どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年9月19日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん正麺 カップ スタミナ中華そば」の実食レビューです。
正麺カップに町中華がモチーフの新定番!? 芳醇こく醤油の姉妹品として “コク深い醤油の旨みに、ニンニク&生姜のやみつく味わい” の新作登場!! しかし‥‥
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺 カップ スタミナ中華そば
マルちゃん正麺(せいめん)とは、東洋水産が “いま抜群に美味しく、そして10年後・20年後も古びることなく愛され続ける即席麺” をコンセプトに展開しているブランドで、2011年(平成23年)11月7日発売の袋麺を皮切りに発足。専任のチームが5年の歳月をかけて開発した特許技術「生麺うまいまま製法(特許 第5153964号)」で市場を席巻し、業界関係者はじめとする多くの人に衝撃を与えました。
即席カップめんの飛躍的な伸長にシェアを奪われ、数年にわたるダウントレンドが続き、ほぼ無風状態だった当時の袋めん市場に新風を吹き込んだマルちゃん正麺。その衝撃は業界で “マルちゃんショック” と呼ばれ、後に語り継がれることになるのですが、袋麺の発売から約4年後、2015年(平成27年)10月5日に満を持す「正麺カップ」を市場に投下。さらなるシェアの拡大に成功し、現在に至ります。
今回の新商品「マルちゃん正麺 カップ スタミナ中華そば」は、2015年(平成27年)10月5日の発売以来、現在も販売を続けている初代御三家の一角「マルちゃん正麺 カップ 芳醇こく醤油」の姉妹品として開発されたフレーバーで、雰囲気的に数量・期間限定のスポット商品かと思いきや、東洋水産のニュースリリースには “新たな定番フレーバー” の文字。
ラーメンどんぶりの縁や中華料理店の暖簾(のれん)に描かれることが多い雷紋(らいもん)に、スタミナ中華そばというタイトルから、巷で “エモい” と話題の「町中華」がコンセプトであることは明白。トレンドに敏感な即席カップめん業界なので、数年前から町中華をイメージしたフレーバーも目立つようになってきているのですが、その中でもバリエーションに富んだ商品を展開しているのが東洋水産。
たとえば自慢の “バリシャキもやし” を搭載した「でかまる もやし中華そば」(2021年6月14日発売品)に、チャーハンと中華スープのセットを再現した「昔ながらのチャーハン味焼そば」(2022年8月8日発売品)ほか、直近では「やみつき屋 旨辛スタミナ中華」(2022年8月15日発売品)など、特に今年は力を入れていることが伝わってきます。
ただ、上記の3品は製品スタイルこそ違えど油揚げ麺を使用していたのに対し、今回は「正麺カップ」が誇る「生麺ゆでてうまいまま製法」の麺を搭載ということで、これまで以上に本格的な仕上がりに期待できそうな展開。しかも “生麺のようななめらかな口当たりと、透明感と弾力のある食感はそのままに、幅広で食べ応えのある太麺を新たに開発いたしました” というから、なおのこと。
生麺ゆでてうまいまま製法(特許 第5719064号)とは、従来の油揚げ麺やノンフライ麺とは一線を画する製法で、大別するとノンフライ麺なのですが、一般的なノンフライ麺と比較して “麺を蒸す工程を入れずに乾燥させる難関を突破した” 東洋水産の技術革新。もともとは「正麺カップ」専用の技術でしたが、近年は有名店が監修したカップラーメンなど、他の商品にも積極的に使われるようになりました。
そのため安心と信頼の実績を誇る製法ではあるものの、おそらく幅広麺は同ブランド史上初の試み。また香り高い「自家製だし」仕込みのスープは “ポークの旨味ににんにくや生姜を利かせた濃いめの醤油味” ということで、新開発の幅広麺と対等に張り合っているのかどうか、見どころが多い一杯です。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」が1袋に、後入れ「粉末スープ」と「液体スープ」の計3種。粉末・液体どちらのスープに「自家製だし」を使っているのかまでは公表されていませんが、この “自家製” という表現は “OEM(相手先ブランド名製造)に頼り切ったスープではない” ことを意味する表現と推測でき、東洋水産のプライドを感じるポイント。
麺は前述の特許技術「生麺ゆでてうまいまま製法」で、なるほど既存の「芳醇こく醤油」よりも太めに切り出されているのですが、これまでの常識を覆すような幅ではありません。しかし、わざわざ東洋水産が “新たに開発” と訴求しているため、なにか秘密があるのかも——。
メーカー希望小売価格は249円(税別)と半端に感じる設定ですが、既存する2022年9月現在の定番ラインナップ「芳醇こく醤油」「香味まろ味噌」「うま辛担々麺」「辛ニボ」「濃厚こくソース焼そば」「汁なし担々麺」「まぜそば 魚介豚骨」すべてに共通する値段。コンビニで購入した場合の税込価格は268円になりますが、スーパーやドラッグストアなど、販売ルートを限定しないNB商品です。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ スタミナ中華そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:117g(めん75g) 商品コード:4901990372619(JAN) |
発売日:2022年09月19日(月) 実食日:2022年09月24日(土) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:スーパー 商品購入価格:213円(税込) 希望小売価格:249円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(粉末スープ・液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、植物油脂、乳糖、大豆食物繊維)、添付調味料(しょうゆ、ポークエキス、植物油、豚脂、デキストリン、香辛料、香味油脂、ゼラチン、チキンエキス、酵母エキス、たん白加水分解物)、かやく(味付豚肉、キャベツ、にら)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酒精、かんすい、炭酸カルシウム、レシチン、増粘多糖類、pH調整剤、クチナシ色素、香辛料抽出物、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容は味付豚肉、キャベツ、ニラと簡素な構成ですが、東洋水産の味付豚肉はリアルさに定評のある具材。容器が大口径の大判どんぶり型なので、ちょっと量的な頼りなさが否めない雰囲気ではあるものの、品質に関する不安は覚えません。
かやくを入れたら内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で後入れの「液体スープ」を温めながら待つこと5分。時間になったら添付調味料を加える前に麺をほぐし「粉末スープ」を完全に溶かしてから「液体スープ」の順に馴染ませるとスムーズなのですが、ちょっと粉末スープが溶けにくかったので、調理の際は注意してください。
さて、東洋水産のニュースリリースやパッケージにも記載されていませんが、焦がし醤油を彷彿とさせる芳ばしさが印象的な調理直後。前述した「やみつき屋 旨辛スタミナ中華」のように唐辛子の辛味はアピールしていないため、スープにおけるスタミナ感の打ち出し方やニンニクの効かせ方にも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(117g)あたり |
カロリー:387kcal たん白質:12.5g 脂 質:8.7g 炭水化物:64.7g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:1.9g) (スープ:4.0g) ビタミンB1:0.27mg ビタミンB2:0.41mg カルシウム:164mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:387kcal(めん・かやく:299kcal)(スープ:88kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープとの相性に難あり
「正麺カップ」の草創期に猛威を振るった “生麺ゆでてうまいまま製法” は、現在よりも平均的に加水率が高く、箸で持ち上げた際の重量感を特徴としていたのに対し、2021年9月6日に実施されたリニューアル以降、従来よりも加水率が下がり、しっとりとした質感や重量感も衰えるなど、かなり大きな変化が生じています。
そのタイミングから原材料に “乳糖” を追加しているのも着目すべきポイントで、今回の「スタミナ中華そば」も例に漏れず。粘りよりも反発性に重点を置いた噛み応えに、箸で持ち上げた際の軽さなど、基本は「芳醇こく醤油」の延長線上にあるのですが、それよりも麺単体としての存在感が強く、スープを弾くような質感が気になるところ。また珍しく戻りムラが生じており、弾力が均一ではありません。
既存の「正麺カップ」に使われる麺より小麦の風味が強い、というのは一つの加点要素になるけれど、スープの持ち上げが悪いため、常に麺が独り歩きしているような印象を覚えます。パッケージでは “幅広な太麺” をアピールしていましたが、むしろ細麺のほうが合うのでは? などと、ぶっちゃけミスマッチな組み合わせに思えました。
スープ
スタミナ感ちょっと弱くない?
「粉末スープ」の構成は、ガーリックパウダーと砂糖を中心に、ジャンクな旨み成分を加えている、というのは東洋水産のニンニク系における常套手段。とはいえタイトルに “スタミナ” を冠しているわりに、肝心のニンニクは頼りない効かせ方で、さほど生姜の香味も目立っておらず、山椒かな? そっちのほうが気になる感じ。
次に「液体スープ」を加えると、フレッシュな醤油の香りが漂い、なおかつ中華鍋でラードと醤油を焦がしたような芳ばしさが広がって、町中華を彷彿とさせる臨場感がイッキに加速。こちらに生姜が仕込んであったので、その存在感も明確になります。しかし、いざ口に含むと味に香りほどのインパクトは備わっておらず、味と香りが一致しないというか、どうにもこうにも拍子抜け。
その主な要因として考えられるのは、なまじ強かった小麦の風味。それがスープに強く滲み出ているため、様々な要素がマスキングされてしまい、結果として味の焦点がブレています。またニンニクも基本的にはガーリックパウダーに頼っているので、生おろしニンニクに由来する攻撃性や唐辛子の辛味も皆無に等しく、タイトルから一般的に想像されるであろうスタミナ感は得られませんでした。
具材
ニンニク系のアイテムが欲しかった
醤油と砂糖で甘辛く味付けした豚肉は、あいかわらず風味も質感もリアルな肉具材で、スープとの相性も悪くありません。またキャベツでボリューム感を稼いだり、ニラでパンチを底上げしたり、それっぽいラインナップではあるものの、ここにフライドガーリックが入っていたら完璧だったのに‥‥という物足りなさが否めません。
たとえば既存のカップラーメンにないくらい、ごろごろと大きなニンニクの塊を入れろとはいいませんけど、スライスしたフライドガーリックなら難しくなかったハズ。それだけで全体のスタミナ感も跳ね上がるので、リニューアルする予定があれば、その際に検討してください。
総評
万人受けを意識しなければいけない「正麺カップ」の新たな定番商品という位置付けなので、あまり尖らせられなかったのだとは思いますけど、はたして「スタミナ中華そば」というタイトルに惹かれて購入した顧客が納得できるスタミナ感かと聞かれたら、どう考えても物足りないと答えざるを得ない仕上がり。正直なところ、このままの状態で市場に定着させるのは厳しいと思います。
既存の「芳醇こく醤油」と比較して、ひとまず明確な差別化が図れてはいるものの、まずは麺のサイズから改善の余地あり、というのが本音。このジャンルを好んでいるユーザーは、おおむねニンニクに対する抵抗がないので、人を選ぶほどに振り切ったほうが新たなリピーターの獲得とイメージの拡大に繋がるのではないでしょうか【author・taka :a(大石敬之)】