どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年5月9日(月)新発売、サンヨー食品のカップ麺「ののくら監修 謹製醤油中華そば」の実食レビューです。
前人未到の “手打式超多加水麺” を再現!? 東京・亀有駅付近で常に行列を成すマニア絶賛の超人気店「ののくら」ついにカップラーメンを監修!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ののくら監修 謹製醤油中華そば
手打式超多加水麺 ののくら(てうちしきちょうたかすいめん ののくら)とは、東京都葛飾区亀有3丁目で人気を博す行列店で、最大の特徴は屋号にもなっている加水率55%(53〜57%)の手打式超多加水麺。2017年も押し詰まる12月3日にオープンするや否や、新店とは思えない完成度の「中華そば」を提供し、数々のラーメンと接してきたマニアやフリーク、評論家までをも驚嘆させました。
今回の新商品「ののくら監修 謹製醤油中華そば」は、唯一無二の “手打式超多加水麺” を実現した全国屈指の人気店「ののくら」監修のもと、店舗で提供されている「中華そば(醤油)」の味わいを再現した縦型ビッグのカップラーメンで、サッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品と共同開発。すでに確固たる地位に築いている「ののくら」ですが、即席カップ麺の監修は創業以来初めての試みです。
「ののくら」を立ち上げた白岩蔵人(しらいわ くらと)店主は、2000年4月に東京都千代田区・九段下で創業し、現在は市ヶ谷に本店を置く名門「九段 斑鳩(くだん いかるが)」出身で、研鑽を積むこと7年間。満を持す独立を果たしてからは、うどんのような麺肌と中華麺特有の強い反発性を両立した “手打式超多加水麺” を看板に、食べログのラーメンランキングで全国1位を獲得したこともある実力派。
現在のラーメン業界における中華麺の加水率は “30~35%” が一般的とされ、30%を下回ると「低加水麺」に、35%を上回ると「多加水麺」に分類されるのですが、群雄割拠のラーメン業界でも加水率53〜57%の超多加水麺は稀な存在。使用している原材料は、北海道産の強力粉「夢ちから」と「きたほなみ」を軸に、水・塩・梘水(かんすい)とシンプルで、なんといっても製麺方法が特徴的。
屋号に「手打式」とあるように、もちろん手打ちをベースにしているのですが、そば打ち用の製麺機を併用する “ハイブリッド製麺方法” を考案し、その特殊な技法が「手打式」たる所以。青竹に脚を掛けて麺帯を伸ばす佐野ラーメン(栃木県佐野市)の青竹打ちや、手打ちで有名な福島県南部の白河ラーメン(とら系)の自家製麺とも違う、他に類を見ない独創的な質感を実現しました。
それに合わせるスープには、老鶏(ろうけい)の丸鶏を中心に、鶏ガラや鶏肉を時間差で大量に追加して、4種の煮干し・かつお節・うるめ節・昆布から抽出した魚介系の出汁(だし)をブレンド。カエシには笛木醤油の生揚げ醤油と福木純の本みりん、福木純の純米料理酒を合わせ、やや生姜のキレを強めに効かせているのは、中高年が多い亀有という土地柄の嗜好性に配慮した店主の計らい。
それを再現したカップ麺の容器側面には “手打風 特許製法麺” とあるように、サンヨー食品が誇る独自の特許技術が見どころで、特殊切刃を使用して手もみ風に仕上げた乱切り麺を使っているようですが、さらに太さが異なる3種の麺を混合しているのもポイント。
以前にも3種の混合麺を特徴とするカップ麺を発売していたサンヨー食品ですが、今回の “手打風 特許製法麺” について、ののくらの公式Twitterアカウントは “ののくらのニュアンスを感じてもらえるように何度も試作を重ね、麺はサンヨー食品さんの独自特許製法麺ののくら極太手揉み風仕様です!” と発表していたので、かつてない臨場感に注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋。サンヨー食品の公式ウェブサイトには “鶏のうまみをベースに、煮干しや昆布、かつおの味わいをバランスよく配合し、ほんのりとジンジャーの風味をきかせました。鶏脂を使用した調味油を合わせることで-・” とのアピールがあるため、小袋に含まれる鶏油(ちーゆ)の芳ばしさも注目すべきポイント。
かやくは「鶏・豚味付肉そぼろ」「メンマ」「ねぎ」の計3種で、いかにもサンヨー食品の縦型ビッグらしい取り合わせとなっているのですが、特許製法麺に必要なコストを想像すると妥当な印象も。ちなみに店舗の「中華そば(醤油)」には、低温調理した豚のレアチャーシューと鶏むね肉をメインに、海苔や三つ葉などをトッピングしているため、具材の再現度については予め割り切っておいてください。
メーカー希望小売価格は220円(税別)ということで、2022年5月現在の縦型ビッグ製品における標準的な設定。すでにコンビニでは首都圏のファミリーマートと全国のデイリーストアで取り扱いが始まっているようですが、スーパーやドラッグストアなども販売店に含まれ、ローソンでは5月17日(火)より販売開始の運びとなっているようです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ののくら監修 謹製醤油中華そば 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場 内容量:91g(めん70g) 商品コード:4901734046066(JAN) |
発売日:2022年05月09日(月) 実食日:2022年05月11日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:192円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、粉末卵)、スープ(鶏脂、食塩、糖類、チキン調味料、しょうゆ、植物油脂、豚脂、魚介エキス、粉末酒、昆布粉末、発酵調味料、かつお節粉末、たん白加水分解物、香辛料)、かやく(鶏・豚味付肉そぼろ、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、炭酸カルシウム、かんすい、レシチン、酸味料、微粒二酸化ケイ素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、マリーゴールド色素、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
今回の主役といっても過言ではない “手打風 特許製法麺” は、直近だと2021年11月22日に発売された「麺創研紅(めんそうけん くれない)監修 濃厚辛味噌ラーメン」の油揚げ麺と似た雰囲気で、少なくとも共通する特許技術を応用していることは間違いありません。この形状は実に個性的なのですが、お湯を入れる前から油揚げ麺特有のニオイが目立つため、そこに懸念を覚える調理中——。
別添の小袋は後入れなので、熱湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で小袋を温めながら待つこと4分。時間になったら「仕上げの小袋」の中身を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。かやくは汎用的な内容なので、そこに個性は見出せないものの、仕上げの小袋から漂う鶏油の芳ばしい香りと不規則な形状の特殊製法麺は印象的。
ちなみに製造所は太平食品工業の関西工場(奈良県大和郡山市額田部北町944)となっていますが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き “手打風 特許製法麺” の臨場感に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(91g)あたり |
カロリー:422kcal たん白質:7.7g 脂 質:18.9g 炭水化物:55.2g 食塩相当量:5.7g (めん・かやく:1.5g) (スープ:4.2g) ビタミンB1:0.44mg ビタミンB2:0.63mg カルシウム:217mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:422kcal(めん・かやく:325kcal)(スープ:97kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっとコレは高く評価せざるを得ない
形状が異なる3種の乱切り麺は、中央に溝が引いてある “捩れ中細麺” に、左右の厚みが非対称になるように切り出された “中幅広麺” と “太幅広麺” の混合で、やはり「麺創研 紅」監修によるカップラーメンの流れを汲んでいたのですが、それと比較して平打ちの部分が多いイメージ。まったくのゼロから生まれたわけではないものの、ピロピロとランダムに踊る口当たりは素晴らしいの一言に尽きます。
店舗の手打式超多加水麺は脅威の加水率55%なのに対し、油揚げ麺の質感は中加水‥‥いや、むしろ加水率を低めに感じる軽さを伴うため、うどんのような麺肌だったり、噛むと顎を押し返すような粘りの強い反発性だったり、そういった部分は再現できていませんが、とにかく不規則な口当たりと噛み応えが個性的かつ楽しくて仕方ありません。
サンヨー食品(太平食品工業)が保有する伝家の宝刀といっても過言ではないノンフライ麺とは違うため、どうしても揚げ油に由来する雑味を伴いますが、それも含めて後述するスープと喧嘩しなかったのも勝因。これで加水率が高ければ文句なしではあるものの、簡便性も重視しなければいけない縦型ビッグの制約を加味すれば、充分すぎる仕上がりだと思います。
スープ
カップ麺の特性を上手く活用しながら纏めてある
「ののくら」店舗のスープは国産の天然食材にこだわり、うま味調味料を使わないことでも有名ですが、なんのこれしきカップ麺ではピリピリとした特有の刺激を感じるため、それなりのジャンクさを伴います。しかし、きちんと動物系は鶏の清湯(ちんたん)をベースに据えていることに加え、カップ麺では珍しい粉末酒で店舗の隠し味を表現するなど、あながち的外れな構成ではありません。
醤油は粉末なので、生揚げ醤油特有のコクと酸味までは再現できていませんが、想像していた以上に鰹の旨味が強く、節系特有の芳醇で芳ばしい風味が和のテイストを色濃く打ち出し、それを昆布で引き立てている、分かりやすくも単調な印象を与えない骨組み。
「仕上げの小袋」を入れる前は鰹を全面に感じるテイストですが、小袋に含まれるオイルは鶏脂の含有量が多く、ここで鶏の存在感がイッキにブースト。絶妙なアプローチを仕掛けてくる生姜のアクセントも効果的で、丁寧かつ大胆で厚みのあるスープに仕上がっています。けっこう鶏油が強かったので、調理中に感じた油揚げ麺に対する懸念も杞憂に終わりました。
具材
麺とスープの満足感を思えば気にならない
メインの味付肉そぼろは、味・食感ともにジャンクさ極まりない肉具材で、洗練された印象は皆無に等しく、本格さは楽しめません。コリコリとした歯応えのメンマも熱風乾燥の青ネギも使い回しの具材なので、贔屓目にみても及第点と評価せざるを得ませんが、とにかく個性的な麺の存在感と厚みのあるスープが功を奏し、よくも悪くも具材については気になりませんでした。
総評
東京は亀有の人気店「手打式超多加水麺 ののくら」を象徴する加水率の高さは再現できていなかったのと、スープや具材にもインスタント感を伴いますが、そのインスタント感を上手に活用しながら個性を表現していたので、結果的な印象としては悪くありません。そして、なんといっても手打風の特許製法麺は一見の価値あり。
これも「麺創研 紅」監修による “3種の乱切り麺” を応用していたので、まったくの新開発ではないものの、ランダムで踊るような口当たりは印象に残ること間違いなし。ひとつのカップラーメンとしても綺麗な仕上がりだったので、個人的には広くオススメしたい一杯です【author・taka :a(大石敬之)】