どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年7月4日(月)新発売、まるか食品のカップ麺「ペヤング ソースやきそば迷油」の実食レビューです。
今度のペヤングは「迷油」で仕上げる油そば風のソースやきそば!? 謎油もとい迷油(めいゆ)の真相に迫ってみた結果 → 迷油の正体と偶然にも知ってしまった “ありえない” 開発秘話とは——。
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ペヤング ソースやきそば迷油
ペヤング(peyoung)とは、まるか食品の代名詞的なブランドで、1973年(昭和48年)7月に発売された同社初の即席カップめん「ペヤングヌードル」を皮切りに発足。その約2年後、1975年(昭和50年)3月13日に「ペヤング ソースやきそば」が現れ、屋台の焼きそばをイメージした四角い容器に、まろやかな液体ソース、具材の個包装など、いずれもペヤングが先駆けて導入した業界初の仕様でした。
今回の新商品「ペヤング ソースやきそば迷油」は、いつものソースやきそばを油そば風にアレンジした迷走感MAXの変わり種で、迷油の読み方は “まよいあぶら” ではなく「めいゆ」が正解。ツッコミどころは満載ですが、とりあえず「ソースやきそばに特製調味油を入れた逸品」とのこと。1周回って何を言っているのか分からないw というわけで、まずは独自に入手した “開発秘話” から書き記しておきます。
迷油というタイトルについて、謎油(なぞあぶら)に空目した方も少なくないかと思いますが、それもそのはず。これは、まるか食品の関係者に聞いた話——。結論からいうと「迷油」は、何を隠そう「カップヌードル」の人気具材として知られる謎肉(なぞにく)に引っ掛けた企画。顧客に “どんな油か分からない” という疑問を抱かせ、興味を引くために「迷油」と命名したらしく、おいおいマジかと。
まるか食品の社内には、商品開発部において「流行の調査を一切しない」「ライバル企業の新商品は絶対に参考にしない」「毎日絶対に試食会を開く」という鉄の掟が存在します。それについては同社が某テレビ番組でも公表しているため、迷油は “謎肉の人気を意識した油である” という事実を知ったとき、この掟は絶対的なものではないのだなと、迷油の成分どうこう以上に猜疑の念を抱きました。
そして、猜疑の念といえば外装のシュリンクフィルム。正面に印刷されている栄養成分表示を見ると、摂取カロリーの目安になる “エネルギー:544kcal” のみハッキリと確認できますが、騙されてはいけません。ペヤングやきそばシリーズにおいて、1食あたり120g・544kcalの既存するフレーバーといえば、永遠のスタンダード「ペヤング ソースやきそば」ただ一つ。
エネルギーの直下にある “ん白質:8” は「たん白質:8.9g」の一部で、その下にある “2” は「脂質:27.6g」の断片とみて間違いなく、いずれも「ペヤング ソースやきそば」の栄養成分表示であることを裏付ける数値。では、どこに「ソースやきそば迷油」の確かな栄養成分表示が印刷されているのかというと、容器の底面に位置する部分。
1食あたりの内容量は142gと通常の「ソースやきそば」よりも多く、カロリーは722kcalの大台で、他社が展開している大盛りサイズのカップ焼きそばに匹敵するレベル。さすがに同社の「ソースやきそば超大盛」(1081kcal)よりかは控えめですが、脂質についても45.6gということで、いつもの「ソースやきそば」対比1.6倍以上のオイル感を覚悟しなければいけません。
まるか食品の公式ウェブサイトには、商品の特徴について “まろやかで飽きのこないソースの味わいに、にんにく風味の特製調味油をかけることで、こってりとした本格的な油そばを再現しました。” との記載があります。それが真実であれば「迷油」の正体は “にんにく風味の特製調味油” ということになりますが、はたして——。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「ソース」と「調味油」の計3種。ソースの小袋は通常の「ペヤング ソースやきそば」と同じデザインですが、比較的にサイズが小さく、ふりかけ&スパイスは省かれ、無駄に毒々しい色合いの調味油が本日の主役。迷油の内容量を計測してみたところ、まさかの約35gだったので、大さじに換算すると3杯弱のオイルが入っています。
麺は油で揚げたフライ麺で、調理前の麺重量は90gの標準サイズ。詳しくは後述しますが、一部の特殊な商品を除き、ペヤングやきそばシリーズの麺は基本的に共通です。ラードを配合した昔ながらの油で上げているため、お湯を注ぐ前から漂ってくる、特有の芳ばしい香りが印象的。
メーカー希望小売価格は214円(税別)なので、いつもの「ソースやきそば」193円(税別)よりも高めの値段。しかし、2022年の即席カップめん業界では、各社もれなく6月1日出荷分から一斉に価格改定(値上げ)の実施に踏み切ったのに “まるか食品だけはペヤング製品の価格を据え置いている” ため、これには頭が下がる思いです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ペヤング ソースやきそば迷油 製造者:まるか食品株式会社 製造所:本社工場(群馬県伊勢崎市戸谷塚町49-1) 内容量:142g(めん90g) 商品コード:4902885008323(JAN) |
発売日:2022年07月04日(月) 実食日:2022年07月06日(水) 発売地域:全国 取得店舗:ウエルシア 商品購入価格:203円(税込) 希望小売価格:214円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型レギュラー 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:480ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:3袋(ソース・かやく・調味油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、しょうゆ、食塩、香辛料)、添付調味料(植物油脂、ウスターソース、糖類、動物油脂、たん白加水分解物、食塩、香味油、食用風味油、香辛料、ビーフエキス、ビーフ風味調味料)、かやく(キャベツ、味付け鶏ミンチ)/ 香料、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(グァーガム)、酸味料、かんすい、香辛料抽出物、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、重曹、ビタミンB2、甘味料(カンゾウ)、(一部に小麦・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
先入れの「かやく」は、キャベツ・味付き鶏ミンチの計2種で、オリジナルの「ソースやきそば」では “キャベツ、味付け鶏ひき肉” となっているのですが、おそらく食品表示法の関係で質は同じモノ。昔は粒状の挽肉だったのに、いつしか筒状のコレに変わっちゃって‥‥(※ちなみに下請業者の変更が理由だそうです)。
別添の液体ソースと調味油(迷油)は後入れなので、お湯を注いでから3分後に湯切りし、それぞれ混ぜ合わせるのですが、あきらかにギラついている今回の変わり種‥‥w いつもよりソースの量は控えめなのに、追加されたオイルの量は尋常ではなく、こうなってくると味のバランスに懸念が出てくる展開。
麺の量は汁なしカップ麺での標準となっている90gなのに、カロリーは前述のように722kcal、脂質も45.6gと容赦ないため、引き続き迷油の正体と味のバランスに注目しつつ「めん」「ソース・迷油」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(142g)あたり |
カロリー:722kcal たん白質:8.9g 脂 質:45.6g 炭水化物:69.1g 食塩相当量:4.1g |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
いつもの油揚げ麺です
たとえば “そば粉不使用” の黒い油揚げ麺(蕎麦風めん)を搭載した「なんちゃって蕎麦風」だったり、春雨の「ピーヤング」だったり、なかには特殊な商品も存在しますが、ペヤングやきそばシリーズの油揚げ麺(熱湯3分)は基本的に変わりません。それは泣けるほど辛い「獄激辛やきそば」に、スイーツ系の「アップルパイテイストやきそば」なども例に漏れず‥‥
今回の「ソースやきそば迷油」に使われているのも通常の「ソースやきそば」と同じ油揚げ麺という認識で問題なく、平均的な形状よりも “ぷっくり” としているように見えますが、あくまでもロット差にすぎません。これについては開発部にも確認済みで、前述した一部の特殊な商品を除き、麺を使い分けることはないそうです。
ソースがスイーツ系だと喧嘩する嫌いを見せますが、後述するウスターソース+迷油との相性に問題はなく、いつものペヤングらしさが楽しめました。ちなみに賞味期限の右に「+H」と記載してあったら群馬県伊勢崎市戸谷塚町の本社工場で、同じ箇所に「+A」と記載してあったら群馬県伊勢崎市下触町の赤堀工場で製造したことを意味しているのですが、基本のレシピは変わりません。
ソース・迷油
ソースと迷油の比率よw
原材料名から「迷油」に該当する(と、思しき)植物油脂・動物油脂・食用風味油を抜き出してみると、いつもの「ソースやきそば」に別添されているソースと共通する原材料だけが残り、香辛料の割合は変わっているのですが、おそらくニンニクの追加による違い。体感的にもソースだけ舐めると “いつもの味” だったので、まったく成分は変えていない、あるいは変えていたとしても微調整に過ぎません。
しかし、どんどんソースを侵食していく迷油の量は凄まじく、なるほど「油そば風」という表現にも全力で頷けるギトギト感。ソースとのバランスは 3:7 くらいの比率で「迷油」が多く、基本は植物油脂を主成分としているのですが、少量の動物油脂をブレンドすることで厚みを持たせています。
食用風味油なる原材料が怪しすぎますけどw 差し詰め「迷油」は “植物油脂に動物油脂(おそらく豚脂)をブレンドしたガーリックオイル” といった印象で、これ単体で舐めるとニンニク特有の辛味を感じるほど。ウスターソースのシャープさは完全に飲まれるため、いつもの味とは掛け離れているのですが、伝統のソースを蔑ろにするかの如く “こってり” に振り切った潔さには脱帽しました。
※念のため関係者に「迷油」の主成分について言及してみたところ、さすがに “開示できない部分もありまして-・” と返されてしまったのですが、基本的には「植物油脂」とのこと。そこにニンニクの風味を添加しているため、要約すると “ガーリックオイルという認識で問題ない” との回答でした。
かやく
いつもの具材なのに迷走を錯覚させる奇跡
キャベツは本家「ペヤング ソースやきそば」に匹敵するボリュームで、こってりとしたオイル感を中和してくれる‥‥いや、本来なら “そうあるべきオアシス” なんですけど、迷油におかれましてはキャベツさえもギットギトでw 結果 → よき(※ただし筒状の味付け鶏ミンチてめぇはダメだ)。
ペヤングの具材は基本的に他社よりも量が多くて満足度が高いなと、あらためて感心したのですが、後半にかけてのバランス的に、いつもの「ふりかけ&スパイス」が恋しくなるなど。いや、この最後まで味が着地しない、なんとも迷走したフラフラ感を楽しむのも一興ですかね。
総評
大量の「迷油」で唇はギトギトになるし、ペヤングが守り続けてきたソースもボヤけてしまうし、箸休めになるアクセントもないし‥‥というわけで賛否両論の商品になるかとは思いますが、しょうゆダレではく “ソース仕立ての油そば風” は珍しいジャンル。それもペヤング伝統のソースは二の次に、真っ直ぐアブラに振り切っていたので、その潔さと背徳感に価値が見出せる一杯でした。
とはいえ近年のペヤングといえば、新作が出ても “売ってない問題” が深刻化している地域が多く、今回の「迷油」も然り。どこに売ってるのか公式に販売店を確認したところ、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどを中心に、おそらく “コンビニでの採用はない” との回答だったので、気になっている方は最寄りのスーパーやドラッグストアを狙ってみてください【author・taka :a(大石敬之)】