どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年3月27日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「お揚げとお揚げのきつねそば」の実食レビューです。
いま話題の “高たんぱく商戦” にマルちゃんも参入!? 1食あたり18gの蛋白質が摂取できる付加価値型のハイプロテイン和風カップ麺を市場に投下!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
お揚げとお揚げのきつねそば
たんぱく質(蛋白質)とは、20種のアミノ酸が鎖状に多数連結して構成される高分子化合物で、筋肉や臓器・皮膚・髪・爪のほか、体内のホルモン・酵素・抗体などの体調節機能において重要なポジションに位置している三大栄養素(PFC)の一つ。たんぱく質=身体を鍛えている人が重要視しているイメージが強いかもしれませんが、誰もが生きていく上で欠かせない栄養素です。
今回の新商品「お揚げとお揚げのきつねそば」は、マルちゃんのブランドで知られる東洋水産の “高たんぱく質カップ麺” で、一見するとタイピングミスに思えなくもないタイトルですが、たんぱく質の宝庫である大豆が主原料の油揚げが2種類入っている、というのが「お揚げとお揚げ」たる所以。さらに「鶏肉盛りの黄色い博多ラーメン」も同時に展開し、ラインナップの強化を図ってきました。
念の為「きつねうどん」とは、かけうどんに砂糖や醤油で甘辛く煮た油揚げをトッピングするメニューの総称で、発祥の店については諸説あるものの、明治時代に大阪府大阪市中央区南船場の「うさみ亭 マツバヤ(松葉家)」が考案した、というのが有力説。即席カップめん業界にも「赤いきつねうどん」や「日清のどん兵衛 きつねうどん」が存在するように、全国的な印象は一致すると思います。
しかし、これが「きつねそば」になると話は面倒で、かけそばに砂糖や醤油で甘辛く煮た油揚げをトッピングしたメニューである、というのは主に関東での認識。所変わって関西は大阪ですと油揚げをのせた蕎麦は「たぬき」と呼ばれており、いわゆる関東での「たぬきうどん」(天かす入りのうどん)は「ハイカラうどん」なので、大阪に「きつねそば」と「たぬきうどん」は存在しません。
さらに関西でも京都を巻き込みますと「たぬき」は “生姜を効かせた餡掛けうどん” を指し、片や「きつね」といえば “短冊状に切った油揚げ(味付なし)と九条ネギをトッピングしたうどん” を意味するため、ちょいちょいネットでもネタにされてますけどw 大阪と京都の「たぬき」が複雑なだけで「きつねそば」の全国的なイメージとしては “きつねうどんの蕎麦Ver.” かと思います。
というわけで、東洋水産が全国向けに販売している「紺のきつねそば」然り、今回の「お揚げとお揚げのきつねそば」は “油揚げをトッピングした蕎麦” になるのですが、小さく刻んだ「きざみ揚げ」と「一枚揚げ」をダブルでトッピングしているのが売り。そして、それ以上に “たんぱく質たっぷり” を訴求している、というのが最も重要なコンセプト。
国内初の “たんぱく質強化カップ麺” は、2021年4月5日にデビューを飾り、2023年3月現在も日清食品が製造・販売を続けている「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」及び「同 シーフードヌードル」なので、東洋水産がパイオニアではありません。しかし、今回の「お揚げとお揚げのきつねそば」と同日、明星食品が高たんぱく質を売りにした「ロカボNOODLES おいしさプラス」を市場に投下。
まさに即席カップめん業界における “高たんぱく商戦” の幕が切って落とされたといっても過言ではない状況なのですが、日清食品や明星食品の高たんぱく製品は高たんぱく以外の栄養素も盛り込んでいるのに対し、東洋水産は “高たんぱく質だけに焦点を絞っている” ため、そこが他社との大きな違い。
いわゆる減塩や低カロリーなど、美味しさを犠牲にする要素が少ないことに加え、高たんぱく質を売りにした和風タイプのカップ麺は現段階で珍しく、この試みが成功した暁には、新たな市場を開拓してくれるかもしれません。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」1袋のみとなっているのですが、定番の「赤いきつねうどん」や「緑のたぬきそば」のように七味唐辛子は付属していません。しかし、見るからに粉末スープの量が多いので、ここにも高たんぱく質の秘密が隠されているのかも。
かやくは最初から容器の中に入っている状態で、赤いきつねの一枚お揚げよろしく大きな油揚げと刻み上げに、半月かまぼこも雰囲気的に嬉しいアイテム。麺は油で揚げたフライ麺で、東洋水産の蕎麦における湯戻し時間は基本的に熱湯3分となっているのですが、やや太めに切り出された形状から今回は “熱湯4分” となっているため注意してください。そして、ひとつ見逃せないのがメーカー希望小売価格。
2023年3月28日現在、レギュラーサイズの「赤いきつねうどん」や「緑のたぬき天そば」に設定されているメーカー希望小売価格は214円(税別)となっているのですが、今回の「お揚げとお揚げのきつねそば」及び同時発売品「鶏肉盛りの黄色い博多ラーメン」では230円(税別)ということで、たんぱく質を強化したことが原因か標準的な値段よりも高くなっていました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん お揚げとお揚げのきつねそば 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場(M74) 内容量:90g(めん65g) 商品コード:4901990374187(JAN) |
発売日:2023年03月27日(月) 実食日:2023年03月28日(火) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:230円(税別) 購入価格:192円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:360ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(粉末スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、そば粉、植物油脂、植物性たん白、食塩、とろろ芋、卵白)、かやく(味付油揚げ、かまぼこ)、添付調味料(コラーゲンペプチド、食塩、しょうゆ、デキストリン、魚介エキス、たん白加水分解物、砂糖、ねぎ、粉末こんぶ、植物油、香辛料)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、リン酸塩(Na)、カラメル色素、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、レシチン、酸味料、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、カロチン色素、(一部に小麦・そば・卵・乳成分・さば・大豆・やまいも・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の「粉末スープ」は先入れで、調理方法には “粉末スープを麺の上にあけ” と記載されているのですが、もれなく一枚お揚げのディフェンスを喰らった私。ただ、前述のように粉末スープの量が多いため、お湯を注ぐ段階から溶かせるように、お揚げの上にあけるのがベストかもしれません(※ただし、お湯を注ぐ際に跳ねやすくなるため注意が必要です)。
あとは内側の線まで熱湯を注ぎ、フタをして待つこと4分。時間になったら一枚お揚げのディフェンスに負けないように、しっかりと粉末スープを溶かしたら完成です。お揚げとお揚げの重ね技で、見た目は申し分ない調理直後。たとえば「赤いきつねうどん(東)」を例に挙げると、たんぱく質の量は9.9gなので、それについては1.8倍以上に強化されているのですが、希望小売価格との兼ね合いも課題の一つ。
ちなみに製造所は酒悦の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、酒悦は東洋水産が1983年(昭和58年)7月から資本参加している連結子会社で、房総工場については “マルちゃんの工場” という認識で問題ありません。それでは、引き続きコストパフォーマンスについても注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(90g)あたり |
カロリー:401kcal たん白質:18.0g 脂 質:17.4g 炭水化物:43.1g 食塩相当量:4.6g (めん・かやく:1.6g) (スープ:3.0g) ビタミンB1:0.32mg ビタミンB2:0.29mg カルシウム:162mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:401kcal(めん・かやく:338kcal)(スープ:63kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
「緑のたぬき」よりもワイルド
原材料名の “小麦粉(国内製造)、そば粉、植物油脂、植物性たん白、食塩、とろろ芋、卵白” という構成は「緑のたぬき天そば」と完全に一致する内容で、そば粉の風味については目立って強い・弱いなどの差は生じていません。けれども湯戻し時間が1分延長されているように、いつもの「緑のたぬき天そば」と比較して食感は別物。
低めの加水率だったり、縮れの強さだったり、もちろん共通するところはありますが、熱湯3分の「緑のたぬき天そば」よりも力強い食感で、口当たり反発性もワイルド。反発性については小麦粉に由来しているため、そば粉の含有量が多い本物の蕎麦とは異なるベクトルを歩んでいるのですが、例えるなら田舎蕎麦っぽい野生味が楽しめます。
ちょっと後半はモサモサしてくるというか、品位に欠ける変化が否めない部分もありますけど、食べ応えについては標準サイズのカップ蕎麦として申し分ありません。熱湯4分きちんと待ってから本番と思える仕上がりだったので、いつもは少し早めに食べ始める方も、特別な事情がない限り時間は守ったほうが安全です。
スープ
想像以上に濃かったw
全体の食塩相当量は4.6g、スープだけで3.0gと極端に高いわけではなく、むしろ「赤いきつねうどん」や「緑のたぬき天そば」よりも控えめな値となっているのですが、想像していたよりも力強いテイストで、健康に配慮した商品に有り勝ちな物足りなさは皆無に等しいといっても過言ではありません。むしろ「お湯ちょっとだけ多めに入れたほうがいいんじゃない?」くらいの濃さ。
それも食塩が極端に強いとか、粉末しょうゆの量が通常よりも多いとか、そういった味の濃さではなく、しっかりと出汁(だし)を効かせた味わいで、それに負けじと砂糖の甘さも競り合っている、なかなか蕎麦のレビューでは使わない “濃厚” という表現がピッタリな、こっくりとした蕎麦つゆに仕上がっています。そして、成分的に注目しておきたいのが「コラーゲンペプチド」の存在。
油揚げの主原料は大豆ですが、いつもの「赤いきつねうどん」に入っている一枚お揚げに少量の刻み揚げを追加するだけで「赤いきつねうどん」対比たんぱく質が1.8倍以上になるわけもなく、その大部分は粉末スープに仕込まれたコラーゲンペプチドによるもの。おかげで若干ながら蕎麦つゆらしからぬトロミが付いていたのですが、おそらく許容範囲内だと思います。
かやく
さすがの満足感
大きな一枚お揚げは甘さ強めの(ストイックに糖質制限中の方にとっては凄まじい罪悪感を覚えそうなw)甘辛い味付けで、ひとくち食べた瞬間に思わず笑みが溢れるような、ほっこりと幸せな気持ちになれるアイテム。刻み揚げを追加した分、ちゃっかり「赤いきつねうどん」よりもサイズを落としたとか、そういった調整は感じません。
片や刻み揚げの味付けは控えめで、一枚お揚げよりも油揚げ本来の旨みを尊重しているような食感と風味から、意識的に食べると箸休めになる存在。ただ、そこまで刻み揚げの量は多くなかったので、値段相応の満足感かというと、ぶっちゃけコストパフォーマンスでいえば「赤いきつねうどん」のほうが高いです。
——あ、かまぼことネギは「赤いきつね」や「緑のたぬき」に入っている例のアレなので、それ以上でも以下でもないんですけど、少量でもパッと華やかでイイですね。
総評
通常サイズの「赤いきつねうどん」や「緑のたぬき天そば」よりもメーカー希望小売価格が高いので、どうしても差し引いている部分はありますが、高たんぱく質の付加価値を加味すると及第点では惜しいと判断し、星ひとつプラスしました。
さらに減塩だったり、低糖質だったり、ほかの機能もあると嬉しかったんですけど、付加価値を高たんぱく質に絞ったからこその仕上がりで、ほとんど違和感なく食べられると思います。前述のようにカップ麺で高たんぱく質を謳う製品は増加傾向にありますが、その中でも和風タイプは珍しいため、ひとまず試してみても損はないでしょう【author・taka :a(大石敬之)】