どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年1月14日(月)新発売のカップ麺、ヤマダイ「ニュータッチ 大盛大阪かすうどん」の実食レビューです。
大阪グルメの「かすうどん」を専門店「KASUYA」監修のもとカップ麺にアレンジして再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
ニュータッチ 大盛大阪かすうどん
「かすうどん」とは、主に大阪を中心に親しまれている「ご当地うどん」なんですけど、かすうどんの「かす」は天かすでも酒粕でもありません。「油かす」といって、大阪の河内(かわち)地方で昔から親しまれている伝統的な郷土料理のことを指し、それをトッピングしたうどんを「かすうどん」といいます。
「KASUYA(加寿屋・かすや)」とは、1995年4月に現在の本店である「KASUYA 藤井寺本店」(大阪府藤井寺市)をオープンした大阪を中心にチェーン展開している「かすうどん」の専門店で、運営母体は株式会社グローバルキッチン。「ニュータッチ 大盛大阪かすうどん」の再現度と完成度を高めるために、カップ麺の監修店となりました。
かすうどんの他に焼肉メニューなどもあるのですが、外はカリカリ、中はプルプルの低脂肪・コラーゲンたっぷりの油かすをトッピングした「かすうどん」が人気メニュー。最近では大阪のラーメン専門店などでも活用される油かすですが、入れるだけで料理のコクがグッと増す魔法のようなアイテムです。
「油かす」(あぶらかす)とは、刻んだホルモンを鍋に入れ、じっくりと火にかけながら素揚げにし、余分な脂を抽出することで肉の旨味を凝縮した食品の総称です。もともとは別の用途で動物性油脂を抽出した後のカス(副産物)を捨てずに食品として利用したのが始まりらしいのですが、うどんのトッピング以外にも煮物や炒め物、お好み焼きや焼そばの具材にも使える便利な食品で、主に大阪の「カス」を作る時には牛の小腸を使用します。
その部位を問わない牛ホルモンのミックスバージョンになると徳島特産の「イリカス」、またガツと呼ばれる豚の胃を揚げた広島特産の「せんじ肉(せんじがら)」や豚の脂身・皮などから脂を抜いて乾燥させた宮崎特産の「セシカラ」、富士宮焼そば(静岡県ご当地焼そば)のトッピングとして有名な「肉かす」など、これらの名産品も起源や材料こそ違えど同じような作り方で製造されている「油かす」ですね。
さて、カップ麺の話に戻しますが、なんとPDF(ニュースリリース)には “人気チェーン店「かすや」様で使用している「かす」入り揚げ玉を使用” と書いてありました。そう、今回のカップ麺はKASYUA監修というだけでなく、実際にKASUYAのカスを原材料に使用しているそうです。
厳密には「かす」ではなく「揚げ玉」が具材として入っているようですが、そこにKASUYAの「かす」 を砕いて使用しているみたいですね。それでは、開封して中身を確認してみましょう。
開封
別添の小袋は「液体スープ(後入れ)」と「かやく(先入れ)」の合計2袋構成で、液体スープには “フタの上で温め、めんをほぐしたあとに” 入れてくださいと書いてあります。かやくは先入れなので特に意識することはありませんが、液体スープを開封する際は “いったん麺をほぐしてから” 。
麺は油揚げ麺になるのですが、「オリエンタル監修 大盛名古屋カレーうどん」や「懐かしの」シリーズなど、ニュータッチことヤマダイ(※こっちが正式な社名)の油揚げうどんは2018年に新開発のガッシリとした油揚げうどんにリニューアルしました。いまのところ、それと同じタイプに見えます。
ところで今回のカップ麺は入手に難航しまして、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストア、各コンビニや普段は立ち寄らない駅ナカ店まで手当たり次第ハシゴしまくったのですが、どこにも売ってない‥‥というわけで最寄りにある取扱店をヤマダイの担当者に調べてもらったところ(お客様相談室に電話したら調べてくれます)、最も近い取扱店は車で往復3時間半以上かかるスーパーでした。
ええ、そこで無事にゲットです。店頭で値段を見たときにガソリン代のほうが高いわw などと心の中で突っ込んでしまったんですけど、嬉しかったなぁ‥見つけた時。それに有名店監修の大盛カップ麺で税込95円は激アツですよね。メーカー希望小売価格は税別170円なので、どのスーパーでも平均だいたい100円前後が相場になると思われます。
製品情報・購入価格
製品名:ニュータッチ 大盛大阪かすうどん 製造者:ヤマダイ 内容量:128g(めん90g) 発売日:2019年1月14日(月) 実食日:2019年1月18日(金) JANコード:4903088013909 希望小売価格:170円(税抜) 発売地域:全国 |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:大盛バケツ型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:460ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、ラード、食塩、植物性たん白、しょうゆ)、スープ(しょうゆ、糖類、食塩、動物油脂、たん白加水分解物、ビーフエキス、昆布エキス、鰹エキス)、かやく(かす入り揚げ玉、かまぼこ、ねぎ、とろろ昆布)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、リン酸Na、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、膨脹剤、酸味料、甘味料(ステビア、甘草)、紅麹色素、糊料(プルラン)、(一部に小麦・牛肉・大豆・豚肉を含む) |
【アレルギー表示】小麦・牛肉・大豆・豚肉 ※本品製造工場では、を含む製品を製造しています。 |
実食開始
調理前の「かす入り揚げ玉」は、一般的な天かすと比較して色が濃く、そもそもの香りが違います。牛くさいわけではないのですが、けっこうクセのある芳ばしい香り。あとはネギ、かまぼこ、とろろ昆布が入っていて、とろろ昆布は1枚のシート状ではなく、小さめにカットされたものが何個か入っていました。
で、5分後にはコレですよ‥‥まさかの油かす入り揚げ玉の頼もしい膨張率w かまぼこは3枚、ネギは適量、とろろ昆布は欠片が3個ちょっとだったんですけど、油かす‥というか揚げ玉ですね、ここまで膨張するとは。見た感じ普通の揚げ玉と大差ないように見えますが、よ〜く見ると油かすと思われる肉片が入っていました(あとで拡大します)。
それでは、実際に食べてみましょう。油かすの雰囲気は再現できているのかどうか、また税込100円前後のカップ麺ということも考慮した上で総合力を判定したいと思います。それにしても、けっこうインパクトありますねコレ‥w
1食(128g)当たり
カロリー:499kcal |
めん
小麦の旨さをとことん追求した大盛フライ麺うどんです。食感もつるりとしたしなやかな歯ごたえ、シコシコとした弾力を兼ね備えたうどんです。(めん90g、熱湯5分)
(出典:ヤマダイ「ニュースリリース」)
おそらく同シリーズ(ニュータッチ「大盛」シリーズ)の「オリエンタル監修 大盛名古屋カレーうどん」にも使用されている新開発の油揚げうどんと共通と思われるのですが、ヘット(牛脂)ではなくラード(豚脂)が練り込まれていて、かなりジャンキーな風味。なんですけど、ぜんぜん嫌味な感じではありません。
そもそも油揚げ麺が極端に苦手な方にとっては手放しに楽しめないかもしれませんし、小麦の旨さよりも油揚げ麺の旨味が全面に出ちゃっているのですが、それはネガティブな油揚げ麺臭としてではなく特有のコクとしてプラスに作用しています。厚みのある縮れた平打ちの太麺はコシが強く、大盛90gで食べ応えも抜群。
税込100円前後の大盛カップ麺らしくインスタント感満載ですが、いまさら大量の油かすを前に罪悪感もヘッタクレもないというかw 特有の魅力を素直に楽しむことができました。伝統的な大阪うどんは柔らかめの食感が特徴なので、それについては再現度が低い項目になってしまうのですが、硬くするのは難しくても柔らかくするのは放置すれば解決ですし、値段以上ですよ。
スープ
本醸造濃口醤油の華やかな香りが特徴のつゆに、昆布と鰹のやさしい旨味とビーフの旨味を掛け合わせたコクのあるつゆに仕上げました。香ばしい風味の牛脂を加えることで、外食店で味わうような臨場感あるメニューの雰囲気を再現いたしました。
(出典:ヤマダイ「ニュースリリース」)
真っ先に飛び込んでくるのは「甘み」と「牛」で、まず甘みなんですけど、かなり強いです。それも糖類に加えて添加物に2種類の甘味料を使用しているため、けっこうダイレクトに甘い。ただ、その甘味料は植物由来の天然甘味料(ステビア・甘草)なので、スクラロースやアセスルファムKなどの異常な人工甘味料ほど強烈ではありません。
醤油は薄口でスープの食塩相当量も5.2gと一丁前ですが、甘さのおかげで舌に突き刺してくるような塩気ではなく、薄口醤油に甘い出汁というのも大阪をはじめ関西うどんの特徴ですし(例外もありますが)、昆布と鰹の旨みも丁寧で、さすが大阪のKASUYA監修ですね。そんな関西風うどんつゆがベースになっているのですが、これまた牛の旨味もバッチリです。
動物油脂はフルで牛脂ではないかもしれませんが、ビーフエキスによる牛の旨味に牛脂を彷彿とさせる、それでいてクドさは感じない絶妙な牛出汁が実に個性的で、それを唯一無二にしているのが油かすから滲み出る独特の旨味。たぶん、これ液体スープとかエキスじゃ出せないと思います。いや、出せるかもしれないけど今回の功労者は確実に具材ですね。
かやく
かす入り揚げ玉、かまぼこ、ねぎ、とろろ昆布
(出典:ヤマダイ「ニュースリリース」)
かまぼこ、ねぎについては汎用的な具材ですし、量も質も平凡ですが、「かす入り揚げ玉」の存在感すごいですね。油かすの特徴とされる「外はカリカリ」というのは先入れだと再現不可能ですし、「中はプルプル」まぁ揚げ玉はプルッとした口当たりですどコラーゲン感はなく、「低脂肪」がっつり高脂質w なんですけど、ちゃんと中に本物の「かす」が入っています。
とはいえ “油かすのカス” なので、かなりサイズは小さく、すべての揚げ玉に入っているわけでもないのですが、けっこうな頻度で口の中に飛び込んできて独特の旨味が口の中に広がります。それが飛び込んできた瞬間、全体的にジャンクなのに本格的というか、また油かすの旨味が揚げ玉に移っているのもポイント。
さすがに本物と瓜二つとは言えませんが、雰囲気の再現度は高いです。そんな油かすが本日の主役ですが、とろろ昆布の旨味もスープに対して確実に寄与していますし、インパクト抜群でコスパ的にも素晴らしいですね。
総評
★★★★★★★☆☆☆(★7)
ちょっとコレは国民栄誉賞とか授与されてもいいレベルのカップ麺だと思います。というのは言い過ぎかもしれませんが、これといって文句の付け所が見当たりませんでした。強いていうなら甘さと大量の揚げ玉、あと牛(油かす)の風味とか油揚げ麺特有のニオイが人を選ぶかも‥って考えたら、なかなかハードなカップ麺ですけどw
レベルの高い油揚げ麺は値段以上で、風味に関してもニュータッチのブランドイメージを思えば魅力に変わりますし、かなり個性的な油かす入りの揚げ玉や関西ど真ん中の甘い出汁、そこに交わる牛の旨味や油かす特有のコクなど、近年稀に見る名作でした。さすが安いだけあってインスタント感は強めになるのですが、これぞ紛れもない「かすうどん」インスパイアです。
同シリーズの「大盛名古屋カレーうどん」がレギュラー商品となっているように、もしかすると今回の「大盛大阪かすうどん」もレギュラー前提として開発されたのかもしれませんね。もしそうじゃなかったら定番品にしてくださいお願いしますw 唯一もったいない点は取扱店が多くないことくらいでしょうか。「かすうどん」の個性が体感できるコストパフォーマンスの高い逸品だったので、もし見かけたら試してみてください(2019年1月現在の取り扱い店舗はニューデイズ、全国のスーパーマーケット・ドラッグストア等)。