どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年8月21日(月)新発売、明星食品のカップ麺「明星 麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!?」の実食レビューです。
豚の旨み引き立つカメリアラードと国産黒豚エキス使用、豚骨スープなのに澄んだ見た目が特徴的な清湯(ちんたん)とバリカタ麺で “お店品質の一杯” を表現!!
次世代の進化形豚骨? それとも原点回帰? 実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!?
「麺とスープだけ」とは、文字通り「麺」と「スープ」に振り切ったシリーズで、2020年(令和2年)3月28日に設立70周年を迎えた明星食品のプロジェクト・明星セレクション(MYOJO SELECTION)の一環として発足。究極のかけラーメンをコンセプトに掲げ、即席カップめん業界では前代未聞となる「だしパック」を搭載した、2021年3月29日発売の初代「黄金鶏油中華そば」を皮切りに——
2021年12月20日発売の第2弾「漆黒マー油豚骨ラーメン」及び2022年3月14日発売の第3弾「琥珀貝だし中華そば」までは “MYOJO SELECTION” のロゴを冠していましたが、同年9月5日に第4弾として登場した二代目「黄金鶏油中華そば」にて “MYOJO SELECTION” から独立。このページでレビューする「え? 透明スープの豚骨!?」は、通算すると「麺とスープだけ」シリーズ第5弾に該当する一杯です。
パッケージでも大きく「え?」と集中線付きでアピールされているように、ラーメン業界や即席カップめん業界における豚骨(とんこつ)が主原料のスープといえば、濁りのある白湯(ぱいたん)という認識が一般的。豚骨スープが白く濁る理由は、豚骨を強火で煮立たせるこにより、骨髄の主成分でもあるコラーゲンがゼラチンに変化して、そのゼラチンが界面活性剤(乳化剤)の役割を果たすから。
元来、水と脂(脂)は混ざり合わない性質を持っていますが、強火でガンガンに炊き出された豚骨に由来するゼラチン質が脂肪分を包み込み、水との分離を防ぐ(水と脂が完全に混ざり合う)というのが白く濁る原因で、この現象を “乳化” といいます。代表的な例を挙げると、本来は混ざり合わない酢(水溶性)と油(脂溶性)の分離を卵黄(界面活性剤)が防いでいる「マヨネーズ」が身近な存在。
ただ、日本で最初に確立された豚骨スープは弱火で炊き出す清湯(ちんたん)で、1937年(昭和12年)に久留米で創業した老舗「南京千両(なんきんせんりょう)」にルーツを持ち、当初は透明度の高い豚骨スープが主流でした。しかし、その約10年後、1947年(昭和22年)に「三九(さんきゅう)」という店の主人が外出中に自慢の豚骨スープを煮立たせてしまった “偶然の成功” が豚骨白湯の始まり。
その “失敗” と思われた白濁スープは、瞬く間に巷で「うまい」と話題になり、久留米とんこつラーメンの歴史を改変。かくして豚骨ラーメンのスープといえば白濁している、というイメージが全国的にも定着したので、透明スープの豚骨!? などと逆に目新しさを感じる事態になっているのですが、都内にも出店した「豚そば 月や」をはじめ “次世代のクリア豚骨” として注目を集めたことがあるのも事実。
本来であれば源流となる透明な豚骨スープが “豚骨ラーメンの進化系=クリア豚骨” としてメディアにも取り沙汰され、トレンドに敏感な即席カップめん業界に波及しないわけもなく、ヤマダイ「凄麺 澄んだスープの豚骨ラーメン」、サンポー食品「透豚骨(すけるとんこつ)」、東洋水産「謹製 豚そば」などがリリースされて話題になりましたが、それも約4年前の話。
しかし、明星食品が清湯豚骨を本格的に表現するのは、おそらく今回が初めてのこと。同社が得意とする熱湯1分のバリカタ麺に、有名ラーメン店でも採用されているカメリアラード(通常のラードと比較して、豚の甘味やコク、芳ばしさなどが強く感じられるオランダ産の高級ラード)や国産黒豚のエキスを使用ということで、仕上がりが楽しみです。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は “すべて後入れ” で、内容は「粉末スープ」「液体スープ」「カメリアラード」の計3パック。ときにカメリアラードといえば、1999年(平成11年)8月21日の創業以来、現在は埼玉県新座市野火止で人気を博す「ぜんや」が使用しているため、エースコックが同店監修のカップ麺にも使っているのですが、この高級ラードを明星食品が大々的に訴求するのは初の試み。
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は1分(60秒)でOKのバリカタ仕様。原材料名の構成は、2021年12月20日発売の「麺とスープだけ」シリーズ第2弾「漆黒マー油豚骨ラーメン」と完全に一致する内容で、調理前の見た目も似ています。とんこつラーメン専用のバリカタ麺を作らせると、この業界では明星食品が最強の一角なので、ほとんど不安はありません。ただ‥‥
メーカー希望小売価格は278円(税別)に設定されているため、たとえばコンビニで購入した場合の税込価格は300.24円。これが大盛りサイズのカップラーメンであれば、平均ちょい上くらいの価格設定に位置しますけど、調理前の麺重量は65gなので、そこだけ見るとレギュラーサイズの「カップヌードル」と同じ値。もちろん土俵は違いますが、格付けするなら “ミドルハイクラス” といったところ。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!? 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:106g(めん65g) 商品コード:4902881411349(JAN) |
発売日:2023年08月21日(月) 実食日:2023年08月26日(土) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:278円(税別) 購入価格:246円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯1分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・カメリアラード) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、乳たん白、食塩)、スープ(豚脂、しょうゆ、ポークエキス、ポーク調味料、糖類、香味油、食塩、たん白加水分解物、酵母エキス、香味調味料、植物油脂)/ 調味料(アミノ酸等)、加工デンプン、香料、かんすい、酒精、炭酸カルシウム、卵殻カルシウム、増粘剤(キサンタンガム)、乳化剤、カラメル色素、炭酸マグネシウム、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
先入れの小袋は別添されていないため、3種の小袋を取り出してから熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「カメリアラード」を温めながら待つこと1分。熱湯を注いだ後のカップ麺は、瞬時にフタの上が熱くなるので、そこそこ小袋の中身も温かくなりますが、熱々至上主義の方は事前に熱湯で温めておくのがポイント。ただ、強火での湯煎は避けてください(場合によっては小袋が変質するので)。
時間になったらフタを開け、後入れの「粉末スープ」と「液体スープ」を投入し、よく混ぜ合わせてから仕上げに「カメリアラード」をトッピングして完成です。いやー、なんというか、マジで「麺とスープだけ」ですね、コレは(語彙力)。とはいえ “それ” がコンセプトですし、カメリアラードに由来する芳ばしさも然る事乍ら、それとは異なるクセを備えたニオイも印象的。
ちなみに液体スープは問題なかったんですけど、カメリアラード100%のほうは熱湯1分だと白く凝固した部分が残ったので、気になる方は事前に温めておいてください。それでは、念のため費用対効果にも注目しつつ「めん」「スープ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(106g)あたり |
カロリー:424kcal たん白質:12.3g 脂 質:16.0g 炭水化物:57.8g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:1.9g) (スープ:5.0g) ビタミンB1:0.25mg ビタミンB2:0.20mg カルシウム:152mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:424kcal(めん・かやく:323kcal)(スープ:101kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっと麺量は少ないけど高品質
すでに「ザ・バリカタ55」というシリーズで “熱湯55秒” の湯戻し時間を実現しているため、それを機に明星史上最短の座を譲ることになってしまったのですが、クオリティは縦型ビッグの「ザ・バリカタ55」よりも上。たとえば博多の極細ストレート麺と比較して縮れのある形状ではあるものの、加水率が低い硬め食感は雰囲気あり。
それも、ただ戻っていないだけ、みたいな質感ではなく、熱湯1分で適切に戻るように計算されており、別添のスープ類を加える時間も込みで食べごろを迎える切れ者。やや縮れのある形状と先述したように、おかげで麺と麺の癒着も防げているため、熱湯1分ぴったりで箸を入れてもストレスなくバラけてくれる、というのも高く評価できるポイント。
数年前の仕様と比較して、表面の粉っぽさやザラつきが弱くなっていたり、ちょっと粘りが強くなっていたり、それなりの変化を感じてはいるものの、あいかわらず最強クラスであることは間違いありません。ちなみに余談ですが、このバリカタ麺に匹敵する技術を持っているのは現状、ニュータッチのヤマダイが誇る「凄麺(すごめん)」くらいなので、お互い意識しながら切磋琢磨してほしいです。
スープ
値段相応のリッチ感
まずは「粉末スープ」を直接、箸先に取って舐めてみたところ、スナック菓子のシーズニングよろしく甘塩っぱい味付けで、想像以上にジャンクなテイスト。旨みについても人工的だったので、ちょっと不安に感じたのですが‥‥
「液体スープ」を投入した途端、スープの系統でいえば真逆に位置する存在ではあるものの、久留米を代表する銘店「大砲ラーメン」監修シリーズに通じる “むわっ” としたニオイが添加され、澄んだ見た目とは裏腹に香りはワイルド。味についても清湯とは思えないほど濃密で、豚の出汁(だし)をギュ〜ッと凝縮させたような、ずいぶんとリッチなテイストでビックリ。
別添の「カメリアラード」は、小袋にもあるように100%カメリアラードで、豚脂ならではの芳ばしさが強く、けれども下品ではありません。その香りは前述の “むわっ” としたニオイを覆い隠すほど、かなり明確に主張してくるのですが、液体スープのオイルと反発せずに調和しています。たとえば清湯系の牛骨スープにも負けないくらい、どっしりと重心の低い味わいに明星食品の本気度が伝わってきました。
総評
シリーズのコンセプト上、かやくは疎か第1弾には別添されていた薬味さえも省かれているのですが、豚骨専用のノンフライ麺に、重みのある清湯豚骨(クリア豚骨)の高級感が相俟って、物足りなさはありません。むしろ、かやくを省いたからこそ「麺」と「スープ」の本気度がダイレクトに伝わってくる、まさに「麺とスープだけ」ならではの仕上がりから、いい意味でコスパ的な部分も気にならない一杯です。
——で、そんなコンセプトに水を差すようなことを書きますけどw 黒胡椒と白髪ネギを添えたら満足度に星ひとつプラスできそうな感じだったので、まずは1食そのまま「麺とスープだけ」の魅力を堪能し、次は2食目、3食目と異なる薬味を加えて商品のポテンシャルを引き出してみる、そんな楽しみ方もありですね【author・taka :a(大石敬之)】