抽出しているのにも納得の上品な魚介感です。
特製油の量は多く、豚脂も含まれているのですが、獣臭などの癖は感じません。しかしながら土台の丁寧な豚骨魚介の旨みに旨みを重ねるように動物系のコクを深め、こってりほどしつこくないけど旨味の重心は低く、とてもクリーミーで “まったり” とした旨味に拍車をかけ、糖分の効かせ方も適切で奥床しい。
タレの醤油も香り付けに過ぎないため、スープの攻撃性は皆無に等しく、しかしながら濃厚でもピンボケする気配を見せない絶妙な塩梅が好印象。牙のある豚骨スープや煮干の魚群が押し寄せてくるようなニボいスープに期待していると物足りないかもしれませんが、この「丁寧」な作り込みこそが「店主のこだわり(お店の個性)」だと感じました。
具材
味付豚肉、たまねぎ、ねぎ。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『ラーメン海鳴 魚介とんこつ』新発売のお知らせ」)
具材はシンプルな内容ですが、ほんと申し分ないですね。お店のチャーシューはバランス重視の炙りチャーシューで、スープとの相性を考慮した薄味が特徴となっているのに対し、カップ麺の味付豚肉は甘辛い味付けで炙りの芳ばしさもありません。けれども単純にクオリティが高く、ハムみたいな食感の四角いチャーシューチップとは雲泥の差。
クオリティが高い上に量も多く、ちらほら脂身も入っていましたが、けっこう赤身の部分が多かった今回、肉の歯ごたえや赤身の繊維質が奥歯で楽しめるタイプではあるものの、ちょっと熱湯2分では厳しかったので、豚肉はスープの中に沈めたまま、後半の楽しみに取っておくのがいいかもしれません。
そして豚肉だけでなく大量の玉ねぎによるフレッシュな香味がマイルドなスープを切り、しかしながら柔らかいコクを掻き消すほどに鋭利な切り方ではなく、まったりとした印象をキープしながら飽きがこないようにアクセントをもたらします。
ネギは白ネギではありませんが、シャープな印象は玉ねぎに任せ、青ねぎは柔らかい風味と食感でバランスは良好。実際の「魚介とんこつラーメン」にも刻んだ玉ねぎが入っているようなので、再現度の高さにも一役買っていました。いいですね、豚肉と玉ねぎが両者ともに負けず劣らずの主役級ですよ。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
もし、お店の個性や “こだわり” を知らずに食べていたら、荒々しさのない豚骨と癖のない煮干に物足りなさを覚え、現在の評価からワンランク下に落としていたかもしれません。けれども豚骨・魚介それぞれスープは別取りしているはずなのに、渾然一体に溶け合う様は、実にクリーミーで味わい深いものがありました。
まだ麺に伸び代が見られますが、東洋水産の成長ぶりを思うと細ストレート麺の実現もそう遠くはないはず。具材もシンプルながらに過不足なかったですし、豚骨臭やニボい魚介感に期待していると物足りなさを覚えるかもしれませんが、これならコンビニで購入しても損はないと感じました。
また、お店の「魚介とんこつラーメン」と「魚介とんこつつけ麺」などに使用しているスープの煮干しを今週(2019年5月第話3週)から一部「瀬戸内産」に変更したそうで、より洗練された味わいに各店でリニューアルしているそうです。今回は「ラーメン海鳴(うなり)」の原点「魚介とんこつラーメン」の再現でしたが、次は「中洲店」と「海鳴食堂」の限定メニュー「ラーメンジェノバ」(とんこつにジェノベーゼソースを合わせたラーメン)の再現カップ麺も食べてみたいですね。