どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年4月18日(月)リニューアル新発売、セブンプレミアムのカップ麺「鳴龍 担担麺」の実食レビューです。
権威ある世界的なレストランガイド『ミシュランガイド東京2017-2022』において6年連続 “一つ星” 獲得「創作麺工房 鳴龍(NAKIRYU)」の革命的なカップラーメンが約3年ぶりにブラッシュアップ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
鳴龍 担担麺 2022
創作麺工房 鳴龍(そうさくめんこうぼう なきりゅう)とは、東京都豊島区・新大塚で「担担麺」と「拉麺」をメインに提供しているミシュラン掲載店で、店主の齋藤一将(さいとう かずまさ)氏は護国寺で人気を博した「柳麺ちゃぶ屋」出身。その系列店である「MIST(ミスト)表参道ヒルズ店」と「香港MIST」で料理長を務め、2012年(平成24年)5月17日に念願の独立店「鳴龍」を創業しました。
かつては巣鴨に本店を構え、現在は代々木上原に移転している「Japanese Soba Noodles 蔦(じゃぱにーず そば ぬーどる つた)」に続き、日本のラーメン店では2軒目となる『ミシュランガイド』の “一つ星” に選出された「創作麺工房 鳴龍」は、その快挙を成し遂げた『ミシュランガイド東京2017』から現在にかけて “6年連続” その座を維持している都内屈指の実力店です。
今回の新商品「セブンプレミアム 鳴龍 担担麺」は、鳴龍の齋藤店主監修によるセブン&アイ限定のカップラーメンで、東京都新宿区と大阪市淀川区に本社を置く日清食品と共同開発。2019年5月14日発売品からのリニューアルなので、純然たる新作ではないのですが‥‥(以下、セブンプレミアムの商品開発コミュニティサイト「セブンプレミアム向上委員会」の “公式PR” より一部抜粋)
“世界が唸る東京・大塚の星付きの名店「鳴龍」の担担麺をカップ麺で忠実に再現!鶏、豚や昆布、牡蠣の旨みが凝縮された醤油ベースに、黒酢・りんご酢の酸味、辣油の辛味、胡麻の甘味を加え、重層的に広がる上質な担担スープに仕上げました。” と公式がPRしているため、前回発売品からの進化はもちろん、それに伴うトレードオフの有無が気になるところ。
「創作麺工房 鳴龍」の店舗で仕込まれるスープは、透明度の高い清湯(ちんたん)で、動物系は5羽の丸鶏及びモミジ(鶏の足)並びに牛骨を軸に、魚介系は4kgの生牡蠣を使用しているのもポイント。さらに数種の節や干し椎茸、昆布、香味野菜など、計13種の素材を最初から最後まで1つの寸胴で煮込む製法を取り入れているのですが、食材ごとに旨味のピークが違うことを熟知している齋藤店主。
牛骨は9時間、丸鶏は6時間、牡蠣は4時間‥‥と、それぞれ完成から煮込み時間を逆算し、順番に足しながら旨味を抽出。生牡蠣が苦手な客の好みも考慮して、火加減には細心の注意を払い、牡蠣の生臭さだけを飛ばして旨味を残したスープは「拉麺」にも「担担麺」にも共通して使われます。ただ、それを再現した歴代のカップラーメンを実食するなかで、牡蠣の旨味を特筆して感じたことはありません。
もともと「鳴龍」監修によるカップラーメンは、日清食品のNB(ナショナルブランド)商品で、2016年4月25日に発売された縦型ビッグの「有名店シリーズ 鳴龍 担担麺」が最初の商品。その約1年後、2017年5月29日にも同じ形態のカップラーメンを発売していましたが、同年11月6日発売品よりセブン&アイのPB(プライベートブランド)商品に鞍替え。
容器は縦型ビッグから大判どんぶり型に、麺は油揚げ麺からノンフライ麺に切り替え、人気番組や有名ラーメン店主からも高く評価されるなか、2019年5月14日のリニューアルを境に “あとがけ芝麻醤” を別添。その革命的な手法には私も度肝を抜かれ、さらに再現度が高くなっていたのですが、それに続く今回のリニューアル。はたして何が変わったのか、従来品との違いに注目しながらレビューします。
開封
2022年版「鳴龍 担担麺」に別添されている小袋は、先入れの「かやく入り粉末スープ」に、後入れ「液体スープ」と「あとがけ芝麻醤(チーマージャン)調味料」の計3種。かやく入り粉末スープと芝麻醤調味料のデザインは変わっていますが、構成としては前回と共通で、革命的だった芝麻醤の “あとがけ仕様” も継承しています。これ、ほんとうに素晴らしかった。
麺は油で揚げずに乾燥させた中細ノンフライ麺で、やや見た目は色白。角刃で切り出された角断面の形状から、リニューアル前のノンフライ麺と同じような印象を受けます。日清食品のノンフライめん製品は、本体価格が高くなれば高くなるほど麺の戻りにくさが気になるパターンが多いので、そこが一つの課題。
2022年4月30日現在、セブンイレブンでの取り扱いは “北海道・東北・栃木県・群馬県・甲信越・北陸・静岡県・近畿・中国・四国・九州・沖縄” となっているのですが、イトーヨーカドーやヨークベニマル、ヨークマート、そごう・西武ほか、イトーヨーカドーのネット通販サイト(オムニ7)も販売店の対象なので、実質的には全国発売のPB商品です。※非公式のECサイトにおける高額出品には注意してください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 鳴龍 担担麺 製造者:日清食品株式会社 製造所:A・関東工場(茨城県取手市清水667-1) 内容量:149g(めん70g) 商品コード:4902105271926(JAN) |
発売日:2022年04月18日(月) 実食日:2022年04月30日(土) 発売地域:全国 取得店舗:オムニ7 販売価格:258円(税込278.64円) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:3袋(かやく入り粉末スープ・液体スープ・あとがけ芝麻醤調味料) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】かやく入りスープ(豚脂、ねりごま、植物油脂、しょうゆ、味付肉そぼろ、醸造酢、糖類、ごま、みそ、食塩、ポークパウダー、香辛料、ポークエキス、ねぎ、魚介エキス、酵母エキス、こんぶ粉末)、めん(小麦粉(国内製造)、食塩、植物油脂、卵粉、植物性たん白、大豆食物繊維、チキンエキス)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、かんすい、炭酸Ca、増粘多糖類、酒精、セルロース、カラメル色素、香辛料抽出物、香料、焼成Ca、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・さば・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく入り粉末スープ」のみ先入れで、ふわっと漂う五香粉(ウーシャンフェン)のアクセントが本格的。2017年11月発売品では現在よりも五香粉の存在感が強く、2019年5月発売品から使用量が減り、今回は後者と同じくらいの存在感。あとは内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「あとがけ芝麻醤調味料」を温めながら待つこと3分——。
3分経ったらノンフライ麺をほぐし、液体スープを加え、よく混ぜ合わせたら‥‥ここでストップ! 小袋にも記載されていますが、後入れの「あとがけ芝麻醤調味料」は食べる直前に揉みほぐし、仕上げに回しかけたら “まぜずにお召し上がりください” というのが再現度を高める上でも重要なポイントになるので、調理の際は留意してください。
ちなみに販売価格はリニューアル前と同じ258円(税込278円)のまま据え置きですが、わずかにカロリーと炭水化物の数値が減少し、脂質の量は増えるなど、栄養成分表示上では興味深い変化が生じていました。というわけで、引き続きリニューアル前後で何が変わったのかに注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(149g)あたり |
カロリー:653kcal たん白質:14.5g 脂 質:40.0g 炭水化物:61.2g (糖 質:56.1g) (食物繊維:5.1g) 食塩相当量:8.0g (めん・かやく:2.7g) (スープ:5.3g) ビタミンB1:0.37mg ビタミンB2:0.47mg カルシウム:227mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:653kcal(めん・かやく:333kcal)(スープ:320kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
たぶんリニューアル前と同じ
実際の「創作麺工房 鳴龍」で提供されている麺は、店内の製麺機で打ち上げる店主こだわりの自家製麺で、基本のパターンは計4種。今回のモデルになっている「担担麺」には、加水率を下げた細めのストレート麺が合わせられ、豊かに香る小麦の風味と歯切れのいい質感が繊細なスープを引き立てます。
それをイメージしているノンフライ麺の加水率も低く、噛んだ途端に内側からパツッ、と弾けるような低加水麺で、後述する個性的なスープにシンデレラフィット。リニューアル前から原材料名も変わっていないため、おそらく同じノンフライ麺だと思うのですが、けっこう “ほぐれにくい” のが玉に瑕。
1分くらい根気よく解し続ければ気にならなくなりますけど、熱湯3分きちんと守っても開封直後は “麺の塊を丸ごと持ち上げられる” ほど頑固なので、ちょっとストレス。ただ、それさえ乗り越えたら大きく印象が変わるため、後入れの添付調味料を入れる前にノンフライ麺を完全にバラしてください。
スープ
非の打ち所がない
先入れの「かやく入り粉末スープ」には、前述の五香粉を彷彿とさせる中華系の香辛料に、すこし食塩を加え、こんぶ粉末を隠し味に使用しているのもポイント。ほかに2種の胡麻(すりごま、いりごま)も入っているため、後述の練り胡麻とは違う芳ばしさと昆布の隠し味が後々に活きてきます。ただ、あくまでも粉末スープは下支えに過ぎません。
そこに味の決め手となる「液体スープ」を投入した途端、黒酢のコクとフルーティなリンゴ酢を彷彿とさせる華やかな香りが鼻腔を通り抜け、実際の味わいも然り。リニューアル後の魚介エキスにも牡蠣を彷彿とさせるほどの個性はなく、牛骨も使用していませんが、丁寧に旨みを抽出した豚清湯に、しょうゆの風味と醸造酢の酸味を強めに効かせている、本格的でクセになるテイスト。
リニューアル前の液体スープと比較して、あらすじは大きく変わっておらず、花椒の痺れも目立ちませんが、表面に浮かぶラー油の辛味が増していたのと、醸造酢の輪郭も鋭くなっています。辛さは中辛の範疇を出ないものの、くっきりとした酸味は数あるカップ担担麺の中でもトップクラスなので、そっちが人を選ぶかもしれません。しかし、それを適度に包み込んでくれるのが大量の芝麻醤。
店舗のスープは二層に分かれているのが特徴で、上層は自家製芝麻醤と自家製辣油が華やかに彩っているのですが、その下には9時間かけて取った出汁(だし)にタレをブレンドした醤油味のスープが隠れており、意識せずとも食べ進めるうちに自然と混ざり合う特殊なスタイル。その臨場感を再現しているのが「あとがけ芝麻醤調味料」の別添と、あえて “まぜずに-・” という特殊な作り方。
あとがけ芝麻醤調味料は練り胡麻と植物油脂をブレンドした液体、つまり芝麻醤そのもので、たっぷりと入っているのもポイント。まぜずに食べることで前半は芝麻醤のコクがダイレクトに、そこから食べ進めるうちに液体スープの刺々しい部分を包み込んでくれる、いやはや今回も非の打ち所がないですね。正直、これを超えるカップ担担麺のスープを探すのは、現状ほぼ不可能かもしれません。
具材
スープの衝撃を思えば気にならない
税込278円のカップラーメンなので、お世辞にも値段相応の内容とはいえません。しかし、肉具材の代用品として大豆たん白加工品(フェイクミート)が横行している昨今。販売価格を据え置くための策として、リニューアルを機に一部の肉具材を大豆たん白加工品に変更、あるいは丸ごと大豆たん白加工品に置換するパターンも多いところ、ちゃんと本物の肉具材を使用しているのは企業努力の表れ。
実際の「担担麺」もトッピングはシンプルなので、あながち的外れな構成ではありません。ただ、ここにカシューナッツやピスタチオ、アーモンドなどのナッツ類を砕いて “ちょい足し” するだけで本格さ爆上げなので、アレンジも検討してみてください。
総評
リニューアル前の「セブンプレミアム 鳴龍 担担麺」(2019年5月発売品)と比較して、ノンフライ麺と具材(かやく)に大きな変化は生じておらず、革命的な “あとがけ芝麻醤調味料” も継承していますが、やや辣油の刺激が強くなり、酸味の輪郭もキリッと際立つなど、従来よりもシャープな印象を受けました。
ほぐれにくいノンフライ麺については玉に瑕ですが、それを補って余りあるほどスープが本格的なので、リニューアル前の「鳴龍 担担麺」が好きだった方はもちろん、いわゆる日本式の “担担麺” とは一線を画す新境地を体験したい方は、積極的に試してみてください【author・taka :a(大石敬之)】